虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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プレゼントは友情の証

合宿の初日を超え、勉強という面での初日を迎えた。

 

「お待たせしました。ではそろそろ始めましょうか」

 

各返事をするが、コハルだけなんか訳ありっぽく見えた。

 

「え、えっと……」

 

「ヒフミ、髪の毛がちょっと跳ねてるよ」

 

「っ!?」

 

手ぐしに直そうと頭に触れると、驚いたとはまた違うように体がビクッとした。

 

「ごめん。ビックリさせちゃった?」

 

「い、いえ……ありがとうございます」

「……先生、昨日の夜のことは覚えていますか…?」

 

「昨日の夜…?」

 

昨日を思い出してみるが、特に無かったというか、昨日の記憶が曖昧だった。

 

「ごめん……特に思い出せなくて、何が悪いことでもしちゃった?」

 

「えっ……あ、なら大丈夫です!何も無かったです!」

 

「………?」

 

「みなさん!こちらを見てください!」

 

無理やり話を切り上げみんなの視線を一点に集める。

ヒフミは正面にあるホワイトボードの前に立ち話を始めた。

 

「今日の補習授業部の合宿、その大切な初日です!」

「私たちは今、大変な状態になっていますが、慌てたり、難しく考える必要はありません!」

 

「一週間後の二次特別学力試験で合格する、それだけです!」

 

「そうだね」

 

「ですね」

 

「………」

 

「そこで、今から模擬試験を行います!」

 

そういいヒフミが手に持っているファイルから取り出した『紙模擬試験用』と書かれたテスト用紙をみんなに見せつけた。

 

「模擬試験……?」

 

「なるほど……?」

 

「急に試験!?な、なんで!?」

 

みんなが驚く中、ヒフミはなぜ突然模擬試験を始めるのか、その説明を始めた。

 

「闇雲に勉強しても、あまり効率が良いとは言えません」

「着実に目標達成するためには、何ができていて何ができていないのか、今どの立ち位置にいるのかを把握する必要があります!」

「というわけで、昨晩こちらを準備してきました!」

 

ヒフミが用意した模擬試験用用紙は昨年トリニティで行われた試験内容と同じらしく、途中までしか集められてないそうだが、勉強用として見れば、十分な物だった。

 

「色々とあって細かくは作れませんでしたが……第2次特別学力試験を想定したような形にはできました!」

「試験時間は60分、100点中60点以上で合格。つまり本番と一緒です」

「さあ、まずはこれを解いてみましょう!」

 

そうして始まった第一次補習授業部模試、私が試験開始の合図を出すと、みんなは一斉に答案用紙へ書き始めた。

みんなの姿は最初の試験のような落ち着きのなさは無くなっていたが、未だに慣れないような姿と回答への焦りを表していた。

 

そうして早くも一次の模擬試験は終了し、採点を終え結果が出揃った。

 

「では先生、結果発表をお願いします!」

 

結果を出した紙をホワイトボードに貼る。その点数をみんなが一斉に確認すると……。

 

第一次補習授業部模試結果発表

 

 

ハナコ―4点(不合格)

アズサ―33点(不合格)

コハル―15点(不合格)

ヒフミ―68点(合格)

 

 

その点数を見た四人の表情は明るいものではなく、寧ろ予想より低い___そんな事実を見てしまい、落ち込んでいる表情をしている。

 

それを見たヒフミは、改めてホワイトボードの前に立つと、これが今の現実だと言う。

だからこそ、この一週間を使い60点を超えるためには、効率的に勉強をしていかなければいけないと言った。

 

「そこで!まず、コハルちゃんとアズサちゃんはどちらも1年用試験ですので……私とハナコちゃんが、お二人の勉強内容をお手伝いします!ハナコちゃん、最近何かあったのか知らないですが、1年生の時の試験では高得点だったんですよね?」

 

そう突然聞かれたハナコは戸惑いながらもその質問に違うと否定はしなかった。

 

「実はその、1年生の時のハナコちゃんの答案を見つけてしまいまして……それで、ハナコちゃんの方は後ほど今の状態になってしまった原因をしっかりと把握したいので、先生と私と一緒に解決策を探しましょう!」

 

「…………はい」

 

そう言われたハナコは、多少沈黙した後、落ち着いた表情でYESを口に出した。

 

