全てを斬り尽くすまで、この足は止まる事は無い。 作:クロウト
___ ...昔、オレは良く母ちゃんに飯を作って貰った。親父が仕事で決まって帰って来るのが夜だったので、母ちゃんとは二人きりの時間が多かった。そんな時には母ちゃんは決まって、オレにオムレツを作ってくれた。それはお世辞にも綺麗に出来てるとは言えず、卵もあまりふっくらとはしておらず 、中に入っている飯も水分を多く含みすぎたトマトソースでグチョグチョになってる。けど、オレはそれでも良かった。と言うより、そんな不完全なオムレツが好きだったんだ。母ちゃんが心を込めて作ってくれた料理、ってだけでその飯は世界のどの飯よりも美味くなる。ガキの頃はそう信じ切っていたんだ。美味かったなぁ ... 。あの飯は...。あの時のオレは、純粋に。ただただ母ちゃんの飯が美味くてそんで、母ちゃんの事が大好きだったんだと思う。そんな、何処にでもある様な幸せが、ガキの頃のオレはずっと続くんだろうなぁってその平和を....幸せを当たり前の様に享受していくつもりだった。あの時、あの夜.....、迷宮から這いずり出た魔物に村と家族を皆殺しにされるまでは、そう馬鹿みたいに思い続けてたんだ_____。
「 ..... はァっ ... はァっ ... 。 」
白い息が空気に舞い上がる。冬の季節でも無いのに、何故に白い息が漂っているんだろう。そして、何故。オレの身体は今 、こうも重苦しいんだろうか。
「 ... クソ ... 、クソ ..,. 、何処だっ ... 魔物ォっ ... 。 」
荒い息を立ちこめながら、深く水気が含まれた黄土色の土を踏みしめながら歩いて行く。身体が重いのか、少しだけ猫背になりながら歩いているのが、見なくても分かってしまうのが末恐ろしい。
「 _____ .... 何奴でも良い、さっさとかかって来い....。 」
重く、苦しいその足が。その体力すらも奪ってしまいそうな土の中では長くは続かないのは分かりきっていた。でもその時の自分は家族を殺した魔物を殺し尽くす、と言う使命を抱えていたのだろうか。その言葉を皮切りに、その土に倒れ伏してしまっても是が非でも先に進まなければならない、と言う使命感のようなものを感じていた。
「 ...... 巫山戯ろ 、こんなトコて倒れてられっか ...。 」
右手には硬い柄の様な感触、恐らく剣の類を握りしめてるのだろう。土で覆われた視界ではその握りしめている様子すらも確認できずに、ただただ自身がその土の地面に吸い込まれて行くのを感じる事しか出来なかった。
「 ........___ クソ、が ... 。 」
視界が暗闇に染まっていく。黄土色の土で覆われた視界では無く、今度は正真正銘の気絶、とか言う奴だろう。そしてオレは身体全体に感じる
土の感触と、右手に握りしめた冷たい剣の柄を感じながら。最後にはその視界が完全に暗闇にへと覆われてしまい。意識を失ってしまう事に至ったのだった_____。
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「 ... オイ、オイ。起きろっ、タリアン。飯が出来たぞ。 」
ドワーフの男が、焚き火の横で寝ている一人の青年に向けて声をかける
皮で出来たベッドロールで寝ている青年の顔には僅かに脂汗か滲んでおり、男の言葉と共にタリアン、と呼ばれた青年は静かに目を覚ましていく。
「 .... .... 爺さん 、俺は飯は良いって ... 。 」
タリアンはベッドロールから身を起こしながら、肩を回し、軽くストレッチをしながら立ち上がり焚き火の方、ドワーフの男が居る方へと寝起きにしては妙にスッキリ、とした瞳で歩み寄っていく。
「 ... タリアン、... 悪夢を見たばかりで食欲が無いのは分かる。
だが 一日3食、飯はしっかり食わんと。でなければ、お前の身体が
危ない。いつ倒れてしまってもおかしく無いのだぞ? 」
ドワーフの男は、木で出来たお椀にグツグツと煮えたぎったスープと、良く火を通して茹でられた魚介類に似た様な食材を投入し。スプーンと共にタリアンに差し出してくる。
「 .... ..... センシの爺さん 、オレはそんなにヤワな身体はしてねェよ。
第一、そんな身体してたらどっかでぶっ倒れてるだろ、とっくによ。
まぁ、アンタは何言っても無理やり食わせて来るような奴だからな....
