虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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大雨、体育館にて(水着パーティ)

底の無い深海の様な、海の中で落ち続ける様な。そんな感覚だった。

だが、それもうるさい雨音で覚める事となる。

 

「ん………るさい」

 

頑張って瞼を開けると、昨日着ていたであろうよろよろの服装で、鉛と思う程の体を起き上がらせる。

 

「雨……?」

 

長い間、夢を見ていた様な気がする。

だけど、時計を見てみると時刻は皆が集まる時間より少し早いくらいだった。

だが、気持ち的にはもの凄く軽く、だが同時にどこか寂しい気持ちになった。

 

その気持ちを埋めるように、私は部屋を出た。

 

 

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

扉を開けると同時に、ヒフミの声が私の耳元に届いた。

 

「あうぅ……結構降ってますね………」

 

「そうですね……」

 

「んぅ……」

 

カーテンを開け空を見上げるヒフミと、ふわふわしながらベッドから起き上がるコハル。ハナコは起き上がったコハルを隣で優しく支えてあげている。

アズサは珍しく未だに寝ており、だが静か過ぎるどころか、寝息すらも微かに聞こえる程度だった。

 

「あ、せんせ――――」

 

私の存在に気づき振り返ったヒフミは、私の名を呼ぼうとした瞬間に表情が固まった。

 

「どうしましたヒフミちゃ―――」

 

「ん……ん……?」

 

三人ともこっちを向いた瞬間に不自然に固まってしまうが、私には何が起こっているのか分からない。なんで固まってるの。

三人は固まった顔が少しずつ赤くなっていき、一番意識が不安定だったコハルが顔を真っ赤にしながら突然叫び声をあげた。

 

「なっ何その格好!?エッチなのは死刑!早く着替えて!!」

 

それと同時にずっと手に持ってて抱きしめていた枕を思いっきり顔面へと飛んでそのまま直撃した。

小さめの銃声音の様な音と共に私は地面に体を打ち付けられた。

 

「ぐはっ…………」

 

「こ、コハルちゃん!?」

 

「あらあら………」

 

「………うるさい……」

 

「はぁ……はぁ……っ〜!」

 

「き………着替えてきます」

 

まだ朧気な意識を保ちながら、私は隣の部屋へとゆっくりと歩いていった。

 

「な……何であんな格好……目覚めちゃった」

 

ハナコは素早くヒフミの隣へ行き、小声でヒフミに話しかける。

 

「昨日、結局あのまま先生は寝てしまいましたよね」

 

「そうですね……きっと疲れていたんでしょう。ですが、先生を見ていた少しの間、ハナコちゃんとしっかりお話出来てよかったです」

 

「ええ、私も……嬉しかったですよ」

「それはそれとして……ヒフミちゃんは、さっきの先生……どう感じました?」

 

「え……どう感じたというのは……その……」

 

「普段は真面目でしっかりとスーツを着こなしている先生が、服装もよろよろで、ネクタイも少し解けている姿……正直、裸体や下着姿より、ああいった服装の方がエ……」

 

「ハナコちゃん!!??」

 

コハルちゃんの聞こえる場所で話さなくてよかったと心から思ったヒフミ、もし聞こえていたら最悪さっきの事もあってアズサちゃんを怒らせると感じ、多少怒らせた時の雰囲気も見てみたいと一瞬過ぎったが、頭をふって煩悩を取り消した。

 

そうして服装も直し、枕が直撃した事により目も覚め、再び皆の居る部屋へと思った。

戻っても雨は止む事はなさそうで、それどころか雷が鳴る始末だ。雨はそこまで好きじゃない。

 

「あの、コハルごめんね」

 

「な、何……何で急に謝るの……?」

 

「いや……というかダメな所を見せちゃって………」

 

「謝る事じゃないですよ……誰だってそういう日もあります」

 

雨で少し気分も落ちているのか、普段より少し気持ちが不安定だった。

部屋から窓越しに雨が落ちる瞬間を見つめていると、ハナコが急に声を出した。

 

「……あ……!そういえば……!」

 

「どうかしたの?」

 

「忘れていました、洗濯物が外に……!」

 

洗濯物の存在に気づいた時、既に雨が降り始めてから相当な時間が経っており、どことなく察する事もできるが、できる限りの希望を抱きながらハナコはすぐに部屋を出た。

 

「ま、まずいです……!?」

 

