虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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誤字報告ありがとうございます。⎛ಲළ൭⎞←これはペロロ様、スマホ変換でぺろろって打つと出てきたりする。


対策委員会――――第二章 手放さない人
日常の亀裂(変化)


彼女が足を一歩踏み出した時、その場にいる全員が静まり返った。

 

それは、本来ここにはいないはずだった人物であり、対策委員会も、便利屋68も、風紀委員会も、誰もが来ると予想出来なかった出来なかった。

 

「……え…?」

 

「あれって………」

 

「い、い、い、委員長!?い、一体いつから!?」

 

「…え………ええええっ!?!?」

 

今一番凍りついているのは風紀委員会だろう。

なぜなら、風紀委員長の命令とは関係の無い殺傷行為、風紀委員会独自での勝手な行動、その上シャーレの先生すらも攻撃対象にしようとしていた。

こんな事をして、怒らないわけがない。

 

「…アコ、この状況、きちんと説明してもらう」

 

「ゲヘナの風紀委員長……空先ヒナ」

 

空先ヒナ、ゲヘナの風紀委員会のトップであり、同時にキヴォトス最強の一角としても恐れられている。

名前を出すだけで恐れられる彼女の存在は、正しく出会いたくない人物のトップクラスであり、トップとしての冷静さも兼ね備えている。

 

「そ、その……これは、素行の悪い生徒たちを捕まえようと……」

 

そう弁明しようにもすぐに鋭い目つきに言葉が詰まる。

 

「便利屋68のこと?どこにいるの?今はシャーレとアビドスと、対峙しているように見えるけど」

 

「え……?便利屋ならそこに………」

 

そうアコがホログラム越しに指を指すが、そこには誰もおらず、風だけが通り過ぎていった。

 

「い、いつの間に逃げたのですか!?さ、さっきまでそこに……!」

 

「……………………」

 

ヒナは無言でアコを睨みつけ、アコも次第に動きが単調になっていく。

 

「え、えっと………委員長、全て説明いたします」

 

そうアコが言った後にヒナはため息を零し、今この状況について大体理解したとヒナは言った。

 

「察するに、ゲヘナにとっての不安要素の確認及び排除。そういう政治的な活動の一環ってところね」

 

「……………」

 

「でもアコ、私たちは風紀委員会であって、生徒会じゃない」

「シャーレ、ティーパーティー、それに連邦生徒会長。そういうのは「万魔殿」パンデモニウム・ソサエティーにでも任せておけばいい」

「詳しい話は帰ってから。通話を切って校舎で謹慎していなさい、アコ」

 

「………はい」

 

アコは言われるがまま通話を切り、ヒナはこっちを向いた。

 

「……………」

 

あのアコを何も言わせず返す言葉の強さに、頭の回転も早い。それが何を表すか。

 

「じゃあ、改めてやろうか」

 

そうシロコは銃をヒナに向けるが、すぐにアヤネが止めに入った。

 

「ま、待ってください!ゲヘナの風紀委員長と言ったら、キヴォトスでも匹敵する人物を見つける方が難しい程の、強者の中の強者ですよ!」

「ここは下手に動かず、一旦交渉するのが吉です!どうしてそんなに戦うのが好きなんですかっ!」

 

「……ご、ごめん」

 

するとアヤネのホログラムはすぐにヒナの目の前に現れ、交渉を開始する。

 

「こちらアビドスの対策委員会です。ゲヘナの風紀委員長ですね、初めまして」

「この状況については理解されていますでしょうか?」

 

「………もちろん」

「事前通達無しでの他校自治区における無断兵力運用、及び他校生徒たちとの衝突」

「……けれど、そちらが風紀委員会の公務を妨害したのも事実。違う?」

 

「………っ!?」

 

「それはそうかも」

 

「それで?」

 

「私たちの意見は変わりません!」

 

「ちょっと待ってください……、便利屋の人たちもいない、あっちの兵力の数は変わってない、私たちにはもう先生しかいません……」

「あうぅ、こういう時にホシノ先輩がいたら……!」

 

その言葉を聞いた瞬間、ヒナの表情が一瞬固まった。

 

「……ホシノ?」

 

「……?」

 

「アビドスのホシノって……もしかして、小鳥遊ホシノ……?」

 

ヒナがそう言い放った時、もう一つの声が現れる。

 

「うへ〜、こいつはまた何があったんだか。すごいことになってるじゃ〜ん」

 

