御伽の魔女の召使い   作:──

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座りなさい

有珠さまがあだ名をつけてくださって、また一段階仲良くなった私と有珠さま。

少しだけ浮かれた私は有珠さまを言葉巧みに私の部屋に案内して、なんと添い寝に成功した。

仲良くなったとはいえ浮かれすぎたかな?少しだけ謝ったほうがいいかな?なんて考えながら目を覚ますと、なんと目の前にはかなりご立腹の有珠さまが。

え?そんなに怒ります?と思ってると、有珠さまは無言で天井を指差した。

途端に血の気が引く、思い出したのだ。

私は、コレクションを片付け忘れていた。

天井一面に貼った私の有珠さまコレクション、普段は上から魔術で軽く隠蔽しているそれを晒したまま、有珠さまを部屋に呼んでしまった。

シンプルに浮かれすぎて忘れていたのだ。

 

「……説明をもらえる?」

「……あっ、えと、その〜、成長の記録?です!」

「なぜ疑問形なのかしら」

 

有珠さまの視線が痛い。

しかし、仕方ないのだ。

有珠さまの顔が見られない時間が悲しかったから写真を撮っていたら思ったより熱が入ってしまって、気がつけば一ヶ月に一度は撮っていて、気がつけば一週間に一度になって、結果的に成長の記録が出来上がった、なんて言えるわけがない。

 

「前から思っていたけど、あなたって変質者の素質があるんじゃない?」

「え゛」

 

思わず変な声が出てしまった。

愛するご主人様から変質者の卵呼ばわりとは、かなり心に来るものがある。

しかし、私に更なるダメージを与えたのはその後の発言だった。

 

「服とか、消耗品とかについての話もロビンから聞いたわよ」

「……へ?」

「だから、筒抜けだったのよ。だけど実害がないし、いつも頑張ってくれているあなただから許していたんだけど……、これは少し話をしなければいけないわね」

 

愕然とする私を前に、有珠さまは天井に貼られた写真に手を伸ばす。

それはまずい

 

「あ、あ有珠さま!?高いところですから!触らない方が……」

「座っていなさい」

 

有珠さまは私のベッドの淵を指指差す。

そこに座れという意味だろう

 

「え、いや……でも──」

「いいから、座りなさい」

 

有珠さまは靴を脱ぐと部屋にあった椅子の上に上り、写真の一枚をぺり、と剥がす。

そして、有珠さまは見てしまった、見られてしまった。

平面版マトリョーシカのように重なる写真。

魔術で保護されているそれらに劣化はなく、現在表面に貼られている写真たちの下にはさらに古い写真が隠されている。

 

「─────────。……クロ?」

「……はい」

「これ、いつから?」

「有珠さまと出会って、およそ二ヶ月目からでございます」

「──」

 

有珠さまの表情が固まる。

絶句、と表現するのがこれ以上無いまでに似合う表情だ。

ああ、固まる有珠さまも可愛いな、と考え(現実逃避し)ていると、有珠さまが口を開く

 

「……少し相談をしましょう」

「……はい」

 

相談の末、実害の無い行為は有珠さまの目の前でなければ実行してよしとの許可を得た。

これまでに培った従者としての信頼の賜物である。

しかし、写真に関して有珠さま曰くかなり危機感を覚えたらしく、月に一度、有珠さま本人に告げなければ撮影は禁止となった。

悲しいが、許されただけ有難いと思うことにしよう。

 

『重すぎる愛も考えものっスね』

 

と囀った駒鳥は一度焼却した。




実は結構ブッ飛んでる黒戸さんって回でした
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