カタリナが巫女のレベルを上げるなら、
私は僧侶の方が良いように思います。
セリーはどう思いますか?(ロクサーヌ)
↑僧侶のMP上昇効果は、巫女よりも小さいそうです。
アイテムボックスがあれば荷物も持てるので、
それでもご主人様の負担を減らせると思います。(セリー)
↑ありがとうございます。(ロクサーヌ)
私はやはり巫女にしようと思います。(カタリナ)
↑はい、良い考えだと思いました。
私はハルバードに付与した催眠が活かせていないので、
暗殺者になるために戦士を上げるのも良いと思っていました。
しかし、私も巫女にしようと思います。(セリー)
↑セリーが鍛冶師を辞めるなんてとんでもないことです。
ご主人様もお困りになるでしょう。(ロクサーヌ)
↑いえ、辞めるつもりはなかったです。
戦略の幅を広げるためでした。(セリー)
わたし めいきゅうで あまり やくにたて ません。
あんさつしゃ になれば やくに たてますか?(ミリア)
↑ミリアが来てから、打たれ強くなったと思います。
海女の効果は強力なものです。(セリー)
↑今後は魔物の数も増えますし、手強くなるはずです。
今も頑張ってますし、必ずお役に立てます。(ロクサーヌ)
↑ありがとう ございます。(ミリア)
※ここからしたはごしゅじんさまのめもです。
春74日
終日:レベル上げ→ドーピング
クーラタルの街
道夫の家
昨日はゆっくり考えたかったから久しぶりに1人で寝たが、皆の方も色々相談していたようだな。
おかげで黒板のスペースが少ない。
「では、ロクサーヌとミリアとハンナは探索者、セリーとカタリナは巫女ということだな」
『はい』
ハンナは探索者でレベルを上げる必要はないから、武器商人に戻しておこう。
そしてカタリナも巫女に戻して……と、
「ロクサーヌ達も、ある程度レベルを上げてからドープ薬を使った方が良い。
とりあえず、最低でもLv11にはしておこう」
「はい、ありがとうございます」
残りのドープ薬は21個だが、全部使うことはないだろうと思っている。
俺が使う必要があるのは、Lv30のジョブをLv50にするだけの数だ。
そして多少レベル上げすれば、Lv31になれるだろう。
つまり19個だ。
そしてそれでロクサーヌ達が探索者Lv30になるようにすれば、料理人のジョブを得ることができるはずだ。
まあ、それを得たからって大した意味はないが、Lv11にするのも大した手間ではない。
かといって一気にジョブを変えるのは不安だから、ロクサーヌの探索者レベルを上げて、次にミリアのをとローテーションする予定だ。
「セリーの巫女は……ミリアの番が終わったら、今日そのまま続けてくれるか。
探索者はLv30以上にする意味は薄いが、巫女のレベルはできるだけ上げておきたい」
「はい、よろしくお願いします」
戦闘で使うことはないだろうが、ペルマスクに移動する時とかにセリーに巫女になってもらう機会はあるだろう。
セリーも巫女Lv30超えになれば、かなり楽になるはずだ。
「それで、ご主人様の方はジョブを決めたんですか?」
「ああ、ちょっと迷っていたが、なんとかな」
さて、皆のジョブ設定も終わったし、これで良いか。
「では、ハルバーの十九階層に移動する。
ラブシュラブの階層だ」
「下の階層がフライトラップですから、戦いやすいですしね」
「ターレの迷宮のマーブリームには、今度落ち着いたら行くからな」
一応ミリアに向けてそう言うと、大人しく「はい」と頷いてくれた。
「では、今日も気をつけて行こうか」
『はい』
「どうかお気をつけて」
「御武運をお祈りしております」
いつものように2人に見送られながら、迷宮に移動した。
ベイルの迷宮
一階層
〈ワープ〉で移動した先で、すぐにロクサーヌが首を傾げた。
「えっと、ここは……?」
「すまん、ここはベイルの一階層だ」
と言うと、ロクサーヌが「ああ」と思い当たった顔をした後、ちょっと恥ずかしそうな顔をした。
ここはかつて、ニードルウッドの魔物部屋があった場所だ。
魔物部屋になっていたということは人があまり来ない場所だろうということで、人目を忍ぶ時はよくここに来る。
……そういえば、ロクサーヌとここに殴り込んで、〈火炎剣〉を使いすぎた彼女はMP枯渇でグロッキー状態になったんだった。
