ジョジョだったかもしれねェ…   作:aka1

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不法侵入は犯罪です!

 老婆が触手責めに遭って死んだ。

 字面は酷いが絵面はもっと酷い。グロテスクすぎて規制がかかるレベルである。全身に鳥肌が立った感覚がした。

 祖父が買ったケバブ屋の店主が敵のスタンド使いで、彼が老婆を殺した触手のトリガーになったらしい。死ぬ寸前になってもDIOについて一言も漏らさなかった老婆に蔑んだような笑みを向け、私達を始末すると言い切った。

 

 命を貰うといった割には優雅にコーヒーを楽しむ男――ダンに焦れたのか、兄がスタンドによる攻撃を放った。

 

 ぶえっ。

 

 突然私の体に衝撃が走った。予測していない衝撃は込められた力以上で、思わずその場で崩れ落ちるほどだった。

 な、何!?み、鳩尾に入った気がする。ちょ、吐くかも……。

 震える手で口を覆って吐き気を抑えていると、祖父が背中を摩ってくれた。

「大丈夫か!?急にどうした!?」

 大丈夫ではないし、私にも分からん。何が起こった?

 

「話は最後まで聞けよ。お前は自分の妹を殺すところだったんだぞ」

「何?」

 

 ダンがぺらぺら喋っている内容を纏めると、彼のスタンドが私の脳に侵入し、彼の感覚と私の感覚を共有しているらしい。

 何勝手に入ってんだ。家主の許可を取れ。

 

 更に彼の痛みや怪我はその数倍になって私に還元されるようだ。

 へー、そんな能力もあるのか。スタンドとは奥が深い。

 

「何を感心しているんだ!」

 花京院に怒られてしまった。

 

「野郎……!」

 ドスのきいた声を出し、兄がダンの襟元を掴んだ。

 

「やめろ承太郎!今の説明を聞いただろ!?」

「安心しろ、痛みも感じさせずに一瞬で仕留めてやる」

「ほぅ~?」

 どうやって殺すんだ?と兄を煽るダンの姿を見る。たとえどんな殺し方であろうとも、痛みを感じないということはない、と確信している顔だ。

 いや、でも……私のスタンドであれば、私に対しての痛みは感じずにいられるのでは?

 

 先程兄がダンへ放った拳は二発。一発目は私のスタンドで肩代わりできたようだが、二発目は一発目で花を消費してしまったため直接食らってしまった。つまり、スタンドを千切っては植え、千切っては植えをしていればいける……はず。うん、絶対いける。完璧だ。

 

 よし!兄よ、行け!その無断侵入野郎をメッタメタのギタギタにしてやれ!!

「なっ!?」

 信じられないものを見る目を花京院から感じる。怒ったり驚いたり忙しい男だ。

「……」

 応援したにも関わらず、あろうことか兄は拳を下げた。なんでだよ。仕留めろよ。

「いや~兄妹の絆に涙がでちまうな~」

 ダンはにやにやと嫌な笑みを浮かべていた。

 

「……っ、おいジジイ!そいつをこの糞野郎の前から連れ出せ!」

「……ああ!」

 

 え、と言葉を発する間もなく、祖父の肩に担がれた。

 

 待って待って待って!今チャンスだったじゃん!何でこんな逃げるような……!

 

「いいから捕まっておれ!舌を噛むぞ!」

 

 担がれた私に為すすべはなく、兄の姿がどんどんと小さくなっていった。

 

 

 走って走って走って、着いた先は電気屋である。息を切らす彼らに、半眼を向ける。何故兄を一人にしたのだろうか。私の責めるような視線に気づいたのか、花京院が嘆息した。

 

