ありがとうございます、全て目を通しています。
ハーゴンを倒す旅に出ているため返信できませんが、ご容赦ください。
尾頭付きは わいんで にて たべたこと あります。
ほかに どんな りょうりが ありますか?(ミリア)
↑子供の頃に一度だけ、香草焼きを食べました。
どんな香草かは覚えていないのですが。(セリー)
↑タイムかもしれません。
魚のハーブと呼ばれることもある香草です。
今の時期なら手に入りやすいです。(カタリナ)
※ここからしたはごしゅじんさまのめもです。
春65日
AM:クーラタル17F
PM:ハルバー14F~
クーラタルの街
道夫の家
翌朝、ロクサーヌに手伝ってもらって装備を身に着けた。
鑑定画面の他に、姿見で軽く確認する。
……うん、問題なさそうだな。
しれっとベッドサイドに置いといた姿見は、いつの間にか部屋の反対側に移動されていた。
昨晩はセリーと一緒に映り具合を確認して、声を上げて悦んでくれたのに、不思議なこともあるものだ。
「ありがとう」
「はい、ご主人様」
と返すロクサーヌの顔が、若干寂しそうに鏡に映っていた。
じっと俺の装備を、その下の服を見ている。
「ロクサーヌとミリアの服は、明日取りに行こうな」
「はい、ありがとうございます」
結構値が張ったとはいえ古着だから、コハク商に綿抜きしてもらった服は迷宮に着ていくことにした。
さすがにコハクのラペルピンは身に着けないが。
元々着ていた服は折角ロクサーヌが選んでくれたものだが、体型的に帝国人の服より動きやすいのだ。
コハク商には俺の分の作業を優先して頼んだ上に、ロクサーヌとミリアの分は尻尾を通す穴を空ける必要がある。
だから昨日取りに行った時、「お連れ様の分はもう数日いただきたく」と言われていたのだった。
ロクサーヌの支度も良いようなので、一緒に一階に降りる。
すると玄関にはいかにも屈強な……いや、ちょっとミニチュアサイズの鎧があった。
そして鎧は、俺の姿に気づいて動き出した――!
「セリー、動きづらくはないか?」
……まあ、正体は姿見の前で装備を確認しているセリーなのだが。
ダマスカス鋼のプレートメイル
・空き
・空き
・空き
・空き
この圧巻の空きスロット数を見て、つい衝動買いしてしまった。
自動サイズ調整機能を完備しているこの世界の装備品だが、そのため革鎧系の胴装備は身体にぴっちりと張り付いてしまう。
結果として、女性が身に着けるとラバーフェチの民が大歓喜する有り様になるわけだな。
まして胸のサイズを気にしているセリーにとっては……言うまでもない。
だが、金属鎧系はそんなことにはならない。
とはいえ重いので女性は使うことはあまりないらしいが、セリーは「大丈夫だと思います」ということなので使ってもらうことにした。
別に不格好ではないんだが、自動サイズ調整されると……1/12スケールのガンダムが大体こんなサイズ感だったと思う*1。
ダマスカス鋼装備のスロットの数は、恐らくこれが最大数だと思う。
だからスキル結晶をガンガン融合してしまいたいところなのだが、セリーしか扱えない装備品だと考えものだ。
今はルークに売り込まれた人魚のスキル結晶*2と、レベリング中にドロップした蝶のスキル結晶*3が余っている。
状況に応じて共用がしやすく、着脱しやすい頭か腕装備が良いのだが……、
「ええと……すみません、ご主人様。
動くのは問題ないのですが、私がケトルハットを被ると上の視界が狭まってしまうので、空を飛ぶ魔物の対処が難しくなってしまうような」
「あー……それもそうか」
今も階段から降りてくる俺への反応が遅れてたしな。
ダマスカス鋼のケトルハット
・空き
・空き
・空き
ケトルハットは広いつばを持つ帽子のような形状の兜だ*4。
色を黄色くしたら、まんま園児帽だ。
だから小さいセリーに被らせたかったというわけではなく、身長のせいか頭部に攻撃をもらうことが多いセリーの防御力を高めたかったんだが……それで回避率が下がったら本末転倒かな。
「では、それは俺が使うとしよう。
竜革の帽子は、代わりにセリーが使ってくれ」
「すみません、ありがとうございます」
そんなケトルハットを俺が被るとどうなるか。
……金属製だから、ジンギスカン鍋みたいにも見えるんだよなぁ。
騎馬民族の衣装を着ていること、そしてジンギスカンの名前の由来は鍋が元寇の兵士の兜に似ているから……という俗説が頭にあるからかもしれんが。
「それとガントレットですが、これを装備しながらマッピングするのはちょっと難しいかもしれません」
