虚弱先生の青春物語   作:不透明な水滴

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変なところで終わっちゃいます


肝を冷やして明日に備えよ!

 

第二次特別学力試験前日の夜、最後の勉強時間にて。

 

辺りもだいぶ暗くなっており、昨日の様にいつもより長く勉強を続け、大体を完璧にし終えペンを机に置くと終了兼休憩のため息を零した。

 

「……はぁ、よし。大体の問題は出来る様になりました」

 

ヒフミが黒板の上にある時計で時間を確認すると、本来の終了時間を大幅に超え、もう少しで十二時を迎えそうになっていた。流石にやりすぎたのと、気合いを入れ過ぎて朝から何も食べていない事に気づき、食べていない事を意識した瞬間に急激にお腹が空き始め、まだヒフミ以外は勉強を続けているが、気にしていない様子を見ると、自分を含めて集中というのは凄いものだと感じさせられる。

だが気にしてしまえばそこでお終いだ。永遠に無視する事は出来ず、お腹は空い続けている。限界となりヒフミは勉強中の皆んなに声を掛けた。

 

「あ……あの〜」

 

「……?どうしました?ヒフミちゃん」

 

「その……言いずらいんですが……もう遅いですし、夜ご飯……食べませんか……?」

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

 

―――――別館食堂にて。

 

「………はい、お待たせ」

 

全員が食堂へ着くと、私は皆んなを席に座らせ、しばらく待つ様に言っておいた。理由としては、この別館には食材しか無かったからだ。四人は疲れている事もあり、今日は特別に私が作る事にした。

作ると言えど、サンドイッチの様に食べ物をパンで挟んで食べる物をメインに、他はスープや余りがあったので一分程度で作れるプリンを作り、皆んなの前に持っていく。

 

「わぁっ!美味しそうですね」

 

「先生、こんなものも作れるんだな」

 

「まあと言っても、軽く作れるものばかりだけどね。これで良ければ………」

 

「もちろんです!ありがとうございます、先生」

「それじゃあ、頂きましょう!頂きます」

 

「「「頂きます」♡」……!」

 

「少し多めに作ったからおかわりもあるよ」

 

味という面に関しては、良くも悪くも普通の味といった所だ。とはいえ料理では無い為仕方ないとも思える。食べている最中、アズサがこんな事を聞いてきた。

 

「先生は最初からこうやって作れたのか?」

 

「ん〜、私も元々は料理は全然出来なくてカップ麺とかを食べてたんだけど、ユウカ……周りの子達にもっとしっかりしてくださいって怒られちゃって……それで少しずつ自主的に料理をしてて気づいたらって感じかな」

 

「なるほど……私は狩りとか、何かを捕獲する事は出来るが、料理はやった事がない。先生が良ければ、私に料理のやり方を教えて欲しい」

 

「もちろん、私で良ければ」

 

「やった…ありがとう、先生」

 

そのお返しをくれるように私へ笑顔を見せてくれた。生徒には愛情が生まれるものだと思っていたが、想像以上の様だ。

そうして、久しぶりにゆったりと時間が過ぎていき、気づけば十一時を過ぎていた。

明日が本番という事もあり、もうそろそろ寝ようと聞くと、ハナコが寝る前にある提案があると言う。

 

「提案?」

 

「ええ。今思いついたのでそこまで大きな事では無いのですが、部屋の上の場所は、理科室や音楽室といった副教科をメインでする場所ですよね」

 

「そうだけど……それがどうしたの?」

 

「はい。凄く簡単な肝試し、というをやりませんか?」

 

「き、肝試し……?」

 

ハナコが提案したものは、夏場の夜には定番と言っていいほど有名で名の通り自身の生気と肝を冷やしてくれる遊びだった。ハナコはニコニコな笑顔で提案してきたが、アズサを除き二人と私もそこまで良い表情はしていない。そんな事気にせずアズサはハナコに質問した。

 

「私は良いけど、でもなんで肝試し?」

 

「それはですね、単純にここには何も無いですからね。このくらいしか出来る事がないんです」

 

「そうか、私は賛成だ。ブービートラップ以外にも、死角や隠れられる場所を見ておきたい」

 

「その為では無いですが、まあ良いのならいいです。皆さんはどうですか?」

 

「えっ!?えっと……ですね」

 

流石のヒフミでも肝試しは怖い様で、なんと言って逃げようかと考えているが、言葉は詰まるばかりだ。そこで私と同じく黙っていたコハルが声を上げる。

 

「そ、そんな事するなら明日の為に寝た方が良いでしょ!」

 

「ですが、ここ最近は勉強はともかく自身の体への心配は疎かになっていた節があります。それでは本番中、もしくは本番前にオーバーヒートしてしまっては逆にダメです」

「ですので、時間が足りなかった今、少しでもガス抜きを行おうという訳です。悪い提案では無いでしょう?」

 

「うっ……それはそう……だけど……」

 

