虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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力の効果(過去、■■)

長く感じるような時間も、意外にすぐ経つものだ。

体感的にはまだまだ始まったばかりなのに、凄く長く、濃い時間だった。

そうして、夜の部屋でハナコがベッドから立ち上がる。

 

「さあ、では洗濯を始めましょうか」

 

「皆さん制服や下着や靴下など、洗う物を全部このカゴに入れてくださいね」

 

「ありがとう、よろしく」

 

「はい……はいっ!?し、下着もですか!?」

 

「なんで!?下着は各自で良いでしょ!?」

 

やましい気持ちは無いはずだが、何故かヒフミとコハルはハナコの言った事に驚いているが、アズサはそうでは無く、普通に受け入れていた。

 

「洗濯はまとめて一気にした方が水と洗剤の節約になる。ハナコの言っている事は間違ってない」

 

「あ、あうぅ……で、ではお願いします……」

 

「えぇ……わ、私がおかしいの……?」

 

全員分の洗濯物をカゴに入れ、ハナコが持ち上げる。謎のハートと共に笑顔を向けた後、すぐにある事に気がついた。

 

「あ、先生は……?」

 

「……え?いや、遠慮しておくよ」

 

「あら……そうですか?では、洗濯機回してきますね」

「何も問題が無ければ、きっと明日の朝までには乾かす所まで終わるはずです♪」

 

そのまま超特急でハナコは部屋を去り、その後にアズサが寝る準備を始めた。

 

「じゃあ、そろそろ寝る準備をしよう。今日もお疲れ様」

 

「うん……」

 

私も自分の部屋に戻ろうとベッドを立った時、後ろからヒフミに耳元である事を言う。

 

「あの、先生ちょっとお話が……後でお部屋に行って良いですか………?その、ハナコちゃんの事で……」

 

「うん……私もやりたい事があるし」

 

そのまま静かに部屋を出る。

そうして暫く経った後、部屋が数回ノックされる。許可を出すと、静かに部屋の扉が開いた。

 

「………失礼します」

 

ヒフミだと思い顔を上げ、扉の方を見るとそこに人影が……。

 

「こんばんは、先生」

 

「………!?」

 

私の目の前に居たのはヒフミではなく水着姿のハナコだった。何故水着姿なのかは聞かない方が良いのかいや聞かなくていい。

 

「ふふっ、鍵は掛けていないとダメですよ、不用心ですねぇ♡」

 

「な……何でハナコが……?それに何で水着……?」

 

「ああ、これについてはお気になさらず、パジャマなので」

 

「パジャマ……そう…ま、まあいいか」

 

「うふふふっ、それより先生、ちょっと相談したい事がありまして……」

 

「あ、それなら私もやりたい事があるんだ」

 

私がそう言うと、ハナコは珍しい提案だと不思議な表情を浮かべた。

 

「やりたい事、ですか?」

 

「うん、ちょっと私の眼は他人にまで影響するのか試したくて」

「こっち来て」

 

ハナコをベッドの隣に座らせ、左手を差し出す。

 

「手、握って?」

 

「は……はい」

 

言われた通りにハナコは私の手を軽く握る。

 

「じゃあ、いくよ」

 

一度目を閉じ、暫く経った後に目を開けると、私の右眼は鮮やかな青色へ変化していた。

 

「何か感じる?」

 

「い、いえ……特には」

 

「なるほど……効果は無しか」

「なら、次は右手握って」

 

「躊躇無いですね……まあ、良いですけど」

 

右手に眼の力を流し込み、その状態でハナコの手を握る。

本来なら、この手に干渉している人に何かしらの効果があるはずだけど……どうだ。

 

「何か変化はある?」

 

「特には……な……い……?」

「あれ……何か体が……?」

 

次の瞬間、ハナコは全身の力が抜けたかのように私の肩に倒れ込んだ。

 

「は、ハナコ?大丈夫……?」

 

「大丈夫……のはず……何ですけどね……体に力が入りません……これは、一体……?」

 

「これはあるのか……なるほど」

「どんな感覚か、分かる?」

 