「……すまん、そりゃそうだな」
ダマスカス鋼のガントレット
・空き
・空き
・空き
当たり前だが、ガントレットを装備すれば指先まで全て金属で覆われることになる。
革のグローブだって作業しやすいとは言い難いだろうが、金属はもっと駄目だろう。
……せめてラバーグリップがついていればな。
ゴムの木なんかあるかわからんし、あっても加工方法がわからん。
いや、なんかあったなコンドームの素材になってるドロップアイテムが。
……まあやめておこう、今話すことではない。
「ご主人様が使われては?」
考え事をしているとロクサーヌが遠慮がちに訊いてきたので、「いや、ロクサーヌが使ってくれ」と返答する。
前衛から防具を整えるべきだろう。
セリーの装備をガチガチに固めようとしたのは、極論すれば回避に専念して時間を稼げば良いロクサーヌやミリアと違い、セリーが『強権のハルバード』を得物としているからだ。
階層が上がるにつれてスキル攻撃をしてくる魔物が増えてきたので、〈詠唱中断〉するために前に出る場面が多くなっている。
そのせいでセリーの被弾が増えてしまっているのが、目下の悩みの種だ。
早くウサギのスキル結晶が欲しいな。
ロクサーヌの武器にも〈詠唱中断〉を付けたい。
あとは〈移動力増強〉のウシと、〈回避力2倍〉のコウモリのスキル結晶か。
移動が速くなればヒット・アンド・アウェイできるようになるだろうし、それで逃げ切れなくても回避力を上げれば避けられる。
……待てよ? ボーナス装備にあったな、確か。
【ボーナス装備】
足装備Ⅲ
加速のブーツ
・移動速度上昇
……おおっ、あったあった。
「今日のところは、とりあえずこれを装備してくれ。
加速のブーツというものだ」
「加速……移動力上昇ですか」
「セリーの移動力が上がれば、詠唱中断でスキルの発動を妨害しやすくなる。
今のところ、セリーの装備しか詠唱中断はついてないからな」
ロクサーヌが「確かにそうですね」と頷いたのを確認すると、
「ありがとうございます」
セリーが押し戴いて受け取った。
「ミリアは、新しい盾は問題ないか?」
「はい! 平気、です!」
ダマスカス鋼の盾
・空き
・空き
ミリアが元気よく掲げた盾は、空きスロット2つだが買っておいた。
盾にはあまりスキルを付与する予定がないから、妥協の余地はあるのだ。
ともあれ、結果としてはこれで全員にダマスカス鋼装備が1つは行き渡ったことになるか。
バランスを考えたら、これで良かったのだろう。
ロクサーヌとセリーが装備を交換するのを待っている間、俺は〈足装備Ⅲ〉を有効にした分のボーナスポイントの確認作業だ。
今はファーストスキルの探索者がLv41だから、使えるボーナスポイントは139になる。
だからジョブの数と経験値スキルのパターンは3パターンになる。
〈セブンスジョブ〉に63割り振って、〈必要経験値十分の一〉の31、〈獲得経験値十倍〉の31で合計125使う攻略優先パターン。
〈フォースジョブ〉の7だけ割り振って、〈必要経験値二十分の一〉の63、〈獲得経験値二十倍〉の63で合計133使うレベル上げ優先パターン。
〈シックスジョブ〉の31、〈必要経験値十分の一〉もしくは〈必要経験値二十分の一〉、〈獲得経験値十倍〉もしくは〈獲得経験値二十倍〉で合計124使うバランス型。
こないだレベリングに集中していた時は、バランス型で開始してレベル上げ優先パターンに移行した。
ジョブの数と必要経験値の分母、獲得経験値の倍数を単純に掛け算した時、これが一番経験値効率が良い。
ちなみに、俺がパーティーから抜けてロクサーヌ達に索敵と肉盾だけやってもらうと、多分経験値が更に6倍になるんだが……さすがにそれは人の心がなさすぎる。
レベル制の世界における経験値って、給料みたいなもんだと思うし。
とりあえずセルマー伯に会うというタスクは済ませたんだから、今日は攻略優先で良いだろう。
というか〈足装備Ⅲ〉で7使ってしまったから、レベル上げ優先パターンは不可能なんだが。
残りのボーナスは7……結構厳しい。
〈パーティージョブ設定〉と〈詠唱省略〉はコストカットだな。
キャラクター設定
【ボーナスポイント】
0
【ボーナス装備】
足装備Ⅲ
【ボーナス呪文】
ワープ
パーティライゼイション
【ボーナススキル】
必要経験値十分の一
獲得経験値十倍
セブンスジョブ
鑑定
ジョブ設定
詠唱短縮
キャラクター再設定
▶決定
やり直す
……こんなところかな。
あとはジョブ設定だが……遊び人は魔法使いより先にするのが
