【完結】とある水神の半身の神話創造   作:ネシエル

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新 第二十五話 破壊

 夜空には無数の星々が瞬いていた。

 

 まるで絵画のように美しい星空だったが、

 数秒後、突然その光はかき消された。

 

 空は青く変色し、まるで強制的に朝がやってきたかのように、

 明るくなり、そして、アルレッキーノと戦っていた風景全体がぼやけ始める。

 

アルレッキーノの額には、一筋の汗が流れた。

 まさか、と思いながらも手で触れてみる。

 

「汗?」

 

 地獄の業火すら生温いと感じる焔を平気に纏っていた。

 彼女すらも暑さを感じた。

 

 彼女は空を見つめ続けた。

 

 そこには、神々しい姿があった。

 

 ポセイドンは空中に浮かび、手に掲げた極小の太陽によって眩しく照らされ、

 その顔すらも見えないほどだった。

 

 

 我、星を呑む海洋(トライデント・オーシャンレイ)

 

超高圧で圧縮された水を超振動で揺らし、水の権能によって、

特殊な水素同位体を発生。

 

発生した水素同士を激しく衝突させ、超振動と超圧縮の波動により、

数千万度から数億度の極限の超高温が発生し核融合反応を発生させる。

 

 

 ポセイドンは疑似太陽を握り占め、水蒸気を漏れ出しながら一本の槍にした。

 

「!!」

 

圧縮する疑似太陽。

三重の炎を従えるアルレッキーノは心から理解した。

 

 あれには勝てない。

 

 摂氏、数千万度から数億度という炎。

あらゆる物質を瞬時に蒸発させる力。

 

 アルレッキーノは完全に理解し、決断した。

 

常人では見るだけで目が痛み、目を背く中。

彼女は見続けた。

 

 その時、アルレッキーノは空に打ち出した。

 

 銀色のチェス。

 

 それを、見たポセイドンは……

 

 「!?。あれは!!。」

 

 

ポセイドンは投げるのを止めようとすると、

反応できず、槍を投げ出す。

 

 放たれた槍は、一層の光を放ち、藍白の輝きを伴って爆風が巻き起こる。

 

 それは山の麓までをも巻き込み、半径二キロメートルに渡る山脈が一瞬で消し飛んだ。

 

 さらに、樹木や動物も吹き飛ばされ、半径五キロまで円形状に貼られていた結界まで爆風は到達した。

 

「うぐっ!」

 

アルレッキーノは爆風の中心で、チェスに向かって紅の元素力を送り続けていた。

 彼女の服はボロボロに崩れ、翼も崩壊しかけていた。

 

 やがて、最後、彼女は全身に白い光を浴びた。

 

 ▲■▲■

 

半径2キロに渡る底知れない大穴。

 

山脈は跡型もなく消し飛ばされ、半径5キロまで。

無人、無生命の岩盤の荒野が続いていた。

 

だか、5キロから先の結界外の生命と環境は一切損傷がない。

 

上空に留まるポセイドンは大穴の中心に

 無自然な土台を見続けた。

 

「逃げられた…!」

 

生命の一切を消し去ったこの荒野に、ただ一人、神が立ち尽くしていた。

 

 ▲■▲■

 

その夜、フォンテーヌの月明かりが照らす家に、アルレッキーノが現れた。

 彼女はドアを開けた瞬間、その場に倒れ込んだ。

 

「お父様!」

 

リネは倒れ込んだアルレッキーノを抱きしめた。

 彼女の両手は失われ、先端は焼き焦げ、全身に深いやけどを負っていた。

 

 そして、彼女は口から銀色のチェスを吐き出す。

 

 唾液に包まれた神の心だった。

 

「ぐはぁ…」

 

 氷の女皇がアルレッキーノに渡した神の心。

 それを、吐き出したとき、

アルレッキーノはそのまま白目をむき気絶した。

 

「誰か、医者を呼んできて!早く!」

 

リネの叫びが、夜の静けさに響いた。

 

 ▲■▲■

 

一週間後、焼け野原と大穴が広がる場所に、旅人とパイモンが訪れていた。

 

 無数の岩盤がむき出しになり、異様な空白地帯が広がっていた。

 

「ここがフォンテーヌに現れた異質な大穴。

 大穴というか、湖だよな。」

 

パイモンが指差す方向には、半径二キロに及ぶ巨大な穴があった。

 それはまるで湖のように見えた。

 

「こんな大きな湖ができるなんて」

 

旅人もその光景に驚きながら呟いた。

 

「やっぱり、これも予言と何か関係があるのかな?」

 

「多分ね」

 

そう言うと、旅人は湖の中に潜り込み、調査を開始した。

 

 水は非常に澄んでおり、底が簡単に見える。

 

 だが、生命は一切存在せず、まるで人工的に作られたかのように静まり返っていた。

 

「この水、フォンテーヌの水と同じように呼吸できるな…」

 

彼はさらに潜り続け、一時間が経過した。

 

 深度は1500メートルを超え、太陽の光も届かなくなり、

 辺りは暗闇に包まれ始めた。

 

「一旦、引き返そうか…」

 

そう思った瞬間、旅人の目の前に謎の塔が見え始めた。

 

「何だこれ…?」

 

 不自然に出来上がった謎の塔。

 

興味を引かれた彼女は、その塔の頂上を目指し、上に潜り続けた。

 

 そして、深度10メートル付近で塔の残骸を発見する。

 

「ここで途切れている。波で削られたのか?

 !?、これはいったい」

 

旅人は塔の一部を手に取り、異質な紅の元素を見続けた。




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