そうそう、確かあっちの壁に体育座りを……っと、そっちを見るのはやめておこう。
「さっきはああ言ったが、ちょっとまだ悩んでいてな」
素知らぬ顔を作って、セリーに相談を持ちかけた。
「魔法使いですか?」
「いや、それはセリーの言う通りだから、遊び人にドープ薬を使うつもりだ」
ドープ薬でボーナスポイントが入るというのが大きかった。
今は〈必要経験値二十分の一〉と〈獲得経験値二十倍〉を有効にすると、〈フォースジョブ〉までしか付けられない。
これが〈フィフスジョブ〉になれば、その分知力が上昇するジョブを増やせる。
経験値効率はかなり良くなるはずだ。
一晩クールダウンして良かった。
「それがよろしいかと思います」
「はい、ご主人様ならすぐレベルも上がります」
ロクサーヌとセリーも、安堵した顔で頷いた。
昨日は焦燥感に駆られて、ちょっと心配させてしまったかもしれないな。
「ドープ薬を使うのは、探索者・遊び人・僧侶・騎士。
それと商人も、こないだ大盤振る舞いしたからな、豪商になれるかもしれん」
と、ここまではすんなり決まったのだが……、
「残りの2つを、剣士、料理人、薬草採取士、錬金術師で迷っていてな」
剣士はデュランダルを使う時に付けることがあるくらいだ。
そんな頻度なので、今後レベルが上がることはないだろう。
だが腕力が上がれば〈MP吸収〉の効率も良くなるし、もしかすると剣豪になれるかもしれない。
料理人はレベルが上がるとレア食材が手に入りやすくなる傾向がある。
が、逆に言うとレア食材を狙っている時はつけっぱなしになるジョブでもある。
そうなると今後もレベルは上がるわけで……ここでドープ薬を使うのは勿体ない気もしている。
剣豪と同じくあやふやな伝説だが、薬草採取士にも上級職があるらしい。
〈知力小上昇〉がある薬草採取士の上級職なら、〈知力中上昇〉があることが期待できるだろう。
だが、今後もしエリクシールを自給しなければならないということになれば、薬草採取士をちゃんと育てておく必要があるかもしれない。
というわけで及び腰だ。
そしてわざわざこんな所で密談しているのは、ハンナ達の前でこの話をしたくなかったからだな。
薬草採取士に代わって浮上してくるのが、同じく〈知力小上昇〉がある錬金術師だ。
沙門にリホイミ的なスキルがあることを考えると、ただでさえ使ってない〈メッキ〉の使用頻度は恐らく0になる。
そうなると、今後レベルを上げる機会はなくなるだろう。
錬金術師は情報自体が少ないジョブだから、知られていないだけで上級職がある可能性もあるし。
「そうですね……確かに薬草採取士はやめた方が良いような気がしますね。
錬金術師のメッキは、前に検証した時は2割減るか減らないか、くらいでしたか」
「そんなもんだったな。
で、それが必要になるような、一撃で致命傷を与えてくるような魔物はいるのだろうか?」
ヴォーパルバニーとかひとくいばことか、そんな致命的な攻撃力の敵が出てくるようだと、〈メッキ〉の重要度が上がってくる。
初撃だけとはいえ、恐らく確定でダメージ2割軽減するのはデカい。
「クーラタルの二十五階層に、ブラックフロッグという魔物がいます」
「ああ、跳躍力が上がるスキル結晶を落とす魔物か」
「はい、そのボスのフロックフロッグは、ご主人様の博徒のように時折強烈な一撃を繰り出してくるとされています」
なるほど、『かいしんのいちげき』があるなら『つうこんのいちげき』もあるか。
思わず考え込んでしまう俺とは対照的に、
「ですが、ご主人様が懸念するような致命傷とまでは……。
フロックフロッグもあまり強いボスではないと言われているようですし」
と、セリーは首を捻った。
一応、ロクサーヌとミリアにも確認してみるが、2人も同じように首を捻った。
「ロクサーヌさんがいれば不意打ちされることもないですし、今でさえ勿体ないほどの防具を使わせていただいてます。
ちゃんと対策すれば、問題ないのではないでしょうか?」
「はい、これからもちゃんとお守りします」
「……ああ、そうだな」
迷宮で出てくる魔物は、順番が違うだけで決まっている。
更に上の階層で出てくる魔物は下の階層でボスとして出現するわけで、全く知らない魔物と戦うということはない。
