加賀道夫さんじゅうななさい   作:ビーバップ八戒

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利確

 

 

   鏡を売りにいく最後の日となります。

   先方はペルマスクとの取引を続けたい様子なので

   色々と様子を尋ねてくるものと思われます。

   皆さんから聞いた話はまとめましたが、改めて

   お気づきの点があればお申し付けください。(ハンナ)

   ↑ご主人様が移動による疲労のため入市していない……

    というのは如何なものでしょうか。(ロクサーヌ)

   ↑先方が直接取引し始めたらわかることですし、

    恩を着せることにもなると思うのですが。(ハンナ)

   ↑では、高く売りつけなければいけませんね。(セリー)

   ↑そうですね、わかりました。(ロクサーヌ)

 

   ※ここから下は御主人様の備考欄です。

 

   春50日

    AM:ボーデ→帝都

    PM:午後半休

 

 

 

 

   ボーデ 城下町

     コハク商

 

 いつものように5人でコハク商に行くと、初日と同じメンバーが揃っていた。

 武器商人の奥さんもいるが……今回のことをどう思っているのか、その顔色は読めない。

 

 奥さんと従業員がいる時のエルフ武器商人は、俺調べで3割増鼻高々(はなたーかだっかー)になる。

 また余計なことを言われてロクサーヌとセリーを怒らせたくないので、無難な挨拶を交わして持ってきた鏡をさっさと押し付ける。

 

「ひのふの……おおっ、16枚も持ってきていただけたとは」

 

 多分コハク商も同じことを考えているのだろうな。

 大袈裟な反応をくれたので、「最後ということで、あちらも融通を利かせてくれたようで」と話を合わせる。

 

「といっても、ウチで使う分もあるのでそれは持って帰らせてもらうが」

 

 ……でも、木枠はどうしようかな、さすがに鏡本体だけでは使いにくいし。

 ペルマスクの工房で頼もうとしたのだが、宝石なしでも工期と工賃が結構掛かるようだった。

 タルエムの板材とか鞘とかを持ち込んだからか、半端なものを渡すわけにはいかん! という、対抗意識というか職人根性というか……そういうノリが発揮されてしまったらしい。

 

 だからコハク商か武器商人に枠作りを頼みたいのだが……コハク商に頼んでコハクでデコレーションされても本末転倒だし、武器商人に頼むのは……アレだし。

 で、結局持ってきてしまったというわけだな。

 ……最悪、黒板作りをやってもらった外構工事業者にでも頼もう。

 とりあえず丈夫なものは作ってくれそうだし。

 

「では本日ですが、公爵閣下に謁見の許可を賜っておりますので……」

 

 コハク商と武器商人が用意した献上品を宮城に運び、その場でペルマスクと交易する委任状を願い出る。

 これは俺とこの2人で行い、その間にこれまでのペルマスクでの商売相手についての情報を提供する。

 要するに、引き継ぎだな、

 

「では、それはハンナに頼む」

 

 ハンナが頷いた。

 昨日からロクサーヌやセリーに聞き取りをしていたようだし、任せて問題ないだろう。

 

「……採算が合わないと思えば、今後続けるとは限りませんが」

「それはこちらとて同じことです」

 

 武器商人の奥さんが、控えめながらもはっきりとした声で言った。

 

 ……そういえば、エルフ武器商人がいつもより元気がない。

 調子の良いこと言ってんじゃないよ、この宿六! とでも怒られたのかもしれん。

 タルエムは比率としては高く売れたが、じゃあ冒険者を雇ってまで続けたいかとなると別の話だしな。

 会社で提案したら、損益分岐点がどうたらと詰められるだろう。

 

 ……ま、俺には関係ないけど。

 

「では、私は献上品を運べばいいかな?」

「それは恐れ入ります……こちらになります」

 

 コハク商が大小の白木の箱を取り出す。

 開けると、エメラルド色の大きな袱紗(ふくさ)のような包みが入っていた。

 袋の中身は大きい箱が四角い壁掛け鏡、小さい方が丸い手鏡だ。

 

 大きい鏡はなんとなく男性的、手鏡は女性的な感じがするから、御夫婦でどうぞ、みたいな感じかな。

 どちらもコハクを使った精緻な、無教養な俺にはとても表現できない模様が描かれている。

 そしてどちらの鏡にも、醤油と味噌の臭いが染み付いたアラフォーのおっさんの顔が映っている。

 

 ……俺はここで論評とかすればいいんだろうか?

 もしくは鏡の鑑定?

 映りが良い鏡だなぁ……とは思うが。

 

「……こちらの献上品は姿見です」

 

 今日はすっかり大人しい様子の武器商人が、自分の後ろに立て掛けられた鏡の蓋を開けた。

 蓋の裏側にも鏡がついている、三面鏡というやつだな。

 蓋にも枠の縁にも模様が彫られているが、特に宝石とかは使っていないようだ。

 

 ……うーん、コハク商の方を見た後だと地味だな。

 なんとなく和のテイストが感じられる気がして、俺は好きだけど。

 三面鏡というのも実用的だと思うし。

 

「どう思われるだろうか?」

 

 ……そんなこと訊かれても。

 猫人店主はコハクを売ることを拒否でもしたのだろうか?

