【完結】とある水神の半身の神話創造   作:ネシエル

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新 第三十話 遺跡

夕暮れの陽が山の麓に沈みかけ、空は橙色に染まっていた。

旅人とパイモンはリネたちと共に、眼前に広がる古びた遺跡をじっと見つめていた。

 

「ここが遺跡か。なんだか荒れ果ててるな」

 

パイモンが呟く。

 

リネがその言葉に応じた。

「いや、ここはかつて立派な神殿があった場所だ。

遥か昔、レムリア帝国が神々を崇めるために建てたものなんだ。

だが、長い年月が経つうちに地盤沈下でこのように沈んでしまったんだよ。」

 

「早く行こう」

 

旅人が促すと、一行は遺跡の中へと足を踏み入れた。

 

 

▲◆▲◆

 

遺跡の中

遺跡の入り口を抜け、広々とした内部に進むと、

そこはまるで王宮のような壮麗さだった。

 

パイモンは驚きの声を上げる。

 

「思っていたよりも広いな」

 

遺跡の中は光が差し込み、

フォンテーヌの湿った空気の中でも劣化しない構造が施されていた。

 

「大昔のものにしては綺麗だな」

 

旅人が感想を述べる。

 

リネットは廊下に置かれた花瓶を指差す。

 

「リネ、これ見て。綺麗だよ」

 

声をかけた。

 

リネは少し離れた場所から彼女の行動を見ていたが、注意の声を上げる。

 

「リネット、それは文化遺産だ。勝手に触るな。」

 

「違うよ、リネ。見て、この花瓶、埃が全くついてないんだよ」

 

リネットが返すと、リネも驚きの表情を見せた。

 

「確かに、放棄されたはずの遺跡なのに、なんでこんなに綺麗なんだ?」

 

リネは首をかしげた。

 

疑問を抱くリネに、旅人たちが近づいた。

 

パイモンが不安げに口を開く。

 

「ねえ、リネ。この遺跡、何かおかしくないか?

綺麗すぎるし、まるで誰かが手入れしてるみたいだよ。

どうやってこの場所を見つけたんだ?」

 

「お父様たちがフォンテーヌの歴史を調べていたときに、偶然見つけたんだ。

だけど、内部に入った者は誰一人戻ってこなかったらしい。

だから、お父様が自ら調査に行く予定だったんだけど、怪我をしてしまって…」

 

「ふん、怪我なんて自業自得じゃん」

 

パイモンがぼやいた。

 

「そもそもレムリア帝国って何なんだ?」

 

旅人が尋ねる。

 

「レムリア帝国は、古代フォンテーヌを支配していた巨大な帝国のことだ。

伝説によれば、神王レムスは海の魔王を従え、

黄金の船に乗ってフォンテーヌを支配していたと言われている。

彼は膨大な知識をもたらし、帝国を築いたんだ」

 

「海の魔王?」

 

旅人が聞き返す。

 

「かつてフォンテーヌを支配し、最も恐れられた存在だった海の魔神だ。

彼女は純水精霊たちから最も恐れられ、残忍で邪悪な存在だったとされている」

 

「されている?」

 

旅人の疑問に、リネは頷いた。

 

「彼女についての記録はほとんど残っていないんだ。

伝説によれば、彼女は水の神エゲリアに反乱を起こし、

多くの純水精霊を殺したとされている。

そして最終的には封印されたが、神王レムスによって解放され、

レムリア帝国に仕えることになったんだ」

 

「それじゃあ、めちゃくちゃ悪いやつなのか」

 

パイモンが言ったが、リネは首を振る。

 

「いや、この文献はあまり信頼できないものなんだ。

実際、海の魔王に関する文献はレムリア帝国の滅亡後に作られたものばかりで、

400年前に突然現れた記述もある。

でも、その詳細さから、もしかしたら本物かもしれないと騒がれているんだよ」

 

▲◆▲◆

 

遺跡の奥へ

王宮のような回廊を進みながら、パイモンがぼやいた。

 

「何にもないな。こういう場所なら、

ヒルチャールとかが住み着きそうなものだけど」

 

リネが同意する。

 

「確かに、保存状態が良すぎる。

まるで、誰かが定期的に手を入れているみたいだ」

 

「フォンテーヌの歴史学者たちが何かやったのか?」

 

旅人が問うが、フレミネが静かに首を振る。

 

「それはない。この場所は辺境の地で、

ぼくたちが見つけるまで誰も来ていないんだ」

 

「じゃあ、誰が…?」

パイモンが首をかしげる。

 

「先に進もう」

旅人が促す。

 

▲◆▲◆

 

巨大な空間

ある扉を開けると、目の前には巨大なドーム状の空間が広がっていた。

その広大さに目を奪われた瞬間、背後の扉が閉まり、

旅人たちは閉じ込められてしまった。

 

「扉が閉まっちゃったぞ!」

 

パイモンが焦りながら扉を叩くが、びくともしない。

 

「ダメだ、動かないよ!」

 

「どいて」

旅人が声をかけると、パイモンは慌てて扉から離れた。

 

旅人は雷の力を纏い、一気に加速して扉に鉄の剣を振り下ろした。

しかし、扉には傷一つつかず、旅人は驚愕した。

 

「無傷だと…?」

 

リネも困惑しつつ口を開いた。

 

「いや、まだ他に出口があるはずだ。ん?何だ?」

 

地鳴りが地面から伝わり連中は戸惑う

 

「リネ、上を見て!」

 

リネットが叫ぶ。

 

ドームの天井に穴が開き、鋼鉄の塊が降りてきた。

 

その塊は地面に衝突すると、宙に浮かび、次第に組み立てられていく。

鉄が骨格を形成し、やがて巨大な竜の姿が現れた。

 

「機械竜…」

旅人は息を呑み、かつての敵に声を上げる

 

鋼鉄の竜も目を紅く輝き、暴風を纏って

かつての宿敵に咆哮を上げた。

 

「GOOOOOOOO!」




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