【完結】とある水神の半身の神話創造   作:ネシエル

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新 第二十四話 刻む

フォンテーヌの夜道。

 

パレ・メルモニアの付近に

誰もいない暗い夜道の中、フリーナは一人で歩いていた。

 

ステージ衣装で、太ももを派手に露出させたド派手なスパッツが目を引く。

 

『本当にこれでいいのだろうか』

 

フリーナは、夜道を歩きながら

自問自答を繰り返していた。

 

『ポセイドンに全て任せて、

自分だけが何もしないでいいのだろうか。

 演じ続けることで本当にフォンテーヌは救われるの?』

 

フリーナは足を止め、ひとり思考を巡らせた。

 

『ううん、大丈夫。きっと、全て上手く行く。

ポセイドンが僕を信じてくれた。

僕が信じなくてどうするの?』

 

彼女は自分を励ますように、声を出してつぶやく。

しかし、どこか寂しさが滲んでいた。

 

そのとき、静かな夜道に一匹の猫が現れる。

 

「にゃん」

 

「わ、こ、子猫?」

 

小さな鳴き声に驚いて、フリーナは猫を見つめた。

 

「かわいい……。おいで、おチビちゃん」

 

フリーナはそっと猫に近づこうとするが、猫は少し距離を置いたままだ。

 

「あれ、逃げちゃった?……待って!」

 

フリーナは好奇心に駆られて、猫を追いかけ始める。だが、その瞬間、不意に背中に冷たい感触が走った。

 

▲▲

 

数分前。

フリーナの後ろを歩く黒服の女性がいた。

彼女の名はアルレッキーノ。黒い衣装と目隠しバンド、そしてその身に宿る闇の気配が、

彼女の不穏な存在感を際立たせていた。

 

『どういうことだ。フリーナ殿はこの時間帯になると自室に引きこもると聞いていたが、

 誤情報か……。あの水神フリーナがこんな無防備な姿をさらすとは思えぬか』

 

彼女はフリーナの一挙一動を鋭く見つめ、警戒を怠らない。

 

『罠か?……いや、罠のためにわざわざ危険を冒すはずがない。影武者かもしれぬ。』

 

猫と戯れるフリーナを見て、アルレッキーノはその覇気の無さに違和感を覚える。

 

『神に必要な何かが欠けている。

あのときの全身の細胞に悲鳴を上げる。

圧倒的な威圧感はどこへ消えたのか……。

今が機かもしれぬ。この機を逃せば、再び検証する機会は二度と来ないかもしれない』

 

アルレッキーノは決断を下し、透明化の術を使ってフリーナに近づいた。音も無く、殺意も感じさせない動きでフリーナの背中に手を伸ばす。

 

「取った」

 

黒に染まった腕が、フリーナの背中に沈み込んでいく。しかしその瞬間、アルレッキーノは異変を感じた。

 

『やはり、フリーナ殿は神の心を持っていない?。何だ、これは……?』

 

フリーナの体内で微かに光るものに触れたのだ。

 

 殺気を感じたアルレッキーノは、急いで手を引き抜いた。だが、引き抜いた腕には浅い傷が刻まれていた。

 

「あと一秒でも遅かったら、腕一本を失っていただろう」

 

「だ、誰だ!」

フリーナは背後を振り返り、アルレッキーノと対峙する。

 

一瞬の緊張が走る中、空中に水の剣を十本生成し、アルレッキーノに向けて放った。

 

「速い!?」

 

アルレッキーノは、かろうじてすべての剣を回避したが、わずかに太ももに傷を負っていた。フリーナはそのまま水をまとい、槍を生成する。

 

『ごめんなさい、ポセイドン……』

フリーナの目に決意の光が宿る。

 

 

▲■▲■

 

最初に動いたのはポセイドンだった。

 

 彼女は神速で移動し、アルレッキーノの心臓に向けて槍を突き刺そうとした。

 

 アルレッキーノは瞬時に反応し、鎌を振りかざしてそれを防ぐ。

 

 槍と鎌が激しく衝突し、周囲に強烈な衝撃波が走った。

 

 その衝撃はアルレッキーノの鎌を破壊し、近くの窓ガラスを粉々にした。

 

「なんだなんだ。地震か?」住民たちは驚き、周囲を見渡す。

 

