草原の上を通り過ぎる人影が遙か遠くまで飛んでいく。
土や石ころが舞い上がると同時に吹き飛んでいた人影が止まる。
捻れたように曲がりくねった右腕を横目に『魔族の肉体を再生させる魔法』で修復しながら、迫ってきている魔法を避ける。
「やばッ!」
不可視で音もない風の斬撃を魔力探知で察知したオレは腰を低くして避ける。
ゼーリエがこちらまで飛んでくるのが目に入ったので、オレもまたゼーリエの元まで飛行魔法で移動し拳の射程範囲内まで入り込むと同時にお互いの拳がぶつかる。
二つの拳がぶつかったとは思えないほどの衝撃波と鈍い音を周囲に響き渡らせながら、オレはもう一方の掌から超至近距離での『
だが、不自然な手応えのなさにオレは顔を歪めながらも、ゼーリエに白い光線……『
終わりの見えない『
視界に入ったもの、魔力探知で感じる視覚外からのもの含めて、こちらに向かってくる『
段々とゼーリエのギアが上がっていき……その隙間を掻い潜るかのようにオレは『
今度は手応えのある感触に笑みを浮かべたオレは『
そんな状況下でも口角を上げているゼーリエに戦慄し、魔力探知で足元から魔法の気配を感じた瞬間、砕けた土の塊と猛威の熱風がオレへと襲いかかり足元が浮いて吹き飛ぶ。
ゼーリエがこのままだとやられっぱなしだと感じて自分ごと足元を爆発させたのだ。
「無茶苦茶かよ」
防御魔法を突き抜けてきた爆発に呆れた溜息を吐きながら、吹き飛んだ下半身を魔法で再生させて地面に足をつける。
「マジでそろそろ良くねッ!」
「まだだ、私はまだ満足していないッ!」
オレの問いかけに回し蹴りで答えてくれたゼーリエの攻撃を腕で受け止める。ゼーリエはオレの腕を蹴って空中でバク転しながら離れた場所で着地する。
そしてお互い同時に動き出す。意図せずしめし合わせたかのような動き出しに、またもや合わせたかのような回し蹴りで両者の足が交差する。
「フハッ!」
変な笑い方をしたゼーリエの声が耳に入り、またもや溜息を吐くのと同時に極大の『
視界一杯に埋め尽くす白い魔力光にゼーリエは避ける動きを見せず、右手を突き出して防御魔法を展開する。オレはその様子に驚き、刹那、ゼーリエは白い光線に飲み込まれた。
「クッ、いけると思ったが…」
砂埃が晴れると右腕全体が焼けたように負傷したゼーリエが佇んでいた。
「マジかよ」
口が無意識にそう言っていた。
いくらあれほど『
ここから更に『
────『緻密なゴーレムをつくる魔法』
ジブリールや早坂をつくった魔法だ。今回はただの土塊だけの材料でつくりあげたゴーレムなので、オレの魔力で強化されていると言っても、出来ることはたかが知れてる。
だがそれは一体のみだった時の話。オレの背後には草原を埋め尽くすほどのゴーレムを生み出し、佇んでいた。
その総数は1000体。
長い年月鍛え上げてきた魔力量でのゴリ押し、美しさの欠片も無い力技だが、ゼーリエの邪魔はできる。
「チッ」
ゼーリエにとってダメージを与えられるほどの攻撃力はないが、行動の阻害程度の仕事ができるゴーレムに苛ついている。
時には殴って、蹴って、燃やして、切って、圧縮させて、ゴーレムを壊しても壊しても減った気配はなくて、逆に増えてきたかのようにゼーリエは錯覚してしまう。
ここで疑問に思うのはゼーリエはなぜ、広範囲を殲滅できる魔法を使わないのか。その理由はオレが壊されると同時に爆発するゴーレムを混じらせているから。
ゼーリエはそのことに気づいている。だからこそ一個一個、ゴーレムを観察して隠された仕掛けがないかを瞬時に判断して丁寧に、それでいて素早く壊している。
わざわざ丁寧に壊している辺り、防御魔法を貫通して爆発ダメージを与えられることに気づいているのだろう。今、ゴーレムに仕込んでいる魔法は『
ゼーリエは先ほど『
そしてゼーリエの動きがより一層早くなる。慣れてきたのだ。ゴーレムを壊しまくって動きが効率化された。
一定に、機械的で反復作業のようにゴーレムを壊せるようになったゼーリエに、オレは彼女にとって予想外の一撃を与える。
────『対象を昏睡させる魔法』
前に小町が魔導書を燃やそうとしていた時に咄嗟に使った魔法……いや、呪い。目では捉えきれない速さに不可視、呪いだから魔力探知でも気づくことができない。
オレのみが認識できる
気づいた時には手遅れどころか気づけず、人類が扱える魔法でオレの呪いに対処できるのは『
故に結果は明白。
オレの
「終わったか」
そうしてゼーリエとの戦いは呆気ないほどあっさりと終わった。
書き溜めが減ってきたので投稿頻度を下げます。
わざわざ読みに来てくださっている皆さんには申し訳ないと言う気持ちで一杯です。
これからも更新したら読みに来てくれると嬉しいです。