星空の魔法少女   作:ヒィーィジヤロラルリーロロロー

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気づけばだいぶ間が空いてしまった

大まかな流れはできていてもいざ書くと上手くいかないもので、ちまちま書いては直してをしてたらだいぶ経ってしまった。


実は途中でEDF6やってたから遅くなったのは内緒だ


夢の在り処

 

「い、いらっしゃいませー…。2名様…ですか?空いているお席にどっどうぞー…」

 

 

展望台の夢界でヌシを倒した日から数日。今日の俺は街に出ての夢界探しではなく、喫茶アルデバランでお手伝いとして働いていた。

 

 

「ほらほらスバルちゃん!スマイルスマイル~!接客業は笑顔が大事なんだよ!」

 

「あはは…が、頑張ります…」

 

「今日は一緒に頑張ろうね、スバル()()()!」

 

 

────()()()()()()()姿()()ウエイトレスとしてマイアと一緒に。

 

 

 

 

────時を少しだけ戻して、事のあらましから。

 

今日も今日とて学生の本分たる退屈な授業を受け、その帰りに今日の仕事は何かをテレーズに聞くべく俺は喫茶アルデバランまでやってきていた。

 

 

「もう夕方なのになんでこんなに暑いんだよ…なんならじっとりしてる分昼より暑く感じる…店に来るまでで死にそうだ…」

 

 

日増しに強まる夏の空気はそこに居るだけで体力をじわじわと削り取っていく。そそくさと熱気から逃げるように俺は店の扉を開き店へと入る。あまり長く外に居ると頭が茹ってしまいそうだ…。

 

 

「いらっしゃいませ!おひとりですか?」

 

「……へ?」

 

 

そうして、店内へと足を踏み入れた俺を出迎えてくれたのは、マスター…ではなく。アルデバランの制服を着てウエイトレスをしているマイアだった。

 

 

「空いているお席までどうぞ!」

 

 

想像していた展開と違った事で少し気が動転してしまったが、前にマイアが店の手伝いも魔法使いの仕事の1つだと言っていた事を思い出す。

 

 

「あぁ、はい。……すいませんマイアさん…俺はお客さんじゃないです」

 

「そうなんですか!?失礼しました!……アレ?なんでアタシの名前を…もしかして、どこかで会ったこと有る感じですか…?」

 

「はい…?それはとうぜ……」

 

 

────まてよ?もしやマイアは変身後の姿しか知らない…?思い返してみれば、今までマイアに会った時は既に変身した後だった気が……

 

 

「ええっと…俺は……。」

 

「もしかして、君も魔法使い?じゃあテレーズに会いに来た感じですか?」

 

「ええっと…たしかにテレーズに用が有って来たんですけど…」

 

「やっぱり!それなら案内しますね!こっちです!」

 

「へ?待っ…まだ話終わってな…力強いなぁ!!」

 

俺の素性を明かす前にマイアは俺の手をむんずと掴むと、そのまま俺の体を引きずるように店の奥までずんずんと歩いていく、引き留めようと掛けた俺の静止の声は残念ながら彼女には届いていないらしい。

 

 

「テレーズ!お客さん連れて来たよ~!それじゃあごゆっくりどうぞ~!」

 

 

そうして、たどり着いた部屋の扉をノックしたマイアはその部屋の主たるテレーズにひと声掛けた後、放り出された俺を置いてウエイトレスの仕事へと戻ってしまった。

 

とりあえず、俺が彼女の後輩である少女の方のスバルと同一人物だと訂正するのは後にして中に入ろう。

 

 

「あら、いらっしゃい。とりあえず座って頂戴」

 

「あっ…はい」

 

 

部屋の中に入ると、テレーズはなにか仕事中だったのかメガネをかけてノートPCを操作しながらも、こちらを見やると座るように促してくる。

 

……いい加減、ゴールデンレトリーバーが人間臭い仕草をしているコント染みたこの光景にも慣れてきたな。

 

そう思いつつも口には出さず、促されるままにテレーズの机を挟んだ向かいの椅子に腰かける。

 

 

「さて。まずは貴女には謝罪をしないといけないわね…」

 

「先日の夢界、即応できるのが貴方だけだったとしても、一人に任せることになってしまったのは完全にこちら側のミスよ。本当に申し訳なかったわ」

 

