虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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ゼロからイチへ

補習授業が始まってから数日が経過し、今日もいつものように放課後に教室へと集まる。その自習時間中のある出来事。

 

「ハナコ、この問題はどう解けば良い?」

 

そうアズサが隣にいるハナコに聞くと、ハナコは直ぐにアズサの隣に座った。

 

「どれですか?ああ、なるほど。こういう時はですね、倍数判定法を用いてこのように……」

 

奇行と定期的にピー音が入る所を除けばハナコは正に美少女だと言える。それに加え人に教えれる程の頭の良さもあり、完璧と言われても遜色の無い子だ。

 

「なるほど……うん、理解した」

 

一方でアズサも奇行と少し世間離れした発言を除けば努力を惜しまず素直に分からない所を聞き、理解の出来るいい子だ。

 

「…………」

 

そんな2人を見てヒフミも意外と言わんばかりの表情で2人を見つめていた。

 

「………?」

 

「えっと、コハルちゃん?何か分からない問題でもありましたか?」

 

頭にハテナ???を浮かべるコハルに思わずハナコが聞いてみると、コハルは慌てて別にないと言い切った。

 

「ちなみに今見てるそのページは、今回のテスト範囲ではありませんよ」

 

「えっ、うそっ!?」

 

分からないの範疇ですらないのかもしれない。

 

「ちが……っ!し、知ってるし!今回は余裕だから、先のところを予習してただけ!」

 

「あ、あはは……」

 

「……ゼロからイチを作ることはいいことだからね」

 

「ハナコ、この文章は何?」

 

「古い叙事の冒頭部分ですね。「怒りを歌え、神性よ___」という……」

 

「ああ、あれか。理解した」

 

「…………」

 

「ハナコ、これは………」

 

「これは古代語を重訳したものですね。原文を理解するには辞書が無いと……ちょっと待っていてくださいね」

 

「ああ、なるほど……これは……」

 

いい雰囲気だな……というかハナコ賢すぎないかな。

 

「後で見ておこうかな……いや、辞めとこう」

 

力は酷使しすぎるとどうなるか分からないからね。

 

「良い感じだね、ヒフミ」

 

「はい!ハナコちゃんが何だかとってもすごくて……!それにアズサちゃんも学習意欲がたっぷりです!」

「コハルちゃんは実力を隠していたそうですし……これなら、余裕で合格できてしまうかもしれません……!」

 

「え?あ……うん……うん?そうだね……?」

 

ヒフミってもしかしてコハルのこと信じてる……?

 

「ま、まあ……仲間を信じることは良いことだから……うん」

 

まあヒフミらしいといえばヒフミらしい……ヒフミの良いところでもあるからね。

 

「実は、「もし第一次試験で不合格者が出てしまったら、合宿をしてくください」とティーパーティーに言われていたのですが、これなら安心ですね!」

 

「うんうん………うん?」

「が……合宿?」

 

「はい、そうなんです……もし三次試験まで全て落ちてしまったら……あう……」

 

「落ちちゃったら……どうなるの?」

 

すると、ヒフミは慌てた様子でこの話を無理矢理断ち切った。

慌てた様子とは言ったものの、そのレベルではないようでその話が終わった後も暗い表情をしていたことを覚えている。

 

「でも、試験は問題無さそうです!」

 

すると、ヒフミはある不自然な疑問を思い浮かべた。

 

「そういえば、ハナコちゃんはすごく勉強ができる感じなのですが、どうして落第してしまったんでしょう……私みたいにテストが受けられなかったとかでしょうか?」

 

「いや、ヒフミのは受けられなかったじゃなくて受けなか……」

 

「ん?何か言いました?」

 

ヒフミから無意識なのか凍りつくほどの視線を感じる。気のせいか分からないけど目にハイライトも入ってない気がする。

 

「イヤ……ナニモ」

 

ヒフミの視線が怖い。

 

そんなこともありつつ、時間は過ぎていき……すぐに、その時がきた。

第一次特別学力試験、当日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

全員が黙り込む中、開始の時間が迫り来る。

 

「みんな落ち着いて、頑張ってね」

 

ハナコやアズサは自信に満ち笑顔や不安な表情は浮かべておらず、ヒフミも多少みんなを心配する方で不安な表情を浮かべている。

 

コハルも少し緊張している顔をするが、失敗はしないような本気の顔をしている。

全員の努力と実力があれば、この第一次で全員が合格できるはずだ。

 

私は、信じることしかできない。

 

「もちろん!エリートの力を見せてやるんだから!」

 

「あはは……はい、頑張ります」

 

「……ふふっ、はい」

 

「………準備は完璧」

 

「それじゃあ……始めよう」

 

時計の針が進み、一点を超える。その瞬間に、試験が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

試験中。

 

私も問題用紙は貰って見ているが、しっかりと教えたところが問題文もそのまま貼り付けてあった。

ハナコの教えていた部分もピンポイントで高得点の問題で、ちょっと疑ってしまうが、素直に凄いとしか言いようがない。

 

見た感じ、ヒフミやハナコは周りを確認する余裕もある。アズサも所々筆が止まっている部分があるが、時間に余裕が生まれるぐらいのスピードで書けている。

 

コハルは多少声が漏れているが、特に欠点的部分は見つからない。流石エリート。

 

え?周りを見たり声を出しているところを注意したりしないのかって?いいでしょ誰も見てないんだし。

 

そうして、長いようで短い試験時間も終わりを迎え、後日となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

「み、みなさんお疲れ様でした……!」

「えっと、100点満点で60点以上でしたら合格だそうです!高得点は取れなくても、そのラインを超えていれば大丈夫です」

 

「それに''内容も結構簡単''でしたし……では、結果発表と行きましょう!」

「先生、お願いします!」

 

「………うん」

 

茶色い封筒から、紙を取り出す。

 

「じゃあ……発表するね」

 

結構簡単……だったよね。うん。




エデン見返してるんですけどやっぱり面白いですわね。
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