【完結】とある水神の半身の神話創造 作:ネシエル
一日後。
機械竜が復活し、旅人たちによって倒されて一晩が過ぎた。風を操り、風魔龍以上の暴風。
さらに、特殊金属に覆われたことで並大抵の兵器や武器も通じない鱗。龍の中、否、そもそも、生物として異質な存在を倒し朝になる頃。
旅人とパイモンは再びフォンテーヌへやってきた。
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パレ・メルモニア最下層。
旅人とパイモンは再びフォンテーヌ邸へやってきて、軽い朝食を取り、パレ・メルモニアにてフリーナと出会い、共に地下へ向かい、そこで旅人は検査を受けることになった。検査を受けるのは旅人ただ一人。
彼女がX線検査機に入るのを、パイモンはガラス越しに見つめる。
「大丈夫なの? 旅人」
「心配するな。フォンテーヌの科学力を信じろ」
心配するパイモンの声とは違い、フリーナは旅人の検査を進める。
X線検査機を終えた後も血液検査、遺伝子検査など、多くの検査が行われた。
そして、旅人は無事に検査を終える。そのまま椅子に座り、浮いているパイモンと共にフリーナが映し出されたモニターを見る。
「崩壊エネルギーにこれほど耐性があるなんて、すごい逸材だ。予言が終わるまで使い続けるか?」
「だめだよ! 旅人はそれを使って吐血したこともあるんだよ。そんな危ないものを使い続けるなんて!」
「いや、そこまで行ってないし……」
「とにかく、もうそんな危ないものを使わせるわけにはいかないんだから!」
「パイモン、君の意見はもっともだ」
フリーナは椅子から立ち、パイモンのところまで歩き、頭を下げる。
「でも、フォンテーヌを救うにはこれしかない。君にとって大事な人を傷つけたくないように、俺も自分にとって大事な人を救いたい。そのためにも君たちの力が必要なんだ」
「で、でも……」
「大丈夫だよ、パイモン。心配してくれてありがとう」
「旅人……」
「今までだってギリギリの戦いが多かったし、今後、もっと強い敵が現れるかもしれない。そんな敵からパイモンを守りたいんだ」
「う、うう……」
「フリーナ」
「なんだ?」
「最悪の場合、私を助けてくれる? フリーナなら、安心して任せられる」
「……君はひどいやつだ。わかった」
「ありがとう」
「こちらこそ。もう検査は終わった。今日はもう休むといい」
「うん」
「ところで、フリーナ。ずっと気になってたんだけど、結局、崩壊獣って何者なのだ?」
「さあ、俺にもよくわからない。正直言って、フォンテーヌに現れた正体不明の魔物としか言いようがない」
「アビスの魔物とは違うの? なんか似てるけど……」
「いや、両者は完全に違う存在だ。アビスの魔物は文字通り、アビスの力を動力源にしているが、崩壊獣は崩壊エネルギーを元に活動している。この崩壊エネルギーとアビスは明らかに違う存在だ。例えると、アビスがウイルスなら、崩壊エネルギーは白血球みたいな存在だ」
「どういうこと?」
「これは、俺の仮説だが、アビスは壊したいから壊すウイルスのような存在で、それに対して崩壊は有害だから殺す、みたいな感じだ。実際、崩壊獣が活動しても人的被害は一切なかった。あれほどの力を持つ存在が人を害さないなんて、あり得るのか?」
「確かに、変だよね」
「フリーナが全部、倒したから?」
「いくら俺でも、すべてを救うことはできない。崩壊獣が現れ、俺が最初に現場に到着したのは、事件発生から10分後のことだ。それなのに、死人が出ずにインフラ被害だけで済んだ。まるで、人を傷つけずに最初からインフラ整備を狙っていたかのように」
「確か、水路が破壊されてたけど……」
『確かに、あれほど力を持った機械竜が、誰も犠牲を出さずにいたなんて考えられない。
でも、なんか引っかかっているような……』
「まあ、俺が知っているのはここまでだ。もし何か分かったら、君たちに伝えよう」
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