加賀 道夫
<男・37歳>
探索者:Lv41
英雄:Lv38
遊び人:Lv38
魔法使い:Lv41
色魔:Lv38
僧侶:Lv31
料理人:Lv30
装備:ひもろぎのロッド
:鋼鉄の盾
:ダマスカス鋼のケトルハット
:硬革の鎧
:硬革のグローブ
:硬革の靴
:身代わりのネックレス
……これでよし、と。
食材を落とさない魔物の場合は、料理人を〈クリティカル発生〉と〈知力小上昇〉がある博徒に変えるのが良いだろう。
「さて、みんな支度はできたか?」
「はい、大丈夫です」
ロクサーヌ
<♀・16歳>
獣戦士:Lv31
装備:ダマスカス鋼の剣
:硬革の帽子
:硬革のジャケット
:ダマスカス鋼のガントレット
:硬革の靴
:身代わりのミサンガ
セリー
<♀・16歳>
鍛冶師:Lv31
装備:強権のハルバード
:竜革の帽子
:ダマスカス鋼のプレートメイル
:硬革のグローブ
:加速のブーツ
:身代わりのミサンガ
ミリア
<♀・15歳>
海女:Lv30
装備:ほむらのレイピア
:ダマスカス鋼の盾
:硬革の帽子
:硬革のジャケット
:硬革のグローブ
:硬革の靴
:身代わりのミサンガ
……大丈夫のようだ。
鋼鉄素材が手に入ったら、硬革装備も強化するとしよう。
「では行こうか」
『はい』
クーラタルの迷宮
十七階層
「マーブリームは、水魔法を使った遠距離攻撃を得意とする魔物です。
水魔法に耐性があり、土魔法が弱点です」
初めての階層に来た時はいつもだが、セリーが魔物についてレクチャーしてくれた。
「スキル設定」
遊び人:Lv38
効果:知力中上昇
スキル:効果設定
:スキル設定
:初級土魔法
そしてこの階層の弱点属性の魔法を遊び人に設定するのが、いつもやることだ。
「ではロクサーヌ、初めての魔物だし、いつも通りに頼む」
「はい、お任せ下さい」
いつものようにロクサーヌの案内に従い、誘導された通路の先に――〈鑑定〉。
「………………鑑定」
〈詠唱省略〉はやっぱり必要だな。
マーブリーム
Lv:17
そこには魚体にひょろ長い足が生えた魔物がいた。
カエルアンコウみたいな一見足のような
ヌンサじゃん……手はないけど。
後に
令和のデモン・スレイヤー*7にも金魚の鬼が登場したが、あんな筋肉モリモリマッチョマーマンではない。
……なんだろう、絶妙に気持ち悪い。
タンノくんは網タイツの美脚だからコミカルになったが、こっちは普通にホラーだ。
「では、やるか」
「はい、私とセリーで行きます。
ミリアは盾でご主人様をお守りしなさい」
「はい」
「……はい」
ミリアが一拍遅れて頷いたことを確認し、ロクサーヌとセリーが駆け出した。
2人に遅れて前に出て――
「サンドボール、サンドボール」
俺の頭上に出現した砂の球は、魚人に真っ直ぐ飛んでいく。
1発目の砂球に殴りつけられたマーブリームが、焦点がよくわからない目玉をギョロつかせる。
避けもしないその足元で――ロクサーヌが「ミリア!」と鋭く指示する――魔法陣が発現し――「はい!」ミリアが盾を構えて――すぐに霧散した。
セリーの一撃が間に合ったのだ。
2人の攻撃と2発目の〈サンドボール〉が命中した魚人が横倒しになる。
加速のブーツの効果は、まあいつもより速いかな? ってくらいか。
ボーナス装備なのに、ちょっと拍子抜けだ。
……いや、プレートメイルを着ているのに、それくらいの速さで走れていることを驚くべきか。
考えているうちにクールタイムが終わったので、「サンドボール」だ。
もう一発必要か少し様子を見ていると、無事マーブリームは煙になって消えていった。
弱点属性で魔法3発か……十六階層は〈フォースジョブ〉でも3発だったから、〈セブンスジョブ〉の今はそれくらいでないと困る。
この階層はこのマーブリームと、十六階層の飛行系魔物がメインになる。
単属性で3発なら、2属性までなら混ざっても魔法4発……つまりクールタイムは1回で済む。
問題なさそうだな、と言う前に、横で盾を構えていたミリアが歓声を上げて走り出した。
「鑑定――」
尾頭付き
「――おおっ、幸先が良いな」
尾頭付きはレアドロップだ。
料理人の効果がいきなり発揮されたらしい。
ミリアがニッコニコの笑顔で尾頭付きを拾い上げた。
「××××××!」
その光景を見て……ふっと醒めた。
ひょろ長い足が生えた魚人を倒したら、タイっぽい魚がまるっと一匹落っこちた。
それを猫耳美少女が『とったどー!』と言わんばかりに捧げ持つ。
……風邪で寝込んでる時に見る夢かな?
