虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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カイザーPMC

列車に乗り込み、しばらく経つと、列車はある駅で止まってしまった。

アビドスの教室からホログラムで通話しているアヤネは、みんなを降ろし、これ以上は徒歩でしか行けないと伝えた。

 

列車から降り、徒歩でアビドス砂漠へと向かう。

 

この情報を与えたのは、風紀委員会の委員長、ヒナからの伝えだ。

それでこそセリカはそのヒナについて疑問を抱いていたが、おそらく、いや、ヒナは嘘をついていないだろう。

そもそもアビドスは今や小規模となってしまった地域であり、ヒナ含むゲヘナや風紀委員会は無理に危険を犯してでもアビドスを襲ったり、企みを計画することもないと言える。

 

それで言うなら、アコの方が断然怪しい。

 

だが、このアビドス砂漠のことを伝えたのはヒナ本人の口からだ。ヒナの地位と信頼、そして考えまでも見抜くことはできない。

 

ヒナのことは信用している。だからこうやってアビドス砂漠へとやって来た。

 

「ここから先が、捨てられた砂漠……」

 

たどり着いた所は、本来アビドス''だった''所。

だが、ホシノは懐かしそうに口を開いた。

 

「いや〜、ここも久しぶりだねぇ」

 

「先輩は、来たことあるの?」

 

「うん、前の生徒会の仕事で何度かね」

「もう少し進めば、そこはなんとかつてアビドス砂祭りが開かれていたオアシスが!」

「……まあ、全部干上がっちゃったんだけどね〜」

 

もう少し進むと、ヒナの言っていたセクターまで着いた。だが砂嵐で見ずらかったが、そのような建物は見えなかった。

 

だが、歩いていくと、砂嵐の中からドローンとロボットが歩いていく所を見つけた。

 

「ふむ、ドローンにオートマタか」

「この辺り、何だかこういう良くないのが集まんだよね」

 

すると、ドローンで先を見ていたアヤネが驚愕する。

 

『……っ!?皆さん、前方に何かあります!』

『砂嵐で見えずらいですが……あれは……!?』

 

『何か大きな施設のようなものが……』

 

「し、施設?こんな所に?」

 

『見間違いではないと思いますが…と、とりあえず先に進んでみてください!』

 

先に進むと、砂嵐は止み始め、そこには白い壁で覆われた巨大な施設のような建物が砂漠の中にあった。

 

「こんなの、昔はなかった……」

 

全員で忽然としていると、突然銃声と共に銃弾が飛んでくる。

 

「な、なになに!?」

 

銃声の方向からは複数人のオートマタ兵力がこっちに向かって銃を乱射していた。

 

「侵入者だ!捕らえろ、逃がすな!」

 

「前方から、正体不明の兵力が……!」

 

「やるしかない」

 

指揮をあげよう。

 

「ホシノ、シールド展開後、敵の視線を防ぐよう5歩半歩いて」

 

「了解」

 

ホシノが前に出ると同時にシロコも攻めを始める。

 

「アヤネ、救急の準備、セリカ、冷静に一人一人の頭を狙って気絶させるように。ノノミはとにかく敵の分散と撹乱、敵の足を狙って」

 

指揮をあげていて順調に進んではいるが、強いとは言えないが、とにかく一人一人がタフだ。

正直、便利屋や風紀委員会と同等ぐらいで考えていたけど、そこまでだったな。

 

「うへ〜、結局何なのこいつら?」

 

「そんなに強くないけど、邪魔のいうか、厄介というか……」

 

「そうだね……」

 

この位のレベルなら便利屋でも制圧できるぐらいだけど……単純な数だけで押すのか…?

 

ある程度片付けた後、オートマタの体やらを調べていると、アヤネはあるものを見つけた。

 

『施設に、何かしらのマークを発見しました!』

 

「マーク?」

 

『確認します!』

 

アヤネのドローンで確認を行うと、そのマークの意味を見つけた。

だが、それは驚くべきものだった。

 

『……確認が取れました』

『このマーク…この集団は……』

 

「……カイザーPMC」

 

『っ!?はい、ホシノ先輩の言う通り、カイザーPMCです』

 

「カイザーってことは……こいつらもカイザーコーポレーションってこと!?」

 

『はい…同じ系列の会社で……』

 

「それに……PMCか」

 

「え?何かマズイ言葉なの?」

 

「PMCとは、民間軍事会社private military companyのことです」

 

「ということは……今回のは、ヘルメット団とか、学校の団体とかとはレベルが違う……っていうこと」

 

その時、ある情景が脳裏を通り過ぎた。

 

「これは………まさか…!」

 

その次、施設全体に警報音が響き渡った。

それと同時に、空からはヘリの音、地面からは何か引きづるような、重機が動く音がする。

 

「っ…マズイ…早くここから逃げよう!」

 

今は考えてる時間は無い。今すぐにでもここから逃げないと、どうなるか分からない。最悪死ぬ。

 

その場から走って離れるが、後ろからはヘリや重機の音が鳴り響き、銃弾や大砲が上から降ってくる。

 

「やばいやばい!死ぬ!?」

 

一発でも喰らえば致命傷、流石にまだ死にたくない!

 

通って来た道を全力で逆走するが、動くのが遅かったせいか、次第に道が塞がれていく。

 

「はぁ、はぁ……」

 

「きりがないな…こりゃあ」

 

「…先生、大丈夫?」

 

「はぁ…はぁ……はぁ……無理…かも」

 

最近体力ついたと思ったんでけどな……。

 

『……せい、聞こえます…か?包囲網…抜け……ま…』

『…が…不安……早く………撤退……』

『……が…………接近………』

 

アヤネからの通信も不安定となり、そして途切れてしまった。

 

「……絶体絶命?」

 

「包囲されちゃったかー……」

 

オートマタは銃を構える。

 

「撃つのか……私の生徒たちを?」

 

「…………………」

 

少し睨みつけると、一瞬オートマタの動きが止まった。そしてそのオートマタの後ろからまた1人来た。

 

「侵入者とは聞いていたが……アビドスだったか」

 

そのロボットは他のオートマタとは違い黒いスーツに赤いマフラーをかけた大型のロボットだった。

 

「ここまで来るとはな…まあいい」

「勝手に人の所有地に入り、暴れたことによる被害額を君たちの借金に加えてもいいが、大して変わらないな」

 

「お前は……あの時の…!」

 

「確か、例のゲマトリアが狙っていた副会長……だったか?」

 

「とりあえず、誰?」

 

「ふむ、アビドスなら説明ぐらいは入れておくと思ったが、まあいい」

「私は、カイザーコーポレーションの理事を務めている者だ」

「そして君たち、アビドス高等学校が借金をしている相手でもある」

 

「嘘っ!?」

 

「……!」

 

全員が驚く中、ホシノと理事は互いを睨み合う。

 

「では、古くから続くこの借金について、話し合いでもするとしよう」

 

 

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