.,. ちょっとだけだぞ 。 」
タリアンは、立ち上がっていた姿勢からしゃがみの体勢へと移行させながら。センシの差し出されたお椀を受け取り。スプーンでそのお椀に注がれていたスープと具を掬いながら 、口に含めていく。食べた瞬間、タリアンの口の中には仄かな塩の味と魚の風味が広がり 。何処か温かみが有るような味がして。
「 ... うま 、これ出汁に刃魚使ったろ。 」
「 うむ、丁度ここ最近で刃魚が多く出る様になったのでな。茹でて
出汁にしてみたのだが ... 。美味いようなら何よりだ 」
センシはそう言いながら、寡黙に。 されど美味しそうにそのスープを食べるタリアンの頭を、ゴツゴツとした太い指をしたドワーフの掌で
ガシガシと撫でてくる。撫で方こそは不器用そのものだが、優しさを感じるようなものであり。まるで日曜日のお父さんが気まぐれに撫でてくれたような 、そんな懐かしさを感じるような撫で方だった。
「 ... さて、後始末をしたら 出立するとしようか。そっちは準備出来ているか?タリアン 。 」
タリアンがスープを一杯飲み干すと、ご馳走様でした。と一言付け足しながらお椀を置き、スープの残滓がついた口周りを舌でなぞりながら舐め取っていく。そしてタリアンは立ちながら 、自身の背中に付いてある自分の得物を確認する。背中には直剣が仕舞われていた鞘と、皮のベルトでキツく縛られた短剣が仕舞い込まれており。薄緑色のクロークの下には魔物の革をなめした革の軽装鎧が纏われている。
「 ___ ... ああ、こっちは準備出来てるぜ。爺さん 。 」
タリアンはそう言いながら 、鞘に仕舞われた直剣の刃を見ようと。その柄に手を掛け、軽く引き抜こうとする。小さな火種によって照らされたその鋼鉄の大振りな刃には青く文字のように光り輝く記号の様なものが刻まれており、それを確認すれば素早く鞘に再び剣をしまっていき。
「 ... では、行くとするかの。 」
後始末を終えたセンシ 、がそう言うとタリアンの眼前を歩き出し。タリアンはそれに追従する形と成り。その薄暗い迷宮の中にある危険へとまた再び足を踏み出すのだった_____。
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「 ヤダーーーッ!!!!!! 」
タリアンとセンシが迷宮内を歩いていると、金髪のエルフが叫んでいたのが聞こえた。それはまるで綺麗で迷いが無いような奇声と言う、一言で一つや二つも矛盾が浮き彫りになってしまいそうな言葉が出て来てしまいそうな声をしており、耳を澄ましてみれば。どうやらあのエルフの少女と白髪のトールマンが仲間内で揉めているらしく、歩き茸を食べるか食べないか。といった事らしい。そんなこんなしていたら白髪のトールマンがサソリを素手で握りしめ、そのまま鍋にぶち込んだものを食い始めた。見てくれだけだと完全に鎧を被った野蛮人で有る。
「 ...うぅむ、あれは少しばかり... 見ておれんな ... 。 」
「 ....... ? センシの爺さん_____。 」
タリアンがそう言い掛けた時にはもうすでにセンシはそのエルフの元へとズンズン、と向かっており。そしてその場でセンシのお手軽クッキングショーが始まり、センシが丁寧にサソリを捌いていながら淡々と解説していく。最早、タリアンにとっては見慣れた光景かもしれないが。金髪のエルフはバチバチに訝しんだような顔をしている、が。センシが墓場に自生している草木を取っていてからは彼女の顔はどんどんと歪んだいき、影で見ているタリアンは彼女の気持ちに内心ながらも少しの共感を示すのだった。
「 良いじゃん !!! 、サソリと歩き茸だけで十分美味しそうじゃん !!!
これにしようよこれぇ !!! 」
彼女は必死に抗議するが 、それがセンシの耳に届く事は無く。それが
センシの心を動かす事を切実に願うようにエルフは諦めずに抗議するが
その必死さが祟ったのか、彼女は自身に迫り来る魔物の存在に気付けずに居て_____ 。
ぬと...
そんな気色が悪いような粘液の音を立たせながら、エルフの少女に迫り来る緑色の粘液の集合体。それは建物の隙間から丁度、エルフの少女の頭の上にかかれば、時を待たずしてそれは破裂したかのようにドロリとした粘液は彼女の顔を覆い尽くすようにその体積を広げていき.... 。
( しまったっ___、顔に被るなんて ... っ !!!
