【完結】とある水神の半身の神話創造   作:ネシエル

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第十三話 賢い

「まさか、フォンテーヌにここまでの災難に見舞われるなんて思ってもみなかったわ。」

 

「それだけではないわ。」

 

近年、謎に増加する降水量、水没した土地が年々増加を遂げている。これも、予言の前兆だと巷では話題になっている。

 

「予言を変えるのね。正直に言うと私は可能だと思うわ。」

 

雲は光を遮断し、店の中を暗ますほどの時間を過ぎ去り、ひらめいた。

 

「神が見た未来。観測した結果を人々に告げるのが予言よ。でもね、予言とは見た未来を示すことであって、決して、作るものではない。」

 

「というと、」

 

「フォンテーヌの予言は、天理自らの力で起こす現象。ならば、人為的に作れるなら、人為的に消すこともできる。」

 

「それを、できれば苦労はしないよ。」

 

ナヒーダが言う理屈は分かる。神が作ったものなら、神なら壊せる。

 

だが、予言とは最も起こりうる結果を表すもので、決して、絶対に起こるわけではない。

 

事実、予言が外れたことも預言者シビラの口から告げられたことがある。だけど、フォンテーヌの予言は絶対に起こりうる。

 

本来、無数にある選択肢を無理やり1つの結果に集中させる。天理の権能にポセイドンでは太刀打ちできない。

 

権力はより強い権力にはひれ伏す。天理の予言を簡単に覆すことはできない。

 

天理に歯向かい、記憶を奪われた。ポセイドンは天理の力を一番よくわかっているはず。

 

「方法は2つある。1つは予言を利用する。」

 

予言は変えられない。だが、天理は変えられる。

 

フォカロルスは天理の死角を搔い潜り、予言の結果を変えずにフォンテーヌを救おうと考える。

 

「もう1つは予言自体を破壊する。」

 

一方、ポセイドンは予言の結果を変えフォンテーヌを救う。

 

「そんなことが可能なのか。」

 

「天理の予言はおそらく因果によるもの。内側、つまり、この世界に属するもので破壊できないわ。でもね、外側ならどう。」

 

盲点だ。

 

「この世とは一切関係ない。因果の外側にいる存在。あなたは知っているでしょう。」

 

「……ありがとう。おかげで道が見えた。」

 

「別にいいわ。」

 

席を立ち、店の外に出ようとしたとき、

 

「代わりにはあなたの名前を教えてくれるかしら。」

 

▲■▲■▲■▲

 

あの時、ナヒーダは感じた。生まれて直ぐに幽閉され、孤独の闇に胸を焼かれながらも夢の中で過ごしていた。そんな、孤独の毎日に突如として終止符が打たれた。

 

それは、この世のものとは思えない力だった。傍から見れば権能によるものだと推測する。そこまではいい。問題は動力が違うことだ。

 

権能とは、神の力。その発動するには元素力を使用している。これは、どこの神でも同じことだ。

 

だけど、フリーナ、否、彼女が使った元素はこの世のものではない。

 

禁忌の知識やアビスと同質のものだ。

 

テイワットは外界の概念に文字通り「毒され」やすく、そしてそれ故にそれらを拒絶する性質を持つ。

 

例えば、禁忌の知識。ただの知識にも関わらず、外界から来た無害の知識が龍すらも蝕む毒となる。

 

そして、彼女が権能を使用したとき、わずかながら、世界は壊された。

 

▲■▲■▲■▲

 

分身を解除し、ポセイドンは事務室にこもった。先ほどの会話でポセイドンの正体が見破られていたのだ。

 

フリーナだけでなく、おそらく、自身の出生についてもだ。

 

「侮っていたな。」

 

さすが、世界樹の化身。この世の全ての情報を探るだけでなく、わずかな手がかりでポセイドンの正体、そして、予言の対策法にたどり着くとは。

 

「こうも簡単に正解を出すなんて、俺たちが馬鹿みたいじゃないか。」

 

因果を破壊する。

 

なるほど、今までにない発想だった。そして、ブエルはヒントを与えた。それだけで十分だ。

 

外側の存在。おそらく、降臨者を使って因果を破壊する。

 

テイワットに属さない外来的存在の中で、最も強大かつ世界に匹敵するほどの意思の持ち主。

 

()()()()()を除くすべての降臨者はテイワットの法則に縛られない外側の存在。彼らによって、天理に敷かれた因果を破壊する。

 

いい案だ。

 

俺の計算によれば降臨者単体ではなく、同士で衝突した場合、因果は完全に破壊することが理論上可能だ。

 

だが、それは両者の力が均一でなければならない。

 

カーンルイアで観測した第五降臨者の力は俺には程遠い。

これでは、衝突したときに出る衝撃は因果を破壊することには程遠い。

 

だからこそ、

 

「俺を恨むなよ。フォカロルス。キミは自分の好きにしたのさ。今度は俺の好きにさせてもらうぜ。」

 

手に持つ神の心を持ち、それに微笑みながら、目の前の宝玉にはめ込んだ。




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