御伽の魔女の召使い 作:──
「……ねぇ、有珠。今更なんだけど、そいつって、いつからどうしてあんたの隣にいるの?」
「……話せば少しだけ長くなるのだけれど」
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「有珠、今日から彼女が君の召使だ」
そう紹介されたのは一人の少女で、元の名前を新田黒戸、現在の名前を久遠寺黒戸。
日系の家系で、久遠寺もといユミナとは違う魔術師の末裔であり、先日彼女以外の血族が滅ぼされたばかりらしい。
有珠の手助けと周辺警護を行う使用人となる条件で助け出されたらしい彼女は、ぼんやりとした瞳で有珠を見つめている。
「どうぞ、よろしくお願いいたします」
「……よろしく」
そう言って頭を下げた少女に有珠はそう冷たく返す。
屋敷でも、少女は静かに有珠のそばに佇み、彼女の一挙手一投足を見守るだけだった。
きっと彼女とはこうして表面上、物静かな関係でいつしか彼女が立ち去って終わりだろう、そう考えていた。
しかし、有珠にとっての誤算はただ一つ、彼女は優しかったのだ。
「有珠さまは、これがお好きなのですね。覚えておきます」
そう言って律儀にメモを取ったり、夜なべで調べていたり、とにかく有珠を大切に、もしかしたら彼女の実の家族よりも優しく、そして甘くした。
彼女の全てを受け入れるような、もしかしたら甘い毒かもしれないそんな彼女に有珠が愛着を持つのは時間の問題だった。
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「…………黒戸」
「はい、なんでしょう?」
「紅茶をお願い」
「はい」
会話は最小限、しかしその間には─ある程度の親交がある蒼崎にしかわからないほど細やかに─最大限の親愛が込められている。
従者への命令をあそこまで簡潔に済ませる有珠に、それはどうなのかと思うと同時に、その一言だけで最適な茶葉の種類まで選んでくる黒戸もどうなのか、と蒼崎は思った。
とにかく、この二人は一見そっけない主従に見えて、言葉で言わずとも通じるほどに仲のいい主従なのだ、と蒼崎は理解することにした。
「お待たせしました」
静かな声で紅茶を主人の前に置く黒戸を数秒間見つめて、蒼崎は改めて
「似てるわね、あんたたち」
とそう呟いた。
すると、黒戸は有珠の斜め後ろで無言で頬を赤らめると共に、その頬へ手を添えてニヤニヤとしている。
無言なので有珠には見えてすらいないが、有珠も同じく少しだけ口角が上がっているように見える。
(……もしかして、有珠も内心同じ感じなのかしら。だとしたらちょっと面白いかも)
そう思いつつ
「ねぇ、黒戸さん、私にも紅茶──」
そう言おうとした瞬間、動き出そうとした黒戸の腕を有珠が強く掴んで蒼崎を睨みつけた。
「……これ、私のだから」
あぁ、彼女はすでに有珠の所有物判定なのか、と蒼崎は理解した。