「ホシノ!」

 

「ホシノ先輩!」

 

「ごめんごめん。ちょっと昼寝しててね〜、少し遅れちゃった」

 

そう言い対策委員会の方を向いているホシノの後ろで、ヒナは初めて驚いたような表情を見せた。

 

「昼寝ぇ!?こっちは色々大変だったのに!ゲヘナのやつらが……!」

 

「でも、もう全員撃退した」

 

「まだ全員ではないですが…まあ大体は」

 

大体の状況を知ったホシノは対策委員会を横目に置きながらヒナの方を向いた。

 

「ゲヘナの風紀委員会かぁ……便利屋を追ってここまで来たの?」

 

「……………」

 

「うーん、事情はよう分からないけど、対策委員会はこれで勢揃いだよ。ということで、改めてやり合ってみる?風紀委員長ちゃん?」

 

そう笑顔で返すが、その笑顔の奥には異様なオーラが放たれており、見えてはいないが、本能でこの空間には入りたくないと言っている。

 

2つの異常と言えるまでのオーラがぶつかり合い、ヒナは少し黙った後、口を開いた。

 

「……1年生の時とはずいぶん変わった、人違いじゃないかと思うぐらいに」

 

「…ん?私のこと知ってるの?」

 

「情報部にいた頃、各自治区の要注意生徒たちをある程度把握してたから」

「特に小鳥遊ホシノ……あなたのことを忘れるはずがない。あの事件の後、アビドスを去ったと思ってたけど」

 

「……………」

 

「……そうか、そういうことか……だからシャーレが……」

「…まあいい、私も戦うためにここに来たわけじゃないから」

 

そのままヒナは後ろを振り向き、風紀委員会に視線を向けた。

 

「イオリ、チナツ」

 

「……委員長」

 

「……はい」

 

「撤収準備、帰るよ」

 

そのヒナの言葉に、この場にいる全員が驚愕した。

 

「えっ!?」

 

「帰るんですか!?」

 

そう風紀委員会に伝えたヒナはすぐにこっちへと歩き出し、私たちの前で頭を下げるようなことさえもした。

 

「…………え?」

 

「事前通達無しでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと」

「このことについては私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドスの対策委員会に対して公式に謝罪する」

 

それイコール、今回の件に関しては完全に風紀委員会が悪いということ、それは風紀委員会にとっても、ゲヘナにとっても、ヒナにとってもいいことじゃない。

ヒナは、それを理解した上で謝罪したということになる。

 

「今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で侵入することは無いと約束する。どうか許してほしい」

 

「委員長………」

 

「ま、待って委員長!あの校則違反者たち……便利屋はどうするんだ!?」

 

「……………」

 

そうイオリが言うにも、委員長が睨みつけるとすぐに言葉が詰まる。

 

「あ、う……」

 

「ほら、帰るよ」

 

そう風紀委員会を返し、ヒナも私の横を通り過ぎ………。

 

「……え…?」

 

ヒナは、私にある''言葉''を残して、アビドスから去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風紀委員会の全兵力……すごい速さでアビドスの郊外へと消えていきました……」

「あれほど大規模の兵力を………風紀委員長、すごい方ですね」

 

「もったいない、強い人と戦えるチャンスだったのに」

 

「シロコ先輩、どこかの戦闘民族みたいね……まあ私も、喧嘩を売られたら逃げるようなことはしないけどね」

 

「うへ〜、結局おじさんは状況が全然分かってないんだけど、何があったの?」

 

「分からないのは私たちも同じなんですよ!そもそもホシノ先輩はこんな時までどこに……!」

 

「まあまあ……」

 

ひとまず、状況が状況だ、これからの事も考えて、今ここでごたついてては意味が無い。

 

「とりあえず、今日は休もう。私も皆も、今日は予想外のことに悩まされ続けた。これ以上考えると私死んじゃう……」

 

「では、今日は一度解散して、また明日学校で状況整理を行いましょう」

 

「……うん、そうだね〜、アヤネちゃんの言う通り。今日はもう解散、明日また学校で」

 

「……ホシノ?」

 

「そうしましょうか☆」

 

「それじゃ、帰ろう」

 

そうして皆が解散していく中、どこか引っかかる瞬間があった。

ホシノの最後の表情、どこか思い詰めているような、難しい顔をしていた。普段のホシノがするような表情じゃないし、今回来るのが遅かったのも引っかかる。

 

