星空の魔法少女   作:ヒィーィジヤロラルリーロロロー

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ふふ…湧いてきたかも…執筆意欲。
とりあえず切りキリが良いところまで書いちゃう。

…でも、戦闘パートはよくわかんないからサッパリになっちゃった


ビヨンドザ・スカイ

 

 

「ここが夢界の中…?」

 

 

渦に飛び込んだ先に広がっていたのは、摩訶不思議な異世界────ではなく、先ほど見たのと同じ普通の路地だった。

 

 

「あー…なんか分かるよ、その感覚。アタシも初めて入った時は少しがっかりしたもん。意外と普通なんだなーって。」

 

 

…よく考えれば夢界は現実をコピーしているのだから当然なのだが、それでも少し期待していたものとは違って拍子抜けしてしまった。

 

 

「よくよく見ると文字がおかしかったり建物がちょっと歪んでたりするけど、ぱっと見は現実と同じだからねー」

 

 

そう言いながらも歩き始めたマイアを追うように歩き始める。

 

確かに、よく見ると標識や看板の文字は滅茶苦茶で、室外機から壁に沿って伸びる配管がおかしな方向に伸びていたり、窓の位置が異様に高かったりと随所に違和感が溢れている。

 

それに何よりも、風も無く淀んだような空気と見られているような不愉快な気配はここが現実では無いと強く主張しているようだ。

 

 

「でもでも、ここは夢界。人の願いと思いの集合体。そろそろ決定的な()()が見えてくるよ」

 

 

薄暗い路地もそろそろ終わりが見えて来る。ここを抜けた先は、確か広めの交差点の近くだっただろうか────

 

 

 

「なんだ…これ…」

 

()()が夢界と現実の決定的な違いだよ。」

 

 

────路地を抜けた先そのは()()だった。

 

 

「なんだこれは…嵐…?」

 

 

路地から一歩出た通りに広がって居たのは、立ち込めた暗雲に狂い吹き荒れる風。叩きつけるような雨粒と荒天を照らす稲光が降り注ぐ嵐の領域であった。

 

 

「たぶんだけど、()()だね。」

 

「夢界は人の夢や願いからできる物って聞いたでしょ?だからこれも人の願い。夏も近いしきっと“台風で明日休みにならないかなー“みたいなちょっとした願いが核になったんじゃないかな?」

 

「そんな小学生みたいな夢でもいいんだ…」

 

 

何とも気の抜ける話では有ったが、それでも脅威には違いない。

 

このまま放置して街中にこの強さの台風が突然現れた時の被害など俺では想像すらできないだろう。

 

 

「このまま放っておくなんてできないし、それじゃあ()()しようか!」

 

 

今日の所はスバルちゃんは見ててねー。なんて言いながらマイアが一歩前へと進み、強風の最中に踊り出る。

 

 

「かっこいいところ、見せちゃうからね!」

 

 

 

 

そう言ったマイアを中心に目に見えないエネルギー…()()が逆巻き渦を成していく。

 

瞳は意思を示すように赤く。

 

たなびく御髪は頂点を燃えるような赤へと染め、毛先に行くにつれて突き抜けるような空の青へと変化していく。

 

 

「燃えるようなこの想い。届け空の彼方まで!」

 

 

瞬間、マイアの体から太陽の如き光が溢れだし直視できず、堪らず目を閉じた。

 

 

「アタシの名前は【ビヨンドザ・スカイ】!届けてみせるこの願い!」

 

 

光が納まったその先に居たのは、髪をリボンで一つに束ね、赤が基調ショートドレスに空色を散りばめ手足にはアニメのヒロインを思わせるブーツとロンググローブ、腰には大きなリボンをあしらった衣を身に纏う、晴天の空を思わせる美しくも凛々しい姿だった。

 

 

 

「来て!【ホライズン】!」

 

 

マイア…いや、スカイの呼びかけに応じて彼女の手元に現れたのは、光の加減で薄く空色にも見える刀身を赤い宝玉を中心に優美な装飾を拵えた柄に収めた直剣だった。

 

 

この夢界を脅かす存在を感じ取ったのか嵐の中心から敵意を持った気配が近づいてくる。

 

おそらくヌシだろうその気配は雷雲を裂き、天より風を纏い道のど真ん中へと降ってきた。

 

着地と同時に凄まじい破砕音と砕け巻き上げられたアスファルトがこちらの視界を塞ぐ。

 

闖入者は誰なのかと油断なく構えていると、空を裂く稲妻と全てを吹き飛ばすような暴風が煙を散らし、仕立て人の姿を露わにする。

 

それは、5Mは有りそうな体躯と白い体表に発達した屈強な肉体を緑の衣に包み、手には袋、背には太鼓を浮かべ、鬼が如き牙と角を持ち金の髪を逆立たせるその姿はさながら()()()()を一つにした様な化け物だった。

 

 

「まさしく台風のヌシって感じ…。結構強そうだねー」

 

 