セリーが事前調査をして、ロクサーヌが索敵する。
この基本さえ守っていれば、少なくとも一方的にやられるような事態に陥ることはないだろう。
「がんばり、ます!」
ミリアも盾を構えて頼もしいことを言ってくれた。
「ミリアのジョブは体力とHPが上昇するからな、頼りにしているぞ」
「はい!」
さて、今度こそハルバーの迷宮に移動しよう。
クーラタルの街
道夫の家
経験値効率の良いボスのラフシュラブを延々と周回して、一通りレベルが上がったので帰宅した。
スキル結晶
灌木
そしてついでに拾ったのがこれだ。
武器につければ麻痺攻撃、防具につければ麻痺に耐性がつくスキル結晶だな。
ランク2の魔物は、ビッチバタフライ、ロートルトロール、クラムシェルと麻痺攻撃をしてくるのが多い。
だから防具に付けるのが良いのだろうが、〈詠唱中断〉が2枚体制になったことで今のところ困ったことにはなっていない。
……折角手に入った、スロット4のエストックにつけるのもアリかな。
次にソマーラの村に行った時、ウサギのスキル結晶が手に入らないようならそれも良いかもしれない。
スキル結晶
コウモリ
で、ハンナが競り落としてきてくれたこっちはどうするか……そろそろコボルトのスキル結晶の在庫が心許ないんだよな。
一時は在庫が4つあったのだが、ロクサーヌのダマスカス鋼の剣に〈詠唱中断〉を付けて、同じくロクサーヌのダマスカス鋼のデミグリーヴに〈移動力増強〉を付けて、セリーの竜革の帽子に〈水耐性〉を付けて、そして昨日は硬革帽子に〈魔物探知〉を付けてと、短期間で4つも使ってしまった。
ビッカーに1つ仕入れてもらっていなければ、すっからかんになっていたところだ。
……まあ、後で考えるか。
加賀 道夫
<男・37歳>
探索者:Lv42
遊び人:Lv40
僧侶:Lv34
商人:Lv32
錬金術師:Lv31
騎士:Lv31
剣士:Lv31
装備:身代わりのミサンガ
探索者以外のジョブも、全て経験値を無駄にしないように1レベルずつ上げておいた。
使用予定のドープ薬は19個。
魔法使いのレベルがあんまりにも上がらなかったら、余った2個でショートカットするのも良いだろう。
ロクサーヌ
<♀・16歳>
探索者:Lv11
装備:身代わりのミサンガ
セリー
<♀・16歳>
巫女:Lv21
装備:身代わりのミサンガ
ハンナ
<女・35歳>
探索者:Lv31
装備:ウッドステッキ
:身代わりのミサンガ
カタリナ
<女・15歳>
巫女:Lv37
装備:ウッドステッキ
:身代わりのミサンガ
ミリア
<♀・15歳>
探索者:Lv11
装備:身代わりのミサンガ
皆のジョブ設定も問題ないことを再確認して、
「では、始めよう」
『はい』
といっても、皆はただ待ってるだけなのだが。
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
冒険者:Lv1
効果:体力中上昇
:精神小上昇
:器用微上昇
スキル:アイテムボックス操作
:パーティー編成
:フィールドウォーク
「よし、まずは予定通り冒険者だな」
冒険者とは何度もパーティーを組んでいるから、効果もスキルも確認済みだ。
だがそれよりなにより、今後は職質されても問題がないというのが素晴らしい。
長年の努力の結果、37歳にしてようやく実を結んで冒険者となれた、感動もひとしおというものだ。
不正は一切ない。
次だ、次。
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
ものまね士:Lv1
スキル:ものまね
「おおっ、遊び人Lv50になったら、ものまね士というジョブが出てきたな」
「聞いたことのないジョブです」
セリーがメモ帳片手にズイッときた。
遊び人の時点で伝説というか与太話扱いされてたわけだし、知らないのも当然だな。
「どのようなジョブなのですか」
「ものまねというスキルがあるだけだな」
「それは一体――」
「――まあまあ、落ち着け。
これが想像通りなら……」
実のところ俺も内心小躍りしているのだが、自分より興奮している者がいると冷静になれるな。
さて、〈ものまね〉――!