「ホシノ……一体なにが……」

 

「先生」

 

すると、シロコが私に声をかけた。

 

「どうしたの?」

 

「風紀委員長が最後、先生に何が話しかけてたけど……何の話?」

 

「あぁ……それは……」

 

 

 

 

 

数十分前、風紀委員会が去る時、ヒナが私の隣に立った。

 

「……シャーレの先生」

 

「え?私…?どうかしたの?」

 

「そう、あなたに伝えておきたいことがある」

「これは直接言っておいた方がいいと思って」

 

「話って……」

 

「カイザーコーポレーションのこと、知ってる?」

 

「知ってるけど……それがどうし………」

 

その時、ヒナは本当に私にしか聞こえない範囲である事を伝えた。

 

「アビドスの捨てられた砂漠……あそこで、カイザーコーポレーションが何かを企んでる」

 

「アビドス砂漠で……?」

 

「そう、本当なら、教える義理はないのだけど」

「…一応、ね」

「それじゃ、また」

 

それを伝えると、ヒナは少し笑顔になり、私の横を通り過ぎて風紀委員会と共にアビドスを去っていった。

 

 

 

 

 

 

「………そうだね」

 

今は、みんな疲れてる。今言ってしまうと、休むに休めないだろうし……。

ホシノのこともある。話す時ではない。

 

「後で、みんながいる時に話すから、大丈夫」

 

「……うん、分かった」

「じゃあ帰ろう、先生」

 

「…うん、帰ろっか」

 

みんなのいる場所、アビドス学校へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

ダンボールが数個積まれている部屋の中で、ため息を落とした。

 

「アルちゃ〜ん、さっきからため息ばっかりだよ、テキパキ荷物運ぼう?」

 

そうムツキが物をダンボールに詰めながら話しかけると、またもやアルはため息を落とした。

 

そんな中、ハルカがある物に指を指した。

 

「え、えっと、これはどこに運べばいいでしょうか?」

 

「ん?これ……ああ、アルちゃんが天賦の才を発揮した書道の残骸じゃん、あっちの燃えるゴミでいいよ」

 

「捨てないでよ!!持っていくに決まってるでしょ!!」

 

そう額縁に入っている文字を外して抱きかかえ、必死に抵抗するアル。

 

「でもこれ、書道の授業の宿題で書いたやつでしょ〜?ほんとに要る?それにこれ「一日一悪」って何?どういう意味?」

 

「こ、これはその……10年後には10億ぐらいの価値がつく………っ、はぁぁぁ」

 

「打っても響かないし、元気ないねぇアルちゃん……」

 

「社長、どうしたの?」

 

そんな中、荷物を運び終え戻ってきたカヨコがムツキに聞いた。

 

「アルちゃん、事務所を引っ越すのがイヤみたい」

 

うずくまるアルを揺らしながらムツキは答えると、アルを説得しようと口を開く。

 

「風紀委員会に場所を知られちゃったし、任務も失敗でクライアントからも狙われるだろうし、仕方ないでしょー?」

「そういえばアビドスとの戦いも、中途半端な感じで終わっちゃったね」

 

「し、仕方ないでしょ!一緒に背中を合わせて戦った人たちを今になって狙うだなんて……私ができるわけないでしょ!」

「……はぁ」

 

そうため息をつけながらアル社長は机から動こうとしない。

 

こんな風に、アウトローを目指している私たちの社長は、お人好しで、人に迷惑をかけれなくて、他者のためなら自分すらも犠牲にできる人だ。

 

実際に、ハルカも、ムツキも、私も、みんなあの人に、少なからず助けられた記憶がある。

 

そんな社長に、恩返しをする為に、私たちはこの場所に、アル社長と一緒に残っている。

 

「…ふふ……本当に、手のかかる社長だ」

 

思わず笑が零れてしまうほどの魅力を持つ社長に、私たちはこれからも付いていくだろう。きっとこの先も、これからも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん、あれは……?」

 

翌日、コンビニで軽くご飯でも買おうと思ったら、コンビニ前に便利屋がいた。

だけど、トラックに荷物を置いて、何か会話をしている。

 

「まあ、特に当てもなさそうだし、またゲヘナに戻る?」

 

話してる内容的に、対策委員会への作戦の失敗でゲヘナに戻ろうとしてるのだろう。

なら、しっかりと送り出さないと。

 

