女子らしいことといえばなんだろうか。
料理、家事?でも俺は女装だ、家事スキルを身に付けたいわけじゃない。
こう、女の子らしい遊びというものをしてみたい。
その考えに辿り着いて、何をしようかと悩んでいた一日…俺は、一つの答えに辿り着いた。
そうだ、プリクラしよう。
そういうわけで、やってきたゲームセンター。休みなだけあって人が多くて騒がしい。
背中に背負うリュックには初めて買ったピンク色のセーラー服が入っている。プリクラに入ったら、その中で着替える算段だ。
よし、じゃあ入るか…と思ったけど、なんか躊躇しちゃうな…なんでだ?(目的が不純な為)
ま、まぁやることやって、さっさと出れば問題ないか。
よし、無事に入れた。はぇー、プリクラの中ってこうなってんだ。
さて、着替えるか。
………入り口の仕切りちょっと高くない?もうちょっと低くしてもいいと思うんだけど、足丸見えにならん?
ま、まぁ人は少なかったし、バレないバレない…。
時々通りかかる人影にびくつきながらも、俺は着替えを完了した。
ドロワーズを持ってき忘れたからスースー感が慣れないけど、これが女の子の感覚って考えたらちょっとマシになる。後はウィッグをして…よし、できた。
あとは百円入れて事を終わらせるだけだ。さっさと済ませよう、時間が経つにつれて段々恥ずかしくなってきた。
人に気付かれる前に早く…そう思いながら、コインを投入した時だ。
「プリとか久々じゃんねー」
「ね。あ、誰かいるみたいだけど」
「ーッ!?」
思わず肩が跳ねる。
入り口の方を見ると、そこには二人の女子高生らしい制服を来た人がいた。
「ごめんねー、あとどれくらいかかりそ?」
「ぁ…ぁぅ…」
「めちゃ戸惑ってんだけどこの娘」
「極度の人見知りとか?……ね、あれ」
「ん?……え、マジ?気付かなかったんだけど」
「運命の出会いってあったんだね」
「同感。よし、じゃあ」
「「
急に女子高生二人がこっちに詰め寄ってくる。ちょ、近。
「いやーごめんねー、ちょいとお姉さんら証明写真取りに来たから急いでてさー(嘘)」
「代金は払うよ。十倍で(真顔)」
「ぇ…ぁ、ぅ(赤面硬直)」
「ありがとー!ささ、証明写真だから君も真ん中入って入って(大嘘)」
な、なし崩しに一緒に撮ることになってしまった。
てか何?証明写真ってプリクラで撮るもんだったの?コンビニの設置トイレみたいなところで撮るもんじゃなかった?
そうこうしているうちに、なんか二人が始めてしまった。え、俺どうすれば……え、え?
手持ち無沙汰となっていた俺を、ポニーテールの方の人が引っ張る。
そして俺は二人の間に収まった。俺は硬直した。
「一緒に撮る時は、こうやって身体も密着させるの」
「ほら、腰が逃げてる。しゃんとしな」
ちち、ち、近いーッ!?
パーソナルスペースどうなってんのマジで!女子同士だからっつって無防備すぎないか!?
女子経験そんなないのに…!ひっ!?ちょ、腰掴まれてるせいで逃げられんのだけど!?
「ふふ、顔強張ってる。かわいい」
「み…!?」
い、今耳がゾワってした!耳元で囁くなよ!
しょうがないじゃん!こ、こんなゼロ距離で女子と話すことないんだからさぁ!
………こ、高校生から見ても俺ってかわいいのか、くふふ。
はっ、ダメだまだにやけるな俺!ピンチ中だろ!
は、早く終わってくれ…!
「お、可愛く撮れてんじゃん」
「デコり方知ってる?」
「…(ブンブン)」
ショートカットの人の質問に、俺は首を横に振って返事をする。
「そっか、じゃあこれも教えてあげる。って言ってもこんなん適当で良いけどね」
「ズッ友とか書いときゃそれっぽいし」
なるほど、そんなんでいいのね。
じゃあ何書こ…無難にハートとかでいいんかな。
まぁ後でもう一回撮り直すし、深く考えずに書いときゃいっか。
とりあえず写真に映ってる二人に矢印伸ばして、悪___
「へー」
「ほーん?」
即座にクリアして天使と書き直す。びびってねえし?
