【完結】とある水神の半身の神話創造 作:ネシエル
フォカロルスの意識空間は、どこか劇場を思わせる幻想的な空間だった。
空は淡い水色に染まり、宙には椅子が漂っている。
見渡す限り、不思議な光景が広がっていた。
ヌヴィレットはその場に立ち尽くし、周囲をじっくりと観察していたが、
やがて、目の前に一人の少女がいることに気づいた。
彼女は凛とした姿勢で立ち、幻想的な衣服を身にまとっていた。
水神、フォカロルスである。
「フリーナ……いや、違う」
ヌヴィレットは口を開く。
「誰だ。君は?」
「僕、僕の名はフォカロルス」
少女は答えた。その瞳には迷いがない。
「最高審判官ヌヴィレット。時間がない。
キミにしかできない。今すぐ僕を殺してほしい」
その言葉は不意にしても重たく、ヌヴィレットの胸に刺さった。
▲▲
黄金の間では、旅人とポセイドンが激闘を繰り広げていた。
旅人は稲妻の力を借り、
高速で移動しながら氷の剣を生成し、
その剣に炎をまとわせてポセイドンに向かっていく。
ポセイドンもまた、水の剣、
すなわちパルチザンを手に応戦する。
剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。
旅人は巧みに剣の隙間を狙い、
素早く飛び上がって斬りかかるが、
ポセイドンは神速の速度で槍を繰り出し、
連続突きを繰り返す。
旅人の氷の剣は砕け散るが、
旅人はすぐさま氷元素を使って吹雪を巻き起こした。
雪煙が舞う中、旅人は風の力で視界を確保しようとする。
しかし、そこにポセイドンの姿はなかった。
「いない…」
旅人が呟くやいなや、その瞬間、背後から何かが迫っている気配がした。
反射的に振り返ろうとしたその時、
ポセイドンの強烈な蹴りが腹に炸裂する。
「ぐはっ…!」
旅人は激しく吹き飛ばされ、
天井に叩きつけられた。
天井全体にひびが入り、
彼女は力なく床へと自由落下していく。
ポセイドンは地面にひれ伏す旅人を冷たく見下ろしていた。
「小細工で神に通用すると思ったのか」
ポセイドンが嘲笑するように言い放つ。
旅人は荒い息をつきながら、それでも立ち上がろうとする。
ポセイドンはさらに言葉を重ねた。
「もっと、声を聴くのだ。頭ではなく心で、衝動を受け入れろ。
例えそれが平行世界の力であったとしても、
星の海を旅してきたキミにとって摩訶不思議な存在ではない」
旅人は床に手をつき、再び立ち上がった。
「今頃、フォカロルスはヌヴィレットに自分を殺すように頼むだろう。
神の心がない今、エネルギー生産する機関は俺が作った機械のみ。
いくら、俺の不正を暴かれてもエネルギー利用権は俺にある以上、
意味がない行為だ。」
「ヌヴィレットなら、例え機械がなくても自力でエネルギーを扱えるはずだ」
強く言い放つ。
ポセイドンは冷ややかに笑う。
「ああ、だが、それはヌヴィレットの意思だ。
彼にはそのような決断をすることができない。
伊達に400年もの間、共に過ごしているからな」
「そうか…」
旅人が静かに答えたその背に、純白の翼が生え、光が包み込む。
白い翼はしなやかに鞭のように振るわれ、ポセイドンに向かって飛びかかる。
ポセイドンは反応しきれず、攻撃をもろに受けて大きく吹き飛ばされた。
立ち上がった旅人は、虹色に輝く新たな翼と、頭に輝く王冠を身につけていた。
まるで銀河のように広がる巨大な角を持つその姿は、
もはや人間のものではない。
黒く染まった瞳には赤い眼光が鋭く輝いている。
「そうか、やっとわかってきたな」
ポセイドンは呟いた。その言葉が終わると同時に、
どこか機械的なノイズのかかった声が空間に響く。
煙が晴れ、そこに立っていたのは、
純白のパワードスーツを身にまとったポセイドンだった。
顔を隠し、素肌を一切見せない鉄壁の鎧が、
神の力と技術の融合を象徴しているかのようだ。
「さて、まずは教育からだ」
ポセイドンは冷たく告げ、再び戦いの幕が切って落とされた。
次回投稿11/7
もうすぐ完結します。
予想は2~3話くらいです。