虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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シスターフッド

教室へ戻ると、私が居ない中でも協力し合って問題を解いている皆の姿があった。

私の存在に気づいたヒフミはすぐさま席を立ち上がり、私の元へと走ってくる。

 

「先生!」

 

「ごめんね、遅くなって」

 

わたしが謝ると、ヒフミは手を振って大丈夫だと言ってくれた。ヒフミはやっぱり優しい。

そしてヒフミは思い出したかのように、自分の机の引き出しから茶色い封筒を取り出し渡しに来た。

 

「先生、これを見てください!こちら、丁度先程受けた模試の結果です!」

 

「ん、ありがとう」

 

封筒を受け取り中身を確認すると、補習授業部四人分の採点と点数が表示されたテストプリントが束になって入っていた。

中から取り出し、結果を見ていく。

 

第2次補習授業部模試、結果―――――

 

 

 

ハナコ――8点(不合格)

アズサ――58点(不合格)

コハル――49点(不合格)

ヒフミ――64点(合格)

 

 

 

「紙一重の差だった」

 

知らぬ間に私の背後から結果を確認するアズサが耳元でそう呟いた。

それを聞いたヒフミは前回とは違い、嬉しそうな顔でアズサを褒めている。

 

「はい!今回は本当に紙一重でした!アズサちゃん、すっこく惜しかったです………!」

 

「み、見た!?ヒフミ、私も結構上がったよ!?」

 

ヒフミの腕を掴んでアピールするコハルに、ヒフミはコハルを抱きしめて褒めてくれた。

 

「はいしっかりと見ました!コハルちゃん、前回は15点だったのに急に49点まで……!伸び代では一番です、凄いです!」

 

「う、うん……そうだけど………く、苦しい」

 

「それでハナコは……うん、ガンバレ!」

 

「あら?先生もヒフミちゃんも、そんなに元気を無くしてしまって……」

「最初の試験が2点、次の模試が4点、今回は8点ですよ?」

 

「ま、まあそうだけど……」

 

私とヒフミは少なくともハナコの過去行った経歴を知っている。だから変に探ってしまえば逆にバレてしまう。

だが、この調子でいけばあの二回……いや、このままいけば、次の試験で全員合格も有り得る。

 

「この調子でしたら、思ったより早く目標に届くかもしれません……!」

 

「必ずや任務を成功させて、あの可愛いやつを受け取ってみせる。それが、私がここに居る理由であり戦う目的だᓀ‸ᓂ」

 

「あ、アズサちゃん!?私達がここにいる理由は試験と勉強であって、目的地は落第を免れる事ですよ!?」

 

「そんな事もあったな。ついでにそれもやっておこう」

 

「ついで!?ついでなんですか!?あうぅ……も、モモフレンズファンとしては嬉しくもあるんですが……」

 

ついで、と言えてしまうのは本来の目的が遂行出来ているから。なのだろうか。

ミカから言われた『裏切り者』それはアズサだとミカは言っていた。もちろん信じるし、疑いはしないが……。

 

「頑張ってね、アズサ」

 

「ああ、先生もよろしく頼む」

 

こんなにも明るい表情を向けている子が、果たして人を殺すだなんて真似、出来るのだろうか?

確かに、常に武器を離さないし、手入れだって欠かさずやっている。常に周りを警戒していて、罠や視覚を使った計画何かも時々呟いているが………。

 

だけど、どうしてもその先―――には行かないような気がしていた。

少なくとも、私の目はそう言っている……気がする。

 

そうして全体の士気も上がっている時、教室のドアが数回ノックされた。

全員その音に気づき、ドアの方向を見つめる。

 

「どなたか、いらっしゃったみたいですね?」

 

「そうですね……この合宿所に、どんな用事で………」

 

「し、失礼いたします……!」

 

「あら、この声は……」

 

ハナコはドアの先にいる人を知っている様で、その隣で即銃を構えるアズサが居た。頼むから変な事はしないでアズサ。

 

「大丈夫、侵入者が来ても準備出来てる」

 

「え?準備って……」

 

「ま、待ってアズ―――」

 

私が止めるよりも先に数発の弾丸がドアを貫いた。奥から驚いた声が響くがお構い無しにもう数発弾丸を放つアズサ。

それと同時に小さな爆発音がドアの向こうで聞こえた。また叫び声も聞こえた。

 

