ジョジョだったかもしれねェ…   作:aka1

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こんなサブタイトルだけど賭博シーンほぼないです


ク ソ 雑 魚 賭 博 黙 示 録

 はあ、と溜息を吐くと兄から鬱陶しそうな視線を向けられた。

 

 私が祖父とアヴドゥルの禁断の関係に悩んでいる間、兄は兄でポルナレフと共に、対象を若返らせる敵のスタンド使いに襲われていたらしい。

 

 見たかったな〜、幼児時代の兄。

 ねー、そのドビュッシーだかなんだかもう一回連れてきてよ。

 

「そんな時間はないぞ」

 

 分かってるよ、と再び溜息を吐いた。惜しさは残るが母の命には代えられない。

 母の体力は、自身を蝕むスタンドに対抗できないほど弱まっている。アヴドゥルの言う通り、確かに道草食ってる時間はない。

 

「どうしてそんなに見たいんだい?」

 

 花京院が首を傾げる。

 そりゃあもう一回小さな兄を見たいからである。

 子どもの時の兄はそれはもう可愛かった。近所の奥様方を骨抜きにし、同年代の子どもたちも虜にしていた。稀に変な人もメロメロにしていた。……今とそんなに変わんないな。

 まあとにかく、とっっっっっても可愛かったのである、幼き頃の兄は。性格も素直で明るく、見た目も相俟って天使のようだった。

 

「へえ、そこまで言われると見てみたいな」

 

 お、見る?写真あるよ。ポケットから学生手帳を取り出し、開く。視界に飛び込んできたのは、少年の弾けんばかりの笑顔。幼き日の兄の一場面を切り取った代物である。ちなみに、私と母しか持っていないこの世に二つしかない貴重なる写真だ。

 

「何で持ってきてんだよ……」

 

 常に持ってるからに決まってるだろ。

 呆れたような表情のポルナレフに見せつけるようにして写真を掲げると、興味はあったのか視線を写真へと向けた。

 

「へー!確かに可愛い面してんなあ」

「同一人物だとは思えないな……」

 

 感心したように声を上げるポルナレフと、兄と写真の兄を見比べ不思議そうに呟く花京院にうんうんと頷く。そうだろうそうだろう、可愛くて目が眩むだろう。

 

 目を閉じて思い出に浸っていると、両手から手帳が抜き取られた。

 犯人は兄である。先程からすごい形相でこちらを見ていると思っていたが、まさか人の物を取るなんて。

 返してくれと手を差し出す。しかし、私の掌に置かれたのは手帳のみだった。

 おい、写真も返しなさい。

 

「……」

 兄はふいと視線を逸らし、写真を制服の内ポケットに仕舞った。聞こえないふりをしている。なんて奴だ。

 しらを切る兄とそんな兄に圧をかける私。無言の戦いが始まった。

「大人気ないぜ、承太郎。返してやれよ」

 ポルナレフの援護が入る。彼はただ面白がっているだけだが、二対一だ。

「…………」

 ……。

 

 一分、二分、三分。無言の攻防は続いたが、こちらをちらりとも見ない兄を負かすのは難しそうだ。

 嘆息する。兄はこうと決めると意地でも曲げないので、いつも私が折れるのだ。なんだか損してる気分になるぜ。

 仕方ない。母からまた焼き増ししてもらおう。

 

 癒しがなくなってしまったことに悲しみを覚えながら、穴の開くほど見つめていた兄から視線を逸らす。

 

 小さい兄を見逃したどころか小さい兄が写っている写真まで取られてしまった。とほほ。

 


 

 突然だが、ギャンブルである。

 

 DIOの居場所を突き止めるため、入ったバーには奴の配下であるスタンド使いがいた。男の名はダービー、ギャンブラーらしい。

 

 ギャンブルで負かした相手の魂をコレクションするという、今までの敵とは毛色の違うスタンドを持った男の手には、既にポルナレフと祖父がコインとなって握られていた。

 

「そちらのお嬢さん、いかがですか?」

 私?