 

そう言ったテレーズは作業していた手を止めてPCを退かした後、こちらに謝罪の意を示すように頭を下げてきた。

 

 

「うぇっ!?いいんですよ!頭上げてください!俺はこの通り平気なんで!」

 

「…今回は無事に解決できたけど、次もそうなるとは限らない。だから、今回の一件は一度組織に報告して調査を依頼するわ。この短期間でこうも大型の夢界が頻発するのは異常よ」

 

 

マイアは元の位置に戻したPCに資料でも映しているのか、それを眺めて難しい顔(おそらくだが)をしながら話を続ける

 

 

「それに関係して、今日はこの店でマスターの手伝いをしながらイレギュラーに備えて待機。それと、しばらくの間は街中に夢界が発生してないか見て回る時は絶対にマイアと二人で行くように」

 

「あぁ…だから今日はマイアがウエイトレスを…。」

 

「そういう事よ。とりあえず、貴方にも給仕の仕事をして貰うわ。制服はこっちで用意してあるからそれに着替えるように。その後はマスターに聞きなさい」

 

「了解です。それじゃあ、失礼しますね」

 

 

先日、電話口でテレーズが言っていたが大型の夢界が数日おきに発生している現状は本当にイレギュラーなのだろう。俺が魔法使いになってまだ一月程だが、俺が遭遇したものだけで既に3回だ。マスターの手伝いとして店に待機するのだって、今この瞬間にも大型の夢界が発生してもおかしくはない判断からだろう。

 

 

「そういえば…言い忘れていたけれど、もしもの時にすぐ戦えるように少女の姿で仕事しなさい。制服は隣の部屋のクローゼットに入っているわ」

 

 

……はい?

 

 

 

 

 

────そうして現在に至る。

 

 

「それにしても、スバルちゃんちょ~似合ってるよね!その服!」

 

「……ども」

 

 

この店の制服はテレーズが選んだものらしく、黒系の色をしたスカートに白のシャツとエプロンというシックな色で有りながら可憐な造形をしている。なんでも、これが最もこの店と調和するデザインだそうだ。

 

たしかに、ファッションにはさほど興味のない俺から見てもセンスが良いと感じる。…着ているのが俺自身でなければなぁ……。

 

 

「むっふふ~。かわいい服を着てオシャレなカフェで、これまたちょ~かわいい娘とお仕事できるなんて夢みたいだよ!」

 

 

少し沈み気味な俺の心と裏腹にマイアは非常に上機嫌である。くるくると踊るように店の中を歩き回り接客をしているその姿を尻目に、俺は空いた席の掃除や洗い物をしている。接客業の経験もないし無愛想な俺じゃあ見てくれは美少女でも接客よりは裏方をする方が良いだろうという判断だ。

 

そんなこんなでカウンターまで引っ込んで黙々と仕事をしていると、一段落したのかマイアが隣までやってきて話しかけてくる。

 

 

「そういえばさ、スバルちゃんの夢ってなぁに?」

 

「夢…ですか?どうして急にそんなことを?」

 

「魔法使いにとって夢や想いって姿や戦い方に現れるぐらい大事なものでしょ?スバルちゃんの変身した姿って星空みたいでとっても綺麗だったからさ、それの元になったのはどんな夢なのかなって」

 

「俺の夢ですか…?」

 

 

夢か。思い返せば、深く意識したことが無かったな。

 

……。

 

……()()()()()()()()?

 

 

考え込むように視線を落とす。手入れの行き届いたステンレス製のシンクにはこちらをじっと見つめ返す今の自分(金髪の少女)が居た。

 

星光にも見まごう金の髪に加えて変身した後のドレスや星の意匠に天球儀を戴くあの杖。まさしく星空の体現者。星の世界に夢見た者の姿だ。

 

しかし、だから分からない。()()()()()()()()()()()()()()()()()。もちろん、嫌いなわけでもないしゲームや漫画等の影響で少しは知識も有る。それでも俺自身、()()()()()()()()()()()()()()

 

では、()()姿()()()()()()()()()? 俺はなにか忘れているのだろうか?