「ブービートラップ。誰かの侵入を感知したら起動する様にしてある」

 

「あ、アズサちゃん!?」

 

「なにしてるのアズサ!?」

 

「こ、これは一体……?え、あ、こっちにも……!?」

 

その声がした瞬間連鎖して爆発音がドアの向こうで行われていた。もちろん叫び声も同時に。

 

「逃げても無駄だ。逃げる方向を予測して、その先にもちゃんと仕掛けてある」

 

「アズサちゃんっっ!!?!?」

 

私とヒフミが直ぐに立ち上がり教室を出る。

爆発音のした方へ向かうと、ドアの目の前で座り込んで咳をする子が居た。

 

「けほっ……けほっけほっ……」

 

「だ、大丈夫ですか……!?け、怪我とかは……?」

 

「きょ、今日も平和と、安寧が……けほっ、けほっ……貴方と共に、けほっ、ありますように……」

 

涙目で咳をしながらも口上?を私達に向けて言ってくれたが、今はそんな事言っている場合じゃない。

 

「まずはご自分の安寧を心配してください!?」

「……あれ、よく見たらその服装、シスターフッドの……?」

 

「あら、マリーちゃんじゃないですか?」

 

気になった様子で教室から顔を出すハナコが、そう名前を呼び確認すると、マリーは限界の様子で頑張って頷き本人だと証明して見せた。

 

「と、とりあえず中に……せ、先生は……」

 

「は……早く行こう……そろそろ倒れる………」

 

「せ、先生!?」

 

こんな煙だらけの所に行って酸欠にならない訳がない。行かなきゃ良かった。

 

「はや……く……」

 

「は、はい!」

 

すぐさまマリーの手を引き、私の手を掴んでヒフミは教室の中へと連れていってくれた。本当にもうすぐで倒れそうだったから感謝しかない。ありがとうヒフミ。アズサは後で説教だね。

 

 

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

「はい、お水」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「先生もお水いる?」

 

「うん……貰ぅ………」

 

「っ……ん、そう……はい、お水」

 

マリーと一緒に水を飲み、飲み終わった後水を置き小さく溜息をついた。

 

「……ふぅ、ビックリしました、ドアを開けようとした途端銃弾と何かが作動して……」

 

「アズサちゃん………」

 

珍しくヒフミが怖い顔をしている。

とは言っても、私も同情の余地はない。やり過ぎた。あれは。

黙ってアズサの肩を掴んで座るマリーの前に出すと、気まづい雰囲気が流れ、負けたアズサが謝罪の言葉を掛けた。

 

「ごめん、てっきり襲撃かと」

 

「え、えぇっと……襲撃?」

 

ちゃんと謝ってくれて良かった。今回は謝った事もあるし、説教は辞めてあげよう。思ったよりも申し訳なさそうにしてるし。

 

「と、ところでどうして、シスターフッドの方がこんな所に……?」

 

「あ、それは……」

「ここに補習授業部の方々がいらっしゃると聞きまして……ただ、ハナコさんがここにいらっしゃるとは存じておりませんでしたが……」

 

マリーが純粋な気持ちでそう言うと、ハナコは少し黙った後冷静で静かな声で答えてくれる。

 

「………私も、成績が良くないので」

 

「そう……でしたか、はい……」

 

少し不思議な表情を浮かべていると、コハルがハナコに知り合いかを聞く。

そうすると、ハナコは濁してご縁、と言う形で収めていた。

 

「マリーちゃんは、私を訪ねて……という訳でも無さそうですね。補習授業部に、どういった用事で?」

 

「あ、はい」

「本日は、補習授業部の白州アズサさんを訪ねてこちらに参りました。伺った所、ここにいらっしゃると聞きまして」

 

「私?」

 

どうやら前に、アズサは生徒を助けていたようでその生徒からの感謝を伝えにきたとマリーは言った。

 

「クラスメイトの方々から、いじめを受けてしまっていた方がいらっしゃいまして……その日もどうやら突然、建物の裏手に呼び出されてしまったのだと聞きました」

 

アズサへの感謝、助けてもらったクラスメイトからの経緯を話してもらった。

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