【完結】とある水神の半身の神話創造 作:ネシエル
海中に光が差し込む。
その神秘的な光の中で、旅人とポセイドンは水の抵抗を無視し、
圧倒的な速度で動き回っていた。
互いに激突するたびに衝撃が周囲へ伝わり、
周囲の地盤が震え、岩が粉々に砕け散る。
「クラッシュ。」
ポセイドンの声が響くと、
まるで海中そのものにひびが入ったように水の中で圧が生まれた。
瞬間、旅人は六枚の翼で自らの身を包み、衝撃を受け止めるが、
そのまま海中山脈に激突。山脈は崩れ、
巨大な雪崩が発生した。
「はあああ……」
ポセイドンは両手にエネルギーを球体状に収束させる。
その恐るべき光景に旅人は直感的に回避行動を取った。
すると次の瞬間、山脈が爆風で跡形もなく消し飛び、
岩の破片が海中を舞い飛んだ。旅人は素早く白いオーラで自らを包み、
飛び散る破片がオーラに触れた途端に消滅していく。
「もらった!」
その瞬間、ポセイドンが旅人の下に現れ、強烈な蹴りを放った。
旅人はそのまま海上へ弾き出され、勢いで空中へと浮かび上がる。
またしても、ポセイドンは上空に出現。
「二度目はないわ。」
今度は旅人がポセイドンの先手を取り、
上方から振り下ろされる拳を光の剣で受け止めた。
「少しは学んだようだな。」
「はぁ!」
両者は互いに距離を取って一瞬だけ睨み合う。ポセイドンは自らの手を覆う鎧を見つめ、不思議そうに呟いた。
『俺の装備に傷が……』
旅人が微笑を浮かべ、静かに応じる。
「随分と本気を出すのね。」
ポセイドンが目を細め、口元に冷笑を浮かべた。
「その言い方はまるで、俺が本気を出すのがまずいとでも?」
「そこにはまだ多くのヴィシャップがいる。
あなたの眷属でしょう。それなのに……」
ポセイドンは冷ややかに言い放った。
「ヴィシャップがそう簡単に死ぬと思っているのか?
それこそ侮辱だ。あそこにいるのは、俺が直々に鍛えた奴らだ。
この程度の戦いで命を落とすような連中じゃない。
俺も一度は警告したが、残ったのは彼らの意志だ。
それよりも自分の心配をするんだな。」
「何ですって?」
「この海域全体、さらには上空にも結界を張っている。
ここから逃げることは不可能だ。」
「私はまだ負けていないわ。あなたは、もう勝ったつもりなの?」
旅人の問いかけに、ポセイドンは静かに首を振る。
「勘違いしているようだな。いつ俺が本気を出したと錯覚した?」
その言葉と共に、ポセイドンの周囲に水が集まり始める。
旅人は息を呑んだ。
ポセイドンの純白のアーマーが溶けるように変化し、
水色に染まっていく。冷たい笑みを浮かべながらポセイドンが囁く。
「俺の律者の力は不安定だ……」
水がさらに凝縮され、ポセイドンの体を包み込む。
そして、その水が解けて姿を現したのは、
まるで別人のような女性だった。
水色に近い銀色の身長に匹敵する長い髪、豊かな胸、高い背丈。
力強さと黄金比を兼ね備えた美しさを誇る。
「転生して強靭な肉体を得てもなお、飽きない力。
故に常に自身の権能でストッパーをかけた。」
その姿は、フリーナの幼さを遥かに凌ぐ成熟した魅力に満ちていた。
旅人も思わず見惚れてしまい、言葉を失った。
彼女は、水色のメカニカルな鎧ドレスを身に纏う美しき女神だった。
「ポセイドンの名を今は捨てよう。
キミには必要ない。
他人から与えた名も、天からくれた称号も君に名乗るのは失礼だろう。
称えるがいい、我が名はアンシック
アンシック・フォンテーヌである。」
破壊の神、アンシック・フォンテーヌ。
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