 そっと顔を窺ってみると……いや、なんか困った顔をしているな。

 原石を大分ペルマスクに運んだから、回せる分がなかっただけかもしれないが。

 

 そして、エルフ武器商人はなぜ俺に論評を求めるのか。

 彼なりに自信作なのを認めてほしいとか? 俺に?

 

「非常に凝った作りの鏡だと思うが……」

 

 武器商人が俺の顔を凝視したままだ……い、今考えてるから。

 献上品なんだから、俺がどう思うかではなく、公爵がどう思うかを考えるべきだよな。

 

 ……そもそも公爵は鏡にあまり興味がなかったような気がする。

 ゴスラーにタルエムやコハクを使うことを提案されて、つまり自領の産物が売れる可能性に対して関心を持っていたと思う。

 つくづく、忙しないビジネスマンみたいな人だ。

 

 そして、鏡を持っていった時は、結局カシ――公爵夫人に鑑定を頼んでいたよな……やっぱり鏡自体はどうでも良いんじゃないかな。

 ……横髪を掻き上げながら鏡を覗き込むカシアの脇……細身なのに意外にある胸の谷間……映り込む美しいとしか表現できない顔。

 いかんいかん、今日はロクサーヌ達もいるというのに。

 

「あー……申し訳ないが、宝石や細工の良し悪しは正直よくわからないのだが――」

 

 武器商人ががっくりと俯いた。

 

「――公爵閣下にとって一番の宝石は、その鏡に映るものなのではないかと」

 

 武器商人が我が意を得たりと顔を上げて何度も頷いた。

 ……あまり頭を激しく動かすと前髪が崩れてデコが見えるぞ。

 

「……カシア様を出されては、手前の不見識を認めざるを得ませんな」

「あ、いや、公爵閣下の好みはわからないが」

 

 コハク商の溜息混じりの言葉に慌てて付け加える。

 ……柄にもないことを言ってしまって顔が熱い。

 

 そして、俺の回答は武器商人の奥さんにも刺さったらしい。

 もしかして、元々奥さんに贈る物を献上品に流用していたりするのだろうか。

 ……ありそうだな、納期少なかったろうし。

 

「ミチオ様の鏡の枠は当家にお任せさせてください」

「装備をお求めの際は是非私共に」

 

 と、やたらとスマイリーに夫婦揃って営業された。

 どうしようかなと後ろを見たら、ロクサーヌがさすごしゅを言う時の顔で上機嫌に頷いていた。

 セリーも感心した顔で頷いている、問題ないようだ。

 

「では、枠作りはお願いしよう」

 

 姿見を2つ、うち1つは三面鏡にしてもらって、壁掛け鏡を1つ、手鏡を2つ頼んだ。

 仕入れてきた鏡16枚のうち、キリよく10枚は売って、6枚は武器商人に預けることになった。

 気になる工賃は、これまで格安で売った鏡の分と相殺でいいそうだ……結構高く売れたのかな?

 

 神経(MP)を消耗する突発イベントが終わって、献上品を長櫃に入れて登城することにした。

 行くのは俺とコハク商と武器商人の3人、残りは引き継ぎだ。

 いつになく和やかな雰囲気で一安心だ。

 

「では、行ってくる」

「はい、行ってらっしゃいませ」

 

 いつもより軽い長櫃を背負うのをロクサーヌが手伝ってくれながら、ぽつりと、

 

「ところでご主人様、カシア様というのはそんなにお美しい方なのですか?」

「………………まあ」

 

 どう答えろと言うのだ。

 

 

 

   ボーデ 宮城

     執務室

 

 荷物を担いでえっちらおっちら城まで歩く気になれなかったので、冒険者ギルドから宮城に〈ワープ〉で移動した。

 ついでにあわよくば、と〈パーティージョブ設定〉を使ったが……コハク商も武器商人も、目新しいジョブは持っていなかった。

 まあ、持っていたらこっそりジョブを変えて効果を確かめたくなったかもしれないから、良かったかもしれない。

 

 そろそろ歩き慣れてきた廊下を進んで、案内の騎士団員がドアをノックすると、「入れ」とゴスラーの声が応えた。

 

「おおっ、ミチオ殿、そなたらも。

 すまぬが執務が立て込んでいてな、こちらの方が良いと思ったのだ」

 

 そういえば、前にこの部屋に来たとき、鏡のことを〝余の謁見室にもあるが〟と言っていたな。

 そしてこの部屋のことはプライベートルームだとも言っていた。

 コハク商は〝謁見の許可を賜っている〟らしいから、本来はこの部屋ではないはずだったのだろう。

 

「滅相もないことでございます」

「本日は拝顔の栄に浴す――」

 

