私は小さい頃からずっと気が弱かった。
そのせいで変に誤解させたり、勘違いを産む事だって何度もあった。
トニリニティ総合学園、ここに住んでる人なら知らない人は居ないほどの超有名高校。なんの取り柄も無い私でも、ここ……トリニティになら、あるかも知れない。そう思って生き続けてた。
だけど、そんな想いがその通りに行く訳なんて無い。
背中に強い衝撃がきた途端、目の前にいる数人の生徒が私を怒鳴りつける。
だけど、なんて言ってるかは分からない。分かろうとしない。分かりたくもない。
ただでさえ内気な私が、誰かに耳を傾けちゃったら、きっとこの身を滅ぼす。だから、私は自分の耳を塞いだの。
小さい頃からいじめを受け続けて、もうなんの感情も湧かない。どこに行った時も、ここに来た時も、直ぐにそう感じ取った。
次は何をされるのか……そんな先の事を考えていると、ある声が塞がった私の耳元に届いた。
「なあ、そこで何をしている?」
「あぁ?」
「…………?」
閉じそうな目を開け、声のする方へと顔を向けると、そこにはトリニティの服装をして銃を背負っている小柄の女の子だった。
「誰、アンタ」
「私の事はいい、何をしていたかと聞いている」
「何?アンタコイツの仲間?」
「いや、知らない」
「じゃあアンタに関係ない」
「それはいじめか?」
一切表情を変えず、私の方へと近づいてきた。
「ちょっと、止まりなさいよ」
そんな言葉も聞く耳を持たず、私の方へと近づき、痺れを切らした彼女達の一人がその子の後ろから手を出そうと手の平を振り上げた。
「だから、止まりなさい………!」
当たるその瞬間、ギリギリで体をひねらせてその手避ける前の場所をから振っていた。
その動きは当たる瞬間まで分からないかった。気づけばその子は手を出した子の下に潜り込んで手の平を突き出す。
その瞬間彼女は衝撃で数メートル吹き飛んだ。
「出来るだけ痛くない場所を押したから、痛みは無いはずだ」
その言葉をその子が言うと、周りにいた彼女達は数歩後退る。そのまま私の目の前まで来て視線を合わせる。
私もあまり背は高くない方だけど、それよりも小さいはずなのに、さっきの動きを見た後になると、凄く安心感がある。
「私はこの子を助けたいだけだから、何もしずにここを去るんだったら何もしない」
後ろを振り向き彼女達の方を向きながらそんな事を言う。
それを聞いた彼女達は苦い顔をしながらその場を直ぐに去っていった。
去っていった様を見終えると、その子もまた同じ様に去ろうとした。
その後ろ姿を見ているだけでいいのか?もう二度と会えないかもしれない。どれだけ感謝しても、言葉に出来なかったら―――
そう心の中で自分に問い掛けていると、気づけば私の口は言葉を発していた。
「あ……あの!」
「ん?何だ?」
「な……何で、助けてくれたんですか」
「何で?それは言わないとダメか?」
「あ……い、いえ……言いたくない……なら」
こんな事を聞きたかった訳じゃない。私はただ感謝を……伝えたいだけ。
だけど、少し考えたその子は無表情でこう答えた。
「数に物を言わせて弱い対象を虐げる行為が目障りだっだけだ。これでいいか?」
「え……あ、は、はい……」
「これ以上話す事はない」
そう言ってすぐにでも去ろうとするその子に、私はどうしても聞きたかった。
「あ、あの!最後に……いい、ですか?」
「……何だ」
「お名前を……聞きたくて」
「名前……か」
「すまないが、無闇に人に名前を教えるなと聞かされている……だが、もういいか」
「私は白州アズサだ」
「白州アズサ……さん」
その名前を、私は一生忘れないと心に刻み込んだ。
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「そうしてその後アズサさんに怒られた方が、正義実現委員会と連絡を取られて……どこで情報が歪曲されたのか分かりませんが、何やら正義実現委員会とアズサさんの間でそれなりの規模の戦闘に発展してしまったとか……」
「!?」
「そうしてアズサさんが催涙弾の倉庫を占領し、正義実現委員会達を相手にトラップを使用して、三時間以上戦い続けたと……」
「それってあの時の!?」
助けた所までは良かったものの、何故いつもこうなってしまうのか。
「何がどうあれ、売られた喧嘩は買う。あの時も弾薬さえ切れてなければもっと長く戦えたし、あれ以上に道連れも増やせたのに」
「増やそうとするんじゃありません」
そう問題を起こした事もあるが人を助けた事もまた事実、後にその子から感謝をしたいと言われたが、何せアズサは学園の広さもあって見る事の方が少ない程見る事が無い。
その結果ここに居ると情報を聞いたらしくここに来たそうだ。
「別に、特別感謝されるような事じゃない。結局私も最終的に捕まったわけだし」
「感謝は素直に受け取っておくものだよ〜」
席から立ち上がってアズサの頭に手を置く。
そのまま優しく撫でてあげる。
「よしよし〜、偉いぞアズサ〜!」
「………それだと子供みたいじゃないか」
「私から見たら皆、可愛い生徒だし、可愛い子供だよ?」
「………そう、か」
「あ、珍しくアズサが動揺してる」
「先生はこういう所が良い所ですけど……やり過ぎはダメですよ先生?」
「……ハナコさん」
こうして話している時も、マリーはずっとハナコの事を気にしていた。
ハナコも気づいている様に、優しい顔でマリーに話しかける。
「……マリーちゃんが元気そうで良かったです」
「はい、私は……ですが……」
「玄関まで送りますね。さあ、一緒に行きましょう」
話す事を許さない様に、普段のハナコに見えるが、その会話の中では相手に話す隙を与えなかった。
言われるまま、マリーはその言葉を了承し、玄関へと向かう。
そうして、一日は終わろうとしている。