艦隊これくしょん 岩川基地な日々   作:扶桑畝傍

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第一話 会合

「ねぇ、聞いた?新しい提督さんの話。」

「聞いた聞いた、

 元中将さんだったとか。」

「なにやったのか

 左遷させられてここに来るって。」

「そうそう、可哀そうにねぇ、

 残ってる娘達が可哀そうよねぇ。」

 

岩川基地の艦娘達は可哀そうにねぇ

 

「・・・ふぅ。」

「軍人さん、この先の岩川基地でホントに良いのかい?」

「出発前に行った筈だが?」

「そりゃぁ、そうですけど。」

「・・・もういい、ここで降ろせ。」

「え゛っ?」

「降ろせ。」

拳銃を突き付ける

「はっ!?はぃいっ!!」

タクシーは急停車し

人気のない通りに止まる

「詫びだ、取っとけ。」

札束を丸めた物を投げ入れる

「こ・・・こんなに?」

「トランクを開けろ、ケースを降ろす。」

「い、いま開けます!!」

ガラガラとキャリーケースを引き摺りながら

辿り着く正門

「けっ、霧で良く見えねぇ。」

「え?」

「憲兵か、

 俺は『○○』だ、大本営から通達は来てる筈だが?」

「はっ、お聞きしております、

 『○○』閣下。」

「罷免されたからな、今はしがない大佐だよ。」

「いえ、閣下は閣下です、

 私は、アナタの行動に敬意と憧れを持っております。」

「・・・長生きしろ、それが『彼女達への手向けだ』」

「了解!

 このまま直進で隊舎の中央、司令部になります。」

「ありがとう、

 多少ドンパチが聞こえるかもしれないが

 演習だとでも言って置け。」

「承りました、お気をつけて。」

「・・・ほんと、長生きしろよ?」

階段を上がる

ここまで誰一人『艦娘』に会っていない

『血糊が残る扉を開ける』

「誰だっ!?」

「海軍大佐、『箱国(はこく)』だ、

 通達は来ている筈だが?」

「貴様が・・・すまない、

 まだ整理が終わっていないんだ。」

「『長門』大ホールは使える状態か?」

長門

「それは・・・使えるが?」

箱国

「なら、今から一時間後、

 総員集合、今後の方針を伝える、

 一時間だ、『全員』必ず。」

長門

「まっ、待って欲しい、

 かなりの重傷者がいるんだ、

 修復材も既に無く。」

箱国

「・・・俺だ、ドックをフル稼働だ。」

〈はいはい、聞こえてますよ〉

長門

「その声は『明石』か?

 家には居なかった筈だが。」

〈長門さん、修復材は持って来てるから、

 手伝って貰えるかしら?

 言う事聞かない娘ばっかりで〉

長門

「っ、すまない、今行く。」

簡略敬礼しながら長門は出て行く

箱国

「長門。」

長門

「なんだ?」

箱国

「・・・いや、いい、早く行け。」

長門

「あ、あぁ。」

大ホール

 

加賀

「全員集合、か。」

(大本営から赴任して来たらしいけど

 あの人より良い人間なんているのかしら)

長門

「傾注、箱国提督が入られる。」

 

箱国

「箱国だ、まず、編成の変更だ、

 第二・第三・第四艦隊は

 軽巡洋艦1、駆逐艦5で、再編成、

 即時『遠征』へ出て貰う、

 資材残数が余りにも少ない、

 第一艦隊は、

 これより、基地周辺の

 『深海棲艦』掃討作戦を行う、

 先月襲撃に来た深海棲艦の

 残存艦艇を掃討、

 遠征艦艇の安全と、

 近海の安全確保の意味合いがある、

 長門、家の香取だ、

 以後の指示は彼女に行って貰う。」

長門

「は?貴方は何をするのだ?」

箱国

「前任者の作戦書、指示書の整頓、

 各基地・鎮守府・泊地への

 融通が利く資材を送って貰う手筈を整える、

 引継ぎなしでやるんだ、

 艦隊を指揮している暇は

 それらが落ち着いてからだ。」

長門

「貴様っ、それでも提督かっ!!」

その挙げられた手は、

彼に届かず、『香取』に止められる

長門

「なっ。」

香取

「秘書艦、香取です、

 以後、お見知り置きを。」

 

そのまま二人は去る

 

陸奥

「長門っ!?大丈夫なのっ!?」

長門

「・・・陸奥、

 この手を見て貰えるか?」

陸奥

「て?」

 

長門の手首には痣が出来ていた

 

陸奥

「戦艦に痣を付けるなんて、

 本当に『練習巡洋艦』なのかしら?」

長門

「わからん、だが、動くしかあるまい。」

 

テーブルには指示書の束が置いてあった。

 

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