 「おい見ろ! 窓ガラスが割れているぞ!」

 住民の一人が叫び、他の者たちも騒ぎ始めた。

 だがその騒ぎはすぐに大きな力に押しつぶされたかのように静まり返る。

 

衝撃波でアルレッキーノは吹き飛ばされ、壁に激突する。

 

 狼狽する彼女を逃すことなく、

ポセイドンは槍で再び突き刺そうとしたが、

アルレッキーノは何とか右に回避し、

 再び鎌を生成してポセイドンに反撃する。

 

 鎌が勢いよく降りかかるが、ポセイドンは三叉槍の先でそれを巧みに挟み込み、

 槍を回転させた。

 

 その瞬間、再び鎌は砕け、破片は棘へと変質し、

 ポセイドンに襲いかかる。

 

棘はポセイドンの皮膚には刺さらず砕けた。

 

 そして、人の声が聞こえた時

 

「ここでは、邪魔になりそうだ。」

 

 ポセイドンはそう呟くと、アルレッキーノの隙を見逃さず、腹に強烈な蹴りを入れ、彼女を空へと打ち上げた。

 

「しまった!」

 

 アルレッキーノは叫ぶが、その声は空高く打ち上がる中でかき消された。

 

 ポセイドンはさらに追い討ちをかけるように再び蹴りを入れた。

 

 鉄を蹴るような音が響き渡り、アルレッキーノの体は大砲の弾丸のように山々を貫通しながら飛んでいく。

 

 そして、やがて速度が落ち、人けのない荒野に着地した。

 

「がはっ……」アルレッキーノは息を詰まらせ、血を吐く。

 

 「随分と頑丈だな。」

 

 ポセイドンが静かに言った。

 

  「はぁ……はぁ……」

 アルレッキーノは荒い息を吐きながら立ち上がる。

 

  「今の一撃、並みの人間なら肉片になっていただろうに。」

 

 ポセイドンは槍を振り回し、構えを整えた。

 

 「ここなら、お互い、周りを気にせず本気で戦えるだろう。」

 

「そうだな……ここなら、周りを気にせずに済む。」

 

 アルレッキーノはうなずくと、赤黒い炎が彼の体から吹き荒れた

 。その炎は空にまで届き、やがて漆黒の衣をまとった巨大な蜘蛛が現れた。

 

 アルレッキーノが、その真の姿を現したのだ。

 

▲■▲

 

戦いは熾烈を極めた。周囲の美しい平野は瞬く間に荒れ果て、岩盤がむき出しになるほどだった。

 

「はっ!」ポセイドンが攻撃の合図と共に槍を振り上げる。

 

  「ふん……」アルレッキーノは受け流すように、鋭い鎌を繰り出した。

 

 両者は一歩も譲らず、刺しては抉り、距離が離れれば今度は遠距離から攻撃を繰り出した。

 

ポセイドンは空に水のベールを展開し、そこから五千発の水の剣を射出した。

 

雨のように降り注ぐ剣、水元素で強化され。

固定化された水の剣は鋼鉄を切り裂き、

音速で射出される

 

 

 アルレッキーノはそれを見習い、無数の槍を炎で包み込み、ジェット噴射の力で射出。

 

ジェット噴射の推進力により、ポセイドンの水の剣に対抗できた

 

 槍と剣が空中で激しくぶつかり、次々に分解していく。

 

 

『おかしい……なぜ押し切れない?』

 

 ポセイドンの心には焦りが芽生えていた。

 

 『たかが人間ごときに……今の俺は完全体ではないにしろ、これほどまでに押されるとは……』

 

アルレッキーノは翼を広げ、空へ舞い上がった。彼女の速さにポセイドンは槍で対処し続け、応戦する。

 

 「震破(クラッシュ)」ポセイドンの攻撃が鋭く放たれたが、アルレッキーノは翼を広げて防ぐ。

 

 砕け散った翼の破片は次の瞬間、新たな翼へと姿を変え、高度を維持し続ける。

 

その間も、アルレッキーノの炎のビームとポセイドンのハイドロポンプが空中でぶつかり合い、

 蒸気が立ち上る。濃い煙が二人を包み込み、視界を遮った。

 

「人間相手にここまでやるとは……癪だが、まあいいだろう。」

 

 これから10秒後、荒野に神の軌跡を刻む




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