【完結】とある水神の半身の神話創造   作:ネシエル

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新 第二十六話 暴露

 

 夕暮れのパレ・メルモニア内。

 旅人は静かな廊下を歩いていた。

 

「一応、フリーナには報告したけど、なんだか腑に落ちないな……」

 

 旅人は悩んでいる様子を見せた。

 

すると、パイモンがふわりと旅人の横顔まで飛んできて問いかけた。

 

 「どうしたんだ、旅人?」

 

旅人は足を止め、少し間を置いて答えた。

 

 「パイモン、今日のフリーナ……なんだかおかしくないか?」

 

「おかしい?どこがだよ。別にいつも通りだったよ」

 

 パイモンは不思議そうな顔をする。

 

旅人は首を振り、言った

 

 「いや、そうじゃなくて、何か隠しているような気がするんだ」

 

「疲れたんじゃないのか?今週はたくさん崩壊獣を倒したし、久しぶりに休んだ方がいいんじゃないか?」

 

 パイモンが心配そうに提案する。

 

「そうかもしれないな……」

 

 旅人は一瞬だけ安堵の表情を見せたが、その瞬間、彼女らの隣をアルレッキーノが通りかかった。

 

「!? すみません」

 旅人は思わず声をかける。

 

アルレッキーノは振り向き、静かに応じる。

 

「どうしましたか?」

 

「おい、旅人、どうしたんだ?」とパイモンが驚いて問いかける。

 

「少しお話できませんか?」

 旅人はアルレッキーノに提案し、紅の元素が付着した石を差し出した。

 

 それを見たアルレッキーノはしばし考え込む。

 「いいでしょう。丁度いい店を知っているので、よければご一緒に」

 

 

 ▲■▲■

 

夜になり、旅人とパイモン、そしてアルレッキーノはフォンテーヌの豪華なレストランに座っていた。

 店内は黄金に輝き、窓からは夜のフォンテーヌ邸が見渡せる。

 

「いい店でしょう。北国銀行が出資して作った店と聞いています。さあ、せっかくの料理が冷めてしまいますよ」

 

 アルレッキーノは笑顔を浮かべ、遠慮なく料理に差し出した。

 

パイモンはそんなアルレッキーノを横目で見つつ、旅人の耳元にそっと囁く。

 

 「おい、旅人。なんで、こんな奴を誘ったんだよ。それに、ここファデュイの店じゃないか?」

 

目元に仮面をつけたファデュイの面々が周囲にちらほらと見えるのを、パイモンは警戒する。

 

「改めて自己紹介します。私はファデュイ執行官第四位【召使】アルレッキーノ。以後、よろしく」

 

 アルレッキーノは丁寧に名乗った。

 

「ファトゥスだって!!」

 

 パイモンは驚愕の声を上げる。

 

「私は旅人。こちらはパイモン。よろしく」

 

 旅人は冷静に返した。

 

「おい!何、のんきに話してるんだよ!こいつ、執行官だぞ!」

 

 パイモンは焦った様子で抗議するが、旅人は静かに彼女を制した。

 

「パイモン、少し黙って」

 

旅人は料理には手をつけず、石を机に置いた。

 

 「先週の大穴で見つけた石です。この元素力、あなたのものですね?」

 

アルレッキーノは石をじっと見つめた後、静かに口を開いた。

 

 「……話してもいいだろう。ただし、私の方からも1つ質問がある。お互いに答え合いましょう」

 

「わかった」

 

 旅人は頷いた。

 

 

 ▲■▲■

 

時が流れ、時計の針が一周した頃、旅人は信じられない声を上げた。

 

 「フリーナと戦った!?」

 

 旅人が手も足も出ず、

 お遊び程度であしらわれた。

 

 フリーナと殺し合いをした事実に旅人は驚愕した。

 

「ああ、噂通りの強さだったよ。彼女の伝説には一切の誇張がない。私たちは甘く見ていた。

 踏むべきでない龍の尻尾を踏んだようなものだ」

 

 アルレッキーノは左手で右肩を押さえた。

 次の瞬間、右腕がポロリと机に落ちた。

 

「ひいい!」パイモンは思わず悲鳴を上げたが、アルレッキーノは落ち着いた様子だ。

 

 「そう驚くな。ただの義手だ」

 と言って右腕を拾い上げ、再び付け直した。

 

「もう片方も義手か?」

 旅人が尋ねると、アルレッキーノは頷いた。

 

「ああ。でも、これで神の裁きから逃れられたなら、安い代償だろう」

 

 とは言え、神と本気の殺し合いを出来た時点で

 彼女の強さは神の領域に近付いているに違いない。

 

 

そのまま彼女は机の上で手を組み、話を続けた。

 

 「我々ファデュイは、水神フリーナから『神の心』を入手するため接触を試みた。

 しかし、結果はどれも惨敗だった。

 彼女の弱点を探るため、過去を調べたが、ろくなものは見つからなかった。

 ただ一つの仮説を除いて」

 

「仮説?」

 

 旅人が聞く。

 

「フォンテーヌには古くから伝わる噂がある。二人の水神の話だ」

 

「二人の水神?」

 

 パイモンが驚いたように反応する。

 

『眞や影のような、双生の魔神か……』

 旅人は考え込む。

 

「この噂は500年前にまで遡る。当時の水神フリーナは情緒不安定で、

 公私でまるで別人のようだったと言われている」

 

「それって、そんなに変か?公私の切り替えが激しいだけじゃん」

 

 パイモンが突っ込む。

 

「無論、フリーナもその噂を否定していない。

 私も実際に彼女と会い、公私のレベルではなく、まるで別人のように感じた。

 勘だが、あれは決して演技ではない。二人の神が同時に居るように感じたんだ」

 

「だから、フリーナを襲ったのか」

 旅人が尋ねる。

 

「ああ、最初、私は水神フリーナは二人一組になり、

一方は本物、もう片方は偽物、あるいは影武者だと考えていたが。

 彼女に触れた瞬間、全てが理解できた。

 彼女の体内には、もう一柱、別の神が存在している。しかも、その神から感じた力は、機械竜と同じものだった」

 

「まさか!」

 旅人とパイモンは顔を見合わせる。

 

「ああ。君たちが言う『崩壊』だ。」

 アルレッキーノは静かに答えた。




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