【ものまね】
村人
盗賊
英雄
探索者
商人
剣士
戦士
薬草採取士
僧侶
農夫
魔法使い
色魔
料理人
錬金術師
奴隷商人
武器商人
防具商人
賞金稼ぎ
騎士
暗殺者
博徒
遊び人
冒険者
……やはりだ、解放済みのジョブがズラっと出てきたな。
さすがにものまね士はないようだが。
これで魔法使いを選ぶと、
ものまね士:Lv1
効果:知力小上昇
:MP微上昇
スキル:ものまね
:初級火魔法
:初級水魔法
:初級風魔法
:初級土魔法
「やはり、これはジョブを真似ることができるジョブだ。
魔法使いを対象にしたら、魔法使いの効果もスキルも全て使えるようだな」
完全上位互換……じゃないな。
遊び人は効果とスキルをバラバラに設定できる利点がある。
これが英雄の効果だけ真似て、スキルは魔法使いを真似できたら最の高だった。
「つ、つまりご主人様は今後、魔法を同時に3回使えるということですか」
つまりフィンガーフレアボムズまであと2つか……まだ遠いな。
というかフレイザードが強すぎる、あいつが仲間にいたら神竜10ターン余裕だろ。
……などと下らないことを考えて気を紛らわしていないと、今すぐビール空けて優勝したくなる。
「素晴らしいです、ご主人様……」
ロクサーヌがうっとりしている。
……ドーピングキメてる薄汚い俺のことを、そんな目で見ないでくれ。
次だ、次。
……おっとと、ものまね士はちゃんと外して、と。
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
さて、これでカタリナの巫女がLv50になるはずなんだが……。
【パーティージョブ設定(カタリナ)】
セットジョブ
巫女:Lv50
効果:MP小上昇
:知力微上昇
スキル:全体手当
所持ジョブ
▶巫女:Lv50
探索者:Lv1
村人:Lv5
商人:Lv25
剣士:Lv1
戦士:Lv1
農夫:Lv1
錬金術師:Lv1
禰宜:Lv1
「おおっ、カタリナのジョブに禰宜が追加されているな」
巫女として戦闘経験ゼロだったから、正直期待してなかったんだが……これは嬉しい誤算だ。
【パーティージョブ設定(カタリナ)】
セットジョブ
禰宜:Lv1
効果:MP中上昇
:知力小上昇
:器用微上昇
:精神微上昇
スキル:全体手当
:祈祷
所持ジョブ
▶禰宜:Lv1
探索者:Lv1
村人:Lv5
商人:Lv25
剣士:Lv1
戦士:Lv1
農夫:Lv1
錬金術師:Lv1
巫女:Lv50
「効果もスキルも巫女の上位互換だな。
祈祷というのが、麻痺と石化を治すスキルかな」
「はい、その通りです」
「祈祷……確かに、詠唱が浮かんできました」
ぶつぶつと詠唱を口にするカタリナに、「まだMPが低いはずだから、使うのはやめておいてな」と一応釘を刺しておく。
「ご主人様のパーティー効果があるからでしょうか?
