【完結】とある水神の半身の神話創造 作:ネシエル
朝、フォンテーヌ邸内の静寂を破り、旅人とパイモンは静かに道を歩いていた。
空はまだ淡い朝焼けに染まっている。
『私の予想では、フリーナ殿は君を使って何かを成し遂げようとしている。』
背後から響く声に、旅人は足を止めなかった。
『それが私欲のためか、フォンテーヌのためか、私にもわからない。
君たちを崩壊獣とぶつける理由については現時点では不明だが、何かしらの意味があると考えてもいいだろう。』
旅人は彼女の言葉を思い出しながら、歩き続けた。
『そう焦るな。私には遺跡の情報を持っている。フォンテーヌの予言に関することだ。
詳しいことは私の子供たちに会えば分かるだろう。』
▲■▲■
旅人は歩みを止め、パイモンの声に耳を傾けた。
「おい、旅人。本当に行くのかよ?だって怪しいだろう。ファデュイだよ?」
パイモンの不安そうな声が響く。
「でも、まだこの国のことも、崩壊獣との関連もわからないんだ。
手掛かりがない以上、行ってみるしかないだろう。」
旅人の冷静な言葉に、パイモンは不満げにうつむいたが、
やがてため息をついて頷いた。
「……わかったよ。行けばいいんだろう。」
再び二人は歩き出す。
▲■▲■
朝の店。
「確かこの店だったよな?」
パイモンが言い、二人はその店を観察する。
すると、背後から声が聞こえてきた。
「君たち、やっと着いたね。」
驚いて振り返ると、そこにはリネとリネット、
そしてフレミネが立っていた。
「リネ!それに、この人たちは?」
パイモンが声を上げた。
「紹介していなかったか?この子は僕の妹、
リネット。かわいいだろ?」
「どうも、初めまして。」
「この人は僕たちのもう一人の仲間のフレミネだ。」
「ど、どうも」
「君たちのことはお父様からよく聞いているよ。」
「リネ。お前、ファデュイだったのかよ」
「そうだよ。正確には、
パイモンはさらに疑いの目を向けたが、リネは軽く肩をすくめた。
「オイラ達に接触したのは情報収集のためだったのか。」
「いや、あの日は本当に偶然だったよ。
あのときの僕もまさかと思ったけどすごい偶然だったね。」
「はぐらかせやがって!!」
「それって遺跡はどこにあるの。
あ、その前に、私は旅人、こちらは非常食のパイモン」
「非常食と言うな。」
「ハハ、ほら、二人ども。
言った通り、面白い人だよ。」
「うん……」
「あ、あはは……」
▲■▲■
「遺跡はどこにあるんだ?」旅人が尋ねると、リネは軽く笑って答えた。
「あと数キロで着くよ。」
ポアソン町付近
リネ、リネット、フレミネと共に旅人とパイモンは遺跡に向かって歩いていた。
突然、地面が揺れた。
「地震!?」
旅人たちは驚き、揺れに耐えながら身をかがめた。
しばらくして揺れが収まり、彼らは立ち上がる。
「リネ。下から大きな声が聞こえる。」
「まさか。」
パイモンは気付く。
「ポアソン町が危ない。」
「急いで見に行こう」
旅人たちは走っていく。
▲■▲■
ポアソン町内部
町では混乱が広がっていた。
洪水の声が響き渡り、住民たちは恐怖で逃げ惑っていた。
ナヴィアが黒服の護衛たちと共に、住民を避難させていた。
「ナヴィア!」
パイモンの叫び声にナヴィアは振り返り、驚いた表情を見せた。
「相棒、それにパイモン!何でここに?」
「地震を感じてここに来たんだ。今、どういう状況なんだ?」
ナヴィアは深刻な表情で答えた。
「町に巨大な穴ができて、そこから水が溢れ出してる。今は住民の避難を急いでるんだ。
あんたたちは取り残された人々を助けてくれる?」
「わかった。」
「僕たちも何か手伝えるだろうか。」
「あなたたちはフォンテーヌ人なのか。」
「そうよ。」
「なら、やめた方がいいかしら。
この水はフォンテーヌ人を溶かす成分が含まれているから。
あんたたちは私たちと一緒に避難誘導を。」
「わかった。」
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水没しそうな家
旅人は空を飛び、意識を失った少女を救い出した。
「この子が最後かな?」
パイモンが言ったその瞬間、遠くから不気味な鳴き声が響いた。
巨大なクジラが水中から現れ、角を突き出しながら突進してきた。
「うわあああ!」
パイモンが叫び、旅人も身構えたが、巨大なクジラが目前に迫ったその時、
突如として水の槍がクジラに突き刺さった。クジラは苦しみながら逃げ去り、水は急速に引いていった。
「フリーナ?」
パイモンが呆然とした声で言い、旅人は槍の降ってきた方向を見つめた。
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