 コハク商と武器商人の口上に合わせて頭を垂れようとするが、「よいよい」と手を振った。

 

「ここでは平素の言葉で話すが良い。

 余が堅苦しい言葉を好まぬのは知っておるであろう」

 

 ……〝知っていること〟と〝それが出来ること〟の間には大きな隔たりがあるんだけどなぁ。

 なんて言えるわけがないので、大人しく頭を上げる。

 

 上げたら、公爵の横にいるカシア――いや公爵夫人と目が合ってしまった。

 天使の微笑が向けられる。

 ……感受性は犠牲になったのだ、俺の社会的生存……その犠牲にな。

 

 っていうか鏡を献上するんだから、そりゃいるわ。

 そして今頃気付いたが、コハク商が用意した白木の箱、エメラルド色の袱紗、金色のコハクの装飾は、公爵夫人の服装に合わせたカラーリングのようだ。

 話は通っているようなので、事務的にその献上品をテーブルの上に置く。

 

「ほう、これはそなたのドレスとよく似合うな」

「はい、素晴らしい品です」

 

 手鏡を手にした夫人と公爵がイチャイチャしている。

 ……自分、帰っていいスか?

 

「勿体ない御言葉です」

 

 コハク商が安堵の息を吐いた。

 まあ、こっちはいいんだ。

 武器商人の方は……プルプルしながら俯いている。

 えぇ……さっきは得意気だったじゃん。

 

「こちらは姿見のようだが……ふむ、三面鏡か」

「見事な細工だと思います」

 

 さすがに直球に地味とか言ったりはしない。

 しないが、声のトーンが明らかに……ね。

 

 ……いや、もうちょっとなんか言えよ、糞エルフ。

 ここで黙ってるのはダメなやつだと思うぞ。

 と思っていたら、武器商人に肘を引っ張られた。

 上目遣いに縋るような目つきもセットだ。

 

 こ、こ、こいつ……イモ引きやがった!*1 というか、なんで俺に頼む!?

 メチャクチャ傲慢なエルフ(ヒト)が不意に見せた泣き顔とか誰得だよ!

 ……お前得かよ、コハク商。

 俺の位置からだと、アンタの猫耳がプルプル震えてンの見えてっからな!

 

「はっ、その姿見ですが――」

 

 ……とはいえ、このビビリエルフには世話になったと言えなくもない。

 まず、鏡が大量に運べたのは、クソザコエルフのおかげであることは認めざるを得ない。

 そうでなければ、この取引はより長期間拘束されることになっただろう。

 

 それに、コハクに及ばないまでもタルエムもよく売れた。

 貸衣装の宣伝効果だって、馬鹿にはできない。

 エルフ御用達という色を強めたことは、さぞ向こうの財布の紐を緩くしたことだろう。

 

「――公爵閣下にとって一番の宝石は、その鏡に映るものなのではないかと」

 

 その後の数分間の記憶は覚えてない、消した、ないなった。

 とりあえず、しばらくの間公爵夫妻がイチャイチャしていたことと、ヘタレエルフがアホ面エルフになって喜んでいたことは確かだ。

 ついでに俺も「意外と口が上手い」とか色々言われたが、知らん。

 ……おかしい、こんなのは俺のキャラじゃないはずなのに。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

()(ほう)らがペルマスクとの交易を望んでいると、ゴスラーから聞いておる。

 余としては、許可を出すことは問題ない……と、思わないでもないのだが」

「鏡についてですが、こちらで用意したタルエムの木枠を使ったものを領内の有力者に見せたところ、非常に評判が良く。

 であれば、当家で独自に冒険者を用意して運搬してもよいか、と閣下と話していたのです」

 

 話が早い、どうやら事前に概ね要望は通してあったらしい。

 ゴスラーが俺に向けて説明してくれた。

 

「ミチオ殿に、いつまでもあの値付けで鏡を運ばせるわけにはいかんからの。

 ……まあ、ミチオ殿が余に仕えてくれれば万事解決なのだが」

「いえ、それは……」

 

 こうやって断ったりすると、立場の上下に関係なく角が立つからな。

 事前の根回しというやつはとても大切なんだ。

 ……だから公爵、ゴスラーとかを通してそれとなーく言ってくれ。

 アンタにNOと言うのは消費MPが激しいんだ。

 

「閣下」

「ふふふ……すまぬ、わかっておる」

 

 幸い、冗談として流れそうだ。

 

「そういう事情でな、其の方らが冒険者を揃えてくれるなら、こちらとしてもありがたいのだが……冒険者は集められそうか?」

「はっ……そのことですが――」

 

 エルフ武器商人が言うには、俺が担いだ長櫃を持って〈フィールドウォーク〉が出来る冒険者を揃えることは難しかったそうだ。

 隣町とかならともかく、遥かペルマスクまでとなると尚更だ。

 他の仕事はまず間違いなく出来なくなるし、常雇いで結構な待遇を要求されたらしい。

 

