星空の魔法少女   作:ヒィーィジヤロラルリーロロロー

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大枠のストーリーは決まっていても細かな言動行動やアドリブを入れていくとどうしても筆が止まっちゃう時って有るもので。

今回の話も足し算引き算偶に掛け算なんてしてたら遅くなるわ長くなるわで大変でした。



……決して夏の祭典に参加すべく妖精の国や中南米の探検を再開したらハマってしまい遅れてしまったという訳ではないのです。ホントだよ?


泡沫の狙撃手

 

「とうちゃーく!ここがテレーズが言ってた場所かぁ」

 

「はぁはぁ…うぇ…無理…わ、脇腹が…うぷっ…吐き気までしてきた……」

 

 

アルデバランを出てから十数分。俺たちはテレーズから送られてきたデータを頼りに公園までやって来た。

 

この公園、いわゆる都市公園という物らしく海に面した広大な敷地内にプールや売店に小規模な動物園、果ては交通公園なんてものまで備えた地域住民の憩いの場である。

 

テレーズから送られて来たデータによると、ここ数週間で夢界探知の精度が不自然に低下しているらしく、大まかな場所までは分かってもそれ以上は実際に現場周辺まで行って確認しなければ分からないらしい。

 

そんな訳で、夢界が発生したと思われる場所の周辺まで来たのだが、ここまでマイアの馬鹿力で引きずり回された俺は広場に設置されたベンチで横たわり伸びていた。

 

まさか、高々数十分全力疾走するだけで体力が底を尽き、挙句に女子に体力負けしてしまうとは…女になった俺の()()()には涙を禁じ得ない。

 

……いやよく考えたらこれ、ぴんぴんしてるマイアがおかしいだけだわ。フィジカルモンスターがよぉ……。

 

「ねぇねぇスバルちゃん!早く夢界探そうよ!」

 

「すいません…ちょっと休ませてください……」

 

夢界は放置できない。しかし既に俺の体力が限界なので今はちょっとだけ休ませてほしい。そう伝えればマイアは「じゃあスバルちゃんは少し休んでて!先に行ってアタシ一人で夢界探してくる!」と広場から飛び出して行ってしまった。

 

 

「はぁ…少し休憩したら俺も追いかけなければ…」

 

時刻は既に夕方。海沿いの公園は街中よりはマシとはいえじっとりするような暑さが有る。仕方ない。自動販売機で冷たい物でも買って涼を取ろうか……。

 

「────もし。そこに居られる御方。アイスキャンディおひとついかがでしょう?」

 

いざ動き出そうかと足に力を入れたその瞬間、上方より声を掛けられた。ほう…アイスキャンディの移動販売か。確かに涼しげで良さそうだ。

 

「良いですね。それじゃあ一本貰えますか?」

 

しかし、このご時世に移動販売とは珍しい。祖父の話なんかで聞いたことは有っても実際に遭遇したのは初めてだ。遠い過去の物。現代ではもはや空想の産物だと思っていたので少し興奮する。

 

……でもなんか口調とか変だったような?

 

そう思って顔を上げるとそこには────

 

 

「まいどありですわ!……あら?貴方は確か…先日お会いした」

 

「…何故ここに?」

 

動きに合わせ揺れる御髪は漆黒。纏う衣服は落ち着いた風合いに仕立ての良さが滲む。歩く姿には育ちの良さが現れている。そこに在るだけで人の視線を吸い寄せるその人物こそ金時グループのお嬢様【金時(きんじ)アトラ】である。

 

「そのお顔…わたくしの様なのお嬢様が何故こんな場所でリヤカー引いてアイスキャンディの行商などしているのだろうか?そう言った疑問を浮かべておりますわね?えぇ。えぇ。そのような疑問を抱くのも当然のことですわね。古き良き、昔懐かしリアカー引いての行商!それをわたくしの様なうら若くも美しい美少女が行っているその姿は余りにもミスマッチ!再び会えたのこの縁、まさしくの運命!さぁさ成り行きをお話いたしましょう!」

 

「いや…まだ何も言ってないし……。てか、別に聞きたくも無いんだが」

 

圧が強いなぁ…黙ってれば本当に美人だとは思うんだが。というか注文したんだから早くアイスキャンディ出してほしい。

 

「そう、事の始まりはつい先日…」

 

「マジで語り始めたぞコイツ……」

 

えっ、マジでこれ聞かないと駄目な感じ?

