虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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お久しぶりです。


本当の話(貴方を信じる理由)

「去年、セイアちゃんは何者かの手によって唐突に襲撃された」

「対外的には「入院中」ってことになってるけど……そっちの方が真実」

 

ヘイローの破壊、それはキヴォトス人にとってどんな意味を要するか―――――それは私でも知っている。

外の世界では入院中と記されており、その真実を知っているのはティーパーティーを除くトリニティ生、そしてシスターフッドが辛うじて知っているかの極秘情報。

 

「犯人は……まだ分からない……?」

 

「……うん、分かってない。捜査中っていうか、何も分かってないっていうか……元々セイアちゃんは、秘密の多い子だった事もあってね」

「……うん、まあそういう感じ。とは言っても、目星が付いてない訳では無いんだけど……今の段階で、ただの推測を口にするのもね」

 

話を戻すと言ったミカは気分を一変させ、アズサの件についての話を始めた。

白州アズサという人物をこのトリニティ総合学園に転校させたのは私だと、ミカは言う。

私が聞くと、ミカは数多の方法を使い、完璧な状態で転校させたと語った。

それも、ナギサに黙って。

 

「アリウス分校は今もまだ、私達の事を憎んでいる」

「私達はこうして豊かな環境を謳歌してるのに、彼女達は劣悪な環境の中で「学ぶ」という事が何なのかも分からないままでいる……」

「私達から差し伸べた手も、連邦生徒会からの助けも拒絶し続けてるの、過去の憎しみのせいで」

 

トリニティの行った事は、アリウスにとって決して良い事では無かった。それをアリウスの許可や存在を無視し、好き勝手やられ、挙句の果てに捨てられてしまえば、恨まない方がおかしい程だ。

 

「……私は、アリウス分校と和解がしたかった」

 

それはミカにとっての本音、嘘偽りない純粋な気持ちだった。

だが、アリウス分校からしてみれば、散々好き勝手された挙句自分達の気持ち程度でこの過去が無くなる事は無い。

ミカが言った様に、この憎しみがそう簡単に拭える程、憎しみという一感情は小さくない。ミカでも手に負えないほど、積み上がっているのだ。

 

「ナギちゃんもセイアちゃんも私の意見には反対だった……政治的な理由でね。でも、それも分からない訳じゃない。私達は、ティーパーティーだから」

「わたしは不器用だから、そういう政治とかはちょっと得意じゃないんだけど……でも、また今から仲良くするのってそんなに難しいのかな?」

 

「前みたいにお茶会でもしながら、お互いの誤解を解く事は出来ないのかな?」

 

果たしてそのお茶会を本気で言っているのか、ミカなら本気で言ってそうな気もするが、それは難しいだろう。

 

「それは難しいんじゃないかな……そもそも、何も知らない第三者から見てみれば、トリニティが一方的にアリウスを虐めて、冷めたから仲良くしようって言ってるんだから、アリウスがそれを喜んで受け入れるはずがないよ」

 

それを聞いたミカはそうだねと言うように首を振りながら、考え事をするように黙り込む。

再び口を開いた時、少し悲しそうな表情でこう言った。

 

「私はあの子……『白州アズサ』という存在、和解の象徴になって欲しかったの」

「あの子についてはそれほど詳しい訳でもないんだけど、アリウスでもかなり優秀な生徒だったみたいだし、その可能性に賭けたかった」

 

「エデン条約……これが締結されたら、それこそ本当にアリウス和解は不可能……だから、私はそれを実現させたかった」

「アリウスの生徒がトリニティに来て、ちゃんと暮らしていければ、幸せになれるんだって……皆に証明したかったんだ」

 

そうして実現を始めようとした時『裏切り者』という存在があると言われた。

ナギサの思惑、条約の邪魔をさせない為に作った『補習授業部』。ナギサが怪しいと思って集めた人達。

 

「ハナコちゃんは凄い変わった所があるけど、本当に、本当に優秀な生徒りもちろん成績って意味でも。何なら生徒会長、つまりティーパーティーの候補として挙がってた事もあったくらいなの」

「「シスターフッド」も、あの子引き入れようと頑張ったって聞いたな。上手くはいかなかったみたいだけど」

 

「礼拝堂で、水着だったし、私も見てたけど凄かったな」

 

「………え?」

 

聞かなかった事にしておこう。

だが、前にヒフミとの会話でもしたが、ハナコの過去の経歴を見ると、どんな理由があっても補習授業部という名の場所に入れるとは思えない。

 

コハルに関しては、コハル自身は大丈夫だとミカは言った。だが、その上にいるハスミ率いる正義実現委員会は、お世辞にもゲヘナに対して嫌悪感を抱いているとは考えにくい。

 

だが、ハスミがそんな事をするとは思えない。

 

「……先生のその表情を見る感じ、ハスミちゃんがそんな事するはずないって表情。でも、本当にその通りのイメージで良いのかな」

 

過去にゲヘナ……いや、万魔殿パンデモニウムソサイエティーに対して明確な殺意を持っていたとミカは言った。

ミカは続けて、そんな事を言う副委員長のハスミがゲヘナを好む訳が無いと言い放つ。

 

「最後は、ヒフミちゃんか」

 

ヒフミに関しては一切の悪い情報は無く、本来なら疑われる訳が無いはず……だった。

 

「どうやらこっそり学園の外に出て、怪しい所に行ってたみたい。トリニティの生徒は出入禁止になってるブラックマーケットとか、あちこちにね」

 

「う………うん」

 

それに関しては触れない。絶対に。ヒフミの為にも。

 

全ての事を言い終えたミカは元気良くベンチから立ち上がり、出口へと向かい歩いていく。

そうしながらも、話す事を辞めない。

 

「『裏切り者』これがどんな意味なのか、それをハッキリさせたなら、しっかりとした解答を出せるの」

「まずナギちゃんは今きっと「自分達を、トリニティを騙そうとしている者がいる」と思ってる。誰かがスパイ何じゃないかって」

 

「ナギちゃんの言ってる「裏切り者」は、経歴を偽って入り込んでる子「白州アズサ」」

「アズサちゃんが狙われてる理由は、単純に彼女がアリウス分校出身だから」

 

「私がやった事だから、私なりに終わらせる……それまでの間らあの子を守って欲しい。これは、先生にしか出来ない事だから」

「無理にとは言わないよ。ただ、これは選択の一つであるだけ。ナギちゃんを信じるか、私を信じるか」

 

「なら、ミカは安心して前に進んで」

 

ミカが私を信じる様に、私はミカを信じたい。

だが、それを理由に誰かを敵にする様な事はしたくない。これは私のエゴであり、私の意思だから。

 

「私は、生徒皆を愛してる……だから、私も言いたい」

 

ミカの隣へ追いつき、先にプールを出て階段を降りる。

ミカを背にし、振り返って見下ろすミカを見上げ、逆光に照らされるミカを見つめる。

 

「ミカも、私を裏切らないでね……その答えは、その拳銃に秘めてある。ミカの答えを、聞かせてね」

 

その言葉を最後に、私は振り向く事なく学校へと戻った。

振り向かなかった理由、それは怖かったから。

 

だけど、例えそれが狂愛だったとしてもいい、それを認めたくなければ、背を向ける私を後ろから撃ち抜くだろうから。

 

 

だけどそれをしなかった。それはきっと――――――




投稿が不安定なの本当に申し訳ないです。
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