『ねえ、ホシノちゃん』
太陽の日差しが熱く、教室もその熱さに照らされ、自然と暑くなっている時、ある人は、私に言った。
『私ね、ホシノちゃんと初めて出会った時、これは夢なんじゃないかって思って、何度も頬をつねったの』
「…先輩」
『ホシノちゃんみたいな、可愛くて強くて、頼れる後輩がそばにいるなんて夢みたいなことが、本当に嬉しくて……』
「………め先輩」
『うーん、上手く説明できてないかも……?』
「……ゆめ先輩」
『ただ、こうしてホシノちゃんと一緒にいられることが、私にとっての奇跡みたいなものなの』
「…ユメ先輩」
『ねえ、ホシノちゃん。いつかホシノちゃんにも可愛い後輩ができたら、その時は______』
「ユメ先輩」
ごめんなさい。
もう、力が入らない。
もう、動かす気力もない。
もう、生きれない。
いつまで経っても、どこで間違ったのか何度も見直しても、分からなかった。見つからなかった。
あの日、あの時、あの瞬間に、私は、私自身は、あの人にとっての大切な____。
「………謝り、たかった」
最後の最後まで、何もしてあげられなくてごめんね。
あの日から、全てを間違ってごめんなさい。
私は正しい人間なんかじゃない。
「…ごめんなさい」
私には、謝ることしかできない。
私には、目を閉じて、ただ後悔することしか……。
「先輩はすぐそこにいるはずです___!」
遠くから、壁越しに聞き馴染みのある声が聞こえる。
「ん、壊れない……もう一度」
力強く扉を壊そうとする音が聞こえる。
「あ、アヤネちゃん!?どうしてここに!?」
「シャーレに貸してもらったヘリで!ホシノ先輩は!?」
「ここです!でもドアが開かなくて……!!」
「………っこんの!!」
次の瞬間、扉が大きな音と共に弾き飛び、私の周りを囲んでいるレーザーの光と、私を拘束している手錠が外れ、私はその場で倒れてしまった。
目を開けると、私の体は自由に動くことができた。
いつぶりに動けるだろうか、さっき聞こえた声……夢、なのかな。
夢……だったとしても。私は、最後に……謝りたい。
やっぱり、手紙でお別れだなんて、いやだ、いやだ。
「……いや……だ」
力の入らない手を足を使い、立ち上がる。
声の方へ、声の方へと重い足を動かしながら、歩き始める。
そして、出口の扉に手を掛け______。
「「「「ホシノ先輩!!!」」」
「あ、あれ………」
扉の先には、みんながいた。
「……先生」
「ホシノ」
みんながボロボロの姿で来たこと、先生がどんな人よりも先に私の前に現れたこと。
もし、あの手紙を読んでも来た時、私自身の口から言おうと思ってたのに、いざ目の前にすると、自然と口角が上がっていく。
………もう、いいや。
「……ああ」
神様は、私を、大人を信じたんだね。
私に、信じてって、伝えたかったんだ。
「……お、おかえりっ!先輩!」
セリカちゃんが、耳まで赤くなった状態で真っ先に私に迎えの言葉を掛けてくれた。
「ああっ、セリカちゃんに先を越されてしまいました!恥ずかしいから言わないって言ってたのに、ずるいです!」
「う、うるさいうるさい!順番なんてどうでも良いでしょ!」
「………無事で良かった」
シロコちゃんが、誰よりも先に私のことを心配してくれる。
「ホシノ先輩、おかえりなさい!!」
「おかえりなさい、です!!」
アヤネちゃんもノノミちゃんも、私におかえりなさいと言葉をくれる。
「おかえり、ホシノ先輩」
対策委員会のみんなは、私のために命を懸けて、この場所に来た。
私は、みんなを危険に晒してしまった。
………だけど、今はそんなことを考えてる場合じゃないよね。
私は、対策委員会の一員なんだから。
「……なんだか、みんな、期待に満ちた表情だね」
「………求められてるのは、あの台詞?」
「ああもうっ!分かってるなら焦らさないでよ!」
「……うへ〜」
またもう一度、やり直せるのなら。
もし、あの過ちから、もう一度生まれ変われるのなら。
『ただいま』
もう一度、やり直してみよう。
そう、教えてくれたのは………。
ホシノホシノホシノホシノホシノ幸せになってね。ホシノの為の回でした。次回エピローグです。