 

今まで意識していなかったが、考える程不思議だ。俺は何を願ってこの姿になったのだろうか。

 

 

考えども考えども答えの出ないそれに対して、ぐるぐると思考が頭の中で渦巻く。そうして、もう一度思考の海に考えが沈むその前に、この話題を切り出してきたマイアが話し始めた

 

 

「アタシの夢はねぇ…【青空の果てを見る】こと! アタシ、お父さんの仕事の関係で小さい頃に何度か飛行機に乗る機会が有ってね。その窓から景色を眺めるのが好きだったんだ。」

 

「それでね、雲を超えた先の空を見ていて思ったの。この青い世界はどこまで続いてるんだろう?空の彼方には何が有るんだろう?そう考えるととってもワクワクしたんだ。それでね、その時のワクワクが今もずーっと心の底に残ってて、いつか自分の目で青空の果てを見たい。そんな想いが今でもアタシの原動力なんだ。」

 

 

話し終えてマイアは「自分の夢語るってわりとハズいね…」と零しながらも、彼女のまっすぐな瞳は過去に見た空とその果ての景色を今も宿しているようだった。

 

 

「ハズいけど、アタシの夢はこんな感じ!つぎはスバルちゃんの夢も教えて!」

 

「えっと…俺の夢ですか……。それは「歓談中に悪いけれど、今いいかしら?」うわぁっ!?……テレーズ?」

 

 

急に下から声を掛けられて驚きで変な声が出てしまった…。

 

下を見るとそこには金毛のゴールデンレトリーバー。自分の夢が分からない。強い想いも分からない。そんな状態で何を話すべきかと言い淀んで悩んでいる間にどうやらテレーズが足元まで来ていたようだ。

 

流石というべきか、テレーズとの付き合いが当然俺より長いマイアは全く動じておらず、ゴールデンレトリーバーの目線に合わせるようしゃがみ込むと「どしたの?」等と返していた。

 

 

「大型の夢界が発生したわ。場所はデータで送っておいたから店の手伝いを切り上げて現場に向かって頂戴。マスター!この子たち貰っていくけど、いいわね?」

 

「了解した。残りは私一人でも十分なんとかなるだろう。さぁ、君たちも頑張ってきたまえ」

 

 

夢界が出たという知らせと共に流れるように仕事の切り上げが宣言されてしまった。

 

…と何はともあれ、夢界への対処は魔法使いにとって一番大事な仕事である。気合を入れて臨むとしようか。

 

 

「スバルちゃんも早く着替えてねー!置いてくよー!」

 

「えっもう着替えたんですか!?ちょ…ちょっと待ってください!俺もすぐ行きます!」

 

 

目を離した隙に自分は既に準備を終えたマイアがこちらを急かすように声を掛けてくる。

 

急いで着換えの部屋まで戻った俺は借りた制服をぽいぽいと放り出して元の服に袖を通す。女の姿になると元の着ていた服も同時に変化するので男物でサイズが合わないなんてことも無いので安心である。

 

…女物の服着て安心するのは色々と不味いのでは?なんて言葉が脳裏を過るが今は考えないでおこう…。

 

着換えて部屋から出るとそこにはテレーズがこちらを待っていたのか静かに佇んでいた。

 

 

「それじゃあ、任せたわよ。スバル。マイア。いってらっしゃい。」

 

「ええ。行ってきます。」

 

「アタシに任せて!それじゃあスバルちゃん!行くよ!」

 

「はい!…ってなんでいつも引っ張るんですか!やっぱり力強いし!」

 

 

テレーズの見送りもそのままに、マイアは俺の手をむんずと掴んだと思えばとてつもない力でぐいぐいと引きながら現場に向かうべく店を飛び出した。

 

…大型犬を飼っている人の気持ち、今なら分かるような気がするなぁ……。

 

引きずられながら俺はそんなことを思うのであった。

 

 

 




chips
変身体

魔法使いが戦闘する際に最も力を発揮できる姿。その姿は魔法使い個人個人で違っていて、その魔法使いが持つ魔力の核となる夢や想いを強く反映する。
この姿になると身体能力や肉体強度が向上するほか、魔力の使用効率や魔法使い個人が持つ固有の力の出力も上昇する。
ただし、この姿は常に魔力を消費するため周囲に魔力が満ちている夢界以外では長く維持することはできない。

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