 

「我らが金時グループはこれまでアミューズメント事業を始めとするエンターテインメント産業で莫大な富を築いてきたのですが、さらなる発展を目的に新しくエンタメ産業と親和性の高い飲食産業にも事業を拡大しようという話が出てきましまして、その第一歩タルリサーチをこのわたくしが引き受け、その第一段階として実際にお客の方々とふれあいながら場所や時間帯ごとの売れ行きを見れる行商を行おう!という重要な任務…は、建前でぶっちゃけわたくしの趣味でこういったことをしておりますの。そのためにしっかりと営業許可も頂いておりますのよ!あ、こちらご注文のアイスキャンディですわ。お会計税込み200円ですの」

 

「おぉう…急に落ち着くなよ怖いなぁ……」

 

アレだけべらべらと一方的に喋り倒しておきながら仕事はちゃんとしてるの微妙に腹立つな……。

 

 

「またのお越しをお待ちしておりますわー!」

 

「体力は回復したのに精神的に疲れた……」

 

結局、俺がアイスキャンディーを食べ終えるまで経営戦略だの昨今のトレンドだのでアトラはずぅぅっと喋り続けた。なんなら自分もアイスキャンディ食べてた。それ売り物だろ。

 

なんでも、平日の夕方で客足が少なく暇していたんだとか。客相手にストレスを発散しないで欲しいのだが……。

 

 

さて、少し時間を無駄にしてしまった。急いでマイアと合流して夢界を探さなければ……。

 

マイアと合流すべく連絡を送ってみれば、即座に「ちょうど夢界見つけたところ!場所はここ!」と返事が返って来た。送られて来たデータによると夢界はここからすこし行った場所に居るようだ。すぐに向かわなければ。

 

 

「すみません!お待たせしました!」

 

「お~スバルちゃん!もう平気な感じ?」

 

「はい。少し休んだのでバッチリです!」

 

夕方ということもあり人も疎らな公園。少し道から外れた場所に有る茂み。夢界はひっそりと隠れるように存在していた。

 

「さて、準備はいいスバルちゃん?ぱぱっと片づけて早く帰ろ!」

 

「ええ。頑張ります!」

 

夢界に入るのもそろそろ慣れてきた頃合い。緊張はまだ有れど心構えは万全。一足先にひょいと飛び込んだマイアに続き、俺も夢界の入り口たる渦へと踏み出した。

 

 

「侵入せいこーう!……アレ?外は夕方なのにお昼の太陽だ……」

 

勇み飛び込んだ夢界の中。不快な感覚と不穏な気配は当然として、そろそろ日が落ちきる頃合いであった外とは一転。夢界の内部は太陽が中天に登った真夏の昼空だった。

 

「こんなに晴れてるのに暑さが無いのが救いですね。とりあえず、ヌシを探しましょう」

 

「オッケー。いやーそれにしても、スバルちゃんもだいぶ夢界に慣れて来たねぇ」

 

いかに非日常といえども四度も経験すれば嫌でも慣れる。空以外は元の世界と全く同じ景色のこの夢界。ヌシを見つけるべく、ひとまずは調査すべく歩みを進めた。

 

 

「ねぇねぇスバルちゃん。上の方、なんかシャボン玉が飛んでる~」

 

「シャボン玉ですか?…ホントだ。でも、いったいどこから……」

 

マイアの言葉に釣られて顔を上に向けると、陽光を反射に虹に煌めく丸い玉がひとつふたつとふよふよと浮かんでいた。

 

発生源は……どうやら、広場の方からだ。確か野外ライブイベントを開催できるぐらいの広さが有る場所だ。

 

「ふーん…シャボン玉ねぇ…今回のヌシってメルヘン系なのかな?あっ…シャボン玉こっちに来た。突っついちゃお」

 

「えぇ…やめといた方がいいですよ…絶対なんかありそうですし」

 

「大丈夫だって!シャボン玉がそんな危ない訳ないでしょ~。スバルちゃんは心配性だなぁ……」

 

何が有るかわからないので一応静止したのだが、忠告を無視したマイアはシャボン玉へと惹かれる様に手を伸ばす。

 

 

そうして伸ばした手の指先が虹の玉に触れたその瞬間、“パンッ“それは当然はじけて消えた。

 

