─ブラックマーケットの傭兵支援施設、マインドギルド。ここは独立傭兵やグループで纏まっている傭兵の区別無く傭兵であるなら支援を受けられる施設だ。傭兵に依頼を出したい時はインターネットで張り出したり、直接紙で張り出すかの二択をとっている。そういった明確なルールがあることで依頼人と傭兵の間で起こるイザコザが少なくなり、上手く行けばスポンサーを得られるというものを狙っているのもあるようだ。
「……」
(ここがマインドギルドか。どんな暗い場所かと思えば…なんだよここは、学校みたいだな。交流しているのはお友達を作りたいからだけじゃないだろうが…)
そこは独立傭兵の屯する場所と聞いて想像したものとは全く違う光景が広がっていた。想像していたのはガラの悪いヤツらがほとんどで、見慣れないよそ者には警戒し何かしらあれば喧嘩するような暗い場所だった。しかし、実際来てみて目にしてみればその光景とは真逆も真逆、誰もが仲良さげに話している。
(独立傭兵を呼び出すには…あっちの方で依頼を出せばいいのか。)
それを尻目に依頼受付カウンターへ足を進める。受付カウンターは、横を覗き見出来ないように仕切をかけてある個室のような見た目のものが六つ並んでいる。そのうちの2つは中に入っているのか扉の中央ら辺にある小さい緑のバーが赤く変わっている。
(鍵を掛けれるのはいい事だ。…学校のトイレじゃねぇよな?さすがに違うよな?)
学校のトイレを思い浮かべて、受付カウンターと書いてある看板を見返し、トイレじゃないことを確認してから空いている個室へ入る。扉を閉めるとガチャッと自動で鍵がかかった。
(自動で閉まるのか!開ける時は…このマニュアルか)
自動でしまった鍵を開ける方法が扉の内側にあるためそれを見てから依頼発行コンピューターに向き直る。
依頼発行日、名前(本名、もしくは通り名や呼んで欲しい呼び方)を簡単に入力し依頼方法は公示、ばら撒き、指名依頼の3つの中から''指名依頼''を選択。次に指名できる傭兵一覧から名前を検索、話に聞いたラスティと当てはまる傭兵を選択し依頼内容を記入。最後は依頼の期限と連絡の有無、連絡先を入力する。
''1ヶ月以内で、受けるなら連絡先に一報入れること''
(これで良し。記入漏れは…無し、見落としも…無し。発行だ。バレンフラワーの方は…アイツらを強襲する依頼でいいか。)
一度見返してみてミスも何も無いことをしっかりと確認の後依頼を発行する。
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キヴォトス歴××年 △月□日
依頼人:スネイル
これは、独立傭兵 ラスティ に向けた指名依頼です。
依頼報酬:300.000 C
依頼主の琴線に触れることがあれば追加報酬あり
内容:あなたの話が聞きたい
概要:初めまして、独立傭兵ラスティ。私の事はスネイルと呼んでください。この度は得体の知れない依頼に目を通して頂き感謝します。
では、依頼内容をお伝えします。今回の依頼は私と会って話をして頂きたい。あなたの武勇伝は聞いていますが、本人から直接聞きたいと思ってのことです。このブラックマーケットに来て2年程でこれほどまでの知名度を得たあなたの実体験は、起業を目指す私に良い刺激を与えてくれると信じています。内容によって追加で報酬をお支払いします。あなたの色良い返事を期待しています。
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とある日のマインドギルド─
灰色の髪、狼を思わせるつり目と青の瞳、黒のインナーに青いジャケットを羽織った身長170以上はある青年が、タブレットを片手に唸っている。
「……この依頼はどうするべきか。」
彼こそは傭兵になって2年目の新米、ラスティ。今までにあった依頼のなかでこういったものは無かったためどうしたらいいのか悩んでいるようだ。考えるに、これは罠である可能性が高い。話を聞くために30万クレジットを出すようなものは居ないだろうし追加報酬で食いつきを良くしているようにも感じる。
しかし、彼は若い。自分の活躍を知りたいと純粋に思うファンであるなら受けなければ少し心に残ってしまう。何より、そういったファンが居るのなら嬉しく思ってしまったのだ。
「罠の可能性が高いが、純粋なファンであるならこの額、内容をして受けない訳にはいかないな。」
独立傭兵ラスティ、少し浮ついた心で怪しい指名依頼を受諾!