 さっき武器商人達の反応が柔らかだったのは、実は俺が想像以上に凄腕の冒険者なのではないか……と思ったからかもしれないな。

 できれば俺にこのまま運搬役をやってほしいのだろう。

 

「――閣下の御威光で冒険者を斡旋していただくことは……無論、手当はこちらで御用意いたします故……」

 

 公爵は「ふむ」と顎に手を当てて考え込んだ。

 

「実はその話とは別に……いや、関係ないとも言えぬか、ゴスラー」

「はい……ミチオ殿。

 実は先頃、このボーデの南に新たな迷宮が見つかりました。

 我が領内では、ハルバー、ターレに続いて3つ目の迷宮となります」

 

 武器商人の顔が苦渋に歪んだ。

 新たな迷宮が発生したということは……。

 

「しばらくの間、騎士団は忙しくなります。

 ペルマスクにまで冒険者を派遣する余裕は、ないと言えるでしょう」

「ミチオ殿には以前依頼したが、改めて領内の迷宮討伐への合力、よろしく頼み申す」

「はっ、それはもちろんです」

 

 こういう時の返事はどうしたものか、ちょっと悩む、家臣ではないからな。

 微力を尽くします、とかだと(へりくだ)り過ぎかな……などと考えながら俺が答えると、公爵夫妻とゴスラーが軽く頭を下げてきた。

 ……こういうのも、ちょっと困る。

 

 公爵とゴスラーは、ボーデの迷宮はしばらく人でごった返すこと、良からぬ輩が入り込むことも考えられること、そして領内であれば別の迷宮で構わないと言ってくれた後、また武器商人に向き直った。

 

「というわけで、冒険者集めは其の方らにやってもらいたいのだが……」

 

 公爵は曇り顔の武器商人の顔を見て鼻で嘆息すると、こっちを顔を向けて、

 

「ミチオ殿、何か妙案はないかの?」

 

 ……そう言われましても。

 交易で稼いで軍備に回す、というのも解決策だと思うんだけどな。

 いや、公爵が金を持っていないはずはないし、金で解決できるならしているか。

 

「……はぁ、この場合の解決策は――」

 

 まず、凄腕の冒険者を集める少数精鋭路線。

 次善策として、そこそこの冒険者を多く集める数でゴリ押し路線。

 最後に、必要な冒険者の数を減らす省力化路線。

 

「――という、3点になるでしょうか……」

 

 とりあえず、中身はないけどそれっぽいことを喋って時間を稼ぐと、公爵が「うむ、そうだな」ともっともらしく頷いた。

 こういう時は話しやすい人だ。

 

「凄腕の冒険者を集めるには金が掛かると思いますが、報酬を出来高払いにすればどうでしょう?」

 

 売上の一部を配当として渡したり、積載スペースの一部で自分の手荷物を運ぶことを許したりだな。

 前者は大航海時代の船員、後者はガレー船の船員を集めるためにどっかの国でやっていたことだったと思う*2

 自分の(MP)に自信がある者ほど稼げる! そう思わせられれば、我こそはという者も出てくるだろう。

 

「なるほど、ペルマスクの鏡本体を買えるのは貴族の委任状を持った者だけですから」

「我らに雇われることが、一種の特権になるわけですな」

 

 コハク商と武器商人の反応も良い。

 これなら冒険者を説得できるかもしれない、と思ったのだろう。

 

「ならば、成功した先駆者の逸話などがあれば……」

「人を集めるのに役に立ちそうですな……」

 

 2人が俺を見た。

 つまりなんだ、札束風呂に入って両手に美女を侍らせる広告のあれか。

 ………………俺じゃん。

 

「うちには身体を悪くしている者もいるので、金を貯め込んでいるなどと噂されたくはありません。

 どうかそればかりは……」

 

 それに、心の棚の積載量にも限度があるんだ。

 

「次に冒険者の数を集める方法、これは私の友人の話なのですが……」

 

 と、言葉を濁して、先日聞いたロムヤの話――怪我をしているのにノルマを課されて負債を背負わされた件のことを話した。

 彼のように、冒険者をやりたくてもできない、という者も探せばきっとどこかにいるだろう。

 そして、運搬のような比較的安全な仕事であれば、復帰もしやすいのではないか。

 

「なんとっ! 探索者に戻るならともかく……全く、冒険者になれる程の人材を遊ばせておくなど」

「どんな人にも浮き沈みはあるもの……それで将来が閉ざされるのは、哀しいことです」

 

 こっちは公爵夫妻の反応が良い。

 実際、不合理な話だしな。

 だが、冷静なゴスラーが一拍置いて、

 

「探す価値はあると思いますが、その場合、冒険者ギルドとの関係に若干の不安があります。

 それに、冒険者を辞めた者にも今の生活がありましょう」

 

 なるほど、冒険者ギルドとの関係を悪化させたくはないということか。

 洪水増水は毎年のことらしいからな、それを考えれば当然の判断か。

 それに、冒険者になるような能力があって人格に問題ないのであれば、ロムヤのように新たな土地で頼りにされているだろうしな。

 

