ジョジョだったかもしれねェ…   作:aka1

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海外旅行の迷子対策は重要

「君のスタンドについて教えてもらっても?」

 星のタロットカードを引いた兄のスタンドに、アヴドゥルがスタープラチナと命名した。祖父が手配した車が到着するまで待ち時間、花京院が私のスタンドについて尋ねてきた。確かに、仲間として行動する以上、互いのスタンドについてある程度理解しておいた方がいいだろう。

 

 この一年で色々と試したおかけで、頭から生えている花の能力は粗方把握しているが、どう説明すればいいのだろう。何から話そうかと、考えながら頭についてる花に触れ、そのまま引っこ抜く。ぷちっと音がして花が摘み取られた。

「!?取って大丈夫なのか、それは」

 心配そうにこちらを窺うアヴドゥルに頷く。とってもどうせまた生えてくるので、無問題である。

 

 ところで誰か怪我してない?そう尋ねると、彼らはお互いの顔を見合わせ、最終的に花京院へと視線が集中した。

「ぼ、僕?」

 よし、じゃあ君で。

 花の茎を摘まんだまま、花京院へと差し出す。彼は私と花を交互に見つめると、恐る恐る手を差し出した。彼の掌に花を落とすと、花は形を変えて彼の手首に巻き付いた。巻きついた瞬間、花は萎れて枯れ、灰のようになって消えた。

「これは……」

 目を見開く花京院の頭部──包帯が巻かれた箇所を指差す。それ解いてみてよ。

「何っ!?傷が無くなっているだと!?」

 肉の芽が埋め込まれた跡があったはずの額は、つるりとした綺麗な肌になっていた。

「治癒の能力……」

 

 その通り。花を相手に植え付けて、傷を癒す。それが私のスタンドである。これから予想されるであろう戦闘ではお荷物にならざるを得ないが、怪我をしたら私に任せて欲しい。

 そう言って胸を張る私に、アヴドゥルが眉を寄せ、懸念の表情を見せた。

「しかし、スタンドが負ったダメージはスタンドを持つ本人へと還元されるが……君への負荷はないのか?」

 その言葉に他三人の視線が一気に集まった。

 ふっふっふっ。何も気にすることはない。何故ならこの花はある程度の傷なら私がダメージを負うことなく癒せる容量があるのだ!

「……その容量とやらを超えたら?」

 私がぶっ倒れる。

「……ダメじゃねぇか」

 呆れを含んだ視線を向ける兄。何だと……?めちゃんこ有用な力でしょうに。

 抱いた不満が顔に出たのか、「承太郎はお前のことを心配しておるんだろう」と祖父が肩に手を置いた。

 心配?この兄が?……まあするか。普段は全てに反抗してみるみたいな態度取ってるけど、身内に甘いもんね。素直に言いなよ、そういうことはさ〜。

 揶揄うように兄の腹を突くと、触るんじゃないと腕を払われた。

 祖父、アヴドゥル、花京院から微笑ましいものを見るような視線が向けられ、肩をすくめる。全く、素直じゃない兄を持つと苦労する。やれやれだぜ。

 

 

 気を取り直してスタンドの説明を続ける。口で説明するよりも、実演した方が早いだろう。自身の手首に、再び生えてきた花を落とす。

 誰かナイフとか持ってない?

 見渡すと、祖父がサバイバルナイフを渡してくれた。聞いたのは私だけど、何でこの人サバイバルナイフ持ってるんだ。

 肌に刃を添えて、横に引く。「っ、何をやっとるんだ!」と祖父の焦りと驚愕が含まれた声が横から飛んでくる。

 

 使い込まれているが、鋭い切れ味のナイフが私の肌を切り裂くことはなかった。

「花が枯れた……?」

 そう、これが私のもう一つの力!受けた傷を花が代わりに請け負ってくれるのである。と言っても先程見せた力とほぼ変わらない。花を植え付けるのが怪我する前か後かの違いである。

 

 スタンドの詳細はこんな所かね。……よし、それじゃあ皆手を出せ。

 

 何をしようとしているのか分かったのか、全員微妙な表情を浮かべた。中々手を出そうとしない男たちに焦れて、彼らに近づいて順に背を叩いた。直接肌に触れずとも、スタンドは発動できる。

 

「おい、勝手につけるな。解除しろ」

 

 思いっきり眉を顰め、とてつもなく嫌そうな顔をする兄。祖父は何も言わなかったが、彼も解除して欲しそうだった。

 やだよ、と断ると大きめの舌打ちをされる。

 ぴり、と空気がひりついたが、花京院の「僕らが怪我をしなければいいんだろう」という取りなしにより、その場は収められた。

 

 

 

 家の前にようやく車が到着し、全員で乗り込んだ。空港へ向かう道すがら、口を開く。

 

 一応言っとくけど、それをつけたのは君たちのためだけじゃあないんだよ。

「何?」

 この花は、付けられた者を癒すだけではなく、その者の位置が把握できるようになる。

 私にとってエジプトは初めて訪れる地で、そんな所で一人になったら目も当てられない事態になる。

 

 つまり……

 

 逸れても大丈夫なように、迷子対策をしているのだ!

 

 

 ぽかんと口を開ける一同を見渡し、ぐっと拳を握る。隣から、「やれやれだぜ……」と帽子の鍔を下げた兄の声が聞こえた。




スタンドの花弁の色は沢山の絵の具を混ぜたドブみたいな色で、とあるの佐天さんとか鬼灯の冷徹のお香さんみたいな髪飾りっぽい付き方してるけど実際には頭から直接生えてます。
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