「それに、コハルちゃんの様な正義実現委員会のエリートであれば、夜間の警備や依頼も無いとは言えません。ですのでここで慣れておけば、よりエリートとして活躍出来るとは思いませんか?」

 

「……確かに……?」

 

負けそうだよコハルちょっと待って。いや、私も別にというかこの流れで私だけなんてあったら先生というか大人として何か大事なものを失う気がする。

 

「先生は、如何ですか?」

 

「え…?あ、うん……だ、大丈夫……だよ」

 

流れで言ってしまった……こうなったら覚悟を決めるしかない……。と思ったけど、良い事を考えた。

 

「私は皆んなが帰ってくるのを待つよ。ついていきたいんだけど、私は体が弱いし……簡単に逝きそうだから……」

 

「確かに夜という事もあって、先生だと危険かもしれませんね。帰ってきた時先生が居れば安心出来そうですし、先生は部屋で待機にしましょうか」

 

「よし……あ…なんでもない」

 

「それでは、早速ここから始めましょうか。四人でも良いのですが、今回は二人ずつで行きましょう」

 

「じ、じゃあ私はアズサちゃんと行きます!」

 

「分かった。よろしくヒフミ」

 

「それじゃあ、私はコハルちゃんとですね♡」

 

「よ、よろしく……ハナコ」

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

 

深夜、コハル&ハナコチーム。

 

夜の学校は怖い場所の代表の一つと言っても過言では無いほど有名な場所となっている。その上別館となれば特別感と恐怖感を何倍も感じる事ができる。

今回の肝試しの目的は至って単純、懐中電灯を持って音楽室と理科室に二人で約一分間待つ、そして''何も''持ってくる事無く無事帰ってくる事。それだけだ。

夏とは言え深夜帯にまでなると風は少し冷たく感じる程となり、恐らく冷たい風を感じても大丈夫な様にコハルはハナコの後ろでピッタリと付いて歩いていた。

 

「……ね、ねぇハナコ……こ、これほんとに……だ、大丈夫な訳?」

 

「少し風が冷たいですね、コハルちゃんは寒くないですか?」

 

「だ、大丈夫だけど大丈夫じゃないっていうか……わ、私は大丈夫だけど……は、ハナコは怖くないのかなぁって……」

 

「私は大丈夫ですよ。コハルちゃんは?」

 

「わ、私は大丈夫よ!」

 

真っ暗な空間に光の綱は懐中電灯たった一つ。コハルは声も足も震えているが、威勢だけは変わらず辺りを警戒しながらハナコの裾を掴んで歩いている。

 

「はい、着きましたよ。音楽室」

 

扉の上側には小さな看板に『音楽室』と黒文字で書かれているが、相当手入れされていないせいで書かれている黒色のインクが文字の先端から爛れ落ち、よりホラー感が増していく。

 

「では早速入りましょうか♡」

 

「う……うん」

 

ガラガラとスライド式の扉を開け、中に入ると右側に黒板があり、奥の窓側には古びたピアノ。左側には使われていない机や椅子が無作為に置いてあり、上側には歴史の音楽家達の写真が横並びで飾ってあった。

 

「コハルちゃんは真ん中の椅子に座ってください」

 

「………うん」

 

古びた椅子にゆっくりと座ると、ギギギッと音を立て座る事が出来た。ハナコは隣に置いてあった机の上に座り時間を待つ。

 

「ちょ、ハナコ。机に座るのはダメ!」

 

「良いじゃないですか。もう使われていないのですし♪」

 

「でもここは、正義実現委員会として……」

 

「でも、今は違いますよ。コハルちゃん♡」

 

「な……なに、私が正義実現委員会じゃないって言いたいの!」

 

「いえいえ、そうじゃないですよ。今は補習授業部。私達のお友達でしょう?」

 

「なっ……そ、そうなら先に言いなさいよ!」

 

真夜中の音楽室、懐中電灯も消し月の光だけが薄く音楽室を照らした。ハナコの言葉が多少コハルの感に触ったのか少し強気味に怒ろうとしてみるも、ハナコの純粋な気持ちと''お友達''という言葉がコハルの顔を赤くした。

 

「うふふっ、早とちりはダメですよ♡」

 

「う、うるさい!!」

 

ハナコから顔を背け、お互い背中合わせの状態になる。少しの間静寂が流れ、コハルも落ち着いた時、口を開いてある事を聞く。

 

「……ね、ねえ…ハナコ」

 

「なんですか?コハルちゃん」

 

「私……あんたの事、勘違いしてた。初めて会った時は、ずっと変態で、変な事しかしない野蛮人だと思ってて……」

 

「酷い言われ様ですね……」

 

「……でも、初めて補習授業部ここに来て、ずっと一緒に居て……あの時みたいな変な事はするし、ずっと変態だけど……どこか、優しいって感じた」

 

「………………」

 

「あんたが、何を考えてるかは分からない……けど、私は……その……ず、ずっと………あんたの、な……と、友達だから」

 

