虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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夜、アビドスにて

「じゃーん!」

 

貴方はある張り紙のような物を私に見せてくる。

 

「ホシノちゃん見て見てー!アビドス砂漠祭りの昔のポスター!やっと手に入れたよー!」

 

嬉しそうに話す貴方は、いつも楽しそうで、何があっても折れない人だった。

 

「この時はまだ、オアシスが湖みたいに広がってたんだよねー。あ、このポスターは記念にあげる!」

 

そう渡されたポスターを手に取ってみる。

少し汚れてるけど、大きく書かれた『アビドス砂漠祭り』後ろには湖の絵や、開催日時、概要なんかが記されていた。

 

「えへへ、すっごく素敵でしょー?もし何か奇跡が起きたら、またこの頃みたいに人がたっくさん集まって____」

 

「奇跡なんて起きっこないですよ、先輩」

「そんなもの、あるわけないじゃないですか。それよりも現実を見てください!」

 

あの時は、自分が思っているよりイラついてた。ただそんなくだらない理由だけだった。

 

「は、はうぅ……」

 

私は今までよりも強く当たってしまった。

 

「こんな砂漠のド真ん中に、もう大勢の人なんて来るはずないでしょう!?夢物語もいい加減にしてください!」

 

「うえぇ、だってホシノちゃーん……ご、こめんね?」

 

そうやって言う謝罪すらも、私にとっては苛立ちを加速させるだけだったんだ。

本当なら、こんなこと、いつものことで、すぐ許してたのに。

 

「そうやってふわふわと、奇跡だの幸せだの何だの……」

 

ただ一言、私もごめんなさいって言えばよかったのに。

 

「もっとしっかりしてください!あなたはアビドスの生徒会長なんですよ!?もう少し、その肩に乗った責任を自覚したらどうなんですか!」

 

そう感情のままに言っちゃって、そこで止まればよかった。

私は、持っているポスターを……先輩がやっとの想いで持ってきた数少ない一つのポスターを………。

 

あの時の先輩の顔、今でも忘れられないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

 

気がつくと、アビドスのいつもの会議室に帰ってきていた。

寝てたわけではないけど、何故か戻って来る時の記憶が曖昧で、良く思い出せない。

 

意識をしっかり保つと、何やらみんなが何かを言い争っていた。

 

「そんなことをしても、あの時の変わらないよ!」

 

「でも、私たちにはもうどうすることも出来ない!アビドスにいるためにも……こうするしかないの!」

 

「私たちのために、アビドスのためにやるの」

 

「でも、それじゃホシノ先輩の想いが……!」

 

「みんな、一旦落ち着いて……」

 

先生の声も通らないぐらい熱くなっちゃって……こういう時に、私がいるのかも。

 

「ほらほら、みんな落ち着いて〜」

 

手を叩いて声をかけると、全員の意識がこっちに向いた。

 

「頭から湯気がでちゃってるよ〜」

 

「ん………」

 

「……っ」

 

「ホシノ……」

 

「……ごめん、こんな風にしたいわけじゃなかった。」

 

「うん、みんな分かってるよ。シロコちゃんも、いい子だからね」

「とりあえず、今日はこの辺にしておこう」

 

「無理に考えすぎても、逆に焦っちゃうからね」

「一回頭を冷やして、また明日集まることにしようよ」

 

「…そうだね。考えすぎも逆に分からなくなるだけだから、今日はホシノの言う通り、解散しよう」

 

「…分かった」

 

「よぉ〜し、それじゃ、みんなまた明日ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんな帰り時間帯もだいぶ遅い時間、未だにホシノとシロコ、私は会議室に残っていた。

 

「んー?シロコちゃんは何かまだやることがある感じ?」

 

「……先輩、ちょっといい?」

 

「少し、話したいことがある」

 

「うへ〜、おじさんと話したいことがあるなんて、照れるな〜」

「でも、今日は疲れたし、色んなことがあったからまた明日話そう。大体どんな話か分かってるから」

 

「……ん、分かった」

 

そうシロコは頷くと、私の方に視線を向けた。

もちろんの如く、私はその視線の意味を理解し、頷いて返す。

 

「ん、じゃあまた明日」

 

そう言いシロコはバッグを持って教室から出ていった。

 

「うへ〜、先生やるねぇ、私の可愛いシロコちゃんと目と目で意思疎通ができる仲になっちゃって〜」

「いやはや、やっぱり先生は侮れない大人だな〜」

 

ホシノのそんな言葉も聞かず、私はホシノの前まで来て、ホシノと視線を合わせた。

 

「せ、先生?」

 

「ホシノ、少し話したいことがある」

 

「ん〜……何を?」

 

そう聞かれ、私はシロコから貰った紙をホシノに見せた。

 

その紙とは、小鳥遊ホシノの退部、退会届けだ。

 

「それって………」

「うへ〜、いつの間に……!これ、盗ったのはきっとシロコちゃんだよね?」

「全くシロコちゃんったら、いくら何でも先生のカバンを漁るのはダメでしょ〜」

「先生、きちんとシロコちゃんを叱っといてよ〜?あのままじゃとんでもない大悪党になっちゃうから」

 

「うん、それはまた今度言っておくね」

「でも、今はこの退部届けについて知りたいな」

 

「………そっか」

 

「聞かせて欲しい」

 

しっかりとした目でホシノに問いかけると、ホシノは少し焦りながらも黙り込んだ。

 

「……うーん。逃げしては……くれないよね…?」

「……はあ、仕方ないな」

 

ホシノは少し黙った後、雰囲気が少し変わり、席を立った。

 

「面と向かって言うのもなんだし……先生、少しその辺を歩かない?」

 

「……うん、分かった」

 

そう答えた後、私とホシノは会議室を出て、夜の学校を歩き始めた。




頭痛いので早めに切りました。すいやせん
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