ジョブを減らすとどうなりますか?」
「なるほど……うーん、普通になれるな」
Lv37からドープ薬を使うくらいなら許容範囲なのか、いやそれよりも……
「すまん、既に一度禰宜のジョブに変更したからじゃないかという気もするんだが」
「……確かに」
セリーの知的好奇心には申し訳ないことをしてしまった。
それにしても、やっぱり必要ステータスなのかねぇ……。
Lv37のステータスに、各種パーティー効果が上乗せされて必要量に達した。
今は英雄をつけていなかったとはいえ、〈セブンスジョブ〉を使っていると実質12人分のパーティー効果があることになるからな。
「滝行みたいな、特別な儀式とかはあれからやってないよな?」
「はい、特別なことは、取り立てて何もしておりません」
……まあ、なれるなら良いか。
「では、今後は禰宜をやってもらうとして、それでドープ薬を使うのは勿体ないから巫女に戻すな」
「はい、お願いします」
さて、次だな。
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
沙門:Lv1
効果:精神中上昇
:MP小上昇
:体力微上昇
:知力微上昇
スキル:布施
:介抱
:解毒
:喝破
「沙門も解放されたな」
カタリナが禰宜になれるなら、まあ当然の結果だな。
……無詠唱で喝破を使ったらどうなるんだろうなぁ。
ま、そのうち実験しよう。
次だ、次。
――〈パーティライゼイション〉
――〈パーティライゼイション〉
付与術士:Lv1
効果:知力中上昇
:器用小上昇
:MP微上昇
スキル:下級火属性付与
:下級水属性付与
:下級風属性付与
:下級土属性付与
「おおっ、付与術士というジョブが出てきたな。
これは錬金術師の上級職だろう」
「それも聞いたことがないジョブです!」
「まま、後でじっくり検証しよう」
ズズイッとくるセリーを押し留める。
「しかし、豪商にはなれないようだ。
Lv50ではないのか、こないだの取引程度では大商いとは認められないのか……」
「買うだけでなく、売る必要もあるのではないかと」
ハンナが控えめに指摘した。
そういえば今更だが、この中だとロクサーヌだけ商人になる条件を満たしていないのだった。
ロクサーヌは当然何度も買物しているのだが、売る方はやっていないのだろう。
セリーは色々やっていたらしいし、ミリアは魚貯金ならぬ黒魔結晶を拾ったりしていたし、それで条件を満たしたというところか。
「まあ、アランの手腕に期待しようか」
魔法使いの奴隷の所有権は俺にあるわけだし、それで条件を達成できる可能性はあるだろう。
さて、
――〈パーティライゼイション〉
これで最後だが……。
聖騎士:Lv1
効果:体力中上昇
:知力小上昇
:精神小上昇
スキル:大防御
:任命
:インテリジェンスカード操作
剣豪:Lv1
効果:腕力中上昇
:腕力小上昇
:腕力微上昇
スキル:ブレイク
:両手剣攻撃力強化
「聖騎士と、剣豪も増えたぞ」
「剣豪……実在したのですね」
「これはとんでもないな、清々しいまでに一点突破だ」
ズズズイッとくるセリーに、効果とスキルを説明する。
「ブレイクというのは……スラッシュに変わる攻撃スキルっぽいな。
で、両手剣攻撃力強化は……詠唱が浮かんでこないし、パッシブスキルのようだな」
そして効果は名前の通りなのだろう。
デュランダルを使うには最高だが……折角聖槍買ったのに……。
何はともあれ、これで一気にキャリアアップだ。
大事なことなのでもう一度言う、不正はなかった。
……。
…………。
………………。
皆のジョブを元に戻して、カタリナは禰宜にした。
ハンナは迷ったが、冒険者で多少はレベル上げしておいた方が良いだろうし、冒険者にしておく。
これで魔法の使用回数が増えて、〈知力中上昇〉の付与術士、カタリナに〈MP中上昇〉の禰宜も増えた。
最低でも火力が5割増しになった上に、レベル1からポンポン上がる楽しみも増えた。
となると早く迷宮に行きたくなるが、
「その前に、付与術士のスキルを検証するか」
「はい、お願いします!」
というわけで早速、〈下級火属性付与〉と念じてみるが……詠唱は浮かんでこなかった。
魔法使いのスキルのように、画面のスキル名と実際に使うスキル名が異なるパターンだと思われる。
となると……、
「エンチャント・ファイヤ」
……しかし、何も起こらなかった。
信長公はこれで自分ごと本能寺に火をつけたというのに。
まぁ、当然そのまま焼死したのだが……わしは心底がっかりしたよ。
「魔法使いのスキルは初級なのですよね?