二人はなんて書いてんだろ、ちょっと参考にしたいな。
横目で見ると…ん?文字じゃなくて記号書いてる。
丸と…十字と矢印。♀と♂ってなに?呪いの記号だったりする?
それだけ書いた二人は、終了ボタンを押した。俺もそれに倣って押す。
「あんた天才じゃん?」
「写真見た時からこれしかないと思った」
「…?」
なんの話してんだろ。写真取らないのかな。
あ、てか写真受け取る場所外じゃん!俺出れんじゃん!
「あ、ウチが取ってってあげる」
「私のもお願い」
「…!」
ありがとうございます天使様方ァ!
ショートカットの人と一緒に、ポニーテールの人の帰りを待つ俺。すると、ショートカットの人が何やらごそごそと動き始めた。…ひん!?
「ん、おぉ…すべっすべ」
な、なんでスカートに手を突っ込んで…ひぃ!?手が登ってくる!?ちょ、俺ドロワーズ履いてねえのに!バレる!男だってバレちゃう!
せめてもの抵抗として、俺はゆっくり登ってくるショートカットの人の腕を両手で掴む。それでも力づくで登ってこようとした為、これ以上好きにさせまいとショートカットの人の手を脚で挟んだ。
「あ、これ気持ちいい」
「ひゃん!?」
ちょ、中でぐねぐねさすな!擽ったい!やめ、やめろぉ!
涙目になりながら何故かやけに鼻息の荒いショートカットの人に対して抵抗する。すると、入口の方からパシャリと音が聞こえた。
「…(ゴミを見るような目)」
「…(ブルーベリーフェイスカラー)」
「んひ…っ!?」
入り口にいたのは、ショートカットの人を冷たい目で見ているポニーテールの人だった。
「あんた、流石にYESタッチはないわ。ウチだって我慢してたのに」
「目の前に良質な栄養分があれば摂取すべき。我慢は身体に良くない」
「分かる。でも抜け駆けはダメっしょ」
「それはごめん」
な、何の話をしてるんだ…?
置いてけぼりになっていると、ポニーテールの人が俺の前に立って、外から取ってきた写真を俺に手渡す。
ん?なんか裏に…あぇ!?いちまっ、イチマンエン!?ナンデ!?
「それ、お邪魔しちゃったお詫びねー。それで可愛い服買いなよ、絶対」
「私達のお金でまた尊き生物が産まれると思うとそれだけで人生が豊かになる」
「あ、えと…ありがとうございます…」
と、尊き生物?猫とか?ま、まぁ貰えるものは貰っておこう…。
なんか申し訳ないので、せめてもの最大限のお礼として深々と頭を下げる。
ポンと、頭に手を乗せられる感覚がした。そのまま左右になでなでと動く。
「うし、この手を家宝とする」
「私も極限の栄養が付着したこの手を永久保存する」
「ふっ、価値で言えばそっちの方が上だけど、純度的に言えばウチの方が上…!」
「なん…だと…っと、そろそろ帰ろうよ。ほら」
「あ、そかそか。じゃ、ごめんねお邪魔して。また会おうぜー」
「は、はい」
そう言って、二人は入り口から出ていった。
…ふぅ、緊張したぁ。こ、高校生ってあんな距離感凄いのか。
それに金持ちだし…あんな軽い感じで一万ポンと出せるのヤバい。十倍どころか百倍だもん。
はー、もうなんか…濃かったな。色々。
…あ、一人で撮るの忘れてた。早くやんないとまたさっきみたいになるかも。
さて、さっき教えてもらった通りにやるかぁ。
・ポニーテールのお姉さん
:ショタコン(軽度)のお姉さん。ポニーテールがチャームポイント。友達からの布教でショタに目覚め、趣味程度にショタを接種していた。今回リアル女装ショタに運命的な出会いをしたことで、ショタコン(致命傷)のお姉さんと化す。ようこそ。「おかげでストライクゾーンが大幅に広まりました」
・ショートカットのお姉さん
:ショタコン(重度)のお姉さん。ショートカットがチャームポイント。日々友達にショタを布教し、道行くショタや動画でショタを主食として接種している。今回リアル女装ショタに出会った事で黄金の右手が暴走した。「まるで形を保ったもちの中に手を入れているようだった。機会があれば次は顔を挟んでもらいたい」