キヴォトスの企業   作:魚の名前はイノシシ

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連邦生徒会長失踪より5年前…1人の少年が行き倒れの少女や実力も現実的視点もある2年ほど年上のくたびれた男や訳あって仕方なく独立傭兵をしている男に声をかけていた─

誤字報告 1件、感謝!


とある企業の始発点
俺の/私の出発点


 

 

─連邦生徒会長の失踪より5年前、ブラックマーケット─

 

「ここがブラックマーケット…陰気臭い肥溜めを想像してたがなかなか良さげな場所だな。だがどいつもこいつも鋭い目をしてどんな手段でも儲けてやる、出し抜いてやる、そんな目をしている…」

 

ここなら、と少年は自信の望むものがあると希望を見る。

 

「けっははは…おいおいそこの坊ちゃん、ここはお前みたいなやつが来ていいような場所じゃあ…かはっ、けぅ」

 

ガラの悪い機械のチンピラが彼に絡みに行くも、

 

「こいつは違うな、俺の…ああいや、''私''の作り上げる企業には、実力のないクズは必要ない。」

 

冷たい目をして静かにチンピラの意識を奪った少年は、荒っぽい口調から丁寧な社会人のような口調で辛辣に言葉を吐く。いきなり望むような人は居ないか、気を落としかけながらもまだ始まったばかりだ、と切り替えた。

 

「まずは…そこの方、腕の経つ傭兵を知っていますか?傭兵でなくとも、熟練や何かしら能力のある人物でもいい。知っていたら教えてくれ。」

 

近くにいたハットとコートを着たブルドックの、明らかにカタギでは無いものにこともなしげに声をかける。

 

「おいおい…この格好を見てなんとも思わないのか?坊主。それとも怖いもの見たさで来たのか?」

 

こんな格好をしていて話しかけるやつはいないと思っていたのかいきなり声をかけられ動揺するもそれを隠して会話を持ちかける。

 

「ええ、いかにも怪しげな格好で誰にも絡まれていないところを見るにこのブラックマーケットではそこそこの知名度がある、そして知名度がありながらも生き残っている大人となればここのことについては詳しいでしょう?それとも、その格好はただの見掛け倒しとでも言うのですか?」

 

この犬の獣人は怪しげだが、周りからはチラチラと視線を送られているこの状況でさもそれが当然の日常であるかのように振舞っていたからそう思う。普通はそれが分かれば話しかけることも目を合わせることもしないのだが…

 

「それがわかって話しかけるか?普通よ。…当たりだ。俺はこのブラックマーケットでブローカーをしている。要は仲介人で情報屋だ。こんなラッキー坊やで肝が据わってる奴には初めて会ったぜ?記念だ、今回はタダで教えてやる。人数は問わない、出血大サービスだ、条件を言え。」

 

男は見た目に違わずそういう住人だった。勧誘したいところだが、踏みとどまる。さすがにブラックマーケットを敵に回したくは無いからだ。

 

「ああ…私の求める人材は複数。まずは何年も傭兵をしていて生き残っている熟練、傭兵ではなくとも腕が経つ者、そして実力は問わないが事務仕事や会計周りができる人物…と言った所でしょうか。このどれか、心当たりがあれば教えて頂きたい。」

 

「なんだ坊主、起業でもするのか?まぁ、そういうことなら全員心当たりがあるぜ。まず、1人目だ。」

 

──独立傭兵として活動すること3年。依頼成功率は驚異の97.3%。通り名は【バレンフラワー】、名前は古沖 三蔵。やつはゲヘナ学園から来た実力者にして妙に達観した男だ。

 

「こいつは独立傭兵として活動していながら本名を隠していないタイプだ。恐らく、活動していくうちに割れるものだから、もしくは知人に知られても問題がないから。…噂ではゲヘナの何かにに夢を見て入学後、風紀委員会だの万魔殿だのの絡みで現実に囚われた結果、精神がすり減り夢を見なくなったらしい。」

 

「……そうですか。他は?」

 

大きく呼吸をして余計な感情を抱かないように努めた彼は次の人物を訊ねる。

 

