【姉の子】   作:双子の妹

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星の子たち

「……ママ?」

「痛ッ」

「ぁあ!ごめんなさい!大丈夫!?死なないで!」

「えっ……うん、大丈夫。これぐらいじゃ死にっこないない!」

 

1週間前に盲腸の手術が終わり、私はそのあまりの痛さから入院期間を延長していた。それでも余程のことをしない限り縫った切り口が今さら開くということはないのだが、意識外からの接触ということもあり、ちょっと過剰に反応してしまった。

 

相当不安定な状況なのだろう。

狼狽して息を切らす少女は見ていられず、私は隣に座ってジュースを差し出した。

 

「飲める?」

「うん」

 

自分の為に買ったそれだが、別にまた買えばいい話だ。それより子供だけ放置されている状況が気になる。何となく少女よりも落ち着いている様子の少年に保護者の人はと聞けば、ミヤコさんが……医者と話してる…………そう言葉を絞り出すように言った。

 

 

この時、ミヤコという女性が医者と話していた内容は死亡手続きについてであった。奇跡的に蘇生が成功した……だなんて可能性がないのを少年は心の底から理解しており、それ故、死んだ母親がいきなり現れて訳が分からなくなっていただろう。

 

「その……ミヤコさんはどれぐらいで戻ってくるのかな?」

「分からない。けど直ぐに戻ってくるって言ってた」

 

「そっか」

 

なら待っていてもいいかと、何気なしに少女の頭を撫でる。その時、少女が下げていたポーチバックに『るびー』という名前が書かれており、ルビーちゃん。少年もお揃いのもので『あくあまりん』……え、アクアマリン?と両者の名前が判明した。

 

 

「二人は何歳?」

 

「……3歳」

 

年子かと思ったが、双子のようだ。

 

「3歳。すごいしっかりしてるね。親の教育が良かったのかな……ははは」

 

言ってしまって不味いと悟る。

もしこれで二人の両親が危篤状態だとかったらブラックジョークになってしまう。

 

「そのポーチすっごい似合ってるね!特にお花さんの刺繍が最高だよ!」

「これ、園の組分けのマークで……ミヤコさんが縫ってくれたの」

「そっか。ミヤコさんは刺繍が得意なんだ」

「ママがくれたキーホルダーもあるよ」

 

そこでルビーちゃんが見せてきたのはウサギのキーホルダーである。

どこかで見たことあるキャラクターだが、有名どころじゃない。何かの限定品だったろうかと考えてピンっと来る。昔とある物産展で購入したのだ。確か鞄に容れっぱなしにだった筈と中身をまさぐると、お揃いのものがあった。

 

「私も持ってる。お揃いだね」

「うん!」

 

どうやらこれは当たりだったらしい。初めて笑ってくれた。

 

「お腹刺されたの、大丈夫?」

「これ?まだジンジンするけど、痛み止め飲んでるから平気だよ」

 

刺されたというより手術で切ったのだがわざわざ訂正する必要はない。

先ほどのこともあって罪悪感でもあったのだろう。大事にならないと分かって、あからさまに安心した様子だ。

 

「よかった……ふぁあ。何か安心したら眠くなっちゃったよぉ」

「良かったら膝を貸してあげようか?」

「そんなっ……いいよ。ママに悪いもん」

「じゃあ怒られたら一緒に謝ってあげるから」

「そう?…………すぅぅ……」

 

あっという間に眠ってしまった。

 

「えっと、片膝が空いてるけど寝る?」

「いや……………寝る」

 

少し迷ってから続けてごろんとしたアクアマリン君も直ぐに寝息を立ててしまい、やはり相当なストレスを抱え込んでいたことが分かる。

 

魘されているあくあまりん君……長いからアクア君でいいか。落ち着いていると思ったけど、多分感情を上手く表に出せずに溜め込みやすい性格なんだ。私もそうだから良く分かる。小さい頃父にして貰ったことを思い出して震える手をそっと握り、空いてる手で頭を撫でる。

 

「アイ…………うぅ……あい」

 

この時、思いっきりアイと寝言で言っているが、これだけで現役アイドルの隠し子だと推理で導き出せるのなら平成のホームズだと私は呼ばれていたのだろう。

 

 

それから程なくして、双子の保護者であるミヤコさんという人が迎えに来た。私の顔を見て大層驚いている様子だったが、フルネームを名乗ると何やら納得したようで、二人を起こさないように車まで運んで、その日は別れた。

 

もう二度と会うことはないと思ったのだが、翌日に双子は私の病室に訪れた。

 

「ほら……分かるだろ」

「でも!でも!ママだもん!生きてるもん!」

 

わざわざお礼を言いに来てくれたのかと思ったが、どうやら違うようでそこで私は彼らが星野アイの隠し子であると知ることになった。

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