「……コハル……ちゃん」

 

ハナコが後ろを振り返り、コハルと目が合った瞬間コハルの後ろから物音がした。何かが落ちる様な音が聞こえ、コハルは驚きのあまり即座にハナコの後ろへ下がり袖を掴む。

 

「な……なに……!?」

 

「ネズミ……でしょうか」

 

ハナコがそう言い音のした方へゆっくりと近づく。するとネズミの様な生物が鳴き声と共にどこかへ逃げへしまった。

 

「…はい、はやりネズミだった様です」

 

「よ……良かった。というか、そろそろ一分経ったでしょ」

 

「そうですね……結構いましたしどうしますか?このまま理科室にも行きますか?」

 

「………戻る」

 

「分かりました。それじゃあ戻りましょう」

 

即答で戻るを選んだコハル、そしてすぐに出ようと扉を開けるコハルの背中を見て、ハナコは呟く。ハナコの頭の中には、コハルの言葉がずっと残っていた。そして、思わず笑みを零してしまう。

 

「………ありがとうございますね。コハルちゃん」

 

そして、ハナコすぐにコハルの元へと足を運んだ。

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

 

ヒフミ&アズサチーム。

 

着いた場所は理科室。中に入ると三つずつ大きな正方形の机、そこに四箇所椅子が設置してあり、それが縦に三つ、横に三つ計九つの机があった。

 

「け……結構雰囲気ありますね……」

 

「随分と暗いな。懐中電灯で辺りを照らしてみよう」

 

アズサが懐中電灯を持ち照らすと、特に何も見当たらなかったが奥の方には人体模型が置いてあり、不思議と人体模型はこちらを見ている様な気がした。

 

「こ……怖いですね」

 

「近づいてみよう」

 

「え、ちょ!?アズサちゃんっ!?」

 

見つけた瞬間飛び掛る様に近づき、ヒフミは袖を掴んで追いかけるばかりだった。人体模型は形もそのままでパーツも全て揃っている。

 

「なるほど……臓器の位置までは正確に知らないからな。ここで知れるのは有難い」

 

「あ、アズサちゃん………」

 

実は理科室に行くまでの最中ずっと周りを見渡しており、その理由は死角や狙撃位置、逃げるルートなど肝試しをしているとは思えない程別の方向で楽しんでいた。自分の世界に入り込んだアズサに圧倒され、ヒフミは逆に冷静になっていた。

 

アズサと共に人体模型の臓器をじっと見つめていると、ガタッとどこかから音がした。

 

「……?今の音………」

 

「何の音でしょう……上?」

 

上から鳴った様に聞こえ二人が上を見上げると、人体模型の顔がヒフミの顔をじっと見つめている。その場所に行く前まではずっと顔は前を向いており、劣化などもしていない。

 

「ヒフミ……これは……?」

 

「……アズサちゃん。逃げましょう」

 

「え?でも……」

 

「早く逃げましょう!?今動いたんですよ!?早く早く!!」

 

「あ、ちょっと……」

 

心の底から恐怖心を煽られ、ヒフミの体が限界を迎えた。そして焦りと共にアズサの声も聞かず手を引きそのまま走って逃げてしまう。

誰も居ない理科室で下を向いた人体模型は、ゆっくりと音を鳴らし、顔を前へと向け直した。

 

 

︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎︎✦︎

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

「あ、おかえり」

 

部屋で帰ってきたハナコとコハルと待っていると、突然扉が開き何故かヒフミとアズサが息を切らした状態で帰ってきた。どうしてか理由を聞いてみると、顔を青ざめたヒフミが震えた声で口を開く。

 

「じじ、人体模型が……う、動いて……う、動いて……!!」

 

「と、とりあえず落ち着いて……」

 

右手で胸を抑えるヒフミは、左手で膝を抑えるとある事に気づく。そして焦った様子で私の元へと近づいてきた。

 

「せ、先生……!」

 

「ん?どうしたの?」

 

「その……ゆ、指輪が………」

 

随分と小声で話すせいで耳を近づけ聞くと、ヒフミは左手を見せながら指輪が無くなっている事を教える。

 

「どこかに落としちゃいました……せ、先生ごめんなさ……」

 

「だ、大丈夫……私に任せて」

 

今にも泣きそうな顔を私に向けるヒフミを何とか宥め、どこにあるかを聞くと、震えた声で廊下のどこかにあると言った。それを聞いた私は立ち上がり、扉に手を掛ける。

 

「ちょっとやる事があったから、少しだけ席を外すね」

 

「?はい、気を付けてくださいね」

 

扉を閉じ、行く時に持ってきた懐中電灯を片手に、私は二階へと向かって歩き出した。




ちょっと別のゲームのストーリーが色々とやばすぎて情緒がおかしくなり投稿が遅れてしまいました。今はなんとも言えない虚無の気持ちです。正直今何を作ってたのか覚えてないぐらい虚無です。
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