「ああ、2人目だ。」

 

──次のやつも独立傭兵だな。活動歴は1年。だが、やつの爽やかさが気に入らない馬鹿どもにちょっかいをかけられまくって尚生きてる猛者だ。指標として月に5回は企業からちょっかいをかけられていたが返り討ちにして今は月に1回程度までに抑えた。

 

「月1はあるって、無くなってないじゃねぇかって思うのは、どこの企業に狙われているのかを聞いてからでも遅くない。やつのケツを狙う企業はダリヴル・インダストリー。最近経営が傾きかけているところだな。あそこは1度狙ったやつは引き入れるか始末するまで付け狙うことで裏社会じゃ有名だ。実際、ラスティを除いて最長5年は付け狙い対象をどうにかしたって話だ。そこら辺踏み込むと狙われるかもしれないから知らないが…そいつはそこに小さくない損害を与えたらしいからな、多分始末されたんだろう。」

 

獣人はその企業が嫌いなのか顔を顰めながらうえ〜っという様子で話す。

 

「そんな企業のことはどうでもいい。そのラスティについて聞かせなさい。」

 

「ああそうだ、そうだったな。すまん。…ラスティ。彼は本名不明年齢不詳所属不明のとにかく情報を隠す男だ。一説によればどこかの企業のスパイとしてブラックマーケットの様子見に来ているんじゃないかと囁かれているが俺の嗅覚はそれは無いと嗅いでいる。やつの特徴はスピードだ。銃で牽制し至近距離まで詰め、体術を交えてダガーや棒術でインファイトをするタイプだ。多対1となれば持ち前のスピードで撹乱し爆弾で一掃。スピードの出せる足で思いっきり敵の集団にけ蹴り飛ばして片付けるボーリング戦法。そして何より空を駆ける飛ぶような動きから放たれる小型のプラズマ発生装置からの攻撃は、集まった敵を作られたダメージゾーンが意識を刈りとる脅威だ。」

「長くなったが…これがやつの戦法だ。やつのことは良い奴だと断言出来るくらい爽やかでキザな男だ。俺もあいつの事は好きだぜ?もちろん人間性としてな。眩しいくらいだ」

 

「ならその性格とやらはどうなんです?そこまで言うのなら、私にも説明は可能でしょう。」

 

「ラスティの性格は、なんでブラックマーケットで傭兵なんかしてるのか分からないくらいに良い奴だ。ここで生活する分の狡猾さなんかは持ち合わせているが、それぐらいだな。爽やかでキザ、例えるなら太陽を反射する眩しい砂浜と青空と言ったところだな。…困っているやつを見たら見捨てられない。そのせいでダリヴルに狙われたし、そのおかげで俺は生きているし助けられて以来ヘマをしないベテランだ。」

 

やつに助けられたって言う奴は多いから明確に敵対しないようにな、と言葉を付け加えるとこれぐらいだと切り上げる。

 

「ラスティが絡むと嬉しくなって喋りすぎるな…それで、他には居ないか?」

 

「なら…どこにも所属していない、傭兵でもない実力者について、教えて欲しい。」

 

「…なら、やっぱりあいつだな。というかあいつしか居ない。よし、なら3人目だ。」

 

──やつに名前は無い。どこから来たのか、どこの所属なのか、年齢も分からない。隠しているのではなく、本人が興味無さすぎて何も覚えていないという事だ。…やつの見た目は青髪のショート金の瞳に人形のような不気味な真顔が特徴だ。独立傭兵として扱うには依頼を受け無さすぎるがただの住人と言うには荒事の依頼を受けている扱いの難しいやつで一度話をする機会があったんだが本人曰く、『依頼を受けるのは小遣い稼ぎのためだ。私としては色んなやつと色んな戦い方が出来て尚且つ小遣いも貰えるから傭兵になるのも悪くはないか?』らしい。

 