「尾頭付き! です! すごい! です!」
「あ、ああ、ありがとう」
だが、手渡された魚体の重みは現実のものだ。
落とし主のことを思うとちょっと食欲が湧いてこないが……いや、今更だな。
「この階層でも問題なさそうだし、数を増やしていこうか。
尾頭付きも、もっとあったほうが良いだろう」
散々白身を食べたんだ、尾頭付きになったからって今更どうした。
締まっていこう。
そして尾頭付きはアイテムボックスに仕舞っておこう。
「大きいから1人1匹とは言わないが、2、3匹は欲しいな」
と言うと、ロクサーヌとセリーが困ったような顔になって、
「ええと、尾頭付きは貴重なので、特別な日などに使う食材です」
「家長が最初に一切れ食べ、残りを少しずついただくものです」
お魚大好きのミリアですら、「少し、です」と付け加えた。
「まあ、白身にしても尾頭付きにしてもアイテムボックスに入れておけば腐らないし、別に良いじゃないか」
「……そうですね、貴重な食材なので高く売れると思いますし」
セリーがクールに言った。
……別に売らなくても良いと思うのだが。
「それに、私達が入っている迷宮ですと、マーブリームがいるのはハルバーの迷宮は二十二階層。
ターレの迷宮では十六階層までに出現していません。
次にいつ戦えるかわかりませんから、ご主人様が言うように今のうちに貯めてしまうのが良いですね」
ご主人様そこまで考えてないと思うよ。
だがまあ、折角の高級食材らしいし、どうせなら皆が遠慮する気がなくなるくらい大量に欲しいものだな。
料理人の〈レア食材ドロップ率上昇〉があるのだし、それほど苦労はしないだろう。
白身
白身
白身
白身
白身
白身
白身
白身
白身
白身
……などと考えていたのはフラグだったらしい。
1回目のレアドロップはビギナーズラックだったのか、あるいは俺達をこの階層に留めようとする迷宮さんサイドの仕込みか。
午前中一杯で、白身は200個近くになったのに、尾頭付きは初っ端の1個を含めて5個しかドロップしなかった。
尾頭付きは絶対売らん。
味わって食べる。
ハルバーの迷宮
十六階層
午後はハルバーの迷宮の探索だ。
ハルバーの迷宮の攻略は、十三階層を突破した段階で中断していた。
経験値効率の良いクーラタルの迷宮十六階層でのレベル上げに集中していたからだ。
ハルツ公の依頼で迷宮に入っているので、入口の探索者に頼めば攻略中の最上階まで無料で運んでもらえるが、途中の階層に行くには金を払わなければならない。
だが幸い、エルフ武器商人の伝手で入口からボス部屋までの地図は手に入っている。
それで金を払うのも馬鹿馬鹿しいので、一四階層から探索開始して一気に十六階層まで突破した。
十四階層のサラセニアと十五階層のビッチバタフライは、どちらも他の迷宮で戦ったことがある。
ただ、火属性が弱点のサラセニアに対し、ビッチバタフライは火属性に耐性がある。
それで魔法の使用回数が増えてしまうかと思ったが、低階層だったから変わらずクールタイム1回で済んだ。
「十六階層の魔物は、クラムシェルです。
毒はありませんが、噛まれると麻痺することがあります。
水を飛ばす遠距離攻撃をしてきます」
「魔法じゃなくて、物理攻撃なんだったな」
ちょっと久しぶりだが、ターレの迷宮十六階層も同じクラムシェルだから、軽く戦ったことがある。
セリーがした説明は、その時のものと同じものだった。
「はい、火魔法に耐性があり、土魔法が弱点です」
「ああ、遊び人に土魔法を……設定する前に、ロクサーヌ」
サラセニアとビッチバタフライがいる所に案内できないか?」