そう言いながら直剣を構えたスカイと、相対するヌシは互いの間合いを測るようにゆっくりと距離を縮めていく。

 

 

 

「アタシ、雨にはあんまり良い思い出が無いんだよねぇ…」

 

 

「だからさ…」そう言い居ながら立ち止まったスカイが半身を引いたかと思えば、その体勢から一歩前に踏み出す勢いでバネのようにヌシに向かって突進していく。

 

 

「この空、アタシが()()()()あげる!」

 

 

初めに仕掛けたのはスカイだった。

 

吹き荒れる暴風を振り払い、放たれた矢の如き勢いに乗せ、一刀の元にヌシを切り捨てんと迫る。

 

対するヌシもそれを黙って見ているばかりではない。背後に携えた太鼓を打ち鳴らし、生み出された稲妻は次々とスカイへ殺到していく。

 

 

 

「台風だもの、そう来なくっちゃ!」

 

 

向かって来る稲妻の雨を手に持った直剣ホライズンを操り、切り払い、受け流し、時に受け止めながらもグングンと距離を詰めていく。

 

 

「すごい…コレが魔法使い…」

 

 

初めて見る他の魔法使いの戦いに俺は圧倒された。

 

動きに合わせて揺れる御髪にはためく衣装。

 

振るう剣は舞のような優美さに、冴える剣閃は秘めたる意思を示すが如く一切の迷いを感じさせない。

 

 

「ふふーん。この距離まで来れば…コレで決める!…うわぁっ!?」

 

 

一撃で決めようと振りかぶったその瞬間、ヌシの持つ袋から強烈な風が吹き出しスカイの身を後ろへと押し飛ばす。

 

放たれた風はその場で渦を巻き、その身を守るようにヌシの姿を覆い隠していく。

 

そうして数舜の後、渦が晴れたその奥から出てきたヌシは────

 

 

「へぇ…ここからが本番ってこと?」

 

 

その手に人の倍は有りそうな長さの()()を携えていた。

 

 

 

いや、風神雷神は鬼っぽい見た目だけど金棒は持ってないんだが…まぁ、あくまで人の願いや想いが元ならイメージに左右されることも有るという事だろうか?

 

それでも、雷と風に加えて、それを超えた先に待っているのは巨体から放たれる金棒と油断することはできない相手である。

 

 

唸り声をあげてヌシがスカイへと迫る。

 

背後から矢継ぎ早に放たれる稲妻と暴風、一振りでコンクリートの地面を砕く威力を持った金棒を振り回しスカイを攻め立てるその姿は正しく台風の化身。

 

 

「ぐぅぅ…やるね…っ!…それならこれはどう!?」

 

 

スカイの背に魔力が集中したかと思えば、そのままそれを勢いよく開放し反動でスカイの体が砲弾のように勢いよく飛び出した。

 

腰のリボンを羽のようにはためかせ、襲い来る稲妻も暴風もなんのその。全てを躱し、時に弾きながらもヌシの懐に潜り込む。

 

 

「グォォォ!?」

 

 

まさか直進してくるとは思ってもいなかったのか、ヌシは破れかぶれでスカイに向かって金棒を振り下ろす。

 

しかし、そんな準備も無く放たれた一撃にスカイが遅れを取るはずもなく、ホライズンで受け止め鍔迫り合いに状態に持ち込んだ。

 

 

「もう一度、()()()()()あげる!」

 

 

3倍はあろう体格差を覆し、鍔迫り合いはスカイが制したようだ。

 

グングンとヌシの金棒を押し返し、その勢いのまま金棒を両断する。

 

 

「とりゃぁぁぁぁ!」

 

 

少し間の抜けた掛け声と共に、スカイがは獲物を失い呆然とする隙だらけなヌシを下段からの切り上げで遥か上空までカチ上げた。

 

打ち上げられたヌシは凄まじい勢いで高度を上げていき、暴風と雷鳴立ち込める雲にぽっかりと大穴を開け、雲のその上まで飛び出した。

 

 

「それじゃあ、決めちゃうよ~!」

 

 

そしてその後を追うようにスカイも強く踏み込み、雲を突き抜け舞い上がる。

 

 

 

「グォォ!?グォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 

自分の体を雲の上まで打ち上げるだけに留まらず、自身も飛び上がり追ってきたスカイの存在に、半狂乱となって稲妻や暴風を撃ち続けるヌシ。

 

 

「甘い甘ーい!そんな雑な攻撃でぇ!」

 

 

しかし、そんな攻撃が通用する筈も無く、全て躱し、往なしながらとうとうスカイは打ち上げたヌシと同じ高度まで達する。

 

 

「始めに言ったけど、アタシ雨は嫌いなんだよね。」

 

 

「だからね」そう言ってホライズンにありったけの魔力を込めて構える。

 

 

「キミ諸共、この空も()()()()あげる!!」

 

 

限界まで込められた魔力を直健ホライズンに乗せ、振り切る瞬間解き放つ────!