付与術士は下級なのですか?」
「そうだが……そういえば、魔道士の雷魔法と氷魔法も初級じゃなくて下級だった気がするな」
この2つの属性はちょっと特殊だと、セリーに以前教えてもらった。
雷魔法は弱点とする魔物がいない代わりに、耐性を持つ魔物もいない。
氷魔法は土属性と水属性のいずれかが弱点であれば効果を発揮し、逆に両方に耐性がないと威力が減衰することはない。
スキル名から察するに、魔法職は魔法使い→魔道士→???の三段階になってるはずだ。
そして地水火風の魔法は初級→中級→上級で、恐らく雷氷は下級→上級なのだろう。
つまり付与術士のスキルも2段階だと推測できる。
「それと、魔法使いはボール・ストーム・ウォールの3種類です。
ご主人様に見えるスキル名と呪文の名前が違うということは、付与術士も複数種類があるはずです」
2段階で複数種類、地水火風属性となると……、
「武器と防具ということか」
「2段階なのは、コボルトのスキル結晶の有無と同じです」
「武器に火属性なら火炎剣だな」
「はい、防具なら防火です」
一軍装備で実験したくないので、台所で作業用に使われている皮のミトンに〈防火〉……いや、〈防火付与〉?
すると、
防火の皮ミトン
・防火
「おお、防火の皮ミトンになったな」
とはいえ〈メッキ〉同様、1回限りだろうが。
そうじゃなかったら鍛冶師は商売上がったりで、イリュージョニストにでも転職するしかなくなる。
付与術士のスキルは〈メッキ〉と同じで光らないから、そっち方面では敵わない。
で、付与術士のジョブを無効にすると……皮のミトンに戻ると。
「錬金術師のメッキと基本的に同じ仕様のようだな。
多分、1日も経つと付与したスキルも解けるのだろう」
以前実験したが、正確な効果時間は不明だが〈メッキ〉が日を跨ぐことはなかったのだ。
「あとは武器も試してみたいが……古い装備は全部ソマーラの村に持っていってしまったな」
さすがに借り物のほむらのレイピアで試すわけにはいかないわけで。
聖槍を買ってお役御免になりそうなスタッフも、結構値が張ったから試したくない。
「手前どもにご用意いただいたウッドステッキでよろしければ」
悩んでいると、ハンナが助け舟をくれた。
ありがたく貸してもらって……いや木製だから不安なんだが、まあスキルだし大丈夫なのだろう。
ちょっと不安になりながら、
「火炎剣付与、と……こっちも問題ないようだな」
ほむらのウッドステッキ
・火炎剣
「ミリア、これを持って火炎剣を使ってくれないか?」
「はい……、呼びかけたるは我が心、感じ現る剣の意思、奔流、火炎剣!」
練習の甲斐もあって、ミリアは淀みなく詠唱した。
ただ待っているには微妙な時間、ステッキの石突が燃え続ける。
まるでクソデカマッチ棒だ。
「セリー、武器に付与する風属性のスキルの名前はなんだったかな?」
「飛燕剣です」
「使うとやはり、風が起きるのだろうか?」
「……もしかして、涼むために付与しようとしていますか?」
セリーのジト目から顔を逸らす。
……だって暑いんだもん。
何しろここ数年、エアコンが利いた在宅での仕事中心で、外出する機会もめっきり減ったわけでして……。
しばらく待って、火が収まったのでもう一度〈鑑定〉すると、
ウッドステッキ
「元に戻っているな、スキル1回分か」
今度から風呂を沸かす時はステッキでかき混ぜながらにしようかな……などと考えていると、
「……こちらで武器鑑定を試してみたいのですが、もう一度やってみていただいてよろしいでしょうか?」
ハンナが物憂げな顔で申し出た。
……俺もなんか嫌な予感がしてきた。
そして案の定、武器商人の〈武器鑑定〉でもほむらのウッドステッキと鑑定できたようだ。