と言うと、ロクサーヌがきょとんとした顔になった。
「えっと、クラムシェルではなくてですか?」
「耐性属性と弱点属性が被った場合を試しておきたい」
ターレの迷宮の十四階層から十六階層は、階層毎に耐性属性と弱点属性が被るという、魔法メインで戦う場合にひどく効率が悪い階層だった。
ただ、あれからみっちりレベルを上げたし、状況も変わっているかもしれない。
「ピッグホッグも土魔法に耐性があります」
「おっと、それもそうか」
ピッグホッグは十二階層の魔物だから、出現率は若干低いだろう。
面倒かもしれないが、ロクサーヌは「なるほど、わかりました」と力強く頷いて、
「数が偏ってる方が良いですよね」
「ああ、その方が助かるな」
数が多い方の弱点属性を付けば、より多くの魔物を無力化できる。
残った少ない方で魔法の使用回数を確認すれば、より安全に検証できる。
ありがたいことに、ロクサーヌはしっかり飲み込んでくれているようだ。
だが歩き出してしばらく、ロクサーヌが申し訳無さそうな顔をした。
「そこを曲がった先にピッグホッグが1匹とクラムシェルが何匹かいるようなのですが……すみません、サラセニアも混じってました」
「何匹だ?」
「1匹……ですね」
1匹だけか、それなら……、
「前にラブシュラブにやったように、壁魔法でサラセニアを転ばせてみる。
その後はサンドストームでクラムシェルを片付ける。
その間、ロクサーヌ達でピッグホッグとクラムシェルをくい止める……で、どうだろう?」
サラセニアは巨大な花弁のような頭と2枚の葉っぱを持つ、チューリップみたいな植物の魔物だ。
花弁の中にはウツボカズラのように消化液が詰まっていて、それを撒き散らす範囲攻撃をしてくる。
近距離では腕のような葉っぱで
だが動きは鈍いし、頭部が大きいので重心は高そうだから――「いけそうですね」とセリーが同意した。
「わかりました」
ロクサーヌも頷いた。
ミリアも自分が『ピッグホッグとクラムシェルを止める』はちゃんと理解できたらしい。
小声で「ピッグホッグ、クラムシェル」と呟きながら頷いた。
それを確認してから、通路を覗き込んで、
「鑑定」
サラセニア
Lv:16
ピッグホッグ
Lv:16
クラムシェル
Lv:16
クラムシェル
Lv:16
クラムシェル
Lv:16
「サラセニア1、ピッグホッグ1、クラムシェル3。
ロクサーヌの言う通りで間違いない」
クラムシェルは1メートルくらいの巨大な二枚貝の魔物だ。
アサリやハマグリのような姿をしているが、どうやってかシャコガイのように縦に立っている。
どうやって動いているのかもわからないが、じりじりと歩いて(?)いる。
謎だ。
そんな謎の存在が、可愛らしい子豚のピッグホッグと一緒にクソデカチューリップの根本で群れていた。
メルヘン……かなぁ?
「スキル設定っと……こっちの準備も大丈夫だ」
「では、行きます!」
ロクサーヌ達が魔物に向かうと、ピッグホッグの足元に魔法陣が輝いた。
土魔法だ。
だが発動する前に、セリーが一撃食らわせてキャンセルした。
俺も狙いがつけられるように近付いて、「サンドウォール」――サラセニアは狙い取り倒壊した。
葉っぱをびったんびったんさせているが、少なくともしばらくは時間を稼げそうだ。
「サンドストーム」
まずは1発。
クラムシェルにはロクサーヌとミリアが向かった。
ロクサーヌが2匹、ミリアが1匹受け持つようだ。
――ビュッ!
――ビュッ!
――ビュッ!
3体のクラムシェルが口を開いて水鉄砲を吐き出した。
ロクサーヌは軽く避けながら立ち向かって一突きし、ミリアは盾で受け止めてから同じようにする。
――ガッ!