そこからヒフミは定期的に模試を行い、進捗を確認していくと言った、それが最前の道だと信じて。

そうしてヒフミはみんなに応援の言葉をかける。全ては全員の合格を達成するために。

 

その熱量に押され感化されたのか、アズサは笑顔でヒフミに従うと言う。

それを聞いたコハルも、コハルらしい一言で返答を期した。

 

ハナコは一晩、いや一夜でこれだけのことができたヒフミに関心しおり、ヒフミは先生のおかげだと言うが、私は特に何かした記憶は無い。

 

「それだけではありません、何とご褒美も用意しちゃいました!」

「えっと……」

 

そしてヒフミは自分の机に置いてあったペロロのリュックから、色んなぬいぐるみを取り出し、みんなのいる中心の机に並べた。

 

「こちらです!良い成績を出せた方には、この「モモフレンズ」のグッズをプレゼントしちゃいます!」

 

並べられたモモフレンズというぬいぐるみたちは、大から小まであり……まあ、色々個性的なぬいぐるみだった。

 

「モモフレンズ……?」

 

「何それ?」

 

「!!」

 

みんなの反応を見てみると、私と同じでモモフレンズという存在をあまり知らないような表情を浮かべる。

 

「あ、あれ……?最近流行りの、あの「モモフレンズ」ですが……もしかして、ご存知ないですか……?」

 

「初めて見ましたね……いえ、どこかでチラッと見た気も…?」

 

「えぇっ!?」

 

「何これ、変なの……豚?それともカバ……?」

 

「ち、違います!ペロロ様は鳥です!見てください、この立派な羽!そして凛々しいくちばし!」

 

そうヒフミが持ち上げ近づけるペロロ様に、コハルの目はどんどんと死んでいく。

 

「……目が怖い。それに、名前もなんだか卑猥だし……」

 

「えぇっ……!?た、確かにそう仰る方も一部にはいますけど……よ、よく見てください。じっくり見てると何だか可愛く_____」

 

「あ、思い出しました。そういえばヒフミちゃんのカバンや、スマホケースがそのキャラクターでしたね」

「たしか、舌を出してヨダレを垂らしながら、もう許して……っ!と泣き叫ぶキャラクターだったとか……?」

 

「え…怖い」

 

「え、いえっ先生!?後半部分は色々と違いますよ!?」

 

「……私は要らない」

 

そう敵を見るような目で受け取り拒否をするコハルやキャラクター印象が最悪なハナコとの後、ヒフミは不自然に固まっているアズサに目がいった。

 

「あ、アズサちゃん……?」

 

「………か」

 

「……か?」

 

「可愛い……!!!」

 

今まで見たことのないほどの柔らかい笑顔で可愛いと言いながらぬいぐるみを持ち上げる。

その様子が私たちにとってはあまりに異例な光景であり、驚きを隠すことができなかった。

それに気づくこともなく、アズサは笑顔でぬいぐるみを見続けている。

 

「か、可愛すぎる……!何だこれは、この丸くてフワフワした生物は………!!」

「この目、表情が読めない……何を考えているのか全く分からない……!」

 

「あ、アズサちゃん……?」

 

「さすがはアズサちゃん、ペロロ様の可愛さに気づいてくれたんですね!そうです!そういうところが可愛いんです!」

 

「うそぉ……」

 

「こ、こっちは?この長いのは?イモリ……いや、キリン?何だか首に巻いたら温かそうな……!」

 

「それはウェーブキャットさんです!いつもウェーブして踊っている猫なのですが、仰る通り最近ネックピローのグッズが……」

 

「……なにいつもウェーブしてるって」

 

「これは?この小さいのは?」

 

「これはMr.ニコライさんです!いつも哲学的なことを言って不思議な目で見られてしまう方ですね!」

 

もう何が何だか分からない。

そんな風にヒフミオタクとそうなりそうなアズサの会話は無限と言っていいほど続き、私たちが止めるまで終わるような雰囲気はなかった。

でもその代わり、このモモフレンズのおかげでアズサはやる気を出し始め、久しぶりに満足に語れたのか、それとも仲間ができて喜んでいるのかずっと笑顔で笑ってるヒフミを見て、私たちも少しだけ場が和んだ。




今回のイベストガチでヤバいんでマジで見ることをオススメします。私はキサキを待ち続けます。
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