「君のスタンドがラバーズにどれだけ対応できるか分からないんだ。ひとまず態勢を立て直さないと」

 それは兄一人を置いていく理由にはならないだろう。今頃ダンに何されてるか分からないぞ。

「そうは言ってもな……あのままだと反撃にも出られん。お前が承太郎を心配するように、承太郎だってお前を心配したからああ言ったのじゃろう」

 だからって……。

「妹が人質に取られてんだ、俺もそうするぜ」

 兄の思いを汲んでやれ、と言うポルナレフに、ひとまず納得はいかないが頷いておいた。

 

 でも電気屋にきてどうするつもりなんだろう。

 

「ポルナレフ、花京院、手伝ってもらうぞ」

「はい、勿論です」

「……?」

 

 祖父がスタンドを使って、テレビの画面に私の脳内を映し出す。

 そ、そんなことも出来るのか……。

 自身の脳内を見る機会などそうない。まじまじと見ていると、画面に小さな生物が映っていることに気づいた。あれがダンのスタンドだろうか。

 

 しかし、祖父は反撃すると言っていたが、あんなに小さなスタンドだと攻撃しようがないのでは。

 

法皇の緑(ハイエロファントグリーン)銀の戦車(シルバーチャリオッツ)に、お前の脳へ入ってもらう」

 

 えぇ!?

 私の脳に居座っているダンのスタンドを花京院とポルナレフに倒してもらう、祖父はそう言ってるのだ。

 わ、私の脳が戦場に……?というか、スタンドって小さくできるんだ。やはり奥が深い。

 

 感心していると、花が枯れた。恐らく兄がダンに攻撃を入れたか、ダンが自傷したのだろう。

 

「早く倒さなければ……!」

 

 灰となって消えた花の残骸を見つめながら祖父が呟いた。

 


 

 あははははは!

「どうしたんじゃ!?」

 突然声を上げて笑い出した私に、すわ異常事態かと祖父が目を剥く。

 待って、背中が滅茶苦茶擽ったい。一体兄は何をしているんだろう?あの男と擽りっこでもしているのか?

「人から見られている!もっと声を抑えてくれ!」

 花京院に耳元で囁かれるが、首を横に振る事で拒否した。いや、むり。くすぐったいし。もーめっちゃ変な感じする。というか、意外とキツイ。は、あはははは!

 

 笑いすぎて息ができない。早く倒してくれと懇願すると花京院とポルナレフは「ああ、今すぐに」と真剣な顔で頷いた。いやほんと頼むよ。

 

 

 

 やることがねえ。

 

 ポルナレフと花京院が私の脳で戦っている姿をテレビ画面越しにぼんやりと眺めつつ、時折枯れた花の代わりに新たに花を植えることしかやることがない。暇だ。

 ダンのスタンドはかなり厄介なようで、私の脳内で増殖している。不法侵入だけでは収まらず、勝手に数を増やすとは……。

 案外、私のスタンドであれば肉の芽が育ってもなんとかなりそうだが。

「そんな恐ろしい事思っても言うでない!」

 ぼそりと呟いたら祖父に叱られた。

 でも確かに、精神的に操られるのは対抗できないかもしれない。

 

 膝を抱えて私の脳内で戦う彼らの勇姿を眺める。花京院が増殖したスタンドの本体を当て、反撃に転じた――と思ったら、ダンのスタンドは私の脳から逃げ出したらしい。

 

「いかん!承太郎が危ない!」

 

 購入したテレビをその場に放って、兄の元へと急ぐ。そこには額から血を流した兄と、ぼろぼろになったダンがいた。ダンは顔が判別できないくらいぼこぼこになっている。

 メッタメタのギタギタにしてやれとは言ったが、実際に目にすると「お前ほんまにやったんか……」という感情が湧いてきた。それほどまでに酷い惨状である。

 

 若干引きながら、兄の側に駆け寄って傷を治す。視線を感じたので上を向くと兄と目が合う。

 どうやら兄は私の身を心配してくれたようなので、礼は言っておくべきだろう。ありがとう、と伝えると兄はそっぽを向いて鼻を鳴らした。

 

 口があるんだから喋れっての。




ポルナレフに車を洗わせてごめん。陳謝
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