────小さな爆発と閃光を撒き散らして。

 

少し遠巻きにしていた俺は少し驚くだけで済んだが、至近距離で閃光を浴びたマイアは大丈夫だろうか…駆け寄って声を掛ける。

 

「だ…大丈夫ですか!?」

 

「視界がチカチカでクラクラしてる~」

 

「だから言ったじゃないですか……」

 

至近距離で不意に閃光を浴びた影響でふらついてはいるが、ひとまず無事な様子で少し安心したが、ひやひやさせないで欲しい。

 

「どう見てもヌシがらみの物なのになんで無警戒に触りに行っちゃうんですか…そんなんで今までよく無事でしたね……」

 

ようやく回復してきたのか足元の安定してきたマイアは俺の言葉に対してもごもごと口ごもるようにしながらも少し俯いて、ぽつぽつと話し出す。

 

「い…今までは大体正面から突撃して【ホライズン】でヌシを両断すれば大体解決できたから…なんとかなるかなぁ…って。……ダメぇ?」

 

 

……返って来た答えの脳筋具合に少しドン引きである。

 

「見てて危なっかしいので俺が居る時はやめてください。」

 

「はい……」

 

「とりあえず、ヌシが居るだろう場所は分かりましたし、さっさと行きますよ!」

 

「スバルちゃんからの信頼がガタ落ちした気がする……」

 

当たり前である。実際になんとかできる自信は有るのだろうが、それに付き合わされる方はたまったものではない。

 

 

「…?……っ!?スバルちゃん危ない!!

 

「はい?……ぐぇっ!?」

 

マイアが何か言ったかと認識するその前に側面からの強い衝撃。俺の体は一瞬宙を舞い、べちゃりと地面に倒れ込んでようやく俺は彼女に押し飛ばされたのだと認識できた。

 

なんの警告も無く人を吹っ飛ばすとは何事か! 抗議の声を挙げるその直前、()()()という音がさっきまで俺が立っていた場所から響く。

 

恐る恐る見てみるとそこには()()()()()()()()()()()()がぽっかりと空いていた。

 

そこに自分が立っていたと思うとサーッと血の気が引いていく。彼女が突き飛ばさなかったらどうなっていたか……。

 

 

「……スバルちゃん気を付けて。アタシたち見つかったみたい」

 

その言葉と先ほどと打って変わって真剣なマイアの横顔を見て、ようやく俺は事態の急変を悟った。

 

急ぎ体を起こしながら攻撃が飛んできた方向を探る。飛んできたのは…空いた穴を見るに、おそらくシャボン玉と同じく広場からだろう。

 

戦うためにも先ずは姿だけでも確認しなければ。そう考えて広場に目を向けてヌシを探す。

 

ぐるっと見渡すとシャボン玉地面から湧き上がり、密度が異様に高い場所が有った。ということは、ヌシは間違いなくその中心に────

 

「……は?」

 

ぷかぷかと浮かぶ人の大きさほども有る巨大なシルエットは少しいびつな菱形。つるりとした銀色の表皮には鱗がびっしりと付いている。ゆらゆらと揺れる体に合わせて布の様に揺れるのは(ヒレ)

 

────そう。それは正しく()だった。

 

 

「もう一発来る!」

 

身をよじるような動きをしたと思えばその直後、巨大な魚(ヌシ)は口元から何かを高速で撃ち出して来た。

 

それはまっすぐこちらへと向かってくる。観察に集中していて反応が遅れてしまった。不味い避けなければ…!

 

そう考え動くその寸前、マイアが俺を守る様に射線上へと躍り出た。

 

「マイアさん!?」

 

「下がってスバルちゃん!来い!【ホライズン】!ていやぁぁっ!」

 

ヌシの放った攻撃を一足早く直剣だけ呼び出したマイアが切り裂いた。

 

切り裂かれキラキラと中空に飛び散る飛来物。

 

それは()()。そう、ヌシが飛ばしていたのは()であった。

 

「まるで()()()()()()だ…」

 

「たぶんだけど、【水鉄砲】とか【シャボン玉遊び】みたいなのが核になったのかも!」

 

今回もフワッとしているが、まぁ元が夢とか想いの集合体だしな……。それより、遠距離攻撃がメインとは厄介な相手だ。

 

「どうしよう…アタシ遠距離攻撃とかしてくる相手苦手だよー!爆発するシャボン玉が浮いてて近寄れそうに無いし!」

 

