【完結】とある水神の半身の神話創造 作:ネシエル
特殊合金で覆われた特別な演習場。
そのすべてが冷たく硬い銀色の金属で構成されている中、唯一異なるのは、右側の壁の上部に設置されたフロントガラスだ。
金属に囲まれたこの場所で、唯一の透明な部分がそのフロントガラスであり、演習場の全体を見渡せるようになっている。
「体の調子はどうだ?」
「問題ない。むしろ、体が軽くなった気がする。」
今、この空間に水神フリーナと旅人だけが存在していた。
「具合が悪いところがあったら遠慮なく言ってくれても構わん。」
「大丈夫。私、一度あなたと戦ってみたかったんだ。」
最強の魔神。岩王帝君、雷電将軍に続く武神の名を関する神。
カーンルイアにて、フリーナに救われ、500年間昏睡状態に落ちた。
雷電眞曰く、影よりも強いと言わしめる力。ぜひ、お手並み拝見したい。
「そうか、じゃあ始めよう。」
フリーナは人差し指をまっすぐ伸ばして銃の銃口を表現する。何気ないハンドガンポーズを旅人は見つめ、そして、人差し指から水鉄砲を発射した。
ビューという音と共に軽いソニックブームを起こし、初速は音速という即死技。
銃弾よりも早く旅人の脳天をぶち抜くが、フリーナに用意された神の目のおかげでスローモーションのように見えるため、殺人水鉄砲は体を左によけたため直撃を免れた。
回避した水鉄砲はそのまま後ろ側の壁に穴を開け、貫いた。
「やるね。」
この模擬戦。対崩壊獣専用の人工「神の目」。通称、律者コアの運用を試すべく、旅人とフリーナはやっている。
邪眼と違い、体の害はないようだが、実感する限り、特に体に悪影響はないようだ。
「うむむ。」
捻り、隙を見せたところを見逃さずフリーナは腹にパンチをするが、それを察知した旅人は事前に剣で防御した。
フリーナは素手で殴ったにも関わらず、血は流れず。逆に旅人の剣に刃こぼれが発生した。
「風刃!」
いったん距離を取るべく風を使い、後ろに飛び退く。
「おっと」
フリーナの体勢を崩したところを旅人は攻撃するため、雷元素を使って高速移動で追撃する。
「
フリーナは空中で水の剣を生み出し攻撃。旅人はそれを躱す、躱す。
左右、上空から降り注ぐ水剣の
「とった!」
フリーナは振りかざす剣を―
「甘いね、キミ。」
水で生み出した剣で応戦。
体に水元素をオーラのように纏わせ、足を踏むごとに地面は砕け、音速の行動をした。
「はああああ!」
水の激流の如く。圧倒的な暴力を退ける旅人は切り結ぶ残像の中で、フリーナの剣に走る軌跡の中で水のエフェクトが見えた。
『水元素を纏わせ、行動する際に、元素を放出し、あの爆発的な瞬発力を得たのか。』
終始、苦戦し、防御を強いられる。旅人は戦いの最中にその仕組みを理解した。
『重い。滝に打たれたみたいだ。ならば―』
「何、炎だと!」
炎を出し、ジェット噴射で応戦。
以前ではありえない能力。旅人はまだ、ナタに行っておらず、炎神の七天神像にも触れていない。
だが、炎の元素力を利用した推進力は同じく音速の斬撃を放ち、フリーナに対抗した。
『アルカイルの話では、旅人は5種類の元素力しか使えないと聞いていたが、なるほど、これは予想外の収穫だ。』
フリーナは喜び、その結果を噛み締めた。
「氷河!」
氷元素を使用し、凍らせる。かつて、渦の魔神の妻を凍らせた申鶴の氷元素を上回る威力。フリーナの動きを完全に封じた。
水元素のブーストのせいで余計に凍ってしまい、完全に仇となった。
「我ながら素晴らしい性能になった。」
「これで―」
顔以外は氷漬けになり、完全に身動きが取れなくなったフリーナに対し、旅人は追撃するため剣を振りかざす。
急所を外し狙うは―
「なっ!」
氷は砕け、素手で剣を掴んだ。
「もう、俺に勝ったつもりか?だとしたら、なめられたものだ。」
剣は掴まれたところからひび割れが伝わり、バラバラに破壊された。
「
腹にパンチを受け、空間に罅が走り、衝撃波が放たれた。
「た、旅人!」
放った衝撃は部屋全体にひび割れを走らせ、上部にいたフロントガラスもすべてを壊し、旅人はそれに耐えきれず、壁に激突して気絶した。
次回投稿8/17日