 

 

 

 

 

 

「果てまで届けぇぇぇ!!!【コントレイルゥゥゥゥゥ・スラァァァァァァァァッシュ!!!】」

 

 

裂帛の気合を込めた叫びと共に放たれた横薙ぎの一閃は稲妻を切り裂き、暴風を散らし、立ち込めた災害もたらす暗雲すらも霧散させ、横一文字。上下二つにヌシの体を断ち切った。

 

 

二つに分かたれたヌシの体は爆散し、後に残るは彼方まで続く青い空に一筋残る白い剣閃。

 

それは、まさしく空を横切り彼方へ伸びる()()()()だった。

 

 

 

「スバルちゃーん!かっこよかったでしょー!?ぶい~!!」

 

 

空に散った雨粒がキラキラと太陽光を反射し、一点の曇りなきその姿と満面の笑顔を照らす。

 

その姿に俺は、果てのない青空を幻視し、同時に先輩としての偉大さを垣間見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…と、言うのが今回の報告です。」

 

「ちゃんとマイアの凄さが伝わったようで何よりよ。」

 

 

あの後、夢界の消滅を確認した俺とマイアは周囲に他の夢界が無いかと軽く散策した後、【喫茶アルデバラン】まで戻って来ていた。

 

 

…まぁ、肝心のマイアが「今日はもうへとへとだし、アタシは先上がっちゃうね~。テレーズへの報告はお願いぃ…。」なんて言ったかと思えば、「それじゃあ、スバルちゃん!また今度ね~!」などと言い残し、止める間もなく帰ってしまったのだが…。

 

そんなこんなで、今俺は今回の夢界の顛末をテレーズへと報告しているという訳だ。

 

 

「それで、どうだったかしら。魔法使いの仕事を実際に体験してみて。」

 

「今回は見ているだけだったけど、改めて入った夢界の空気、ヌシの恐ろしさは身をもって実感しました…。」

 

 

実際、夢界に入って異様な空気に触れた時、ヌシの放つ威圧感に当てられた時、俺は立ち竦んでしまった。

 

力を得たとはいえ、俺が本当にこんな怪物と戦うなんてできるのだろうか?人を守るだなんて重責、俺に耐えられるだろうか?そう思いもした。

 

それでも、全身全霊で戦うマイアの姿を見て、俺は思ったのだ────

 

 

 

「それでも、俺は戦います。この力を持った俺には人々を守る責務が有るのだと思うから…!」

 

「いい目になったわね。怖気づいてしまうんじゃないかと心配していたのよ?」

 

 

「もっとも…」そう言って手(前脚?)でカップを持ち上げ、中の紅茶を口に含み少し香りを楽しんだ後、腕を下ろしテレーズは口を開く。

 

 

「初めて会った時の表情を見ていたもの。あまり心配はしていなかったのだけど。」

 

 

どうやら、俺の決意はテレーズからすれば、すでにお見通しだったようだ。

 

 

「そういえばなんですけど…()()何時戻るんですかね…?」

 

「あら…?てっきり()()姿()がよっぽどお気に召したのかと思っていたわ。」

 

 

そう言った俺の姿は、いまだマイアの選んだフリフリな服に身を包んだ女の子のままであった。

 

 

「このままじゃあ家に帰れないんだよ!」

 

「あらあら…」

 

 

 

その後、マイアのアドバイスを基にもう一度変身解除を試みたら、幸いにも元どおり男の姿に戻ることができた。

 

テレーズは「二段階で姿が変わっていたのかしら…」などと言っていたが、魔法使い歴の浅い俺には細かいことはさっぱりなので、とりあえず戻れて良かったと心底安心したのである。

 

ついでに魔力の放出を抑える方法も教えて貰い、今では髪と瞳も元通りである。

 

魔法使い以外には見えなくても、あの色のままでは俺が落ち着かない。

 

ちなみにだが、マイアも普段はこれをしているらしく、止めたら変身後のような赤の瞳に赤から空色へと変化するグラデーションカラーの髪色になるらしい。

 

 

 

とりあえず、そんなこんなで俺の魔法使い生活2日目は幕を閉じたのである。

 

頼れる先輩もできて、これから俺なりに頑張ってやっていこうと思う。

 




chips:夢界

夢界は発生する時に先ず周囲に漂う強い願いや多くの人が願う夢や想いを核として、そこから徐々に願いや想い=魔力を集めながら大型化し、夢を見た人間が大なり小なり想う「これが現実になってほしい」という願いを元に、最後には現実にヌシや異常が現れる。
夢界の持つ魔力を集める性質から強い魔力を持つ者、すなわち魔法使いはその存在を知覚し、内部に侵入することができる。

成立したばかりの小型の夢界には大した力もなく、精々がその空間を通り抜けた素質有るもの(ごく僅かでも魔力を持つ者)に軽く幻覚を見せる程度の力しかない。
ちなみに、この時幻覚を見たものが人に話したりインターネット上に書き込んだりすることで噂になり、そこに尾ひれがたっぷりと付いて、人々の間でまことしやかに囁かれる都市伝説なんかになったりする。
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