どうもこんちは、今年で4000歳を迎えることとなったレノストです。
近頃は寿命問題が解決して心置きなく魔法研究に没頭することができ、時間が無限にも等しいほどあるのだと思うと悩みも減った。
例えばオレが死んだら小町の餌やりどうしようとか、ゼーリエさんと
まぁ、そんな些細な悩みから解放されて気分は良い。
それと余談だが、エーヴィヒの墓所に関してはお墓参りに10年に1度、地上へ降りて会いにいくのと同時に魔法を使って掃除をしに行っている。
最初は真心のこもった自分の手だけで掃除をしていたのだが、掃除をしている内に綺麗になっていくイメージをすることができるようになり、掃除用の魔法をつくることができた。
これでオレの部屋も今まで早坂が綺麗にしてくれていたのを魔法一つでチョチョイと綺麗にすることができるようになり、早坂にちょっと羨ましいといった感じで見られたので教えてあげた。
そして今日も魔法で部屋を掃除しようとすると足元に小町が擦り寄ってきた。
時計を見ればもう少しで餌の時間だ。
オレは足元に寝転ぶ愛猫の姿を見ている時に常々思うが────
「小町、お前さすがに長生きし過ぎじゃね?」
小町の体を持ち上げて目を見る。
どれだけ体を探っても普通だ。ただオレが色々と鍛え上げたのと生きている年数的に魔力量はそこら辺にいる大魔族の倍以上はあるし、小町が元々持っていた魔法の『炎を操る魔法』は単純ゆえに弱点らしい弱点はなく、対処法は小町以上の魔力量で炎を消すしか方法がない。
それも2000年間を生きる大魔族ならぬ大魔獣である小町に魔力量で勝てるやつなんて大陸中探しても片手で余る。
あ、ここで言う片手での数え方は5本指の5人であって、2進法を使った31人と言う数え方ではないということを一応言っておこう。
話を戻すが、小町の強さは尋常じゃない。
もはやここまで謎だと小町もオレと同じ、本来この世界に生まれるはずのなかった
もしそうなら
「────あまりにも考えが飛躍しすぎだよな」
小町に今日の餌を与えて、魔法で部屋を掃除をしたオレはいつもの研究室に戻って魔法開発を続ける。
今、オレが開発している魔法は『空間転移の魔法』だ。
先程も言ったが、オレは10年に1度だけ、エーヴィヒの墓所に墓参りと掃除、結界がどうなっているかを確認しにいく。
なので当然、オレは天脈竜から地上に降りて、帰るまでに1年以上は掛かる。だからこそすぐ帰れるように『空間転移の魔法』の開発を早急に進めているというわけだ。
もちろん天脈竜の背中に戻るまで旅をするわけで、そこで出会う人や絶景な自然を目に入れるのも帰るまでが遠足といったみたいにオレの中で醍醐味の一つとなっているのは確かである。
前に地上に降りた時は2年ぐらい帰るまでに時間が掛かり、帰っている途中に戦争孤児を拾い、オレの戦士の技を教えて、誕生日だって言う日には戦士ということなので原作と同じように大きいハンバーグをつくってやったこともある。
そうやって帰りながらの人との関わりを楽しんでもいるが、やっぱりそれはそれとして、便利な移動手段が欲しいよねという思いがあるのだ。
ということで『空間転移の魔法』の術式を構築しているのだが、正直言って進捗は遅い。イメージはできているのだが机上の空論というべきか、あくまで理論上は可能という範囲にとどまっているのだ。
オレがイメージする空間転移は某猫型ロボットが不思議なポケットから取り出す“どこでもドア“みたいなワープゲートの原理ではなく、ワープバブルの原理をイメージしている。
そのため時空間に及ぼす膨張と収縮の術式を上手いこと構築しなければいけなくて、そこに苦戦していた。
そして数時間が経ち、ちょうど空間転移のレポートが一段落したところで早坂が声をかけてきた。
「レノスト様、御夕食の準備が整いました」
「分かった、リビングで待っててく……ん?」
リビングに足を向けたら家の外から見覚えのある莫大な魔力を探知した。
「これはゼーリエか? でも前来た時は一年前だったし、早いな。早坂、夕食はゼーリエも誘うから2人分用意しておいて」
「承知いたしました」
オレは早坂のお辞儀を見届けた後、玄関まで歩くと案の定、ゼーリエがいた。
「こんなに早く再会するとは思わなかったよ、ゼーリエ。何かあったのか?」
ゼーリエの様子がいつもと違う。ゼーリエはあまり表情を表に出さないが、今はどこか落ち着きがなく、それでいて嬉しそうで何かを危惧しているような、いくつもの感情が入り混じった複雑な表情をして立ち尽くしていた。
「…近頃、角付きの動きがおかしい。まるで人類と同じように組織立って動いている感じがする」
「ッ……ゼーリエ、それって、まさか」
それはかつてゼーリエが求めていた戦乱の時代が到来したことの証明であるのと同時に、ゼーリエが長年危惧していた事態が起きたと言うこと。
この時期に魔族が組織立って動く原因は一つしかない。
「
ゼーリエはそう言って、面白いことが起きたみたいな表情で笑った。