ついでに、「ほむらのレイピアの方もよろしいでしょうか?」と言われたので、そのようにする。
やがてハンナは、沈鬱な面持ちで首を振った。
「手前には、こちらのほむらのウッドステッキが本物なのか偽物……失礼しました、スキルが付与されたものなのか、判別することができません」
「なんというか、錬金術師も含めて情報が少なかった理由がわかってしまったような……」
「……商人ギルドのオークションに出品する際、前日に持ち込んだ物しか取り扱わないという慣例がございます。
ギルド神殿で鑑定する手間を考えているのだと思っていましたが、あるいは……」
これは実際、昔そういう詐欺があったんじゃなかろうか。
多分だが、付与術士本人が「ほむらのウッドステッキを売りたい」と申し出たところで、今その瞬間ほむらのウッドステッキであることは間違いないので、詐欺に当たらないように思う。
合法というか脱法というか……だが恐らく、盗賊落ちすることはないだろう。
……なんてグレーゾーンを攻めるジョブなんだ。
まあ、錬金術師のスキルが〈メッキ〉な時点で、怪しい感じはしたけどな。
できてへんやんけ、
「とにかく、使い方次第で便利なジョブではありそうだが、最終的にはちゃんとスキル結晶でスキルを付与するぞ。
どうせ下級のスキルしか付けられないしな」
だが、属性攻撃の選択肢が増えたことは素直に喜ばしい。
この世界には恐らく、レベル補正のようなものが存在するが、属性攻撃はその影響を受けないと思われる。
今後また、シモンやサボーのような高レベルの反社と敵対することを考えた時、ロクサーヌ達の対抗手段が増えるのはありがたい。
「では今度こそ迷宮に行く……前にやらないといけないことがある」
ロクサーヌ達が真剣な面持ちで身構えた。
……あ、いや、そんな大げさな話じゃないんだけど。
「悪いが皆、アイテムボックスの整理を手伝ってくれ」
探索者を外したくても、アイテムボックスに中身が入っていると外せないのだ。
ターレの迷宮
十九階層
とりあえずお試しということで、〈シックスジョブ〉で戦ってみることにする。
【ジョブ設定】
遊び人:Lv59
英雄:Lv39
魔法使い:Lv42
冒険者:Lv1
ものまね士:Lv1
付与術士:Lv1
色魔:Lv40
村人:Lv31
盗賊:Lv31
探索者:Lv61
商人:Lv51
剣士:Lv50
戦士:Lv30
薬草採取士:Lv30
僧侶:Lv53
農夫:Lv31
料理人:Lv33
錬金術師:Lv50
奴隷商人:Lv31
武器商人:Lv31
防具商人:Lv31
賞金稼ぎ:Lv30
騎士:Lv50
暗殺者:Lv31
博徒:Lv32
沙門:Lv1
聖騎士:Lv1
剣豪:Lv1
マーブリームとサラセニアが混じった魔物の群れに〈サンドストーム〉と〈ファイヤーストーム〉を1発ずつ使うと、それだけで殲滅してしまった。
実質通常属性で3発分だから、バラダム家の一件の前より倍以上攻撃力が上がっている計算になる。
聖槍とアルバで強くなっているのもあるが、〈知力中上昇〉がある付与術士、そしてレベルが上がった遊び人のパーティー効果も確実に補正が上がってるな。
「次は剣豪を試してみる。
ロクサーヌ、数が少ない所に案内してくれるか」
「はい、こちらです」
お次はマーブリームが2体だった。
「片方は魔法で、もう片方はデュランダルでやる。
周辺の警戒を頼む」
〈サンドボール〉と〈ファイヤボール〉を使うと……これだとまだ倒れないか。
剣豪にするために付与術士を外したせいだろう。
もう1発〈ファイヤボール〉を使って、1匹片付けた。
そして急いで聖槍をデュランダルに持ち替える。
仲間がやられてこちらに気づいた魚人が、ギョロリと俺を見て魔法陣を展開した。
〈オーバーホエルミング〉で一気に距離を詰めて、
(――ブレイク!)