時を同じく別の場所─とある喫茶店─
モーニングを食べている草臥れた男が椅子に背を預けてタブレットを見ている。ニュースでも見ているような自然体だが、それとは違ったものを見ている。
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キヴォトス歴××年△月○日
依頼人:スネイル
これは独立傭兵 バレンフラワー に向けた指名依頼です。
依頼報酬:500.000 C
敵撃破で追加報酬あり
内容:オラオラヘルメット団強襲のバディとして来て欲しい
概要:初めまして、バレンフラワー。縁も何も無い依頼だが受けてくれると助かります。
早速ですが本題に入ることにしましょう。今回の狙いはオラオラヘルメット団の強襲です。何ともふざけた名前だが、奴らはキヴォトスのヘルメット団でもトップ5に入る危険な連中だ。特徴は、個人の強さはそこらのチンピラと何ら変わりないがその数が異常なまでに多いこと。そして数が多いくせに統率の取れていることです。
…なぜ強襲をかけるのか。それは連中にかけられるちょっかいにうんざりしてきたからです。嫌な上司の小言のようなことをネチネチと毎朝毎朝大声で言われるのにはもううんざりなんです。最近はそのストレスでコーヒーを作っても泥水のようなものしかできず食事も味気ないように感じてきているのです。他にもありますが、人生をうんざりさせられるのはまっぴらだ。助力を願いたい。色良い返事を期待していますよ。
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(ふむ、これは恐らく罠では無い。そういう臭いのする依頼だ。)
ならば受けるか、と言われれば否である。深みのあるコーヒーを1口含み記憶にある敵勢力を分析する。
(オラオラヘルメット団…名前とその脅威さは知っている。何でもかんでも物量で押し流す戦法を取る脳筋集団、しかしそれはシンプル故に強い。奴らの所持する改造型クルセイダーⅠ型は1台や2台所ではなく数十台はあると聞いている。)
この依頼の危険度は、ただのヘルメット団強襲とは訳が違う。しかも指名して来ていることから少人数、最悪依頼主と自分のたった2人だけでの任務となる。概要に目を通しながら…
(依頼主の実力も、奴らの強さも分からない。これは)
流すか。
そう思ったが、最後の文でその考えは留めさせられることになった。
(泥水…味気ない食事…)
思い出すのは傭兵歴5年目のこと。毎日毎日どこかしらの企業が命を狙ってきてまともに眠れる日なんかなく、ストレスで今も残るクマができた。そして何より味覚が鈍ったことだ。それ以前には美味かったはずの食事、心を落ち着かせられたはずのコーヒーはいつしかこのスネイルと同じように泥水のような味、味気ないガムを噛むような食事になった。
(ああ…これは…)
流すことなど出来ない。なぜなら過去の自分だからだ。今でこそ味覚が戻り暗殺者も仕掛けられなくなってまともに眠れる日があるとはいっても、偶にあのストレスがぶり返す。暗殺者や狙われているところなど違いはあれど同じである。
(良いだろう、過去の精算には丁度いい。受諾だ。)
未だ燻るあのトラウマを完膚無きまでに叩き潰すことが出来る保証は無いが、自分と同じあの苦しみを味わおうとしている者がいるのなら手助けをしたいという気持ちもある。
10年以上、傭兵を続けてなお残るかれの善性は未来の大企業と縁を結んだ!
☆バレンフラワー、依頼を受諾─!
パッとしない文章…みんなの文章力語彙力国語力全部オラに分けてくれー!そしてあとから肉付けしていきます。
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