【完結】とある水神の半身の神話創造 作:ネシエル
雲が裂き、月が辺りを照らす。
元々、暗かった周りの大地は月の光に照らされ、
薄暗い視野は明かりを取り戻した。
「嘘でしょう。あんだけ攻撃したのに。」
ナヴィアは驚愕し、
旅人は後ろに飛び、竜との距離を取った。
「GOOOOOOOOOOOOO」
心臓部に空いた穴は紫色の稲妻と共に修復し、
穴はふさがり、完全に修正した。
「フリーナでも倒せない理由はこれか。」
そして、もう一度、攻撃するために一歩動いた旅人は途中で止まった。
「あ、あれ」
ポタポタと鼻血が垂れ、地面を汚した。
「相棒。よけて」
稼働限界。
また、神の目を使いこなしていない故に加減を間違えて体に深刻な負荷を与えてしまった。
それに気づいたナヴィアは裁断を持って駆け寄ると、途中で見えない壁にぶつかり半回転した。
「何これ。」
見えない壁。
いや、これに見覚えがある。
嵐の壁。
風元素を高速に回転し壁を生み出す。
風龍廃墟にあった風の壁と同じ仕組みである。
「旅人!?」
竜は旅人に向かって突進する。
その姿はまるで、旅人が使った技にそっくりである。
自身の得意技で決められたことにさぞかし腹が立っただろう。
「はぁ!」
竜が旅人を嚙み砕く前に、天からの雷が落ちてきた。
雷は竜の背中を直撃し、地に伏せた。
「様子がおかしいと思ってきてみれば、
こんなことになっているとは。」
「クロリンデ!なんであんたここに。」
クロリンデは竜から剣を抜き、旅人に寄り添った。
旅人の腕を肩に回し、介抱させて立たせた。
「大丈夫か。」
「大丈夫。いや、無理をしたと思う。」
「GOOOOOOOO」
地に伏せた竜は刺された箇所を直し、無事に四本足で立つ。
空に飛び立つことができた。
暴風を身に纏い、咆哮を旅人とクロリンデに向かって吠えた。
「これは、聞いていたよりも厄介そうだ。」
「お願い、時間を稼いで。そしたら、きっと。」
「わかった。ナヴィア!」
その時、
「よくやってくれたね。」
ナヴィアは空から登場し、弾丸を竜にぶち込んだ。
竜と交戦し、クロリンデはそのすきを突いて、
パイモンに旅人を託した。
「彼女を頼む。」
「おい、旅人。しっかりしろ。」
走りだしたクロリンデは地面から、
黒い砂を操り、三個の棘鉄球に変えた。
クロリンデの周りに棘鉄球を浮かべ、雷を当てた。
「ムスペル」
棘鉄球は音速の2倍の速さで駆け抜け竜に衝突した。
先ほど、ピクリともしなかった。
竜の鱗を数枚剥がし、翼を負傷させ、
竜は地面に降り立った。
「何度見てもすごいわね」
ナヴィアは裁断を使い、破損した部分を攻撃。
「GOOOOOOOOOOOOO」
しかし、竜はブレス攻撃を仕掛け、ナヴィアはそれを回避し追撃。
「GOOOOOOOOOOOOO」
ブレス攻撃は出し続け、クロリンデにも向けた。
「ライトニング」
一瞬で後ろに回り、一方の翼を切り落とした。
「GUUU!」
竜は体を捻り、右前足を振り下ろし、
クロリンデを後退させた。
「はあああああ」
ナヴィアはそのすきを突いて攻撃するが、
「くはぁ!?」
それを見越した竜はブレス攻撃を直撃させた。
「ムスペル」
地面から複数の鎖を出し、竜を拘束した。
「はぁあああ」
ナヴィアもそれに続いてたくさんの岩を出現させ、
竜の周りを囲む。
「GU!!」
その姿はさながら檻のようだ。
「今よ。ぶちかまして。」
クロリンデはポケットの中から一本のカートリッジを取り出した。
紫色の筒みたいな部品。
そこに電気を流した。
やがて、変形し、クロリンデの身長以上の巨大な銃に変貌した。
それは、フォンテーヌ科学院総力で生み出した技術の結晶である。
「チャージ終了。ロックオン。いざ、懸けよ。超電磁法(バースト・ケラウノス)。」
時速3600メートルの弾丸が駆け抜け、
竜の体を貫いた。
「嘘、それでも倒れないの」
頭を吹き飛ばし、胴体も消し飛んだが、なお生き続ける。
もはや、それは生物ではない。
異名の通り機械に近いのだ。
「でも、それでいい。」
「はあああああ」
「私たちの勝ちだ。」
旅人の剣が修復寸前の竜の残骸を突き刺した。
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