【完結】とある水神の半身の神話創造   作:ネシエル

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新 第三十一話 機械の竜

最初に動いたのは旅人だった。

 

雷を纏い、風の翼を広げ、音速で決闘場を駆け抜ける。

鉄の剣を振り下ろし、竜の片目を潰そうと狙う。

 

しかし、機械竜は鋼鉄の翼を盾のように前に出して防御した。

 

「前はこんなこと、できなかったのに……」

 

旅人は独り言を呟く。

 

そして、水の元素を纏い、

竜の巨体を水でずぶ濡れにした。

 

「GUUUUUU!」

 

機械竜が唸る。

 

「えっ!?」

 

旅人が驚いた瞬間、鉄の羽が急に外に広がり、

旅人は上空に打ち上げられた。

 

「GOOOOO!」機械竜が叫び、さらに気流を纏ったブレスを放つ。

旅人もそれに応じて風のブレスを繰り出すが、勢いが足りない。

竜のブレスが旅人を天井へと押し上げていく。

 

「くっ……」旅人は歯を食いしばるが、

どうにも押し返せない。

 

『前と全然違う……』

 

「今だ!」

 

旅人の声が響く。

 

その声に応じて、フレミネが両手剣を構え、

地面に広がった水溜りへと力強く剣を振り下ろした。

 

「はあああ!」

 

一瞬で剣は水を切り裂き、その場を凍らせる。

 

冷たい波動が機械竜の体にも伝わり、竜の巨体を凍りつかせた。

 

「GUOOUUUUUU!」

 

機械竜の目が紅く光る。

凍りついた体表の氷を一瞬で砕き、再び戦闘態勢を整える。

 

「GOOOOOOOOOOOOOOOO!」

 

深く息を吸い込み、再びブレス攻撃を繰り出した。

ブレスは最初に旅人へ、次いでフレミネへと向かう。

フレミネは堪えたが、竜の力は圧倒的だった。

 

最後に機械竜は空高く飛び上がり、回転しながら地面に雫のような光を放った。

その瞬間、閃光が走る。

 

 

▲■▲

 

 

ひび割れたドームが戦いの激しさを物語る。

旅人たちは、天井から崩れ落ちてきた巨大な欠片に身を潜めた。

 

「ゴホホ、みんな大丈夫か?」

 

リネが息を整えながら問いかける。

 

「大丈夫」

 

フレミネが応じる。

 

「リネットが助けてくれたから」

 

「リネット、大丈夫か?」

 

リネは妹を気遣う。

 

「うん、大丈夫」

 

リネットも頷いた。

 

「ねえ、見て。ドームがあんなに簡単に壊れたよ」

フレミネが周囲を見渡す。

 

リネも辺りを見回し、

ひび割れた床と壁をじっと見詰めていた。

 

「なあ、あれを利用すれば扉を開けられるんじゃない?」

 

パイモンが提案する。

 

「でも、そう簡単には行かないよ」

 

リネが苦笑する。

 

その時、機械竜が再び近づいてくる。

口元に力を溜め、再びブレス攻撃の準備を始めた。

 

「私が引き付けるよ」

 

旅人は決意した声で言う。

 

「ブレスで壁を壊したら、その隙にみんなは先に逃げて」

 

「でも、旅人はどうするの? 一人残るつもり?」

 

パイモンが不安げに問いかける。

 

「大丈夫、多分こいつは私を殺せない」

 

「え?」パイモンは驚いた。

 

「ずっと、おかしかったのよ。こいつは私を簡単に殺せるのに、

何度も見逃した。今回でそれが確信に変わったんだ。

サンドバッグみたいにやられるつもりはない」

 

「……わかった」

 

パイモンは旅人の言葉を信じた。

 

機械竜がブレス攻撃を放つと、旅人たちは素早く破片の陰から去る。

 

竜の攻撃は旅人だけを狙い、放たれたブレスは扉にも直撃し、それを粉々に壊した。

 

「今だ!」リネたちはすかさず逃げ出し、

旅人だけがその場に残った。

 

「随分と簡単に見逃すのね」

旅人と機械竜は睨み合う。

 

「思えば、ずっとおかしかった。

あなた、強いでしょう。手加減しているのか?」

 

機械竜は沈黙を保ったままだ。

 

「意思を持っているでしょう。

暴れるフリをして、何をしたいのか? 

まあ、スクラップにしてから聞くわ」

 

旅人の剣が再び光を放ち、戦いの幕が再び上がる。




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