「戦闘狂というか、戦闘にしか楽しみを見いだしていない異端者で、ぽっと出の癖にブラックマーケットトップの実力者であるイレギュラーだ。接触するなら最低でもラスティレベルの速さとバレンフラワー並の冷静さに対応力が必要だ。分かりやすく指標を言うのなら、連邦生徒会長お抱えのSRT特殊学園の1個中隊、それもハイレベルなものだろう。引き入れるなら、そのうえでやつにとってもいい話がなければきついだろうな。」

 

「……なるほど。」

 

少年、彼は戦闘力と将来被るだろう自身への仕事量を天秤に測りきれず悩む。…ひとまず会ってから考えようという結論に至った。

 

「忠告感謝す…します。では最後に、事務仕事などが得意な方を。戦闘力は問いませんので。」

 

「俺には砕けてもらって良いんだぜ?矯正中なら無理に言わないけどよ。…で、事務仕事か。それはだいたい企業所属だからそう簡単には引き抜けないと思うが…ひとり引き抜けそうなやつに心当たりがある。」

 

─そいつの名前は臆村 コガネ。年齢は28。種族はロボットで、メモリの容量とCPUの高さはピカイチ。にも関わらずやつと同じ職場にはそれよりも性能のいいのが居るからコガネにはあまり重要な仕事が回っていないなんとも節穴な会社だ。所属している会社はキヴォトスで幅を利かせているグレー中のグレーな会社、カイザー・インダストリー…の系列の銀行員だ。

 

「ちょうどブラックマーケット支部だから闇取引はやってるだろ、多分。それを握って交渉すれば1発だから頑張れよ。」

 

「なるほど、宝の持ち腐れと言うやつですか。…あぁ!もったいねぇことしやがるぜ!そ〜いう目利きがいいから生きている企業だと言うのに致命的な見落としはあるもんなんだな。…っと、失礼しました。」

 

「はっはっは!キャラが違くて風邪ひきそうだ!」

 

「すみません。将来は企業を立ち上げ社長となるので言葉遣いは慣れておかなくてはと思ってまして。」

 

「良いぜ!将来を既に決めてるやつはあんまりいないし、お前自身も話のわかるやつだ!長話を文句言わずに聞いてくれるやつなんざここには指で数える程しかいないからな。…おし、そんなお前に免じてアドバイスをしてやる。」

 

「アドバイス、ですか?」

 

「あぁ、独立傭兵に話しかけるなら隠し事は良くない。独立した傭兵ってのは総じて裏を探るような警戒心が高い野良犬だ。意味深な笑顔、意図を隠した話し方、取り繕った態度は奴らの猜疑心を高めることになる。気をつけな。」

 

「分かりました。ありが…」

 

「それと!企業所属のコガネにはその逆をやらなきゃ印象は良くないぜ?野良犬と飼い犬では同じ犬でも互いに嫌い会うような関係だからな。粗雑で幼稚な言葉遣い、態度、そしてバカ正直にペラペラ喋るようなやつは信用を得にくい。そりゃそうだ、利益を求めて働くのにその利益が得られなさそうなやつがトップの会社にはどんな社会人も渋るだろうよ。」

 

企業所属と独立傭兵への対応の違いには細心の注意を払えよ!

 

そう言って彼は身を翻して路地裏へと歩いていった。ブラックマーケットに住む先達からのアドバイス、しっかりと胸に刻み歩き出す。

 

「そういえば、感謝を伝える途中でしたね。今度あったらしっかりと伝えなくては。…いや、感謝されるのに慣れていないから恥ずかしがった?…無いか。かれの立場上感謝されないなんてことはないでしょう、ちゃんと伝えるものは伝えるべきだ。」

 

ブラックマーケット、無法地帯。そこは連邦生徒会も手を出せない闇市場。しかしそこにも話のわかるやつはちゃんといることを、胸に留めておいて欲しい。

 

彼の物語はこれからだ!




続くべきではなかったもの。なぜ書いたのかって?評価レベル10をもらったら調子に乗るに決まってるじゃろ。

1話だけで葬り去るのが正しかったのか、こうして連載していくのが面白いのか僕には分からないから感想や評価をつけて教えてください!
(流れるような感想乞食)(流れるような評価催促)
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