ようこそ一之瀬と過ごす夢のような日々へ   作:ざったなっつ

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 あらすじに挿絵貼りました。
 頑張って描きましたので、見ていただけると嬉しいです。
【挿絵表示】



※10話「みんな好き」

 

 

 時間ギリギリまで話していたため、教室に入ってきたのは俺と一之瀬が最後だったようだ。

 先に交流を始めていたクラスメイトがもう自分の席に戻り始めている。

 

「にゃ、私の席はあそこみたい」

 

 廊下近くの前から2列目の席に、一之瀬のネームプレートが置かれていた。

 おおっ!あの位置は確か、アニメ版の一之瀬の席と同じ位置のはずだ。クラスの人数はアニメと違うが、席の場所はアニメの設定に沿っているのか。

 

「水瀬くんの席は……」

「俺は窓側みたいだな」

 

 教室を見回して席を探すと、窓側の一番後ろの席に俺のネームプレートが置かれているのを見つけた。

 あそこはたしか、アニメの綾小路と同じポジションだ。あまり注目されなくて済むため、個人的にも好きな場所だ。ちょっと嬉しい。

 でも、一之瀬の席と離れてしまったのは残念だな……。

 

「席、結構離れちゃったね……」

「でも同じクラスだから、いつでも会えるよ」

「そ、そうだよね!水瀬くんとは、またいつでも会えるんだ……にゃははっ」

 

 か、可愛すぎる……心なしか、再会した直後よりも可愛さの破壊力が上がっている気がする。

 なぜか櫛田の笑顔(・・・・・)と重なるような錯覚を覚えたが、きっと気のせいだろう。

 

「何あの子?可愛いっ……」

「すっごい美人……」

 

 俺だけじゃなく、周囲にいた何人かのクラスメイトも一之瀬笑顔に見惚れているようだ。会話をするまでもなく初対面の相手を魅了するとは……恐ろしい子!

 

「ん?」

 

 特にやばい顔で見惚れている子がいるな〜と思ったら、原作で一之瀬にガチ恋する少女、白波(しらなみ)千尋(ちひろ)だった。

 今の笑顔でハートを撃ち抜かれたようだ。気持ちは分かるよ。

 

「それじゃあ、また後でな一之瀬」

「う、うんっ!また、また後でね。水瀬くん」

 

 『また後でね』という言葉に強い想いを感じた気がするけど、気のせいかな?

 そう思いながら自分の席に腰を下ろすと、すぐに教室の扉が開いた。

 

「あら、みんなもう席についてるのね。優秀優秀っ」

 

 そう言いながら教室に入ってきたのは、Bクラスの担任である星之宮先生だ。

 

 っていうか、めっちゃ若いなこの人!あれでアラサーってマジか。

 本人に言ったら調子に乗りそうだから絶対言わないけど、制服着たら学生に紛れ込めるくらい若いと思う。

 

「え〜っと、新入生の皆さん初めまして。私はBクラスの担任になった星之宮(ほしのみや)知恵(ちえ)です。この学校には学年ごとのクラス替えとかはないから、卒業までの3年間、私が担任のままだと思います(・・・・)。みんなよろしくね〜」

 

 担任のままだと思います、か。考えすぎかも知れないけど、2000万プライベートポイントでクラス替えができることを早速匂わせているのかな?

 原作を読んでる時も思ったけど、先生方の匂わせルール説明って結構大変な業務だと思う。俺だったら言っちゃダメなことまで説明しちゃいそうだ。

 

「まずはこの資料を後ろに回してってね〜」

 

 挨拶を終えた星之宮先生は、手に持っていた資料を配り始めた。

 

「1時間後に体育館で入学式が行われるんだけど、その前にこの学校の特殊なルールについて説明するね。資料は手元に届いたかな〜?」

「届きましたー!」

「おっ、ノリのいい子がいるねぇ〜」

 

 今返事をしていた生徒は……俺だ!