「そうは言ってもヌシはやる気見たいですよ。…ッ!次が来ますよ!」

 

こちらが攻撃を防いだのを認識したのか次は連続で攻撃を放ってくる。その数…七発。

 

「うえ~!スバルちゃんここは防ぐから何とかして~!」

 

泣き言を漏らしながらもマイアの動きに淀みは無かった。

 

 

ひとつ。中段を右腕で。

 

ふたつみっつ。下段と上段を左右の脚で蹴り砕き。

 

よっついつつ。左で構えたホライズンが切り飛ばし。

 

むっつななつ。1つは【プロテクション】で防ぎ、最後は頭突きで打ち砕く。

 

おまけに変身までしているその技量には舌を巻く他ない。

 

…頭突きはよくわからんが。アレ要る?

 

「【ビヨンド・スカイ】見参!…ほら、スバルちゃんも戦闘態勢!」

 

「……は、はい!」

 

ぼうっとしてはいられない。俺も早く変身してマイアのサポートをしなければ……

 

 

「想いよ、祈りよ、彼方よりの光よ、夜天を満たせ────」

 

集中…集中……!

 

俺の中に魔力が放出され、包み込むように形を変える。夜空の様な黒と青のドレス、金の髪と星の装飾を散りばめたドレス。

 

手をかざせばそこに現れる、星空を示す天球の杖。

 

この身は星空の体現。

 

 

「我が名は【スタリィ・ナイト】!星の願いを叶えし者!早速だが【ステラ・シュート】!」

 

先手必勝!……いや、よく考えたら先手じゃないな。まぁいいか。

 

放たれた魔力の弾丸は真っ直ぐにヌシに向かって行き……着弾。爆発でよく見えないがコレは決まったのでは?

 

「おぉ…スバルちゃんやるねぇ~。────でも、まだ終わりじゃないみたいだよ」

 

 

ゆっくりと爆発で舞った土煙が霧散する。

 

「マジか」

 

そこには、なんと傷ひとつない着弾前と寸分違わぬヌシの姿が。

 

……いや、一つ違う部分が有った。

 

「わーお……無傷だ。しかもアレすごい怒ってない?」

 

「……ですね」

 

ヌシは口を大きく開き体を大きくくねらせている。たぶん威嚇?なんにしてもすごい怒っていた。ブチギレだ。

 

「なんかやばい感じするねスバルちゃん」

 

「奇遇ですね。俺も嫌な予感がします」

 

嫌な予感を感じたその直後、ヌシが猛烈な勢いで水の弾丸を連続で撃ちだしてきた。それはまるで降り注ぐ雨の如き勢いでこちらに向けて殺到してくる。

 

「ぼ、防御~【プロテクション】!!」

 

「プ…【プロテクション】!!」

 

俺とマイアの二人で展開した魔法の盾に水の弾丸が突き刺さる。当たる度にガンガン鳴ってて怖い!

 

「そもそも、なんで俺の攻撃効いてないんだよ!アレ絶対当たったと思ったのに!」

 

「た…たぶん原因はシャボン玉だと思う!アレの爆発が威力を削いじゃったのかも!」

 

そう言われて見ると確かにヌシの周りに浮かぶシャボン玉が数を減らしているのが見える。

 

しかし困った。シャボン玉がヌシの周りから湧いてきている以上、このままでは切り札の【トワイライト・スーパーノヴァ】を撃っても倒せる保証が無い。どうすれば……。

 

「このままじゃあジリ貧だ…」

 

考えている間にも打ち付けられる弾丸が俺たちの盾を削り取っていく。

 

 

「しょうがないかぁ……。────スバルちゃんここから一撃でヌシを倒す攻撃とか有る?」

 

「……! はい。当たれば倒せるだろう攻撃が1つ、有ります」

 

俺の返答を聞いたマイアは満足したように頷くとゆっくりと聞き逃しが無いように話を続けた。

 

「それじゃあ、今から数秒後アタシは盾から飛び出して全力で突撃して攻撃を引き付けた後、()()()でヌシまでの道を作る。その後アタシが合図したら全力の一撃をぶっ放しちゃって!」

 

「了解です!」

 

「OK!それじゃあ……3、2、1、作戦開始!」

 