「ギルドに対しては、先日の災害のような危急時に備えていると言えば、名分は立つのでは」

 

 例えば、非常時にのみ召集される予備団員として幾ばくかの手当を与えて、平時には運搬係として働いてもらうとかだな。

 予備自衛官制度みたいなものだな。

 

「そして名目上、雇い主が公爵閣下であれば雇われる方にも名誉なことですし、安心もできるのではないでしょうか」

「ふぅむ、気侭な冒険者暮らしが性に合っているミチオ殿が言うと説得力があるの」

 

 ……口は災の元なんだよなぁ。

 ゴスラーが「閣下」、カシアが「あなた」と揃って嗜めると、公爵が「冗談だ、許せ」と笑った。

 笑いで憤懣を覆い隠している、などということはない……と信じたい。

 

「まぁ、それも悪くない。

 費えも抑えられるし、急に冒険者が必要になることは実際少なくないのでな」

 

 なんとか……なんとか次の話を。

 

「あとは、帝都から南東になりますと、冒険者ギルドで帝都に行く定期便は盛況でしたが、逆に南東を目指す人間は少なかったように思います。

 手すきの冒険者もいるようでしたから、定期便を上手く活用すれば、冒険者の質や数はある程度妥協できるのではないでしょうか?」

「うむうむ、他種族とも上手くやらねばならぬな」

 

 上機嫌に頷いた公爵が立ち上がると、一転厳しい顔になった。

 

「これまでの話で、其の方らも方策が見えてきたであろう。

 他種族だからと侮ることなく広く人材を集め、他領やギルドとの関係を損なわぬのであれば……」

 

 公爵が冷たい目で武器商人を見据えた。

 彼が他種族を見下す傾向があるということは、どうやらお見通しらしい。

 

「はヒっ! そ、そのようなことは決して致しません!」

「……その言葉が嘘でない限りは、余は其の方らに委任状を預けておくであろう」

 

 コハク商と武器商人が深く頭を垂れた。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 話がまとまった後、皆のところに戻る前にコハク商と武器商人の2人と話をした。

 

 まずコハク商には、セリーの髪飾りと母娘の額飾りの購入を打診した。

 皆の前で話すと遠慮されそうだからな。

 これは、猫人店主としても最初からそのつもりだったようだ。

 これまで鏡を格安で売ったお礼に、そのまま持って帰ってもらって構わないという。

 

 ついでにタルエムの小箱も頼んでおく。

 こっちも無料というのは、さすがに遠慮した。

 

「ロクサーヌさんの方は如何いたしましょうか?」

「申し訳ない、どうも決めかねていて……」

 

 どうもセリー達の分が実用的かつ凝った代物だったから、単純に高価なネックレスとかを贈ってそれでいいのか……みたいな悩みがある。

 コハクを見て目を輝かせていたからアクセサリーは好きなのだろうし、極論何を贈っても喜んでくれそうなのだが……だからこそ悩みが深まるというかなんというか。

 コハク商としては、もしかしたら当てが外れたのかもしれない。

 だが、そんな様子は一切見せず、

 

「良い物が手に入りましたらお報せいたします」

 

 と言ってくれた。

 素直に言葉に甘えることにしよう。

 

 次に武器商人だが、カタリナのドレスとロクサーヌの装備品はさすがに無理らしい。

 全部まとめると底値でもン十万ナールする、とハンナが見立てていたしな。

 彼には鏡の枠も用意してもらうのだし、これ以上は求めすぎだろう。

 

 ついでに装備品の話をした。

 ロクサーヌの装備として良い武器を探していたからだ。

 片手剣ならエストック、両手剣ならダマスカス鋼の剣、クーラタルの武器屋にはそのどちらもあったが、空きスロットが存在しない。

 

 カウンターの向こうに1本ずつ大切に展示されていたから、ゲーム風に言うといわゆる店売り最高装備というところだろう。

 更に上の素材である聖銀やオリハルコン製になると、極稀にある競りの出物を確保するくらいしかないらしい。

 

「当家はボーデで、いえハルツ公領でも屈指の老舗です。

 もちろん、取り扱っておりますとも」

 

 鏡の用意が出来たらクーラタルの商人ギルドに報せてくれるというので、その時に装備品も見せてもらうことにして、皆と合流した。

 

 

 

   クーラタルの街

     道夫の家

 

 ボーデから帝都に寄って、昼前に家に戻った。

 帝都での用事は、ウサギの皮と貝紫と茜の反物の売却だ。

 帝都の服屋は、子供の頃に母と行った広尾のブランドショップを思い出す雰囲気の店だった。

 

 ……すっけすけのネグリジェとかあったな、けしからん。

 あんなシースルーの下着を16歳の女の子に着せるのは、それだけで犯罪的と言える。

 だが、俺なら出来る。

 誰はばかることなく出来る。

 そう、異世界ならね。

 