 興奮を抑えきれず、つい先生のノリに合わせてしまった。

 一之瀬を始めとしたクラスメイトのほとんどがクスクスと笑ってくれたため、悪い印象にはなっていないと思う。

 Cクラスだったら龍園に蹴り飛ばされていたかも知れないな。Bクラスで本当に良かった。

 

「まずは資料を見てもらおっかな。とは言っても、同じやつは入学案内と一緒に貰ってるはずだから、みんなも内容は知ってると思うけどね」

 

 資料を手に持ち、星之宮先生が説明を始めた。

 内容は、特例を除いて外部との連絡を一切禁じていることや、Sシステムの存在などなど、よう実ファンならすでに知っている知識ばかりだ。

 すでに原作知識があるため、今更説明を受けずとももちろん全て理解している。

 

「次は、今から配る学生証について説明するわね。これを使うと敷地内にある色んな施設を利用したり、売店とかで商品を購入したりできるの。でも、中に入ってるポイントを消費しちゃうから使い過ぎには注意してね。ちなみに、学校内ではこのポイントで買えないものはなくて、敷地内にあるものは何でも(・・・)購入できるわよ〜」

 

 おお、匂わせてる匂わせてる。

 そう思いながらも、星之宮先生の説明に引き続き耳を傾けた。

 

「施設では機械にこの学生証を通したり提示したりすれば利用できるようになるわ。それから、ポイントは毎月1日に振り込まれるようになっていて、すでに10万ポイント振り込まれている状態よ。1ポイント1円の価値だから、10万円分になるわね」

 

 一瞬、教室の中がざわついた。

 原作通りならDクラスも似たような反応を示している頃だろう。

 急に10万円分のお小遣いが貰えたとなれば、ざわつくのも無理はない。

 

「この学校は実力でみんなを測るから、今の君達にはそれだけの価値と可能性があるっていうことだね。だからポイントは遠慮なく使って大丈夫だけど、さっきも言った通り使い過ぎには注意してね。あと、このポイントは卒業後に学校が回収することになってるから、ポイントを貯めてても得はないよ。本当に好きに使ってオッケーだから。ただ、ポイントは誰かにあげたり貸したりしてもいいけど、カツアゲとかは絶対ダメ。そういうの、うちの学校厳しいからね」

 

 まだ動揺している生徒達を見ながら、星之宮先生は笑顔で言葉を続ける。

 

「何か質問がある人はいるかな?」

 

 質問……か。

 ここで色々と追求してクラスポイントの存在を匂わせ、クラスメイトに危機感を与えることは簡単だ。

 クラスポイントを940以上残して来月速攻でAクラスへと上がり、その後の特別試験でも無双。2年に上がる頃には独走状態に突入なんてことも、やろうと思えばできると思う。

 坂柳や龍園から苛烈な妨害を受けるだろうし、原作とは違う策略を仕掛けてくる可能性も高いが、統率力の高いBクラスで俺の原作知識を発揮できれば勝てる自信はある。

 

 しかし、そんなことをするつもりはない。

 Aクラスの坂柳とその手駒達も、Cクラスの龍園とその子分達も、Dクラスの堀北と愉快な仲間達も、みんなのことが好きだからだ。

 ブラックルームの最高傑作と言われている山内など、好きになれない生徒もちょっとだけいる(山内もネタとしては好きだし声は大好き)。だが、他の生徒はみんな好きだ。

 

 だからこそ、原作のようにみんなが成長する姿も是非見たいと思っている。原作知識で無双して、みんなの成長の機会を奪うような事はしたくない。

 ただ、親しくなった誰かが困っている時や誰かの成長の手助けになると判断した時など、どうしても必要な場合だけは原作知識を使うつもりだ。

 とりあえず、俺の方針はそんなところだな。

 

「質問はないみたいね。それじゃっ、入学式の時間までは自由に過ごしてていいからね〜」

 

 そう言いながら、星之宮先生は教室を後にした。

 入学式までの数十分は自由時間らしい。

 

 よし、雑談タイムの始まりだ!

 

 






人に好かれる才能を持った一之瀬が、櫛田のように人に好かれる努力をしたら……どうなるのでしょうね?
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