袈裟懸けにすると、マーブリームが吹き飛んで横倒しになった。
ふやけたうどんみたいなひょろ長い足がでろんっとなる……ホント気持ち悪いな。
「素晴らしい一撃です」
「ブレイクはスタン効果のようなものがあるようだな」
だが、起き上がるのを待ってもう一度使ってみたら、今度は倒れなかった。
さすがに確定じゃないか……まあ、それだと強すぎるしな。
更にもう1回〈ブレイク〉を使って、マーブリームは消滅した。
魔法とデュランダルで使う〈ブレイク〉の威力が大体同じくらいか。
魔法の威力が飛躍的に上がったことを考えると、これも相当強くなってると言えるだろう。
しかも、まだ剣豪Lv1でこれだ。
「期待通り、いや期待以上だな。
今日はこのまま、この階層を攻略してしまおう」
「わかりました」
「この階層でしたら、ピッグホッグとグラスビーだけ避ければ、土魔法と火魔法だけで対処できるはずです」
なるほど、となると付与術士はなくてもいいな。
遊び人を合法的にLv59にしたことで、ボーナスポイントを合法的に増やすことができた。
これでボーナスポイントは157になっている。
〈必要経験値二十分の一〉の63、〈獲得経験値二十倍〉の63で126も使ってしまうのに、〈フィフスジョブ〉の15を割り振る余裕ができたということだ。
余りの16ポイントは、〈ワープ〉、〈パーティライゼイション〉、〈鑑定〉、〈パーティージョブ設定〉、〈詠唱省略〉、〈キャラクター再設定〉に10ポイント。
そして今は〈MP回復速度二倍〉と〈結晶化促進四倍〉に3ポイントずつ割り振っているが、ドープ薬があといくつかあれば〈シックスジョブ〉に31を割く余裕も生まれる。
……これは優先度高めだな。
とりあえず今日のところは遊び人、英雄、魔法使い、ものまね士、冒険者でレベル上げするとしよう。
料理人がないから尾頭付きのドロップ率は渋くなるが、それも撃破数でカバーだ。
……。
…………。
………………。
そうしてひたすら魔物を殲滅していると、
「あ! スキル結晶、です!」
ミリアが弾んだ声で走り出した。
連日のドロップだ。
素晴らしい幸運だ……と言いたいが、長い目で見ると俺は運が悪いんじゃないかという気がしてしまう。
自警団が100から200分の1で引き当てたのに比べれば、こっちは桁違いに数をこなしているわけで。
……いや、向こうが運が良すぎるのだろう。
向こうはこれから冬の時代がきて、何日も何十日もスキル結晶が拾えない日々が続くのかもしれない。
続かれても困るわけだが。
気を取り直して、
スキル結晶
海水魚
「おお、海水魚のスキル結晶だな。
マーブリームのものか」
「マーブリームのスキル結晶で付与できるのは対水生向上、コボルトのスキル結晶と一緒に融合すれば対水生強化です。
マーブリームやケトルマーメイド、コラーゲンコーラルなどの魔物に対する攻撃力が上がりますが……」
〈対水生強化〉は、ミリアの海女が持つスキルと同じだ。
すかさずセリーがレクチャーしてくれたが、語尾が弱くなっていく。
「……聖槍につけても、魔法の威力は上がらないんだよな」
「はい、そうなります」
魔法は武器で攻撃してるわけではないからだ。
杖や聖槍はあくまでも、魔法の威力に補正を与えているだけでしかない。
俺が海女、もとい漁師になれれば、多分補正が乗るとは思うんだがな。
ものまね士は自分が持つジョブしかものまねできないのが残念だ。
世界を救うものまねをしたものまね士は、アイテム消費もMP消費もなしになんでもかんでもものまね出来るというのに。
「ま、そのうち機会があれば融合するか」
「ご主人様、あちらに見えるのは待機部屋ではないでしょうか」
セリーと話していると、ロクサーヌが声を上げた。
「では、このまま突破してしまおう」
正味半日で攻略できそうだ。
戦闘時間が飛躍的に短縮したことで、攻略速度も上昇したな。
経験値絶対主義ビルドでもこの速度で攻略できるなら、春の内に魔道士になれるだろう。