 そういう下心を抜きにして、延ばし延ばしにしていたが資金が入ったのだし、皆にももう少し良い服があってもいい。

 大体なんだ、あの野暮ったい寝間着は、年頃の女の子に着せる物じゃあない。

 まったく、あんなものを買ったやつはどうかしている。

 

 俺のアイテムボックスには、総額100万ナールを優に超える金貨銀貨が収まっている。

 盛大に儲けたわけだし、ここは盛大に消費を……という思いをググッと抑えつけて帰宅した。

 利確したのだから、いくらになったのかをしっかり確認して、計画的に消費しなければ。

 

 皆どこか浮ついた雰囲気で早めの昼食を終えて、午後から金勘定を始めた。

 

 

  鏡46枚      買:167,000  売: 280,000

  反物       買: 10,000  売: 44,000

  板12枚      買: 11,000  売: 110,000

  コハク(大) 48個 買: 44,000  売: 192,000

  コハク(小) 124個 買: 12,400  売: 62,000

  アクセサリー 6個 買:300,000  売:1390,000

 

 

 まず、ペルマスクで購入した鏡は総数46枚。

 うち40枚は1枚3,500ナール、無理を言って追加した6枚は4,500ナールだ。

 購入金額は16万7,000ナール。

 売ったのは40枚で倍額で売れたから、売却金額は28万ナール。

 

 緩衝材と兼用で買った茜と貝紫の反物。

 これが4反ずつで、500ナールと2,000ナールで買ったから購入金額は1万ナール。

 茜の方は最近の流行では押され気味らしく倍額の1000ナール、貝紫は5倍の1万ナールだった。

 よって売却金額は4万4,000ナールだ。

 

 タルエムの板材が12枚、これは途中から鞘の注文が増えたから少なめだ。

 板材は1枚500ナール、10個売れた鞘は1つ500ナールだった。

 購入金額は1万1,000ナール。

 ペルマスクでは10倍で売れたから、11万ナール。

 

 コハクは原石が48個売れた。

 20個はあのコハク商の在庫で800ナールだが、途中で追っ付かなくなって28個は他の同業者からかき集めたそうだ。

 仕入れ値が上がるから、そちらは1,000ナールで買うことになった。

 購入金額は4万4,000ナール。

 これが1個4,000ナールで売れたから、19万2,000ナールだ。

 

 ハンナとカタリナの額飾りの影響だろう、途中からは小粒の原石の注文も入った。

 これが124個、小粒だから1個100ナールで購入金額は12,400ナール。

 売却金額は6万2,000ナール。

 

 本丸はコハクのマント留めとネックレス。

 3万ナールのマント留めが2つと、5万ナール超のネックレスが4つ。

 購入金額が3万、4万、5万5,000、5万、6万5,000、6万ナールで30万ジャスト。

 売却金額が9万、20万、25万! 25万! 35万! 30万! で139万ヌァァァァアアッ―――ルだ。

 

 おっと、忘れるところだったが、入市税が1人銀貨1枚だ。

 4人で4回行ったから1,600ナールだが、まあ誤差だな。

 

 総購入金額が54万4,400ナール。

 総売却金額が207万8,000ナール。

 利益は153万3,600ナール。

 そして妨害の銅剣を売った10万ナールがそのまま残っているから、諸々合わせて163万2,000ナール、プラスで家用の鏡とハルバードか。

 

 アイテムボックスから出したそれらを積み上げて、ロクサーヌに数えてもらった。

 そして、ハンナが付けてくれた帳簿と照合して、

 

「163万2,000ナール、確かにあります」

「はい、同じく確認しました」

 

 そう言ったロクサーヌとセリーの顔は紅潮し、声は震えていた。

 カタリナは息を呑み、ハンナは平静に見えるが目がギラついている。

 この世界の貨幣価値がいまいち実感できない俺にも、彼女たちの反応を見て徐々に高揚感が湧いてきた。

 

「……随分稼げたな」

 

 そういえば、魔結晶に魔物100万匹分の魔力が貯まると白魔結晶となり、100万ナールで売れるのだったか。

 以前、一生に一度手に入るかどうか……と聞いた覚えがある。

 それを超える金額を、ここ10日程で稼いだわけか。

 

「随分稼げたが、例えばダマスカス鋼装備を購入したらあっという間に吹き飛ぶ金額でもある」

「はい、全身一式揃えれば、4人分というところでしょうか」

 

 気を取り直したらしいハンナが、いつもの冷静な声で首肯した。

 

「まあ、素材から買ってセリーに装備製造してもらえば安くは抑えられるだろうが……」

「ダマスカス鋼装備が製造できる鍛冶師は、何年も……10年以上は修行を積む必要があると言われています」

 

 既に鉄装備まで試してもらったセリーだが、さすがにそれは……という反応をした。

 ハンナも「ダマスカス鋼の素材も貴重なものです」と続ける。

 