火の魔法 ... 駄目だ、詠唱出来ない ... !!! )
彼女の顔を覆い尽くした緑色の粘液体___、スライムは彼女の顔から
離れようとはせずに。エルフの少女からはゴポボ、と言う気泡が溢れる音が遠くからでも聞こえてしまう程だ。
「 動くなっ、マルシル__。 」
白髪のトールマンがそう叫びながら、エルフの少女を助けようと動き出す...が、それよりも先に少し遠くに居たタリアンがその少女を助け出そうと動き始めており ...。
「 ちょっと、退いててくれ 。 」
タリアンはそう言いながら少女の元へと向かい、背中から皮のベルトで締められた短剣を取り出しながら、少女の顔を取り巻いているスライムの前にへと立ち直りながら、短剣を逆手持ちに構え。その刃先をスライムの方にへと向ける。
( ... そういえば初めて死んだのもスライムだった... 。あ、走馬灯。)
彼女がいよいよ窒息から走馬灯を見始めてしまった時矢先、タリアンは
その逆手持ちにした短剣をスライムに向けて躊躇無く突き立てた_____。むんず、と言う突き刺さるにしては少々、柔らかいような音を出すも。タリオンの短剣の一刺しによって、その少女の顔を取り巻いていたスライムは、でろ〜〜っと言う音を立てながら呆気なく地に落ちていき、少女の顔からはスライムは取り除かれたのだった。
「 .....やれやれ 、こんな所で爺さんの豆知識が役に立つとはな。
マルシル__ 、だっけか? アンタも災難だったな、大丈夫だったか? 」
エルフの少女_、マルシルはスライムによって窒息が酷かったのか。
げぇーほ !!! 、と擬音が書けそうなほどの咳をしながら、荒い息を立てながらも。青い顔をしながらゆっくりと息を吸い込んでいるのがちょっと痛々しく見えてしまう。
「 うんっ...ありがとう...大丈夫 、ちょっと鼻に入ったけど ......。 」
「 .... そんなトコにまで入ってたのかよ、ほら。チーンしろチーン 」
タリアンは自身のポーチから白い布を一つ取り出せば、マルシルにへと渡しておく。タリアンは粘液が少しだけこびり付いた短剣を拭い、また再び皮のベルトの中にへと仕舞い込み、ベルトを強く締めていき。スライムの死骸をセンシの元へと持っていくと、センシはにこやかな顔でそれを受け取った。とても満面な笑みだ、眩しいぐらいに。
「 ... 爺さん、こうなりゃ止まらねぇからなぁ~ ... 出来るまで待つしかねぇか ... 。 」
タリアンがそう言うと、センシはそのスライムの死骸を横に大きく広がったような円形状のザルにへとそのスライムの死骸をぶち込んだ。柑橘系の果汁が入った熱湯で良く洗っているからか、その色は濃いメロンソーダのような色では無く、心なしか薄緑色になっている気がした。
センシ曰く、スライムはこうして天日干しにする事によって厄介な魔物から高級食材にへと早変わりするらしく、その理論は分からないが、深くは知ろうとしないでおこう。なんとなくそんな気がしたタリアンだった。
「 ___ 出来たぞ。 」
センシがそう言いながら、茹で切った鍋の蓋を開ける。するとそこには
魔物と墓場に生えていた草で作ったとは思えない様な見事な水炊きがそこには広がっており、オオサソリのホロホロとした肉が茹でる事によって大きくなっている事が良く分かる。人呼んで、【大サソリと歩き茸の水炊き】の出来上がりである。
「 ...... うまいっ !! 」
その水炊きを白髪のトールマンが食べると、その顔に歓喜を表しながら舌鼓を打つ。そしてそれに続いて、ハーフフットとセンシも食べ続けていくが二人も美味しそうに食べているのが好印象だったが、その水炊きを怪しいと訝しんでいる者が一名と、そもそも食べるのを遠慮している者が一名そこにはいた_____。
「 ...... 私にも、頂戴っ !! 」
水炊きをどうしても怪しいんでいたマルシルは、遂にその空腹の限界が迎えたのか。我慢出来ずに、その木のお椀に水炊きの一部を入れながら
背に腹は変えられぬ、と言う表情でその水炊きを食ってみるが。その瞬間、掌が返された様にその表情は美味しさに打ち震えるような顔にへと早変わりしていった。
「 うわっ、美味しい !!! 」