だがレイピアは貝殻に弾かれてしまった。
そして貝殻がガバッと開いて、ミリアに飛びかかる。
水の中でもないのに、泳ぐような動きだ。
「サンドストーム……サンドストーム……」
まだか……まだか……。
焦れていると、ロクサーヌが自分の受け持ちの1匹を踏みつけて跳躍し、空中のクラムシェルに
お前はサムスか*8。
着地して体勢が崩れたところをまた水鉄砲で狙われたが、特に焦った様子もなくガントレットで受け止めた――いや、上手く逸らしたという感じだ。
完全に見切ってるな。
ロクサームスなら惑星ゼーベスにも潜入できるだろう。
「ミリア、貝殻の中身を狙って、無理なら防御を」
「は、はい!」
ふーむ、そういうのもあるのか。
魔物は魔力でできているから、部位とかなさそうなんだが。
まあ、見た目通りといえばそれまでか。
そういえば、ミノの角とかもそうだったのかな。
わざわざ角を狙って斬るなんてしてないからわからんが。
「サンドストーム……サンドストーム」
やっとか。
砂が逆巻いて、クラムシェル達が消滅した。
サラセニアはようやっと起き上がろうとして……セリーのハルバードでぶっ倒された、もう1回遊べるドン。
それに入れ替わって、ロクサーヌとミリアが2人でピッグホッグを抑えに掛かる。
……よし、もう大丈夫そうだな。
魔法使いの〈ウォーターストーム〉を使って、更に遊び人の〈サンドストーム〉をもう1発、サラセニアがくたっと萎れた。
うーん……やっぱりピッグホッグはまだ倒せないか。
数十秒待って、あえて〈サンドボール〉を2連発してやっと全滅できた。
サラセニアに通常属性で5発、これが基準だな。
弱点属性だけ使ったクラムシェルは3発で倒せた、最速パターンだが多分オーバーキルだ。
ピッグホッグは耐性属性6発と弱点属性1発。
この組み合わせだと……うーん、どうやってもクールタイムは2回は必要だったか。
「遊び人に土魔法を設定すると、やっぱりピッグホッグがちょっと手間だな。
それ以外と戦うようにするか」
「それほど数はいないので、避けるのはなんでもないです」
ロクサーヌは頼もしいな。
「このままこの階層で戦いますか?
十七階層のケトルマーメイドも土魔法が弱点ですが」
「はまぐり、です」
セリーが言いながら、ドロップアイテムを拾って手渡してくれた。
ミリアも一緒だ。
……ミリアのそれは、蛤をもっと集めましょうということなのか、それとも単に拾えたアイテムの名前を言っているだけなのだろうか。
附子
豚バラ肉
蛤
蛤
蛤
蛤むいちゃいました。
それが一挙に3つ、ドロップ率100%とは。
……んもー、迷宮さんはすぐそういうことをするんだから。
そんなことをして気を引いても、すぐにシェルパウダーばっかりドロップするように遠隔操作するんだろう。
騙されんぞ。
「そう……だな、とりあえずボス部屋を目指して、もう少し戦ってみるか」
……まあ、外れドロップのシェルパウダーも石鹸の材料になるし、無駄にはならないしな。
ロクサーヌとセリーが地図とにらめっこしてから、「次はこちらです」と歩き出した。
シェルパウダー
蛤
シェルパウダー
シェルパウダー
シェルパウダー
蛤
蛤
シェルパウダー
蛤
シェルパウダー
ボス部屋に着いた時点の戦果はこんなものだった。
なんだよ、結構当たんじゃねえか。
今日の夕飯は尾頭付きと蛤のお吸い物にしよう。
道夫さんの年齢だと、中高年時代に一度はどこかのホビーショップで見かけたことでしょう。
なお、ガンダムの全高は18m、1/12スケールで全高1.5mになります。
フル装備のセリーと同じか、もしくは若干セリーの方が小さいかもしれません。
つばがあることから、馬上からの攻撃や弓矢による攻撃に対して効力を発揮する。
材質や形状を微妙に変えながら、イギリス軍のMK.2ヘルメットのように第二次世界大戦まで使用されていた。
騎士用のフルフェイスメットのように顔面の保護はできないため、顔を保護する鎖帷子を着用していた例もある。
普及している割にドラクエ等のJRPGであまり見られないのは、主に騎士用の兜を参考にデザインされているから……かもしれません。
残念ながらアニメ版ではチューに変更されました。
『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでは初代から参戦、後空中攻撃にソバットを繰り出す。
〈サンドストーム〉と書く度にサドンストームというお馬さんを連想してしまうですが、ウマ娘化もしてないし道夫さんが知ってるのもおかしいかと思って自重しています。