「クーラタルの迷宮では三十一階層のノンレムゴーレムのボス、レムゴーレムのレアドロップ品ですから」

 

 で、ダマスカス鋼の上には、更に聖銀やオリハルコンといった素材もあるわけだ。

 ……気が遠くなるな。

 王侯貴族は何代も何十代もかけて課金プレイし続けているわけだな。

 

「装備だけではないな、パーティーメンバーの枠はまだ余っている」

「アラン様に薦められた猫人族はもちろん、以前にお話しした竜人族、あるいは魔法使いの奴隷を購入することもできるでしょう。

 ……売りに出るかは別の話ですが」

 

 ハンナの言葉に、ロクサーヌの表情がちょっと曇る。

 猫人族なら……と以前は言っていたが、できれば余り増やしたくないのだろうな。

 

「それで思ったんだが、エリクシールというものは買えないのか?

 ハンナとカタリナの身体が治れば、戦闘要員が2人増やせる」

 

 ロクサーヌの顔が一転晴れやかになった。

 良かった、この選択肢はロクサーヌとしても有りか。

 まあ、気心が知れている仲だしな。

 

 ハンナは商人の方が気質に合っていそうだから、代わりのメンバーが見つかるまででもいい。

 カタリナには引き続き杖を持たせて、魔法使いの振りをしてもらうのもいいかもしれない。

 それで外目には前衛4人と後衛1人の、まあ一般的なパーティーに見えることだろう。

 

 そんな話をすると、ハンナとカタリナが……崩れ落ちるように俯いた。

 様子がおかしい。

 一瞬見えた表情は、歓喜によるものではない。

 

「こ、これだけ稼いでくれたんだ、カタリナの石鹸作りも順調だし、そろそろ売りに出してみても良いだろう。

 ロクサーヌもセリーも、文句はないだろう?」

「はいっ!」

「もちろんです!」

 

 俺達の言葉に、ハンナはよろよろと顔を起こして、言った。

 

「金を払ってどうにかなるものなら、あの人が命を落とすことはなかったでしょう」

 

 血を吐くような声だった。

 もっと事前に調べてから言うべきだった……と暗澹たる思いを噛み殺して、「詳しく教えてくれ」と頼む。

 

「手前共が……当家が賊に襲撃されて、それで全ての財産を失ったわけではありません。

 金銭や装備品こそ奪われましたが、アイテムボックスで運べないものは残されておりましたので……」

 

 生き残った者達はそうした資産を換金したり物納したりして、僧侶を呼び薬を買い求めたという。

 ハンナの夫もその1人だ。

 

 ……この世界は、探索者ギルドや冒険者ギルドで滋養丸などの傷薬が買うことができるし、僧侶なら〈手当〉が使える。

 その効果は非常に強力だ。

 更に冒険者が〈アイテムボックス操作〉と〈フィールドウォーク〉で遠隔地まで運べるから、外傷治療に対しては地球より進んでいると言えるだろう。

 

 しかし、部位欠損や靭帯切断、重度な火傷のような、自然治癒が望めない傷病に対しては、傷薬は効果が薄い。

 だが、体力自体は回復できるから、命を延ばすことはできる。

 無理を押して身体を動かすことはできる。

 

 そうして無理して、無理を通して、手に入ったのは万金丹。

 二十三階層以降の魔物であるハーフハーブ、そのボスのハートハーブのドロップアイテム――緑豆から作成できる万能薬だという。

 

 万能薬はHPとMPを回復し、怪我や病気も治し、状態異常すらも治せるというまさに万能の薬だ。

 これは万能丸、万金丹、エリクシールの順にグレードが上がっていく。

 ……つまり、万能丸や万金丹はそこまで万能ではなく、効果も〝ある程度〟に限定されるということでもあるが。

 

「私とカタリナはもう身動きもとれない状態でしたが、万金丹でなんとか動けるようになりました。

 しかし、無理を通した主人は……」

 

 ハンナが息継ぎをするように溜息を吐いた。

 そして言葉もなく話を聴いている俺達を見渡した後、俯いたままのカタリナの頭を撫でてから、話を続ける。

 

「取り留めのない話になってしまって申し訳ありません。

 御主人様は帝国解放会という秘密結社をご存知でしょうか?」

 

 帝国解放? 秘密結社?