マルシルはそう言いながら、水炊きをどんどんと食べ進んで行き。他のみんなも賑やかにその料理を囲みながら話をしていく。だがもう一名、その水炊きを食べようとしないタリアンは墓場の壁に身を預けさせれば、静かに目を瞑り、センシ達が食べ終わるのを待っていたのだろう_____ 。だが、そんなタリアンの姿をセンシよりも先に視界に捉えていたマルシルは。センシにもう一つ、水炊きの一部を掬って貰いながら。自分のお椀ともう一つ、水炊きが入れてあるお椀を持てば。静かに目を瞑っているタリアンの元へと歩み寄れば ... 。
「 ___ ... おーい、起きてる? 」
マルシルのその呼び掛けに応じたのか、タリアンはその瞑想に耽っていた眼をゆっくりと静かに開ける。段々と開けて来たその視界には、金髪のエルフの少女がその両手に水炊きが入れてあるお椀を持っているのが写り込み。
「 あっ、起きた ... 。__ じゃなくてっ !!.... はいっ!これ! 」
そう言われ、タリアンの胸元に差し出されたのは 水炊きがたんまりと入っていたお椀であり。野菜の緑と魔物の新鮮な肉が入っているのにも関わらず綺麗な見た目をしている。
「 ... なんだ、これ 。 」
「 水炊き ... だってさ、あっちにいるドワーフの人が作ってくれたんだ〜 。サソリと歩き茸の水炊きらしいけど、結構美味しかったんだよねー.....、.....だからさっ、向こうで一緒に食べてみようよっ。私、さっき貴方に助けられちゃったんだし。そのお礼って事で、ね? 」
タリアンは最初、そのマルシルの誘いにやんわりと断ろうとしたが。
マルシルの屈託の無いような純粋な瞳で此方を見つめてくるものだからか、タリアンも段々とセンシと同じ様に断るにも断れなくなってしまいそのお椀を受け取って、センシがいる方にへとマルシルと一緒に向かっていった。ちなみにその水炊きはめちゃくちゃ美味かった。美味すぎて、タリアンは少しばかりイラっと来た。
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「 ふぅ〜...食った食った。 」
完食、タリアンも混じった5人組は。水炊きをあっという間に食してしまい。鍋の中も綺麗に食べきれられており、完膚なきまで食い尽くしたのだった。タリアンは魔物食も案外、良いんじゃ無いかと過ってしまった自分を少しだけ責めていた。
「 ... そう言えば、自己紹介がまだでしたね。 」
白髪のトールマンがそう話を切り出す。そう言えば、センシも自分も自己紹介をしていない事に気付いたのか。話を切り出したのと同時にそれぞれ自身の名を名乗っていく。
「 ワシの名は、センシ 。ドワーフ語で探究者という意味だ。
そしてこっちが ... 。 」
「 __ オレはタリアン、
二人が自己紹介を続けると、白髪のトールマンも自己紹介を始めていく。トールマンの名前は、ライオス 。ハーフフットの鍵師の名前がチルチャック 、そしてマルシルはエルフの魔法使い、との事らしい。
そして聞けば、三人は下層に住み着いている
迷宮に潜っているらしく、それを聞いたセンシは
「 .... 頼む、ワシらも同行させては貰えんか。 」
「 __それは、勿論喜んで。こちらとしても随分、助かります。 」
センシの願いは、ライオスにとっては願っても無い事だったみたいで
直ぐに承諾されてしまい。晴れてセンシとタリアンは、ライオス一行にへと加わる事になったのだった。タリアンはさらっと自身が混ざっている事にセンシについて問おうとしたのだったが、センシは少し目を離すと倒れ伏しながら帰ってくるのでこのまま連れて行く、と一蹴される。
タリアンとしては このままセンシと感動的な別れをするのだと思っていた為、正直驚きで有る。そしてセンシはその
【ガバガバ報告】
マルシル⇨タリアン 、好感度UP 。
スライムから溺れかけた死にかけの状況から助けてくれた人。短剣でブスリ、と一突きでブッ刺したのは最早、達人としか思えなかった。オマケに鼻にスライムが入り込んだ時にはさりげなくハンカチくれたりした。紳士、強い。センシと同行してる理由がちょっと気になる。
_____
ダンジョン飯見てたら衝動的に描きたくなっちゃった.....。
すいません許してください!何でもしますから!!