虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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誤字報告超感謝です。
気づいたら総合300ptになってました。ありがとうございます!


手放さないもの、失わないもの

アビドス砂漠全域に緊張が走るこの瞬間、カイザー施設の一角を守りながら攻めを言い渡された数人が待機している。

 

「………はぁ」

 

「カイザーPMCの増援を発見。一個大隊の模様です、委員長」

 

「分かったわ」

 

風紀委員会幹部であるチナツ、イオリ、アコ、ヒナは先生のお願いを承諾し、最も敵を引き付けやすい場所での待機を命じられた。

 

「どうして私もここにいるんだ……」

 

イオリは露骨に嫌がる態度を見せるが、チナツは本当になぜ自分がここにいるかを疑問に思っていた。

 

「まだ風紀委員の仕事も残ってるし、手早く片付けよう。先生の期待に応えない訳にもいかない」

 

「そっちが本音じゃ……」

 

「何か言ったイオリ?」

 

「ナニモイッテマセン」

 

ヒナが全員の前に立ち、指揮を取る。

 

「ここで全軍止める。誰一人として先生には近づけさせない」

「……行こう」

 

そのヒナの合図と同時に銃弾を放ち、それに追いかけるようイオリ、チナツ、遠距離の支援からアコ、全員カイザー相手に正面衝突をしに走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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対策委員会視点。

対策委員会全員が施設内へと侵入し、無事ホシノのいる場所まで近づけた。

 

『っ!前方に敵を発見しました!!』

 

アヤネの報告に全員が銃を構え、体制を作る。

 

「みんな、待って」

 

一度攻めを止め、上を見上げる。

 

「どうしたの、先生?」

 

「巻き込まれちゃうから、それ以上行っちゃうと」

 

「巻き込まれる…?それって_____」

 

その次の瞬間、巨大な砲弾が真上を通過し、向かってくるカイザーたちに直撃した。

 

『これはL118……?』

 

「トリニティの戦いのために作られた砲弾、これをできるのは……」

 

アヤネのいるホログラムにもう一つのホログラムが現れ、『5』と書かれた紙袋を被った少女、ヒフミが姿を出した。

 

『あぅ……わ、私です』

 

「あっ!ヒフ____」

 

そう言いかけるセリカを止めるようにヒフミは訂正する。

 

『ち、違います!私はヒフミではなく、ファウストです!』

 

「自分で言っちゃってるよ。それに………意外と気に入ってる?」

 

『あ、あれ!?』

『と、とにかく!このトリニティ砲弾に関してですが、これはと、トリニティ総合学園とは一切関係ありません!砲撃をする人にもそう伝えておきましたので……』

『す、すいません、これくらいにしかお役に立てず……』

 

「そう悲しそうな顔をしなくても、十分に助かった。ありがとう、ヒフミ」

 

『う、は、はい!み、みなさん頑張ってください!』

 

そういい思いっきりヒフミは電源を抜きそのまま落ちていった。

 

「…ありがとう。行こう」

 

そのまま次の場所へと向かい歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきの施設とは違い、ここら辺には砂が山を作っていたり、砂漠化がだいぶ進んだ場所だった。

 

だが、この辺りには、やたらと学校の部品が散りばめられた場所だった。

 

「ここは……ホシノの言っていた…」

 

「その通り。ここが本来のアビドス高等学校の本館だ」

 

「カイザー理事」

 

ホシノのいる場所の道の前を塞ぐように大勢のカイザーPMCと共に、カイザー理事は私たちの目の前に現れた。

 

「ホシノはどこにいる」

 

「あの副生徒会長か?向こうの建物にいる」

「だが、もう実験は始まっていることだろう」

 

「っ!」

 

「なら、そこを退け」

 

「退かせたければ、力ずくで振り切ってしまえば良い。君たちにできるのなら、な」

 

その理事の言葉と共に、互いに銃を構える。

 

「……ん、私がここを_____」

 

「いや、待って」

 

前に出ようとするシロコを止め、私がみんなの前に出る。

 

「ここは、私がやる」

 

「貴様がくるのか、キヴォトス人でもない貴様が?」

 

「…………そうだな」

 

確かに言われていることは事実、私は例えどんな小さい子供でも、私が力で勝つことは出来ない。

だけど、だからと言って生徒を見殺しにするなんてこと、そんなことをするのなら私は死を選ぶ。

 

何十、何百通りの作戦と可能性を考えても、これだけは、私自身がやりたかった。

 

そのまま歩き出し、理事の目の前に立つ。

 

「……どうやら、本気のようだな」

 

カイザー達は私を囲むようにし、銃を私の頭の位置で構えた。

 

「先生…!」

 

「……理事」

 

「さあ。来るといい」

 

そんな余裕ズラをしている理事に向かって、拳を強く固める。

 

本来なら、こんな拳、痛手にすらもならない。だが、私はただの人間ではない。

 

「……理不尽だと思うが、ホシノの苦しみ、対策委員会の苦しみを一点に、お前を殴る」

「……歯ァ食いしばれよ」

 

その瞬間、カイザー理事は何かを本能で読み取った。

先生の右眼には、左目の黒い目とは違う、青く光る眼が写し出されていた。

 