 ……なんだか反社会的な響きがするな。

 

「迷宮で戦う人たちの中でも実力者だけが加入できる団体だと聞いたことがあります」

 

 俺が首を振る前に、セリーが言った。

 ……ああ、迷宮から帝国を解放するという意味か。

 ハンナが驚いた顔をした後、「セリーさんは本当に博識ですね」と少しさびしそうに笑った。

 

「エリクシールの材料は、先ほどご説明したハートハーブの更にボス、クーラタルの迷宮であれば六十三階層のボスからドロップする威霊仙というアイテムから作られます。

 噂では、加えてレアドロップでもあるとか……そこらの迷宮は、大抵五十階層のうちに討伐されますから……」

「そもそも供給がないのか」

 

 俺の言葉にハンナが頷いた。

 正確に言えば、供給がないわけではないが、先程の帝国解放会が独占しているそうだ。

 それ以外で手に入るのは、皇家や貴族などの血と家を継ぐことが義務である者達くらいものだという。

 

 これを非難することは、公平に言ってできないと思う。

 幼少期から鍛えられて家臣団も抱えている王侯貴族は、必然的にこの世界における強者であるはずだ。

 エリクシールを手に入れられる者と、手に入れる可能性がより高い者に優先して回されるのは合理的ではあるだろう……金の卵を産むガチョウというやつだな。

 それに、そんな上層で厳しい戦いをしているパーティーならば、怪我をするリスクも高いだろうし。

 

「……すまなかった。

 そこまで貴重なものだとは知らなかったんだ」

「いえ、その御心だけで、感謝の念に堪えません」

 

 自力で六十三階層を突破するか、五十階層を突破できるほどの実力があればあるいは……というところか。

 ……嗚呼、ハルバードではなくエリクシールを公爵に頼んでいれば……いや、さすがに無理か。

 でもあの腰の軽い公爵なら、という期待感は拭えない。

 

「ご主人様ならきっと大丈夫です」

「……ロクサーヌ?」

「ご主人様は、今後立派な仕事を成し遂げられる方です」

 

 真っ直ぐに言われた。

 この娘はきっと、本当の意味で挫折したりしたことがないのだろうな。

 奴隷になったのも、家族のためという事情だったようだし。

 

「……俺は立派な仕事を成し遂げられるか」

『はい!』

 

 前も同じことを言われたな。

 今度はセリーまでもが力強く頷いた。

 俺はやっと十一階層を突破したところなんだがなぁ。

 

「……よし、今後はハルツ公領の迷宮に入ろう。

 公爵から迷宮探索に協力を求められているからな。

 公爵の覚えをめでたくすれば、エリクシールを分けてもらうこともできるかもしれん」

 

 ここで、迷宮討伐するぞ! と檄を飛ばすことのできない我が身の、なんと情けないことよ。

 だが、より近道の、より現実的な手段を模索するのは当然だとも思う。

 

「はい、わかりました!」

「あの武器商人からは、ハルバーの迷宮の四十階層までとターレの迷宮の十二階層までの情報をもらっています」

「……では、しばらくはハルバーの迷宮とターレの迷宮の十二階層を探索するか」

 

 ロクサーヌもセリーもすっかりやる気だ。

 ここで水を差すのも悪いか。

 ……今日は午後半休にしようと思ってたのに。

 

「階層突破をするというのも手です。

 報奨金自体は大したものではありませんが」

「なるほど、公爵に貢献をアピールするという意味では悪くないな」

 

 セリーが悪どい笑みを浮かべた。

 

「領内で新しい迷宮が見つかった今なら、探索は手薄になるでしょう。

 ロクサーヌさんの嗅覚とご主人様の魔法……チャンスはあるはずです」

「セリーのマッピングも的確だしな」

 

 その後、早速迷宮に入ることなった。

 深々とお辞儀するハンナとカタリナに見送られて、俺達は〈ワープ〉で家を出た。

 

*1
怖くなって腰くだけになるという意味の、ヤの付く自由業の業界用語。

*2
ガレー船の船員は捕虜や奴隷を酷使する劣悪な労働環境というのが主流だが、ヴェネツィア共和国では自分に割り当てられた積載スペースを利用しての交易が認められていたため、人気のある職業だったとされる。




■エリクシールの価値について
 万能薬系統の薬は原作で価格未公開なので想像です。
 根拠としては、ダマスカス鋼装備の価値からの推測です。

・クーラタルの武器屋で、ダマスカス鋼装備が別格扱いされている。(カウンターの向こうで展示されていて、おそらく一種一品しかない)
・最大最古の迷宮があるクーラタルの武器屋は、需要が高くて規模が大きいはずである。
・ダマスカス鉱石は二十三階層以降のボス、レムゴーレムのレアドロップ。(=雑魚として出現するのは五十六階層以降)

 ダマスカス鋼装備にこれだけのレアリティがあるとすると、エリクシールの素材の威霊仙は五十六階層以降のボスのドロップアイテムなので、価値は更に高くなります。

 次に五十六階層以降のボスを倒せる人間がどれくらい居るのかですが原作で迷宮に呑み込まれて滅亡した領地があることを考えると、そもそも五十階層の迷宮を討伐できるパーティーですらそれほど多くないのではないかと。

 以上のことから、本作では本話で記載した通り、帝国開放会の上澄みパーティーでのみ手に入れられるもので、王侯貴族の独占状態にあるものとします。
 帝国開放会で手に入れるのも、聖銀やオリハルコン装備のようにポイント+現金で競り落とす品という感じですね。

 ……まあ、こういう困難な目標設定をしないとアラフォーの道夫さんサボりそうだし、という都合もありますが。
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