俺が了承と共に頷けば、開始の合図と共に盾の裏からマイアが飛び出した。

 

「いっくよー!!」

 

【ホライズン】片手に絶え間なく打ち付けるヌシの攻撃を切り払いながらマイアがヌシに向かって直進していく。

 

振るわれる直剣はもはや俺の目には捉える事すらできず、ただ宙に残った銀の残像と飛び散る水滴だけが振るわれた証拠を残す。

 

……しかし、ずんずんと距離を詰めるマイアを一番の脅威と判断したのか、ヌシの注意が俺から離れマイアへと集中していく。そうして向けられた敵意は増え続ける水の弾丸の数に現れる。

 

「やっば…想像以上かも……」

 

水の弾丸を叩き落しながら直進していたマイアの歩み増え続ける数に耐えきれずゆっくりと遅くなり、最後にはその歩みを止め防御に徹する事しかできなくなっていく。このままではすぐに限界が来るだろう。

 

 

────それでも。マイアは不敵に笑っていた。

 

「見ててねスバルちゃん。これがアタシの()()()()()誰にも真似できない()()()()()()()()()!」

 

マイアを中心に魔力が集まっていくのを感じる。

 

湧き上がる魔力はその密度ゆえか可視化してオーラの様にマイアのから放出されていく。

 

そして今、その全てが解き放たれる────

 

「行くよ!────アタシの空に遮るものなど在りはしない。無限に続く青の果て。消え去れ!【クラウドレス・オーバースカイ】!!」

 

 

────刹那、横一閃。彼女の視界に浮かぶ浮遊物、その一切が霧散した。

 

 

己を守るシャボン玉も矛たる水の弾丸も消し去られたヌシが驚愕したように硬直しながらも向かって来た敵を迎撃すべく水の弾丸を放った。

 

それをマイアは切り払うでもなく、さりとて横や後ろに躱すでもなく前へ倒れ込むように前転で回避する。

 

何故?ヌシはそう思ったのかもしれない。しかし直後に気づいたであろう。マイアに隠れ見えなかったその奥で()()()()()()()()()()()()()姿()に。

 

「今だよ!スバルちゃん!!」

 

 

マイアが注意を引いてくれたおかげで限界まで魔力を集中できた。そして遮る物も今は無い。

 

この一撃で決める…ッ!

 

 

「────星の終わり宙を照らす。その身に受けろ!【トワイライト・スーパーノヴァ】!!」

 

 

────放たれた極光は先ほどまでマイアの居た場所を通り過ぎヌシの放つ水の弾丸すらも飲み込んでなお衰えず、直線上に居たヌシを一瞬の抵抗の後消滅させた。

 

 

夢界がゆっくりと崩壊していく。崩れ落ちた天蓋から見える空は既に真っ暗ですっかり夜の模様。

 

既に変身を解除したマイアがゆっくりとこちらに歩いてくる。

 

「いや~なかなかの強敵だったね~アタシ一人だともっと苦戦してたかも。今日はスバルちゃんが居て良かったよ!」

 

「俺も、たぶん一人じゃ無理でした。それにしても、最後の奥の手すごかったですね……」

 

「えっへへ~。アレがアタシの【固有魔法】!アタシの夢【青空の果てを見る】に由来するものなんだ。雲を超えた先、遮るもの1つ無い青空を再現して()()()()()()()()()()()()()()すごい技なんだよ!」

 

なるほど…一瞬でシャボン玉も水の弾丸も霧散したのはそういうカラクリが有ったのか「でも一度使うと体力も魔力もごっそり消費するんだ」…だが、当然デメリットも重いか……。

 

その後【固有魔法】について少し教えて貰ったが、魔法使いなら全員持っているものらしい。……俺にも有るのだろうか?

 

自分の夢がわからない俺の【固有魔法】はどんなものだろうか。そんな事がぐるぐる頭を巡る。

 

「スバルちゃん帰るよー!帰ってマスターになんか作って貰お!」

 

……まぁ、今はいいか。

 

「……はい!」

 

 

そんなこんなで今回の大型夢界攻略も無事に終わったので有った。

 

 

 

 

 

 

 

────“もうすぐだ…じきに全てが……“

 

「……?今なにか言いました?」

 

「何も言ってないけど…どうしたの?」

 

「いえ…俺の勘違いみたいです。早く帰りましょう!」

 

めでたしめでたし。

 

 

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