「これは………まさか!?」

 

理事はガードの体制を取るが、もう遅かった。

本来なら見えるはずのない先生の拳には、白いモヤのようなものがまとわりついているように見えた。

 

その放たれた拳は、本来のキヴォトス人だったら平気で耐えれるような弱い威力のはずだったが、その拳を喰らった理事は、殴られた腹を押さえつけ膝をついた。

 

「ぐぅっ!?なんだ……重い……」

 

「貴様!よくも!撃てぇ!」

 

「先生!」

 

本当に殴ると思わなかったカイザー達も驚いてはいるが、直ぐに構えていた銃の引き金を引こうとした。

 

「便利屋!頼んだ!」

 

そう叫ぶと同時に、辺り一面が突然爆発し始める。

 

「な、なんだ!?」

 

突然飛んできた弾丸がカイザーPMCの頭を撃ち抜き、撃たれた方向を見ると、そこには四人がみんなをビルから見下ろしている。

 

「やっほ〜先生!」

 

「助けに来たわよ、先生!」

 

「みんな、助けてくれたありがとう!」

 

「もしかして、ここでの登場ってことは………」

 

「……なるほど、そういうことだね」

 

対策委員会のみんなは何かを理解したのか、期待の目を便利屋へと向ける。

じゃあ、私も乗るしかないね。

 

「便利屋のみんな、お願いがあるんだ!」

 

「どうしたの?先生」

 

「私たちは一刻も早くホシノの元に向かわないといけないんだ。だから、どうかここを持ちこたえてもらえないかな」

 

そう言うと、アルは突然のような清ました顔をした。

 

「……っふ、もちろん、分かっているわ」

 

「社長、ちょっとま____」

 

「ここは私たちに任せて、先に行きなさい!!!」

 

そんなカヨコの止めも聞かず、アルはそう言いっ切った。

 

「ありがとう!たぶんすぐ増援がくるから、安心して!」

 

「行こう!みんな!」

 

「了解!」

 

便利屋に任せ、そのまま向かおうとした時、セリカが便利屋の方を向いた。

 

「べ、別に、お礼は言わないからねっ!!」

「でも、全部終わったら……その時は一緒に、ラーメンでも食べに行くわよ、便利屋!!!」

 

「はい、このご恩は必ず!」

 

「ん、ありがとう」

 

そう言い、私たちは行くべき場所へと走っていった。

 

「はぁ……仕方ないか」

 

「い、勢いに任せて言っちゃった……!こ、攻撃!?い、いや、逃げ……」

 

「アルちゃ〜ん、先生のお願いを無視して逃げちゃうの〜?」

 

「うぅ……それは……嫌だわ」

 

「なら、やろうよ」

 

「まあ…増援も来るって言ってた。諦めるには早いよ」

 

「わ、私は何処へでも着いていきます!」

 

「み、みんな………」

 

そう背中を押して貰い、アルはもう一度下を見下ろす。

 

「じゃあ……行くわよ!」

 

ボロボロながらもやっとの思いで立ち上がる理事と買おを見合わせ、ビルから落下していく。

 

「便利屋、依頼開始よ!」

 

「こんな所で!終わる訳にはいかないのだ!!」

 

一個のスナイパー弾丸から、総力戦が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風紀委員会も大半を終わらせ、施設内へと入っていた。

 

「銃声がする……奥の方だ」

 

『向かいますか?委員長』

 

「ええ、私たちの役目は、先生のサポートだからね」

 

そう言いながら向かっていると、左の道から、もう一人走ってきた。

 

「止まれ!」

 

イオリが即座に銃を構えると、直ぐに走っていた人は手を挙げた。

 

「は、はい!?すいません!?」

 

「貴方は……」

 

白い制服、トリニティ生徒(ヒフミ)だった。

 

「トリニティ?なんでここにいる」

 

「あ、あう……えっと、先生のお願いで……」

 

「お前もか?」

 

「は、はい!」

 

『どうしますか、委員長?』

 

「……そうね」

「先生からなら、今回は仲間。手を出すのは辞めなさい」

 

ヒナはヒフミに近づき、手を貸す。

 

「私たちは先生のサポートをする。今銃声のする方へ一緒に向かうわよ」

 

「は、はい!ありがとうございます!」

 

そうしてヒフミと共に奥へ向かうと、ちょうど今戦っているカイザー理事と、風紀委員会がいつも追っている便利屋を見つけた。

 

「あいつら……一体何を……?」

 

「もしかして、先生は便利屋にも…?」

 

「……そうみたいね」

 

直ぐに状況を理解し、ヒナは銃を持った。

 

「仲間なら、今回は見逃しましょう。便利屋はゲヘナ単位で見れば、そんなに悪い存在ではないから」

 

『了解しました。委員長』

 

「じゃあ、私たちも加勢しましょう」

 

「わ、私も行きます!」

 

一つの想いが、人を繋いだ。

各実力者が、一人の為に動いている。

 

これは、果たして信頼や、信用と呼べるのかは分からないが、どこか隠された力が動いていたのだろう。

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