「コード5。…君が依頼人で間違いないか?」
「…コード15。よく来てくれましたね、私はスネイル。知己を得て光栄に思います、独立傭兵ラスティ。」
「私の話を聞きたいとの事だったが……初めから、で良いのか?」
予め決めておいた集合場所の人気のない公園のベンチに、合言葉を交わして座る。
「ええ。まずは貴方が独立傭兵の道をあゆむことになったきっかけを教えて頂けますか?もちろん、話したくないことは伏せてもらって構いません。」
「それは助かる。なら──」
それから数時間程、途中で喫茶店に移動してそこで時折飲み物や食べ物を注文して話を聞く。内容は、
生まれが貧しく生きるためには傭兵になるしか無かった。
貧しくとも好きだった故郷がとある企業に売られてしまったことで帰れなくなったこと。
活動歴1年と聞いていたことが、元々傭兵をしていたが最近になってブラックマーケットに来たから、ブラックマーケットでの活動歴は、ということ。
プラズマはミレニアムに捨てられていた物を軽く修復したものらしい。弾はどうしているのか気になったが、そこまでは教えてくれなかった。
「……そろそろいい時間ですね。本日はありがとうございました。貴重な話を聞けて有意義な時間でした。」
「もうそんな時間だったか。君はよく聞いてくれるからこちらも随分楽しませてもらった。」
会計をして店を出る。話しながら少し歩いたところのアビドス砂漠を一望できるスポットで別れようと話を切り出す。
「ところで、独立傭兵ラスティ。最後にひとつ聞かせて欲しいのだが……」
「なんだ?」
「カイザーは、どうやらアビドスの土地そのものを狙っているようですね。」
「……そうなのか?カイザーに狙われるとは不憫だな。」
「アビドス高校に借金するよう誘導し、高い金利で額を膨らませて縛り付け、土地の所有権を売ってくれたらその分は減らす等してアビドスの土地を少しずつ侵食しているようです。最近ではそこら辺のヘルメット団にアビドスが払った金を渡してアビドスを襲わせている。」
「……なるほどな。」
「独立傭兵ラスティ、私と共に来てくれたならアビドスの復興やインフラの整備、ヘルメット団の撃退などで力を貸しましょう。それから、アビドスに対しての支援も惜しみなく行います。自分の故郷を守りたいと思うなら私の手を取りなさい。」
「はぁ……すこし喋りすぎてしまったかな。だが、その話は保留ということにしておいてくれ。私は君と初めてあって、数時間話したとはいえ君のことについてほとんど知らない。なにより、そんな餌で釣って後から何かで縛るといったカイザーのようなやり方をされては同じ轍を踏むことになる。」
「分かりました。話をするのが早すぎるというのは自覚していましたから。……私がアビドスを助けたいという気持ちは本当だということは覚えておいてください。ではまたお会いしましょう。」
「ああ、じゃあな。」
ラスティを誘ったが断られてしまったな。まあいいか。そこは織り込み済みというか分かりきっていたことだ。銃を一丁に近接武器を2丁、そのうちひとつは棒という話しで珍しいと思っていたが…。
使えなくなった家からパイプを引き抜いて振り回していたり、誰でも手に入れられやすいナイフを実戦に活かせられる環境ということからアビドス出身と当たりをつけて、ちょうど近くにアビドス砂漠を一望できる高台があったからそこに連れていった。
そうしたら懐かしむように目を細め、一瞬だけ寂しそうな色をうかべ郷愁を抱いていた。アビドス出身と確信し、カイザーに嫌がらせをするために色々していた時に取得した情報を使ってラスティを勧誘した。それだけだ。ラスティは知らない事だったと思って話したけど思ったより動揺しなかったからラスティもそう考えてはいたんだろう。
まあ、種は撒いた。あとは定期的に依頼を出して信頼の水を掛けて関係を良い方に育てるしかない。
次はバレンフラワーだな。…覚悟しておけよ、オラオラヘルメット団!