よしっ、よしっ…!姉は部活、親は親戚の家!
姉の方は県大会が近いから合宿で三日はいないし、親も遠い親戚の家に行っているから確実に泊まり込み!そうでなくとも帰ってくるのは夜!
勝った、女装してくる。
しかも今日の為に新しい服も買ってあるんだ。
それは…ワンピース!(ついでにドロワーズ)
女装と言ったらこれだろ!的な服を探して、ピンと来たのがこれだったんだ。
青色が基調の、少しある程度フリフリがついたワンピース。
手に広げて見ると、やっぱり心臓がドキドキする。
姿鏡の前に立って、また身体の前に服を
「くふふ…」
にやけてるぞ、俺。
羞恥心が…違う、今から女装する事への
女装を期待している自分に羞恥心が湧いてるんだ。ほら、顔が真っ赤っか。自分でも引くくらいに、真夏の太陽光を顔で受けてるくらいに熱い。
二回目ともなると慣れると思ったけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
この日を待ってた筈なのに、心の準備ができてないのはなんでなんだろうか。せっかく、好きなことが出来るのに。
ええい男は度胸!着れば勝ち!
「おぉ………」
肩に触れる長さのウィッグ。
俺の身体にフィットする、半袖タイプの膝下スカートのワンピース。
スカートをぴらりと両手で捲ると、ドロワーズ。
全体像を見ると…完全に女の子だ…!顔真っ赤だけど。
両手を広げて自分でも全体像を見ても、違和感のない、男っぽさが感じられない見た目だ。ウィッグだけでこんなにも変わるなんて。
眺めるだけでも満足しそうだけど、折角ならもうちょっと女の子らしいことをしてみたい。例えば?って言われたら答えるのに悩むけど…。
そう悩んでいる時、暑さ対策で開けておいた窓から少し強い風が入ってきた。
お、涼しいなとか思っていた俺だが、次第にその風が俺のワンピースのスカートを捲り上げ、中身のドロワーズが見えそうになった瞬間に…。
「ーっ!?」
バサッと、身体が勝手に動いてスカートを抑えた。
「???」
え、え?なんで?めっちゃ女の子っぽい行動取っちゃったけど?
ま、まさか俺の脳みそが本当に自分を女の子だって認識して、無意識に女の子っぽい行動取っちゃうとか?ま、マジ?
い、いやでも、そんなわけないか。そんな簡単に、男を捨てられるわけないし。
…ちょ、ちょっとだけ…そういう仕草もしてみても…いいよな?
「…!」
う…自分でスカートピラってするの、ちょっと恥ずかしいな…さっきやったのに、なんでだろ。
訳が分からなくなって、また顔が熱くなる。
ちょっと疲れた、休憩。
床に座り込んで、後ろ手をついて天井を仰ぐ。
ふと鏡を見たら、なんと膝を立てて座っていたせいか、スカートの中身のドロワーズが丸見えではないか。
「ちょ…!?」
慌てて隠す。あ、慌てて?なんで慌ててんだ、俺。
マズイ、なんか変だ。なんかこれ以上やったら戻れない気がしてきた。
…ま、まぁでも、好きでやってることだしな、趣味でやる程度だったら…幾らでも後戻りはできるだろ。
大丈夫大丈夫。慌てない。
そうだな…ちょっと、女の子座りっていうのもやってみるか。
う、ちょっとキツい。よく平気でこんな座り方できるな女子。
そう思いながらちょっと無理矢理女の子座りをして…鏡を見てみる。
…い、意外と様になってんじゃん?あぁダメだ、そんなこと思ってたらまたもっと顔が熱くなってきた。にやけるな!俺!
…今日が終わったらまたしばらくできなくなるんだよな…写真…写真でも撮っとくか…。
座った状態でスマホを手に取り、カメラを起動する。
正面の鏡に向かって一枚パシャリ。
画面を確認すれば、そこには一人の女の子が赤面して自撮りをしている画像が表示されている。だから俺だって。
…ここまで女の子っぽくなれるとなると、もうちょっと女の子っぽいポーズもとってみたいな…あ、そうだ。
この前ゲーセンで取ったぬいぐるみが…あった。
ベッドの上に飾ってあったそれを抱いて、鏡の前に戻る。
鏡には、ぬいぐるみを大事そうに抱き抱えた女の子が一人。赤面はしてないけど、すげえ緊張してる顔だ。
これも…撮るか、写真。せっかくだし。
女装少年って実質脳内麻薬じゃないですか?