「みんな、気を付けてね」

 

「!!」

 

「えっ!?」

 

「シャーレの……!」

 

「あ、先生だ!来てくれたんだね!」

 

コンビニの角から出てみんなに顔を出すと、みんな驚く中ムツキだけ私に抱き着いてきた。

 

「おぅ……まさか丁度便利屋と出くわすとはね……」

 

「な、なんで来たのよ!アビドスのことを手伝っている身でしょう!?」

 

「え?仲良くしちゃダメかな…?」

 

「っ…!それは……いい…けど」

 

「そうそう、先生とは仲良くしたいじゃん?」

 

「そうですね、風紀委員会の時も、助けてくれましたし」

 

「先生が逃がしてくれる時間をくれた、それにもう行く私たちは、わざわざ敵対する必要はないでしょ」

 

「あはは……バレてたか」

 

確かに、対策委員会の件がメインで話てはいたけど、その裏で逃げれるだけの時間も作っておいたことも事実だ。

 

「というか、もうどこかに行っちゃうの?」

 

「ま、また別の依頼を求めてちょっと移動するだけ!」

 

「そっか、少し寂しくなっちゃうけど、元気でね。みんな」

 

そうアルに伝えると、アルは少し固まった後、すぐに笑顔へと変わった。

 

「ふふっ、もちろんよ!先生、あなたとは事業のパートナーとして協力するのも悪くなさそうだし」

「ただ、今はうちが忙しくてバタバタしてるから、また今度ね、今度」

 

「まあアビドスに二度と来ないってわけでもないし。ここ、良いところだったからね♪」

 

「まあ……そうだね」

 

「はい、本当に」

 

「みんなが、少なくともこのアビドスを気に入ってくれて良かったよ」

 

「……それじゃ、私たちは行くわ」

 

「……うん」

 

そうして、便利屋は荷物を載せたトラックに乗り込み、最後にみんなは私の方を向いて微笑んだ。

 

「それじゃ、またね。先生」

 

「うん、いつでも歓迎するから、元気でね」

 

その言葉を最後に、トラックは走り去っていき、あれだけ賑やかだったコンビニ前も、今は静かに太陽がアビドスを照らしていた。

 

「……さよなら、便利屋68」

 

トラックが見えなくなるほど手を振り、やがてトラックが消えると、私はコンビニの中へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽が一番活発に動く昼頃、私はある病院の中へと足を踏み入れた。

 

病室のドアを開けると、そこには見慣れた顔が数人喋りあっていた。

 

「あ、先生!」

 

「お待たせ、柴大将も、お身体大丈夫ですか?」

 

「ああ、お陰様でほぼ全快だ」

 

「それは良かったです」

 

「大将、お店……」

 

「ああ、バイトできなくなっちゃってごめんな、セリカちゃん」

 

「そういう問題じゃなくて……」

 

「でも、もうお店を畳む予定だったんだ。少し早くなっちまったけどな」

 

「お店、辞めてしまうんですか…?」

 

「ああ、ちょっと前に退去通知を受け取っていてな」

 

その言葉に引っかかったのか、アヤネが会話を止める。

 

「待ってください、退去通知って……」

「アビドス自治区の所有者は、アビドス高校のはず……」

 

「……そうか、君たちは知らなかったか」

 

大将は少し躊躇った後、口を開いた。

 

「何年か前……アビドスが借金を返せずに、そのまま建物と所有者が移ったんだ」

 

「えっ!?」

 

「う、嘘!?アビドスの自治区なのに!じゃあ今は一体誰が!?」

 

「……カイザー」

 

昨日ヒナから聞いたカイザーの謎の企み、ヒナの伝え的にカイザーが来たのはココ最近のはず、ならまず怪しむべき企業だ。

 

「ごめん、アヤネ、セリカ、柴大将、少し用事を思い出した。私は先にアビドスに戻るね」

 

「え?は、はい。なら私もやるべき事ができたので、セリカちゃんは先生と一緒に学校へ戻っていてください」

 

「え!?な、なら私も行く!」

 

「分かりました。なら先生、また後で」

 

「うん、それじゃあ」

 

「それじゃあ、セリカちゃん行こう!」

 

「うん!どこに行くか分かってないけど……先生、また後でね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アビドスまで何故か少し走ってアビドスに着くと、門の前にノノミが立っていた。

