大魔族の彼は人生を謳歌する   作:HIIRAGISHIYU

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015 まさかの存在

 

 

 どうもこんちは、レノストです。今年で4150歳を迎えることとなりました。

 

 最近はゼーリエさんが会いに来てくれないのでちょっと悲しいです。せっかくお茶とかお菓子とか準備していたのに全て無駄になり、オレの腹の中へと消えていく虚しさ。

 

 でも、早坂やジブリール、小町がいるので寂しくはない。

 

 まぁ、オレは最近は顔を見ていないからといってゼーリエを心配するような気持ちを持っていないので、またいつか会えるだろ的な感覚もあってか余計にだ。

 

 彼女の強さは何回も戦っているオレが誰よりも知っているし、オレが魔法を教えたり、オレから盗み取って自力で習得した魔法で守りは万全。

 

 今では彼女に勝てるイメージは湧く、殺したら死ぬイメージもある。だが殺せるイメージは湧かないといった状態だ。

 

 そんな無茶苦茶な存在であるゼーリエのどこを心配するというのか。

 

 どうせ彼女のことだ。何か夢中になるようなものでも見つけて、オレのところに来るのを先延ばしにしているのだろう。

 

 それに彼女の時間感覚的に今まで3年に1度といったペースがあまりにも早過ぎたんだ。彼女にとっては10年も、100年もそう変わらない。これはオレにも言えることだがな。

 

 なんて考えていると魔力探知に見知った魔力が引っ掛かった。

 

 タイミングがいいと言うべきか、ゼーリエのことを考えている矢先にあちらから向かってきている。

 

 けれど隣に知らない魔力を持ったやつを連れて。

 

「ゼーリエと誰だ? 魔力制限をしている……上手いなぁ」

 

 ゼーリエの隣にいるやつが魔力制限をしていることを魔力探知で見破れたのは良いことなのだが、そいつの魔力制限がお世辞抜きに上手いと感じた。

 

 普通に2000年前のオレより上手い。

 

 そして段々とゼーリエと見知らぬ誰かさんの輪郭がボヤけてたのがハッキリしてくる距離まで近づいてきた。

 

 ゼーリエは昔と容姿はそう変わっていない、そして隣のやつは知らない魔力で初対面なのに容姿には見覚えがあった。

 

「フランメか…」

 

 オレはフランメを見て驚いたが、フランメもオレのこと見て驚いたといった表情をした後、ノータイム、ノーモーションで攻撃魔法を撃ち込んできた。

 

 流石はフランメ。先手必勝かつ、魔族に対して攻撃的な性格は原作同様で魔法の威力は申し分なし。

 

 まともに当たれば致命傷になるだろう。これが才能というやつなのか。

 

 

 なんてことを考えている内に段々と迫ってくる攻撃魔法にオレは何もせずに棒立ちのまま。

 

 反応ができなかったわけではない。反応する必要がなかったのだ。

 

 では何故、反応する必要がないのか。

 

 その理由は当然、オレが家の近くにいるからである。

 

 突如としてメイド服を靡かせながらオレの前へと現れた存在は右手を突き出してフランメの攻撃魔法を受け止める。

 

 攻撃魔法が止んだ後、受け止めた右手を見ると怪我一つしておらず、そして自慢の逸品であるメイド服には砂粒ほどの汚れもついていなかった。

 

「レノスト様への敵対行動を確認しました。これより敵生命体をお掃除します」

 

 そんな宣言をした早坂が次に取った行動はさっきとは反対の手である左手を前に突き出し、掌の正面に魔力を集めることだ。

 

 収縮する魔力量的に、辺り一体を完全に消し炭にする威力があることがわかる。

 

 そこに指向性をつけて周りに被害が及ばないようにするといった配慮を早坂は忘れていなかった。

 

 早坂の掌には極小に圧縮された高密度な魔力があり、指向性をつけたことにより貫通性能が上がった攻撃魔法が完成した。

 

 ……と、ここで忘れてはならないことがある。この場所に居るのは早坂だけではないということを。

 

 いつの間にかフランメの背後にいたジブリールが腕に鋭利な風を纏い首を刎ねようとしている。他にも家から飛び出してきた小町が『炎を操る魔法』でフランメに攻撃しようとしている。

 

 これを見ていると愛されているなぁ、と嬉しく感じるが、今はそんなことを考えている場合ではない。

 

 2人と1匹が攻撃しようとしている様子が目に映ったオレはパンッという音と共に両手を合わせる。

 

「そこまで!」

 

 オレの声と音を聞いた彼女らはすぐに攻撃の姿勢を解き、俺の後ろへと飛んで来て従者のように佇む。

 

 こういう場合はオレから謝るべきか。

 

 確かにフランメから攻撃してきたのは事実なのだが、原作でも仄めかされていた彼女の境遇や性格、魔族の一般的な習性を考えればフランメのことを責めるというのは酷である。

 

「家の者が攻撃を仕掛けようとして、すまない。オレとしては君と敵対する意思はない」

 

 オレがそう言うと、少し考えたフランメはオレに返答するのではなく、その隣にいる少し口角が上がった意地悪エルフに問いかけている。

 

師匠(せんせい)、どういうことだ? どうせこれは師匠(せんせい)が仕組んだことだろ、ちゃんと説明してくれ」

 

「フッ、そうだな。奴の名前はレノスト。私が知る限り最強の魔族であり、古くからの友人だ」

 

 あのゼーリエから友人だって言われた。

 

 超嬉しい……目の前にフランメがいなかったら大泣きしているところだった。大の大人(4000歳以上)が初対面の人の前で大泣きするのは流石に憚られる。

 

 そして、初対面様のフランメさんはゼーリエの返答が予想の斜め上というか、想定していなかった回答に驚きを隠せないでいた。

 

師匠(せんせい)に友達がいたことにも驚きなのだが、まさかのその友達が魔族だなんて聞いていないぞ」

 

「ここに連れてくる時に()()()()()()やつといったろ。最初から私はあいつのことを人類とは言ってない」

 

「だからと言って魔族とは完全に予想外だ、師匠(せんせい)

 

「まぁ、安心しろ。奴は安全だ、そこらにいる魔族とは違う。それに……私より人間を理解している節すらあるしな」

 

 そう言って珍しく表情を崩して気持ちの良い笑顔を浮かべたゼーリエと天変地異を見たかのような表情のままオレとゼーリエの顔を交互に見るフランメ。

 

「……まぁ、ともかく。オレはゼーリエの友達のレノストです、よろしく」

 

 そうしてオレとフランメは初の邂逅を果たしたのだった。

 

 

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