【完結】とある水神の半身の神話創造 作:ネシエル
朝の光がポアソン町を照らす中、上空に神々しい姿が浮かんでいた。
その女神――フリーナは、ゆっくりと地上に降り立った。
彼女の足元には、旅人が意識を失った少女を抱えて近づいてきた。
「フリーナ。なんでお前がここにいるんだ?」
パイモンが不安げに問いかける。
「俺はフォンテーヌの神だ。民を守るのは当然だろう」
フリーナは毅然とした声で答えた。
「そうじゃなくて、どうしてここにいるのかって聞いてるんだ!」
パイモンが少し苛立った声で返す。
「危機を察知して急行したんだ。ポアソン町で異常な地殻変動と
異質な水元素の力を感じたからだ。」
フリーナは冷静に語る。
「ここは危険だ。まずは上で話そう。」
▲◆▲◆
フリーナの目は町全体を見渡す。
そこには、水に流されて壊れた家々と、避難する住民たちの姿があった。
その光景に、彼女は旅人とパイモンと同じく胸を痛めているように見えた。
町を抜けて地上へと避難した後、朝日が差し込む空の下で、
ポアソン町の住民たちが傷つきながらも命をつなぎ止めていた。
フリーナは彼らに向けて蒼いオーラを放つと、まるで奇跡のようにその場で傷が癒えていく。
血は止まり、折れた骨も元通りになっていった。
「そんな簡単に治療しちゃうなんて!」
パイモンが驚く。
「バーバラでもこんなに早くは無理だろうに…」
旅人も同調する。
「水は生命に最も近い元素だからね。
その頂点に立つ俺には、死者蘇生以外のすべての病や怪我を癒す力がある」
フリーナは微笑みながら説明する。
疑念を抱く旅人とパイモンに、フリーナは少し近づいた。
「フォンテーヌの各病院には、俺の力を帯びた聖遺物が保管されている。
それで多少の難病なら治せるんだ。」
「お前、そんなにすごいやつだったのか…」
パイモンは感心しながらつぶやいた。
「だか、力には限りがあるから、
緊急治療にしか使えないという法律が制定されている」
フリーナは付け加える。
その時、ナヴィアが近づいてきた。
「フリーナ様、ありがとうございます。おかげでポアソン町は救われました。」
フリーナは静かに答えた。
「それが義務だからな。犠牲者はどれくらいだ?」
ナヴィアはためらいながらも、「五人です」と答える。
フリーナは無言のまま頷いた。
「フリーナ様のせいではありません…これは」
ナヴィアはすぐに言い添えた。
「無理に言うな。君は休め。カーレスがもうすぐ到着するだろう。彼も君の働きを誇りに思うさ」
フリーナは彼女に穏やかに語りかける。
ナヴィアはその言葉に感謝し、後から来たマルシラックとシルヴァと共に避難テントに向かった。
フリーナは彼女の背中をじっと見つめていた。
旅人は静かにフリーナに声をかけた。
「フリーナ。」
「何か言いたそうだな、旅人。」
フリーナは背を向けたまま、冷静に言った。
「これが…予言なのか?」
旅人が思い切って尋ねる。
「さあ、わからん」
フリーナは肩をすくめた。
「わからんって、お前水神だろう?水の神様ならあの異常な水のことくらい分かるんじゃないのか?」
パイモンが食い下がる。
「俺は水の神だが、全知ではない。
もしそうだったら、ブエルに頼らないだろう。
本来はエゲリアが対処すべき問題だったんだが、
だか、彼女は何も教えず、カーンレイアの厄災で命を落としてしまった」
フリーナは少し憂いを含んだ声で言った。
「エゲリア?」
パイモンが尋ねる。
「初代水神だ。今のキミたちには関係ないことだ」
フリーナは話を打ち切った。
「こんなことがいつも起こっているのか?」
旅人がさらに尋ねる。
「ああ、もうフォンテーヌ各地で同様の異常が発生している。
今、俺が地脈を補強しているが、恐らくあと数年は持つだろう」
フリーナは告げる。
「崩壊と関係があるのか?」
「何か言いたいことが有るみたいだな。」
「崩壊とフォンテーヌの予言はとても関連性が見れない。
崩壊獣が本当にフォンテーヌに危害をもたらすのなら
あなただって。」
フリーナは冷たく笑った。
「崩壊の力を使うことができるだった?」
その言葉に旅人は驚きを隠せなかった。
「アルレッキーノから聞いたのか?」
フリーナは旅人を見つめた。
「どうしてそれを…?」旅人は動揺する。
「考えればわかることだ。彼女が俺を襲撃したからだ。
ファデュイも崩壊の力に興味があるのも俺は知っている。
俺も崩壊の力を扱えるが、予言への対応やフォンテーヌの統治、そして地脈の補強で忙しい。
それで、キミを雇ったんだ」
フリーナは語る。
「私は降臨者だからか?」
旅人が確認するように言った。
「そうだ。最初から言っていたことだろう。俺はもう行く」
フリーナは言い残し、歩き出した。
「フリーナ。最後に一つだけ聞かせてくれ」
旅人は彼女の背中に向けて問いかける。
「なんだ?」とフリーナは立ち止まる。
「あなたは何者なの
?」旅人の問いに、フリーナはしばしの沈黙を保った。
そして静かに振り返り、答えた。
「俺は俺だ。フォンテーヌを守る者。
もし疑いがあるなら、遺跡に行け。そこで全てを知るだろう。」
そう言い残すと、フリーナは静かにその場を立ち去った。
次回投稿9/30日