ヒフミとコハルもハナコに続いて部屋を出ていき、余りの速さに私は置いてきぼりを食らっていた。

部屋を急いで出た拍子に音が立てられ、その音でアズサが体を起き上がらせる。

 

「………?」

 

「あ、おはようアズサ」

 

まだ少し状況が理解出来ておらず、数秒経った後に今の状況を聞こうと小さな声で聞いてきた。

 

「……みんなは………?」

 

「今雨が降ってるみたいで、皆は急いで昨日干してた洗濯物を取りに行ったよ」

 

「……私も、いく」

 

朧気な足取りでベッドから降り、めずらしくゆっくりと歩いて部屋を出た。

私もアズサにならついていけると思ってアズサの後ろについて三人を追いかけに行った。

 

そして、洗濯物回収から役一時間が経つ………。

 

 

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

電気の付いていない体育館で、四人の水着を着た生徒と、普通のスーツを着ている先生が一つの円になっている傍から見れば通報案件の状態で、私にはあまりにも耐え難い状況だった。

 

「さあでは記念すべき第一回、補習授業部の水着パーティを始めます♡」

 

「あうぅ………」

 

「……ᓀ‸ᓂ」

 

「何で……どうしてこんな事に……」

 

「ほんとに………ほんとに………私が居るのはダメでしょ……?」

 

時々雷が体育館内を照らし、大雨で雷雨、そしてその雷はずっと近くで、耳が壊れる程近い場所に毎回落ちるせいで、会話をしてても驚いて会話が途切れる。

 

「先生、逃げてはダメですよ♡」

 

「先生以前に……人としてダメになる」

 

「うふふっ、仕方ないじゃないですか♡」

 

何故こうなったかは、約40分前に遡る。

 

しっかり全てを回収してカゴに収めたが、あまりに着れる様な状態では無かった。

 

「多分これで全部だ」

 

「これは……見事に全滅ですね。泥も跳ねていますし、洗い直しが必要そうです」

 

ハナコの言う通り、大雨の影響で洗う前より断然に汚い状態となってしまい、しっかりと全滅だった。

では何故、''水着''という通報案件の服装になったかと言うと、急いで回収した結果、今着ているパジャマ兼体操服も見事に大濡れしてしまい、着替えも雨で濡れ、体操服も雨で濡れるという、言わゆる着替えがない状態だ。

 

仕方が無いので今着ている服と制服を再び洗い直し、その間をどうにかしようと議論を重ね、いざ行動に移そうとした時、急に部屋の電気が切れ、辺りは真っ暗になってしまった。停電だ。

 

その結果洗濯機も止まってしまい、正に踏んだり蹴ったり。そうしてもう一度議論を重ね、その結果「水着姿で体育館に行き、電気が復旧するのを待つ」だった。

 

「話を聞く限り……仕方の無い事なんだけどね……」

 

「そうですよ。こうとなっては、パジャマパーティならぬ水着パーティくらいしかする事はありません♡」

 

「言えば服貸せたのに……本当に良いの?」

 

「先生だって四人分の服は持っていませんし、持っていたとしても大きさが合いませんし……というか色々とヤバいですから」

 

「あうぅ……な、何か他にもありそうな気がしますが……」

 

「なるほど、下着パーティとかもありそうですね♡確かによく考えると他にも幾つかあると思いますが、それで本当に良いんですか……?ふふっ」

 

「こうなると授業もやりにくいし……こんな落雷くらいで全部の建物が機能不全だなんて、酷いセキュリティだ」

 

全員が全員言いたい放題言っているが、これでも意外に危ない状態ではある。先生として生徒を守らないといけない。

それに、もうすぐでミカが動くような気もする、今の状況、狙うとしたら良いタイミング過ぎるから。

 

だがこんな瞬間にも、ふざけ合える中を見ると、本当に初め会った時とは大違いだ。

このまま平穏に、平和に、こんな日常が続いて欲しいと、心のどこかで思ってしまった。

そして、長いようで短い、小さなパーティが始まった。




ブルアカの新イベスト、そしてキサキとレイジョの追加、私はキサキを天井すると思います。皆さんは引きますかね?私は性能とか関係無く全然普通に引きます。イベントストーリーも楽しみですね。
さてこんな事を話していますが、今からちょっとしたアンケートを行います。

意外と作者にとっては重要なアンケートなんで答えてくれると有難いです。
アンケート内容は一話の長さはどれぐらいの方が良いのかというアンケートです。これによりこの先の一話の長さが決まります。完全にその体勢でやる訳ではないのでそこはご了承ください。
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