 

「あれ、先生?」

 

「あ、ノノ……ぅ」

 

急に止まったから体が追いつかな……い。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…ぅ」

 

「せ、先生?大丈夫ですか?」

 

「だい…じょうぶだよ」

 

嘘だ、死にかけだ。

 

「ののみ…はぁ…はやかった…ね」

 

「は、はい…と、とりあえず中に入りましょうか?」

 

「うん…そうしてほしい…かも」

 

ノノミが私の手を取ると、突然ノノミは私の手を見て微笑んだ。

 

「…先生が、来てくれて本当に良かったです」

 

「…そう、かな…?私じゃなくても他にたくさん助けてくれるいい人が……」

 

「…いえ、先生だけでした…先生が、初めて!私たちを助けてくれたんです」

「本当に、ありがとうごさいます」

 

「私は、私のやるべきことをやっているだけだよ…感謝されるようなことなんてなにも…」

 

私も、実際に誰かに助けられた。

初めて目を覚ました時、目の前にいた人がリンじゃなかったら、もしリンすらもいなかったら、シッテムの箱が起動しなかったら……アビドスに着いた時、シロコが偶然助けてくれなかったら……数々の奇跡が重なって、私はその恩をみんなに返しているだけだ。

 

「…私は、私なりに、みんなに恩を返そうかなって」

 

「…そうですか」

 

「私は、死ぬまでついて行くよ」

 

「……ありがとうございます。そう言っていただけるだけでも、心強いです」

 

「うん、それじゃあ……」

 

ノノミと一緒に学校はと入ろうとした時、横からシロコがやって来た。

 

「ノノミ、先生」

 

「シロコちゃん、早かったですね」

 

「うん……ホシノ先輩は?」

 

「ホシノ先輩は多分、まだ学校ののどこかでお昼寝の最中かと……」

 

「……そっか。先生、大将の容体は?」

 

「大将は無事だったよ…軽いケガだけで済んだ」

 

「まだやるべきことは残ってますので、またみんな集まったら改めて話し合いましょう」

 

「……うん、分かった」

「…じゃあ、先に入ってるね」

 

そう言い、少し足早にシロコは中へと入って行ってしまった。

 

「……?シロコちゃん……?」

 

「…シロコ、何かあったのかな」

 

「先生も、そう思いますか?」

 

「何なんでしょうか……気のせいだと良いのですが……」

 

「気のせい……だといいね」

 

昨日、風紀委員会後の解散時、シロコはずっとホシノのことを見ていた。

そのこともあって、少しシロコはホシノのことを怪しく見ている。

 

「……私が、どうにかしないと」

 

私たちもシロコに続いて学校内へと入っていく。

 

だが、その私の中にあった謎の不安感は、すぐに学校内で起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

学校内に入って早々、突然手前の教室から大きな音が鳴った。

しかも、何かが落ちたような大きな音だ。

 

「いたた……痛いじゃ〜ん、どしたのシロコちゃん」

 

「……いつまでしらを切るつもり?」

 

シロコとホシノの声、その声はさっき大きな音が鳴った手前の教室からだ。

 

「シロコ……ホシノ!」

 

慌てて教室のドアを開けると、さっき寝ていたであろうホシノが、目の前に立っているシロコを見上げ、シロコは静かな怒りを見せながらホシノを見下ろしていた。

 

「嘘じゃないって〜……ん?」

 

「ホシノ先輩!シロコちゃん!?どうしたんですか?」

 

「どうしたの!?」

 

「これは………その……」

「……ホシノ先輩に、用事があるの」

 

沈黙するホシノ、用があるにしては何か裏がありそうなシロコ、何も知らない私とノノミ。

 

アビドスの中で、小さな亀裂が入り込もうとしていた。




長物を書くことに慣れていないせいで、すごい時間がかかる。
普段2000とか3000文字でやってるのに長いものを書くと言い色んな人を見ると平気で一万超えてて泣いた。
「対策委員会編長いかな…?」と思ってたらみんな自分以上に長くて安心した。この調子でやろう。
気づけばアニメ最終回、アビドス編3章もクライマックスに突入し、私の情緒は完全に死亡しております。自分に合ったペースでやるのが一番ですね。
期間があきすぎて忘れられていないかと体を震わせております。どうか忘れないで
皆さんの応援を糧に、ゆっくりやっていくので、よろしくお願いします
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