普段とは違う感覚に陥っているのか、少しの恐怖心があるのか、普段とは違い少しだけ声が震えている。

 

「分かりません……けど、少しの怖さがあります」

 

「……うん、ごめんね。もう大丈夫」

 

一度ゆっくり休ませよう。

何の説明も無しに急にそんな事をしてしまっては怖がってしまうのも仕方がない。

だけど成果もあった。眼の力を流した片腕はどういった理由かは分からないが相手に何かしらの効果を付与できる。

 

上手く使えれば、これを『救い』の手として扱う事ができる。やってみる価値はあるな。

 

「どう、調子は良くなった?」

 

「はい……一時的なものだった様です」

 

「それなら良か―――――」

 

 

 

 

 

あれ――――――これは何?

 

そうか―――うん、そうだったね―――――まだ終わってないんだった―――――僕の役目だったね。

 

あれ、君は誰?僕と似てる。

 

「先生……?先生?」

 

「君の名前は――――僕………?」

 

「先生!」

 

「ん……?あ、どうかした?」

 

「いえ、先生が話してる途中に静かになってしまって……」

 

「静かに……なった」

 

今、右眼から何か違う景色が見えた気がする―――これは――夢?

 

「いや――――現実……過去――――前世?」

「……まあ、良いや……ごめんね、急に変な風になっちゃって」

 

「大丈夫です……けど……」

 

力を消し、ゆっくりと深呼吸をする。

 

「それで、ハナコも用があったんだよね」

 

気を取り直し、少し静かになった後、ハナコは話を始めた。

 

「……アズサちゃんの事なんですが」

 

「アズサ……?」

 

そして話を始めようとした時、また部屋の扉が数回ノックされた。

扉が入る声と一緒に聞こえるが、その声はどこかでというか、聞きなれた可愛らしい声だった。

 

「し、失礼します………先生、いらっしゃいますか……?」

「昨日より遅い時間になってしまってごめんなさい、実は……」

 

「………え?」

 

「……あら」

 

「あ、ヒフミ」

 

暫くこの空間だけ時間が止まったかのように静寂が流れた。

少しずつヒフミの顔に焦りが浮かび、突然ヒフミの叫び声が部屋中に響き渡る。

 

「本当に失礼しましたぁ!?ご、ごめんなさい私、そんな事と知らずに……!ぜ、全然知らなかったんです本当です!?え、一体いつから!?」

 

「ん?え?何の話?」

 

それを聞いたハナコが立ち上がりヒフミに勢いよく迫る。

 

「ヒフミちゃん、今「昨日より遅い時間」って言いましたよね!?つまり昨晩も来たという事ですよね!?そういう事なんですよね!?」

 

そんな事聞かずにヒフミはただただ謝り続け、ハナコはお構い無しに迫り昨日の事を聞こうと必死だ。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!?また後で、はダメですよね!?どうすれば良いですか、今晩は辞めた方が良いですか!?知らなくてごめんなさい間に入ってごめんなさい空気壊してごめんなさいっ……!?」

 

「待ってくださいヒフミちゃん詳しく教えてください!昨晩はお二人で何をしていたんですか、今晩は何をする予定だったのですか!?ぜひ説明を、いえ、いっそ今から私の前で実際に再現を……!!」

 

「二人とも、静かに」

 

「「…………」」

 

「一旦誤解してるみたいだから、説明するね」

 

ちゃんと説明してあげた後、服装の誤解をしていたヒフミはハナコに怒っていた。しっかりと着替えさせていた。




ヒフミ「ハナコちゃん、先程の先生……少し怖かったですよね」
ハナコ「まあ……はい……そうですね」
ヒフミ「顔は笑っていたんですけど……どこか見放される様な……そんな怖い気持ちになりました」
ハナコ「この会話は辞めましょうか、想像するだけでもダメな気がします」
ヒフミ「そ、そうですね……」


今考えたらよわ先ってブルアカだと多めな概念ですよね。多分この作品のよわ先は他とは少し違うよわ先だと思います。多分。
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