【完結】とある水神の半身の神話創造   作:ネシエル

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新 第二十七話 半人

夜の静かなレストランの中、微かな灯りがテーブルの上に揺らめいていた。

 旅人とパイモンが向き合う相手は、冷たい微笑を浮かべたアルレッキーノ。

 

 彼女の声が低く響く。

 

「どうして、それが崩壊だってわかるんだ?」

 パイモンが問いかける。

 

アルレッキーノはゆっくりと頷き、口を開いた。

 「我々は一年前から崩壊の研究を行っている。アビスの魔物よりも禍々しい未知なモンスター、

 これに興味を示さないほうがおかしいだろう?

 現在、博士を中心としたチームがその研究に没頭している。私自身もそれをこの目で見た。」

 

「でも、別に大したことではなくない?」

 パイモンは軽い口調で言い放つが、その目はどこか不安げだ。

 

旅人はパイモンを見て眉をひそめた。

 

 「パイモン…」

 

「はっ!」パイモンが気まずそう。

 

アルレッキーノは冷ややかな視線をパイモンに向けた。

 

 「ほう、大したことがない、か。まるで、それが当然のような反応だな。」

 

「え、えっと…」

 

 パイモンは焦りながらも言葉を詰まらせる。

 

「まあいい。私への質問はこれで終わりだ。次は君たちの番だ。」

 

旅人は黙ったままだった。アルレッキーノの眼差しが鋭くなる。

 

 「フリーナ殿は、随分と君に興味を持っているようだな。

 いや、特別視している。なぜだ?それが知りたい。」

 

「拒否権は…」旅人が問いかける。

 

アルレッキーノは冷たく笑った。

 

 「あると思うか?」

 

その瞬間、レストラン内に控えていたファデュイたちが一斉に武器を掲げた。

 

 旅人は小さく息を吐き、「…わかった」と頷いた。

 

「ふん、君たち、茶の用意を。」

 アルレッキーノは手を振り、冷たく命じた。

 

 ▲▲

 

レストラン内

「ほう、これが律者コアか。我々の邪眼とは原理も仕組みも違うようだな。」

 

 アルレッキーノは時計仕掛けの神の目を手に取り、その内部構造をじっくりと眺めた。

 時計のような姿をしたそれには、ガラス越しに無数の歯車が一つの結晶を中心に群がっているのが見える。

 

「是非とも本国に持ち帰りたいところだが…」

 アルレッキーノは律者コアを手にしながら旅人を見た。

 

 「流石に許してくれないか。」

 

 そう言いながら、彼女は律者コアを旅人に返した。

 

「まさか、君が第五降臨者だったとはな。道理でフリーナ殿が君に興味を持つわけだ。」

 

 アルレッキーノは軽くカップを掲げ、中のコーヒーを飲み干す。カップが空になると、彼女はそれをテーブルに静かに戻した。

 

「では、私はこれで。

 」旅人が立ち上がり、パイモンもそれに続こうとしたが、

 ドアの前で待っていたファデュイたちが立ちはだかった。

 

「まだ茶会は終わっていないぞ。」

 

 アルレッキーノが静かに言った。

 

「質問にはもう答えた。」

 旅人の声には少し苛立ちが滲んでいる。

 

「まだ質問は残っている。」アルレッキーノは冷静に言葉を続ける。

 

 「これは君にとっても意義のあることだ。君は疑問に思わなかったのか?なぜ、水神フリーナが崩壊を使えるのか。」

 

旅人は律者コアを見つめ、低く答えた。

 

 

 「律者コアを作ったのはフリーナだ。彼女が崩壊を使えても何もおかしくはない。」

 

アルレッキーノは鋭い目で旅人を見据えた。

 

 「では、なぜ君を雇った?」

 

「!!」旅人は言葉を失った。

 

「フリーナ殿は自身で崩壊を使えるのならば、自ら崩壊獣を倒せばよかったはずだ。

 それなのに、外部から君を呼び寄せて依頼した。彼女自身でもできるにもかかわらず、君を待っていた。

 それに、君自身が言っていたではないか。フリーナ殿は君を雇ったのは降臨者だからだと。

 では、彼女は何者なのだ?」

 

アルレッキーノは静かに立ち上がり、旅人とパイモンの前に歩み寄った。

 

 「我々は崩壊について独自に調べている。あれは、禁忌の知識と同じ外来から来た特殊なエネルギーだ。

 その力には意思がある。神々ですらも犯す猛毒だ。

 いくら水神フリーナでも、あの力を従えることはできない。」

 

アルレッキーノは目を細め、旅人を睨みつけた。

 「テイワットで生まれた存在ならば、どんな存在であれ外部の概念を受け付けることはできない。神であろうと。」

 

旅人は息を飲んだ。アルレッキーノの冷徹な言葉は、容赦なく彼女の胸を突いた。

 

「一年前…ちょうど君たちが風魔龍と戦った頃のことだ。」

 

 アルレッキーノは声を抑え、話を続けた。

 

 「モンドを救い、栄誉騎士の称号を得た君たち。世に君たちの名が知れ渡ったその時、崩壊獣が現れた。それは偶然か?」

 

「何が言いたいんだ?」旅人が険しい顔で問いかける。

 

「フリーナ殿が崩壊獣を放った、と言いたいのさ。」

 

「嘘だ!」

 

 パイモンが激しく叫んだ。

 

 「オイラたちを騙そうとしてるんだろ!」

 

アルレッキーノは冷ややかに肩をすくめた。

 

 「嘘かどうかは関係ない。私が言っているのは事実だ。おかしいとは思わないのか?

 なぜ、予言に関係ないことに焦点が当てられるのか。なぜ、崩壊獣による人的被害がほとんど出ていないのか。

 アビスをも上回る怪物たちが人々を襲わなかったのだぞ?もし、フリーナ殿が犯人だとしたら、すべての説明がつく。」

 

「それは言いがかりだ。

 フリーナには動機がないじゃん」

 

 パイモンが憤慨して言い返した。

 

「言いがかりかどうかはともかく、あの時、私は感じたのだ。彼女の中に住むもう一つの存在をな。」

 

 アルレッキーノは不敵に微笑みながら言葉を締めくくった。

 

 「まあ、今日のところはこれで終わりにしよう。この国の異変は止まらない。純水精霊たちも消え。もう、この国は滅びの時を迎えるかもしれん。」

 

その言葉が響き渡る中、旅人とパイモンは押し黙り、重い空気がレストラン内に充満していた。




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