「ええ、ただ見ているというだけではつまらないでしょう」

 私ギャンブルよく知らないし、いいよ。

「まあそう仰らずに」

 謎に押しが強い。勝てる気しないんだけど……。

 渋々席に着くと、ダービーはにこりと微笑みを浮かべた。

「初心者でも分かる簡単なゲームにしましょう……ブラックジャックはご存知で?」

 知らん。

「カードの数字の合計を21にするゲームです」

 あ〜?聞いたことがあるような、ないような。21を超えると負け、みたいな……?

「グッド!その通り」

 どうです?とこちらを見るダービー。どうですも何も、こちらに選択肢などないだろう。アヴドゥルを見ると、無理はしなくていいと首を振られたが、相手がディオの情報を持ち、ポルナレフと祖父の魂が向こうにある以上、断ることはできない。

 渋々席に着くと、ダービーは再びグッドと手を叩いた。

 

「一回限りの勝負も魅力的ですが、それではあまりにもこちらに有利すぎる。五回勝負といきましょう」

 三点先取ということだろうか。猫とチョコレートのことを思えば今更有利不利をあちらが語るのはちゃんちゃらおかしいが、まあいい。

 頷くと、ダービーはトランプを配り始めたので、待ったをかける。

「何です?」

 ブラックジャックでも五回勝負でも構わないが、カードを切るのも配るのも私にやらせてもらおう。

 そう宣言すると何言ってんだこいつ、という目で見られる。

 私としては何してんだこいつ、という感じである。何自然に配ろうとしているんだ。仕込む気満々だろ。

 猫とチョコ、この2つの例がある以上、ダービーが触れたカードに公平性などあるわけもない。私が切って、私が配る。それ以外認められない。

「無茶を仰る」

 ……初心者のイカサマが怖いのか?

 わざと見下すように笑う。暗に、イカサマも見抜けないのかと挑発するとダービーは浮かべていた笑みを深めた。

「……ええ、いいでしょう。その代わりイカサマをしたと分かった時点であなたの魂は貰い受けます」

 両者が合意したため、ゲームが始まる。チャンスは五回。最短で三回で勝敗が決まる。

 祖父とポルナレフの魂のためにも、DIOの情報を手に入れるためにも頑張らなければ。

 


 

 普通こういうのってこっちが勝つもんじゃないの!?

 

 ダービーとの決着はすぐについた。三回連続私の負けである。呆気なく負けた。手に汗握る心理戦とかは全くと言っていいほどなかった。

 

 卓上に肘をつき掌で顔を覆う。見ないで……こんな無様な姿を見ないで……いやおかしいやろ!審判出てこい!*1

 

「おかしいと言われましても……」

 

 何故だかダービーも困ったような表情*2で私を見ていた。どれだけ騒いでも負けは負け。賭けに敗れた敗者は、目の前の男に文字通り魂を取られるのだ。

 

 な゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!こ゛め゛ん゛!

 

 あと頑張って!!!

 

 魂が吸われる直前、振り向いて兄たちに叫ぶ。彼らはあまりの決着の早さに目を丸くし、何が何だか分かっていない様子だった。

 

 ほんとすまん!!!!

 

 精一杯の謝罪をし、意識が奪われる。

 

 次に目が覚めた時には、ダービーは白目を剥いて口から泡を噴き、倒れていて、コインにされたはずの祖父とポルナレフと私は人間の体に戻っていた。

 あの悪趣味なコインの姿からの生還。どうやら兄は勝ってくれたようだ。信じてたぜ。

 感謝の気持ちを伝えるために飛びつくと、べりっと剥がされる。

 

 え?お前はもっと慎重になれ……?

 

 ごもっとも。

 

*1
悪質クレーマー

*2
イカサマするかと思ったのに全然しなかったな…の顔

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